予定日を過ぎても生理が来ない。カレンダーを見返して、指を折って日数を数えて、「これって何日まで待っていいんだろう」と検索する——多くの人が、まったく同じ順番でここにたどり着きます。
この記事は、その「何日まで?」に数字で答えるところから始めます。そのうえで、妊娠の可能性の切り分け方、妊娠以外の原因、放置したときに何が起こるのか、そして「生理を来させる方法はあるのか」まで順番に整理します。
先に結論だけ言うと、予定日から6日以内のずれは正常の範囲です。そして90日以上こない状態には、続発性無月経というはっきりした名前がついています。この2つの数字を知っておくだけで、「様子を見る」のか「受診する」のかの判断がぐっと楽になります。
何日遅れたら「遅れ」なの?日数の基準
まず、いちばん多い疑問から答えます。生理は毎月きっちり同じ日に来るものではありません。「遅れ」と呼ぶかどうかには、ちゃんと目安があります。
6日以内のずれは正常の範囲
正常な月経周期は25〜38日とされ、さらに周期のばらつきが6日以内であれば正常の範囲と考えられています。つまり、いつも30日周期の人が36日目に来たとしても、それは「遅れた」のではなく正常な変動の内側です。
ここを知らないと、3〜4日遅れただけで強く不安になり、その不安がさらに周期を乱す——という悪循環が起きます。まずは「6日」というものさしを持ってください。
月経周期は「生理が始まった日」を1日目として、次の生理が始まる前日までの日数です。生理が終わった日から数えるのではありません。ここを間違えると、実際より周期が短く見えて「遅れている」と誤解しやすくなります。数え方の基本は生理周期の正しい数え方で確認できます。
また、そもそも周期が毎回バラバラで平均が取りにくい場合は、「今回だけ遅れた」のではなく生理不順そのものを考えたほうが整理しやすくなります。
日数別・受診の目安一覧
遅れの日数ごとに、何を考えればよいかを整理しました。性行為の可能性がある人は、日数にかかわらず妊娠の確認が最優先である点だけ先に押さえてください。
| 遅れの日数 | どう考えるか | 行動の目安 |
|---|---|---|
| 1〜6日 | 正常な変動の範囲内 | 様子を見てよい |
| 7日〜(1週間) | 「遅れ」と考えてよい段階 | 性行為があれば妊娠検査薬を使う |
| 2週間 | 妊娠でなければ排卵が乱れている可能性 | 検査薬が陰性でも記録を取り始める |
| 1か月(次の予定も来ない) | 1周期分まるごと飛んでいる状態 | 受診を検討する |
| 2か月 | ホルモンの働きが止まっている可能性 | 受診をすすめたい段階 |
| 90日(3か月)以上 | 続発性無月経という状態 | 必ず婦人科を受診 |
「何日遅れたらやばいのか」という問いに一言で答えるなら、90日です。ただしこれは「90日までは放っておいてよい」という意味ではありません。1か月まるごと飛んだ時点で、すでに体は何かのサインを出しています。
90日以上こない=続発性無月経
これまで来ていた生理が90日(3か月)以上停止した状態を「続発性無月経」といいます。「無月経」というと重い響きですが、これは病名というより状態を表す言葉で、原因はストレスから体重変化、ホルモンの病気までさまざまです。
もうひとつ「原発性無月経」という言葉もあります。これは18歳になっても初経が来ない状態を指し、続発性とは分けて考えます。初経そのものについては初潮(初経)の平均年齢と目安で解説しています。
検査薬が陰性だと安心して、そのまま何か月も過ごしてしまう人がとても多いのですが、妊娠していないのに生理が来ないほうが、原因を調べる必要があります。妊娠なら理由がはっきりしていますが、そうでない場合は「なぜ止まっているのか」が分からないままだからです。
とくに90日以上止まっているなら、様子見の段階は過ぎています。
まず妊娠の可能性を切り分ける
逆に「生理は来たけれど妊娠が心配」なら生理が来たのに妊娠?にまとめています。
原因を考える前に、必ず先にやっておきたいのが妊娠の確認です。理由は単純で、妊娠かどうかで、その後にやるべきことが完全に変わるからです。ここが未確定のまま原因を探しても、時間を使うだけになってしまいます。
検査薬が正確になるのはいつから
