頭痛、耳鳴り、手の震え、関節のこわばり、肌の乾燥。どれも婦人科とは結びつきにくい症状です。実際、多くの方が内科や整形外科、皮膚科を先に受診します。それは自然なことですし、間違いでもありません。
ただ、女性の体ではこれらの症状に女性ホルモンの変動が関わっていることがあります。生理前、産後、そして更年期。エストロゲンが大きく動く時期に、体のあちこちで症状が出ます。検査で「異常なし」と言われたのに不調が続く、という経験をされた方もいるかもしれません。
このページは、femnoteが公開している記事をもとに、86の症状を部位別にならべ、「まず相談する科」から引ける早見表にしたものです。各行から詳しい解説記事に進めます。
医療機関の受診先は、症状の出方や持病によって変わります。この表は診断ではなく、相談先を考えるための手がかりとしてお使いください。
この早見表の使い方
使い方は3つの順序で考えると迷いません。
- 1. まず緊急性を確認する|次の章の「様子を見てはいけない症状」に当てはまるものがないかを先に見ます
- 2. 部位から症状を探す|気になる症状のある場所(頭・口・お腹など)の表を開きます
- 3. 「まず相談する科」を見る|複数の科が挙がっている症状は、どちらから行っても構いません。迷ったらかかりつけ医に相談してください
表の「女性ホルモンとの関わり」の列には、その症状がホルモンの変動とどう結びつくのかを一言で入れています。ここに心当たりがある場合、内科や皮膚科で「異常なし」と言われたあとに婦人科で相談するという選択肢が残っていることを知っておいてください。
なお、ここに挙げた症状はすべて女性ホルモンだけが原因というわけではありません。甲状腺の病気、貧血、自己免疫の病気など、別の原因が隠れていることもあります。だからこそ、まずは症状の出ている部位を診てもらうのが基本になります。
先に確認|様子を見てはいけない症状
早見表を見る前に、こちらを確認してください。次の症状は、原因を考えるより先に受診する必要があります。
時間が経つほど選択肢が狭くなる症状です。夜間・休日であっても、ためらわずに受診してください。
| 症状 | なぜ急ぐのか | 受診先 |
|---|---|---|
| 突然の激しい下腹部痛 | 卵巣のう腫の茎捻転・子宮外妊娠などの可能性がある | 救急外来・婦人科 |
| 大量の性器出血が止まらない | 貧血が急速に進むことがある | 救急外来・婦人科 |
| 突然の激しい頭痛 | これまで経験のない強さの頭痛は緊急性がある | 救急外来 |
| 締めつけられる胸の痛み・冷や汗 | 心臓の病気を先に否定する必要がある | 救急外来 |
| 片側の手足が動かない・ろれつが回らない | 脳の血管の病気を疑う | 救急外来 |
| 急に視野が欠ける・黒い点が急増した | 網膜剥離などの可能性がある | 眼科の救急 |
| 高熱と強い下腹部痛 | 骨盤内の感染が疑われる | 救急外来・婦人科 |
判断に迷うときは、救急安心センター事業(#7119)や、お住まいの自治体の救急相談窓口に電話で相談できます。小児ではなく成人の相談先です。「これで電話していいのか」と迷う段階で使って構いません。
症状から引く|部位別・受診先早見表
気になる部位の表を開いてください。症状名から、詳しい解説記事に進めます。
頭・脳・神経
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 頭痛(更年期) | エストロゲンが下がる時期に増える | 内科・脳神経内科・婦人科 | 記事を読む |
| 生理前の頭痛 | 月経前のエストロゲン急降下が引き金になる | 婦人科・脳神経内科 | 記事を読む |
| 生理中の頭痛 | 月経に伴って起こる片頭痛がある | 婦人科・脳神経内科 | 記事を読む |
| 低気圧で起こる頭痛 | 気圧変化と自律神経。周期で悪化しやすい | 内科・脳神経内科 | 記事を読む |
| めまい・立ちくらみ | 更年期・貧血・耳の病気で原因が分かれる | 耳鼻咽喉科・内科・婦人科 | 記事を読む |