一般的な妊娠検査薬は、生理予定日の1週間後から使うように作られています。「予定日当日から使える早期タイプ」もありますが、こちらは結果が出ても、あらためて予定日1週間後に再検査することが前提です。
| タイミング | 判定の信頼度 |
|---|---|
| 生理予定日より前 | 陰性でも判断できない(早すぎる) |
| 生理予定日ごろ | 早期タイプなら参考になる。要再検査 |
| 予定日1週間後 | 一般的な検査薬で判定できる |
| 予定日2週間後で陰性 | 妊娠以外の原因を考える段階 |
陰性でも安心できないケースがあります。排卵が遅れていた場合、実際の妊娠週数は自分の想定より浅く、検査に必要なホルモンがまだ十分に出ていないことがあるからです。1回陰性でも、生理が来なければ1週間後にもう一度——これを覚えておいてください。使い方や判定線の見方は妊娠検査薬の正しい使い方で詳しく解説しています。
また、妊娠超初期の症状は生理前の不調とよく似ていて、症状だけで見分けることはできません。体調で判断せず、検査薬で確認してください。
性行為のあと生理が来ない
「性行為のあとから生理が来なくなった」という相談はとても多いものです。考えられるのは、大きく2つに分かれます。
- 妊娠している:避妊をしていても、方法によっては一定の確率で妊娠は起こります
- 妊娠していないが、不安が周期に影響している:「妊娠したかもしれない」という強い緊張が、排卵を遅らせることがあります
2つめは軽く扱われがちですが、実際によく起こります。生理をコントロールしているのは脳の視床下部という部分で、ここは強いストレスの影響を受けやすいのです。皮肉なことに、「妊娠していたらどうしよう」と心配するほど生理が遠のく、ということが起こり得ます。
この悪循環を断ち切る方法はひとつだけで、検査薬で白黒つけることです。不安なまま数えて過ごす日数を減らすほうが、結果的に周期にも優しくなります。
周期が乱れているとき、排卵日は予測どおりに来ていません。つまり周期が乱れている人ほど「安全日」の計算は当てになりません。詳しくは安全日という考え方の落とし穴で解説しています。避妊について整理したい場合は避妊方法の種類と選び方も参考にしてください。
アフターピルのあと生理が来ない
アフターピル(緊急避妊薬)を飲んだあとに生理が来ず、不安になって検索する人も多くいます。
アフターピルは強いホルモンで排卵をずらす薬なので、そのあとの生理が前後にずれるのは想定内です。目安としては、服用から3週間以内に出血があることが多いとされています。
- 服用から3週間たっても出血がない場合は、妊娠検査薬で確認する
- 予定より早く来た少量の出血は、生理ではなく消退出血のことがある
- アフターピルは100%ではないため、「飲んだから妊娠していない」とは考えない
効果と限界についてはアフターピルの効果はどのくらいかで詳しく解説しています。
なお、低用量ピルを飲んでいる人が休薬期間に生理(消退出血)が来ない場合も、考え方は似ています。飲み忘れがなければ多くは心配のない変化ですが、ピル服用中に生理が来ないときで条件を確認してください。
妊娠以外の原因
検査薬が陰性で、それでも生理が来ない。ここからが本題です。原因は大きく5つのグループに分けられます。
| グループ | 代表的な原因 | 戻りやすさの目安 |
|---|---|---|
| ストレス・環境 | 転職・受験・引っ越し・睡眠不足 | 原因が去れば戻ることが多い |
| 体重・運動 | 急なダイエット・体重増加・激しい運動 | 体重が戻れば回復することが多い |
| 病気 | 多嚢胞性卵巣症候群・甲状腺・高プロラクチン血症 | 治療が必要 |
| ライフステージ | 産後・授乳中・思春期・40代以降 | 時期が過ぎれば整うことが多い |
| 薬 | ピル・アフターピル・一部の内服薬 | 薬の影響が抜ければ戻る |
この表で大事なのは右の列です。「放っておいても戻るもの」と「治療しないと戻らないもの」が混ざっています。自分がどちらなのかは、自己判断では区別できません。それが受診の意味です。
ストレス・環境の変化
もっとも多い原因です。生理は、脳の視床下部→下垂体→卵巣という3段階の指令でコントロールされています。このうち一番上の視床下部は、「生命維持に関係ない機能を後回しにする」判断をする場所でもあります。
強いストレスや環境の変化があると、体は「今は妊娠している場合ではない」と判断し、排卵の指令を止めてしまうことがあります。これは体の故障ではなく、防御反応です。
- 転職・異動・受験・卒業など、生活が大きく変わったとき
- 引っ越し・一人暮らしの開始
- 睡眠不足が続いているとき
- 人間関係の悩みを抱えているとき
- 季節の変わり目や、強い寒暖差
特徴は「原因が去ってからしばらくして戻る」ことです。ただし、ストレスが慢性的に続いている場合は、いつまでも戻りません。「ストレスだから仕方ない」で片づけて何か月も過ぎているなら、それはもう様子見の段階ではないと考えてください。
自律神経の乱れが関係することもあり、その場合は自律神経の乱れによる不調もあわせて確認すると理解しやすくなります。
体重の増減・運動のしすぎ
ストレスと並んで多いのが、体重の変化です。短期間で体重の10%以上が減ると、生理が止まりやすくなることが知られています。50kgの人なら5kgです。
理由は、女性ホルモンの材料になる脂肪組織が減ることと、体が「エネルギーが足りない」と判断して生殖機能を止めることの両方です。体脂肪率が17〜18%を下回ると、生理が止まりやすくなるという目安もあります。
- 「痩せられて生理も来ない、ラッキー」ではありません。体がエネルギー不足を訴えているサインです
- まず減量をいったん止める。体重を戻すと生理も戻ることが多くあります
- 3か月以上止まっているなら、体重が戻っても自然回復しないことがあるため受診を
逆に、急に体重が増えた場合も生理は乱れます。脂肪組織が増えるとホルモンのバランスが変わるためで、この場合は多嚢胞性卵巣症候群が背景にあることもあります。
また、運動のしすぎでも止まります。競技レベルで運動している人に起こりやすく、消費エネルギーに対して摂取が足りない状態が続くことが原因です。「運動しているから健康」とは限らない、という点は見落とされがちです。生理中の食事や栄養については生理中に摂りたい食べ物も参考になります。
病気が背景にあるとき
ここが、自己判断ではどうにもならない領域です。代表的なものを挙げます。
| 病気 | 特徴的なサイン |
|---|---|
| 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS) | 周期が長い・ニキビ・体毛が濃い・体重が増えやすい |
| 高プロラクチン血症 | 妊娠していないのに乳汁が出る・頭痛 |
| 甲状腺の病気 | 疲れやすい・むくむ・急な体重変化・動悸 |
| 早発卵巣不全 | 40歳未満でほてり・発汗など更年期に似た症状 |
| 体重減少性無月経 | 強い体重減少のあとに停止 |
このうち多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は特に頻度が高く、生理不順の背景として見つかることが多い病気です。周期が長い・生理がとびとびという状態が長く続いているなら、一度調べる価値があります。
甲状腺の病気も見落とされやすい原因です。婦人科の症状として現れるため、まさか甲状腺とは思わずに過ごしてしまいます。橋本病(甲状腺機能低下症)やバセドウ病のサインに心当たりがあれば、診察時に伝えてください。
早発卵巣不全は、40歳未満で卵巣の働きが低下する状態です。「まだ若いから更年期のはずがない」という思い込みが発見を遅らせます。ほてり・発汗・寝汗といった女性ホルモンの低下を思わせる症状が重なっているなら、年齢に関係なく相談してください。
産後・思春期・40代以降
「止まっていて当然」の時期もあります。この場合は原因を探すより、いつまでなら想定内かを知るほうが役に立ちます。
- 産後・授乳中:母乳を作るホルモンには排卵を抑える働きがあり、授乳中は生理が来ないことが普通です。産後の生理再開は個人差が大きく、生理が来る前に排卵が起こることもあるため、避妊が必要なら早めに考えます
- 思春期:初経から数年は排卵が安定せず、周期がバラバラなのは自然なことです。ただし18歳になっても初経が来ない場合は受診の対象です