| 手が震える | 「いつ震えるか」で原因が変わる。甲状腺が関わることがある | 内科・脳神経内科 | 記事を読む |
| 手・指のしびれ | 手根管症候群は妊娠中と更年期に増える | 整形外科 | 記事を読む |
| 脚がむずむずして眠れない | 鉄不足・妊娠中に起こりやすい | 内科・脳神経内科 | 記事を読む |
| 自律神経の乱れ | 女性ホルモンと自律神経は同じ中枢で調整される | 内科・心療内科・婦人科 | 記事を読む |
目
耳・鼻・のど
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 耳鳴り | 更年期・貧血・メニエール病で背景が違う | 耳鼻咽喉科・内科 | 記事を読む |
| 鼻づまり・鼻水が続く | 妊娠中はホルモンの影響で鼻粘膜がむくむ | 耳鼻咽喉科 | 記事を読む |
| 声がかすれる・声が出ない | 2週間を超えるかどうかが分かれ目 | 耳鼻咽喉科 | 記事を読む |
| 喉が痛い | 妊娠中・授乳中は使える薬が変わる | 耳鼻咽喉科・内科 | 記事を読む |
| 喉の違和感が続く | 検査で異常なしと言われたあとの選択肢がある | 耳鼻咽喉科・心療内科 | 記事を読む |
口・歯
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 口内炎が繰り返す | 生理前・妊娠中・鉄不足で増える | 歯科・口腔外科・内科 | 記事を読む |
| 口角が切れる・治らない | 市販薬を間違えると悪化する | 皮膚科・口腔外科 | 記事を読む |
| 唇が荒れて治らない | 塗るほど悪化するパターンがある | 皮膚科・口腔外科 | 記事を読む |
| 唇に水ぶくれができる | 疲労・月経前に再発しやすい | 皮膚科・眼科 | 記事を読む |
| 舌が白い | 取ってはいけない白いものがある | 歯科・口腔外科 | 記事を読む |
| 口の中が苦い | 朝だけ苦いかどうかで原因が分かれる | 歯科・内科 | 記事を読む |
| 歯茎が下がる | 思春期・妊娠中・更年期で歯ぐきは動く | 歯科 | 記事を読む |
胸・乳房・動悸
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 胸が痛い | まず「乳房」か「胸の奥」かを分ける | 乳腺外科・循環器内科・内科 | 記事を読む |
| 胸にしこりがある | 良性のしこりとの見分けが要る | 乳腺外科 | 記事を読む |
| 生理前に胸が張る | 黄体期のホルモン変動によるもの | 婦人科・乳腺外科 | 記事を読む |
| 動悸・息切れ | 更年期に増えるが心臓の病気と紛らわしい | 循環器内科・内科・婦人科 | 記事を読む |
| 授乳中に胸が熱をもつ | 乳腺炎はなりかけのサインで対処が変わる | 乳腺外科・産婦人科 | 記事を読む |
呼吸
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 咳が止まらない | 3週間が分かれ目。熱がないのに続く咳がある | 内科・呼吸器内科 | 記事を読む |
お腹・消化器
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| お腹の不調を繰り返す | 過敏性腸症候群は生理周期で悪化することがある | 消化器内科・内科 | 記事を読む |
| 胸やけ・逆流 | 妊娠中・肥満・加齢で起こりやすい | 消化器内科・内科 | 記事を読む |
| 吐き気・胃のむかつき | 更年期にも起こる。危険なサインの見分けが要る | 内科・婦人科 | 記事を読む |
| 生理中の下痢 | プロスタグランジンが腸にも働く | 婦人科・内科 | 記事を読む |
| 痔・切れ痔 | 妊娠・産後に増える | 肛門科 | 記事を読む |
腰・背中・関節
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 背中が痛い | 内臓が原因のときの見分け方がある | 整形外科・内科 | 記事を読む |