- 40代以降:閉経に向かう時期は周期が乱れます。日本人の平均閉経年齢は50歳前後で、その手前の数年は間隔が空いたり詰まったりを繰り返すのが一般的です
ただし、40代の「乱れ」をすべて更年期のせいにするのは危険です。この年代は子宮や卵巣の病気が増える時期でもあります。不正出血をともなうなら、不正出血の原因も確認してください。
薬の影響
飲んでいる薬が原因のこともあります。
- 低用量ピル・アフターピル:ホルモンに直接作用するため、周期が動きます
- 一部の向精神薬・胃薬:プロラクチンというホルモンを上げ、生理を止めることがあります
- ステロイド・抗がん剤など:治療の影響で止まることがあります
自己判断で薬をやめないでください。受診のときに「いま飲んでいる薬」をすべて伝えれば、医師が原因かどうかを判断します。お薬手帳を持っていくのがいちばん確実です。
生理が来ていても「無排卵」のことがある
ここは、見落とされやすい落とし穴です。出血があっても、排卵が起きていないことがあります。これを「無排卵月経」といいます。
生理が来ていれば安心と思いがちですが、無排卵の状態が続いていると、「止まっている人と同じリスク」を抱えていることになります。本人は生理が来ているつもりなので、気づくのが遅れます。
いちばん確実な見分け方は基礎体温です。排卵があれば、排卵後に体温がおよそ0.3〜0.5℃上がり、次の生理まで高温期が続きます。この二相がはっきりしないなら、無排卵の可能性があります。
2〜3か月分の基礎体温表があると、受診したときの診断が一気に早くなります。「生理が来ない」で受診しようと思ったら、その日から基礎体温をつけ始めてください。結果が出るまでの待ち時間が無駄になりません。無排卵の詳細は無排卵月経とはで解説しています。
放置するとどうなる?
「生理がないと楽」——この感覚が、いちばん危ないところです。ナプキンもいらない、痛みもない、予定も立てやすい。だから放置してしまう。
けれど、生理が来ないということは、多くの場合エストロゲン(女性ホルモン)が十分に出ていないということです。エストロゲンは子宮だけに働くホルモンではありません。骨・血管・肌・脳にも関わっています。止まっているのは生理だけではない、というのがここで伝えたいことです。
骨がもろくなる
エストロゲンには、骨が壊されるのを抑える働きがあります。分泌が少ない状態が続くと、骨密度が落ちていきます。
とくに重要なのが、骨量は20歳前後でピークを迎え、その後は増やせないということです。つまり10代〜20代前半で無月経の期間が長いと、一生で到達できる骨の量そのものが低いところで固定されてしまいます。あとから運動や食事で取り返すことが難しい、という点が他のリスクと決定的に違います。
将来の骨粗しょう症のリスクにつながるため、若い人の無月経ほど早く対応する意味があります。「若いから大丈夫」ではなく、若いからこそ急ぐ、という順番です。
将来の妊娠への影響
排卵が起きていない期間は、当然ながら妊娠は成立しません。すぐに妊娠を考えていなくても、止まっている原因を放置すると、いざというときに時間がかかります。
ストレスや体重が原因なら、多くは改善すれば戻ります。一方、PCOSや甲状腺の病気が背景にある場合は、治療を始めた時点から整いはじめるため、早く見つけるほど選択肢が広がります。
「妊娠は当分考えていないから」と受診を先延ばしにする人は多いのですが、受診の目的は妊娠だけではありません。今の体の状態を知っておくこと自体に意味があります。妊娠を考え始めたときの流れは妊活の基本ガイドにまとめています。
子宮内膜への影響
もうひとつ、原因によっては注意が必要なパターンがあります。エストロゲンは出ているのに排卵が起きていないタイプの無月経です。PCOSなどで起こります。
この場合、子宮内膜は厚くなり続けるのに、はがれ落ちる機会がありません。厚い状態が長く続くと、内膜の細胞に変化が起こるリスクが高まることが知られています。
だからこそ、この状態では「定期的に出血を起こす」こと自体が治療になります。医師が薬で生理を起こす提案をするのは、周期を整えるためだけでなく、内膜を定期的にリセットするためでもあるのです。子宮体がんのリスク要因としても、無排卵の長期化は挙げられています。
「生理を来させる方法」はある?
検索でよく調べられている質問です。結論から書きます。
- 自分で確実に生理を起こす方法はありません。食べ物・ツボ・運動で、その場で来させることはできません
- ただし整いやすい体の条件をつくることはできます。これがセルフケアの役割です
- 医療なら薬で出血を起こすことができます。ただし医師の診察と処方が必要です
「来させる方法」を探している人の多くは、旅行や試験の予定に合わせたいか、来ないこと自体が不安か、のどちらかです。前者なら計画的に婦人科へ、後者なら原因を調べるために婦人科へ——どちらの入口も同じ場所につながっています。
自分でできること
すぐに生理が来るわけではありませんが、周期が整う土台をつくる意味はあります。原因がストレスや体重にある場合は、ここが本質的な対処になります。
| やること | なぜ効くと考えられるか |
|---|---|
| 睡眠を確保する | ホルモンの指令を出す視床下部は睡眠の影響を受けやすい |
| 極端な減量をやめる | エネルギー不足が続くと排卵の指令が止まる |
| 食事の量を戻す | 脂質は女性ホルモンの材料になる |
| 体を冷やしすぎない | 血流と自律神経の安定につながる |
| 過度な運動を減らす | 消費が摂取を上回る状態を解消する |
| 基礎体温をつける | 直接の効果はないが、受診時の判断材料になる |
この中でいちばん軽視されがちなのが「極端な減量をやめる」です。ダイエット目的で生理が止まった場合、減量を続けながら生理だけ戻すことはできません。順番として、まず体重を戻すことが先になります。
なお、セルフケアで様子を見てよいのは1〜2か月までです。それ以上続くなら、セルフケアで届く範囲を超えています。
医療でできること
婦人科では、薬で出血を起こす方法があります。これらはすべて医師の診察と処方が必要な薬です。自己判断で入手して使うものではありません。
- 黄体ホルモン製剤:一定期間内服し、やめたタイミングで出血を起こす方法です。数日から10日ほど飲んで、中止後に出血が来るという流れが一般的です
- カウフマン療法:卵胞ホルモンと黄体ホルモンを順に使い、自然な周期に近いホルモンの流れを再現する方法です。数周期かけて行うことがあります
- 低用量ピル:周期を安定させる目的で使われることがあります。避妊も同時に必要な場合に選ばれやすい方法です
- 漢方薬:体質に合わせて処方されることがあります。婦人科で扱っている医療機関も多くあります
- 原因そのものの治療:甲状腺の病気や高プロラクチン血症が背景にある場合は、そちらの治療を行うことで周期が戻ることがあります
どれを選ぶかは、原因・年齢・妊娠を望むかどうかによって変わります。「今すぐ妊娠したい」のか「当分は望まない」のかで方針が分かれるため、診察のときにその点を伝えてください。ここを言わないと、医師も方針を決めきれません。
薬で起こした出血は、あくまでその回の出血です。原因が解決していなければ、薬をやめれば再び止まります。
「1回来たから治った」と通院をやめてしまう人がいますが、大事なのはなぜ止まっていたのかを突き止めることのほうです。
根拠がはっきりしない方法
ネット上には「これで生理が来た」という情報がたくさんあります。判断のしかたを整理しておきます。
- 特定の食べ物・飲み物:「これを食べれば来る」といえるものは確認されていません。ただし、極端な食事制限をやめて栄養が満たされること自体には意味があります
- ツボ・マッサージ:リラックスにはつながりますが、生理を起こす確実な方法とはいえません
- 体を温める:血流や自律神経には良い影響が期待できますが、これだけで無月経が解決するわけではありません
- 市販のサプリメント:不足している栄養を補う目的なら選択肢になりますが、無月経の原因を治すものではありません
共通して言えるのは、「体調を整える」ことと「生理を起こす」ことは別だということです。セルフケアは前者にはとても有効ですが、後者を期待して何か月も試し続けるのは、受診を遅らせるだけになります。
- 友人からもらったピルや、個人輸入した薬を飲む——用量も適応も自分に合っているとは限らず、危険です
- 「そのうち来るだろう」で半年以上放置する——原因が病気だった場合、その間ずっと進みます
- 妊娠検査薬が陰性だからと、それ以上調べない——妊娠していないことは、正常であることを意味しません
受診の目安と、婦人科ですること
「婦人科は行きにくい」という声はよく聞きます。何をされるか分からないことが、その理由の大半です。ここでは、実際に何が起こるかを具体的に書きます。
いつ行けばいい?