| お尻から脚が痛い・しびれる | 妊娠中・産後に増える要因がある | 整形外科 | 記事を読む |
| 肩が上がらない | 四十肩・五十肩は時期で対処が変わる | 整形外科 | 記事を読む |
| 指の関節が変形する | ヘバーデン結節はリウマチと紛らわしい | 整形外科 | 記事を読む |
| 関節痛・手のこわばり | 更年期に増える。リウマチとの見分けが要る | 整形外科・内科・婦人科 | 記事を読む |
| 生理中の腰痛 | 子宮内膜症が隠れていることがある | 婦人科・整形外科 | 記事を読む |
| 足がつる・こむら返り | 妊娠中・更年期に増える | 内科・整形外科 | 記事を読む |
皮膚・爪・髪
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| じんましんが出た | 6週間続くかどうかで急性と慢性を分ける | 皮膚科 | 記事を読む |
| 体の片側に痛みと発疹 | 帯状疱疹は50代で増える。前兆がある | 皮膚科・ペインクリニック | 記事を読む |
| 乾燥・体のかゆみ | 40〜50代でエストロゲン低下とともに乾き始める | 皮膚科 | 記事を読む |
| 汗が止まらない | ホットフラッシュ・病気の汗との見分けが要る | 皮膚科・内科 | 記事を読む |
| 爪が割れる・縦線 | 放置してはいけないサインがある | 皮膚科・内科 | 記事を読む |
| 産後の抜け毛 | 出産後のホルモン急変による。戻らないときは別の原因 | 皮膚科・産婦人科 | 記事を読む |
| 生理前のニキビ | 顎にできやすい理由がある | 皮膚科・婦人科 | 記事を読む |
| ナプキンでかぶれる | 接触皮膚炎。素材と交換頻度で変わる | 皮膚科・婦人科 | 記事を読む |
| 妊娠線 | できる時期と、消えるかどうかの実際 | 皮膚科・産婦人科 | 記事を読む |
泌尿器
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| トイレが近い・尿もれ | エストロゲン低下と骨盤底筋のゆるみが関わる | 泌尿器科・婦人科 | 記事を読む |
| 排尿時の痛み・残尿感 | 女性は構造上くり返しやすい | 泌尿器科・婦人科 | 記事を読む |
| 下がってくる感じがする | 骨盤臓器脱は出産・加齢で起こる | 泌尿器科・婦人科 | 記事を読む |
| 骨盤底筋をきたえたい | 尿もれ・ゆるみの予防になる | 泌尿器科・婦人科 | 記事を読む |
デリケートゾーン
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| かゆい | カンジダ・かぶれ・萎縮で対処が変わる | 婦人科・皮膚科 | 記事を読む |
| できもの・しこり | 毛穴の炎症からバルトリン腺まで幅がある | 婦人科・皮膚科 | 記事を読む |
| 黒ずみが気になる | 摩擦と色素沈着。妊娠中に濃くなる | 婦人科・皮膚科 | 記事を読む |
| 乾く・ひりひりする | 閉経後のエストロゲン低下で萎縮が起こる | 婦人科 | 記事を読む |
こころ
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 不安が強い | 生理周期で波があることがある | 心療内科・精神科・婦人科 | 記事を読む |
| 動悸と強い不安の発作 | 生理周期・産後・更年期で出方が変わる | 心療内科・精神科・内科 | 記事を読む |
| 環境が変わってから不調 | 適応障害はうつ病と経過が違う | 心療内科・精神科 | 記事を読む |
| 眠れない | 中途覚醒・早朝覚醒でタイプが分かれる | 内科・心療内科・婦人科 | 記事を読む |
| 寝ても眠い | 貧血・睡眠時無呼吸が隠れていることがある | 内科・呼吸器内科 | 記事を読む |