- 90日(3か月)以上生理が来ていない——迷う必要はありません
- 2か月連続で来ない
- 妊娠検査薬が陰性なのに、1か月以上来ない
- 強いダイエットや体重減少のあとに止まった
- 妊娠していないのに乳汁が出る
- 強い倦怠感・急な体重変化・動悸など、全身の症状をともなう
- 40歳未満で、ほてり・発汗など更年期に似た症状がある
- 18歳になっても初経が来ていない
- 妊娠を希望していて、周期が乱れている
迷ったときの基準はシンプルです。「数えている自分がしんどい」なら、それが受診の理由になります。不安を抱えて過ごす1か月より、受診して確かめる1日のほうが軽く済みます。
何を聞かれ、何を調べる?
初診の流れはおおむね次の通りです。
- 問診:最終月経・普段の周期・体重の変化・ストレス・服用中の薬・性交渉の有無・妊娠希望の有無
- 妊娠の確認:必要に応じて尿検査
- 血液検査:女性ホルモン・甲状腺ホルモン・プロラクチンなどを調べます
- 超音波検査:子宮内膜の厚さや卵巣の状態を確認します
性交渉の経験がない場合、内診を省略したり、お腹の上から当てる超音波(経腹)に変更したりできます。受付や問診票の段階で伝えれば配慮されます。「言いにくい」と感じるかもしれませんが、医療者にとっては日常的な確認事項で、驚かれることはありません。
持っていくと診察が早く進むものを挙げておきます。
- 基礎体温表(あれば2〜3か月分。アプリの画面でも可)
- 最終月経の日付と、直近数回の周期
- 体重の変化(いつ・何kg増減したか)
- お薬手帳
- 健康保険証
とくに最終月経の日付は必ず聞かれます。分からない場合は「たしか◯月の中ごろ」でも構いません。正確でなくても、伝えられる範囲で問題ありません。生理の記録の付け方は生理周期の数え方を参考にしてください。
費用と保険
「生理が来ない」は症状なので、健康保険が使えます。自費になるのは、避妊目的のピル処方など、治療にあたらないものです。
| 内容 | 3割負担の目安 |
|---|---|
| 初診(問診・診察) | 1,000〜2,000円程度 |
| 血液検査(ホルモン) | 3,000〜6,000円程度 |
| 超音波検査 | 1,500〜2,500円程度 |
| 薬の処方 | 数百〜2,000円程度 |
※医療機関や検査の内容によって変わります。おおよその目安として見てください。
初診で血液検査まで行うと、合計で5,000〜10,000円程度になることが多くあります。結果が出るまでに数日〜1週間かかるため、再診が必要になる前提で予定を組んでおくとスムーズです。
「学生でお金が心配」という場合も、保険が使えるので全額負担にはなりません。費用を理由に受診をあきらめる前に、まず電話で問い合わせてみてください。
よくある質問
Q 生理が遅れていいのは何日までですか?
A.6日以内のずれは正常の範囲とされています。7日を超えたら「遅れ」と考え、性行為があれば妊娠検査薬を使ってください。1か月まるごと飛んだら受診を検討し、90日以上こない場合は必ず婦人科を受診してください。
Q 何日遅れたら「やばい」ですか?
A.ひとつの線を引くなら90日(3か月)です。この状態には「続発性無月経」という名前がついており、原因を調べる対象になります。ただし「90日までは放っておいてよい」わけではありません。1か月飛んだ時点で、体はすでにサインを出しています。
Q 性行為のあと生理が来ないのはなぜですか?
A.妊娠の可能性と、「妊娠したかもしれない」という強い不安が排卵を遅らせている可能性の2つが考えられます。後者は実際によく起こります。この悪循環を断つ方法は、検査薬で確認することだけです。予定日1週間後に検査し、陰性でも生理が来なければさらに1週間後に再検査してください。
Q 生理を来させる方法はありますか?
A.自分で確実に来させる方法はありません。食べ物・ツボ・運動でその場で起こすことはできません。一方、婦人科では黄体ホルモン製剤などを使って出血を起こす方法があります(いずれも医師の診察と処方が必要です)。ただし薬で起こした出血は「その回の出血」であり、原因が解決しなければ再び止まります。
Q 妊娠検査薬が陰性なら安心していいですか?
A.いいえ。妊娠していないことと、体が正常であることは別です。むしろ妊娠していないのに来ないほうが、原因を調べる必要があります。また排卵が遅れていた場合は検査が早すぎて陰性になることもあるため、生理が来なければ1週間後に再検査してください。
Q 生理がないほうが楽なのですが、放っておいてはだめですか?
A.生理が来ないということは、多くの場合エストロゲンが十分に出ていないということです。エストロゲンは骨や血管にも関わるため、止まっているのは生理だけではありません。とくに骨量は20歳前後がピークで、その後は増やせません。10代〜20代前半の無月経が長引くと、一生の骨の量が低いところで固定されてしまいます。若い人ほど早く対応する意味があります。
Q 生理は来ているのに不安です。異常なことはありますか?
Q ダイエットで止まりました。体重を戻せば来ますか?
A.体重が戻ると回復することが多くあります。ただし減量を続けながら生理だけ戻すことはできません。まず減量を止めることが先です。また3か月以上止まっている場合は、体重が戻っても自然には回復しないことがあるため、受診してください。
Q 婦人科で内診されるのが怖いです。行かないとだめですか?
A.性交渉の経験がない場合、内診を省略したり、お腹の上から当てる超音波に変更したりできます。受付や問診票の段階で伝えてください。医療者にとっては日常的な確認事項なので、驚かれることはありません。「内診が怖くて行けない」と伝えるだけでも配慮されます。
Q 受診にお金はどのくらいかかりますか?
A.「生理が来ない」は症状なので健康保険が使えます。初診で血液検査まで行うと、3割負担で5,000〜10,000円程度になることが多くあります。結果が出るまで数日〜1週間かかるため、再診が必要になる前提で予定を組んでおくとスムーズです。
まとめ
生理が来ない日数を数えている時間は、それだけで消耗します。判断のものさしを持っておけば、待つべきときは落ち着いて待てますし、動くべきときにすぐ動けます。
- 6日以内のずれは正常の範囲。周期は毎回きっちり同じではない
- 7日を超えたら「遅れ」。性行為があれば妊娠検査薬を使う
- 検査薬は予定日1週間後から。陰性でも来なければ1週間後に再検査
- 90日以上こない状態は続発性無月経。必ず受診する
- 妊娠していないのに来ないほうが、原因を調べる必要がある
- 原因は「放っておけば戻るもの」と「治療が必要なもの」が混在している。自己判断では区別できない
- 出血があっても排卵していない「無排卵月経」がある。基礎体温で見分ける
- 骨量のピークは20歳前後。若い人の無月経ほど早く対応する意味がある
- 自分で確実に生理を起こす方法はない。医療なら薬で出血を起こせる(医師の診察と処方が必要)
- 「生理が来ない」は症状なので健康保険が使える
受診しようと決めたら、その日から基礎体温をつけ始めてください。予約までの待ち時間が、そのまま診断の材料に変わります。数えるだけだった日々が、体を知るための記録になります。
参考文献
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編」
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会「用語集・用語解説集」(無月経・希発月経)
- 一般社団法人 日本内分泌学会「間脳性(視床下部性)無月経」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の健康と月経」
- 東京都保健医療局「女性の健康支援に関する情報提供」
- 日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」