| イライラ・気分の落ち込み | 更年期の精神症状は治療の対象になる | 婦人科・心療内科 | 記事を読む |
| 生理前だけ人が変わる | PMDDは2周期の記録が診断に要る | 婦人科・精神科 | 記事を読む |
| 生理前のイライラ | PMSの中でも相談されやすい症状 | 婦人科・心療内科 | 記事を読む |
| 産後に気分が沈む | マタニティブルーズとの違いがある | 産婦人科・心療内科 | 記事を読む |
全身・代謝・血液
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 微熱が続く | 高温期の体温上昇を微熱と誤解していることがある | 内科・婦人科 | 記事を読む |
| だるい・疲れやすい | 更年期の倦怠感は甲状腺・貧血と紛らわしい | 内科・婦人科 | 記事を読む |
| 立ちくらみ・血の気が引く | 過多月経による鉄欠乏が背景にあることがある | 内科・婦人科 | 記事を読む |
| 血圧が低い | 貧血との違いを取り違えやすい | 内科・循環器内科 | 記事を読む |
| 足がむくむ | 心臓・腎臓・甲状腺が隠れることがある | 内科・循環器内科 | 記事を読む |
| 生理前のむくみ | 黄体期の水分貯留による | 婦人科・内科 | 記事を読む |
| 体重が増えた | 閉経前後で代謝が変わる | 内科・婦人科 | 記事を読む |
| コレステロールが高いと言われた | 閉経後にLDLが上がるのは女性に共通する変化 | 内科 | 記事を読む |
| 尿酸値が高いと言われた | 閉経後に上がる。女性の痛風は見落とされやすい | 内科 | 記事を読む |
| 汗・動悸・体重減少 | バセドウ病は女性に多く目の変化が出ることがある | 内科・内分泌内科・眼科 | 記事を読む |
| 冷え・むくみ・体重増加 | 橋本病は更年期症状と間違われやすい | 内科・内分泌内科 | 記事を読む |
生理・不正出血(婦人科が入口)
| 症状 | 女性ホルモンとの関わり | まず相談する科 | 詳しく |
|---|---|---|---|
| 生理が来ない | 妊娠・ストレス・体重変化・疾患で原因が分かれる | 婦人科 | 記事を読む |
| 生理不順 | 周期の乱れ方で考える病気が変わる | 婦人科 | 記事を読む |
| 経血が多い | 過多月経は貧血と疾患のサインになる | 婦人科 | 記事を読む |
| レバー状のかたまりが出る | 大きさと頻度で受診の目安が決まる | 婦人科 | 記事を読む |
| 生理以外の出血 | 不正出血は原因の幅が広い | 婦人科 | 記事を読む |
| 生理痛がひどい | 月経困難症は治療の対象になる | 婦人科 | 記事を読む |
| 生理じゃないのに下腹部が痛い | 泌尿器・消化器が原因のこともある | 婦人科・泌尿器科・内科 | 記事を読む |
| おりものの変化 | 色とにおいで見分ける | 婦人科 | 記事を読む |
女性ホルモンが関わりやすい3つの時期
同じ症状でも、起きている時期によって背景が変わります。受診のときに「いつから」「周期のどのあたりで」出るのかを伝えられると、話がとても早くなります。
生理前(黄体期)
排卵から生理が来るまでの約2週間です。プロゲステロンが高く、生理の直前にエストロゲンとともに急降下します。この落差が症状の引き金になります。
頭痛、むくみ、肌荒れ、イライラ、口内炎、胸の張り。PMSの記事で扱っているように、心身のあらゆる場所に出ます。特徴は生理が始まると軽くなることです。この「周期性」があるかどうかが、ほかの原因と分ける最大の手がかりになります。
日常生活が送れないほど強い場合はPMDDの可能性があり、PMDDの記事で説明しているとおり2周期分の記録が診断に必要になります。記録は受診してからでなく、受診を考えた時点からつけ始めると無駄がありません。
産後
出産を境に、妊娠中に高かったエストロゲンとプロゲステロンが数日で一気に下がります。人生でもっとも急激なホルモンの変化です。
産後の抜け毛のように、産後数か月してから始まる症状もあります。抜け毛、関節痛、手のしびれ、気分の落ち込み。「育児疲れ」で説明されがちですが、ホルモンの変化が背景にあることを知っておくと、相談していいものだと判断できます。
気分の落ち込みについては、一時的なマタニティブルーズと産後うつでは対応が変わります。産後うつの記事で経過の違いをまとめています。
更年期(閉経前後の約10年)
閉経をはさんだ前後5年ずつ、およそ45〜55歳が目安です。エストロゲンが減りながら大きく揺れ、その後低い状態で安定します。
この時期にいちばん多いのが「あちこち不調なのに、どこの科でも異常なしと言われる」という状態です。更年期症状の記事にまとめたとおり、症状の種類は非常に広く、ホットフラッシュのような分かりやすいものばかりではありません。
加えて、閉経後はコレステロールや尿酸値といった検査の数値も動きます。エストロゲンにはこれらを抑える働きがあったためで、LDLコレステロールの記事や尿酸値の記事で扱っています。健診で急に引っかかるようになったという方は、年齢と閉経の時期を合わせて考えてみてください。
なぜ「婦人科以外」を先に受診してしまうのか
これは患者さん側の問題ではありません。症状が出ている場所と、原因のある場所が離れているから起こります。
手がこわばれば整形外科に行きます。声がかすれれば耳鼻咽喉科に行きます。それは正しい判断です。実際、そこで見つかる病気もたくさんあります。この早見表で「まず相談する科」に婦人科以外を並べているのは、そのためです。
問題になるのは、そこで異常が見つからなかったあとです。「異常なし」は「原因がない」という意味ではなく、「その科の範囲では原因が見つからなかった」という意味です。ところが、そこで説明が終わってしまうことがあります。
- 検査で異常がないのに、症状が続いている
- 症状の強さが月経周期に合わせて変わる
- 症状が複数の場所に同時に出ている
- 40代後半以降で、生理の周期や量が変わってきた
- 出産後で、それ以前にはなかった症状が続いている
女性ホルモン検査の記事でも触れていますが、ホルモンの状態は血液検査である程度わかります。ただし、測る時期によって値が大きく変わるため、いつ測るかが重要になります。この点は自己判断が難しいので、婦人科で相談するのが確実です。
また、症状の原因が女性ホルモンだけとは限りません。特に甲状腺の病気は更年期症状とよく似ています。だるさ、動悸、汗、体重の変化、気分の落ち込み。バセドウ病の記事と橋本病の記事で、それぞれの特徴をまとめています。更年期だと思っていたら甲状腺だった、という例は珍しくありません。
同じように、生理に伴う貧血のような鉄欠乏も、めまい・だるさ・動悸として出ます。過多月経のある方は特に確認する価値があります。
受診するときに持っていくと話が早いもの
限られた診察時間で状況を伝えるために、次の3つがあると診察がスムーズになります。なお、婦人科で行われる内診は、何をどの順番で見ているのかを知っておくだけで身構えずに済みます。断ることもできる診察です。
| 持っていくもの | 何がわかるか | 準備の仕方 |
|---|---|---|
| 症状の記録 | 症状と月経周期の関係、出ている期間 | いつ・どんな症状が・どのくらいの強さで出たかをメモかアプリで。2周期分あると十分 |
| 最終月経と周期 | 閉経が近いのか、排卵しているのか | 直近3か月の開始日と、続いた日数。日数の乱れも情報になります |
| 直近の健診・血液検査の結果 | 貧血・甲状腺・コレステロールなどの状態 | 健診結果の用紙をそのまま持参。ほかの科で受けた検査結果も有用です |
記録については基礎体温の記事が役に立ちます。基礎体温まで測らなくても、症状と生理開始日だけで十分な情報になります。
そして、ほかの科でどんな検査を受けて、何と言われたかを伝えてください。「整形外科でレントゲンを撮って骨に異常はないと言われました」という一言があるだけで、同じ検査を繰り返さずに済みます。
よくある質問
Q 症状が複数の科にまたがるときは、どこから行けばいいですか?
A.いちばん困っている症状の科から行くのが基本です。そのうえで、ほかにも症状があることを必ず伝えてください。複数の場所に同時に症状が出ていること自体が、全身に関わる原因を考える手がかりになります。かかりつけ医がいる場合は、そこで整理してもらうのがもっとも確実です。
Q 「異常なし」と言われました。もう調べようがないのでしょうか?
A.そうとは限りません。「異常なし」はその科の検査の範囲で見つからなかったという意味です。症状が月経周期で変わる、更年期の年齢にあたる、産後であるといった条件があれば、婦人科で相談する余地があります。ただし、症状が強くなっている場合や新しい症状が加わった場合は、同じ科にもう一度かかることも大切です。
Q 婦人科に行くと、必ず内診をされますか?
A.いいえ。症状によっては問診と血液検査だけで進むこともあります。内診が必要かどうかは症状によって変わりますし、不安があれば受付や問診票の段階でその旨を伝えて構いません。相談だけの受診も問題ありません。
Q この表にない症状はどう考えればいいですか?
A.まずは症状が出ている場所の科に相談してください。そのうえで、症状が月経周期で変わるか、更年期の年齢にあたるか、産後かを確認し、当てはまるようなら婦人科でも相談できます。この表はfemnoteが記事にしている症状を集めたもので、女性ホルモンが関わる症状のすべてを網羅しているわけではありません。
Q 市販薬で様子を見てもいいですか?
A.症状によります。数日で軽くなるものであれば市販薬で様子を見る選択肢もありますが、この記事の「様子を見てはいけない症状」に当てはまるものは例外です。また、口角炎のように市販薬の種類を間違えると悪化するものもあります。妊娠中・授乳中は使える薬が変わるため、薬剤師か医師に相談してください。
Q 更年期かどうかは、検査でわかりますか?
A.血液検査でホルモンの値を測ることはできますが、更年期は数値だけで決まるものではありません。年齢、月経の変化、症状を合わせて判断します。特に閉経前はホルモンの値が大きく揺れるため、一回の検査だけでは判断できないことがあります。
Q 鍼灸や整体に通っていますが、続けていいですか?
A.続けるかどうかはご本人の判断ですが、症状が続いている場合や強くなっている場合は、並行して医療機関で原因を確認してください。特にこの記事の「様子を見てはいけない症状」に当てはまるときは、先に受診が必要です。
表に出てくる言葉の意味が分からないときは、女性の体の用語集で読みかたとあわせて引けます。
まとめ
症状が出ている場所と、その原因がある場所は、必ずしも一致しません。女性の体では、女性ホルモンの変動が全身のあちこちに症状として現れます。そのことを知っているだけで、「異常なし」と言われたあとの次の一手が変わります。
- 緊急性の確認が最優先。突然の激しい痛み、止まらない出血、手足の麻痺などは原因を考える前に受診する
- 症状の出ている部位の科から受診するのが基本。そこで見つかる病気も多く、順序として間違っていない
- 「異常なし」は「原因がない」ではない。その科の範囲で見つからなかった、という意味
- 月経周期で症状が変わるかどうかが最大の手がかり。生理前に強くなり生理開始で軽くなるなら、ホルモンの関与を考える
- 甲状腺の病気と鉄欠乏は更年期症状とよく似ている。更年期だと思い込まず、血液検査で確認する価値がある
- 受診時は症状の記録・最終月経・直近の検査結果の3つを持参する。同じ検査の繰り返しを避けられる
気になる症状があれば、上の早見表からそれぞれの記事に進んでください。原因の見分け方と、受診の目安をもう少し詳しく書いています。
参考文献
- 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023」
- 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック 更年期医療編 2019年度版」
- 厚生労働省「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」
- 日本内分泌学会「甲状腺機能低下症」「バセドウ病」
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)をもっと身近に」
- 日本産科婦人科学会「HRTガイドライン2017年度版」