健康診断の結果が届いて、「LDLコレステロール」の欄に色がついている。去年までは何もなかったのに、今年は「要再検査」「要指導」と書かれている——。

そして、いちばん納得がいかないのはここだと思います。食生活は、去年と何も変えていない。むしろ気をつけているくらいなのに、数値だけが上がっている。「不摂生をしているからでしょう」と言われると、心当たりがないぶん、余計に落ち込みます。

けれど、これは気のせいでも、不摂生のせいでもありません。女性の体では、閉経の前後にコレステロールの数値が上がるのが、ごく自然な変化として起こります。閉経前の女性は、エストロゲンによって血管と脂質を守られていました。その保護がなくなるのですから、同じ生活をしていても数値は動きます。

「コレステロール 下げる」と検索すると、出てくるのは循環器内科の一般的な解説と、トクホ飲料の広告です。そこに書かれているのは間違いではありませんが、「なぜ、いま、自分に起きたのか」への答えはありません。この記事では、女性の体という軸で、数値の読み方から、隠れた原因、食事と薬の考え方までを整理します。

結果の紙を手にして、まず知りたい方へ
  • いちばん最初に:LDLの数値だけを見て慌てないでください。大事なのは「数値」×「ほかのリスクがいくつ重なっているか」です → 数値の読み方
  • 今週やること:甲状腺の検査をまだ受けたことがないなら、次の受診時に依頼を。甲状腺のはたらきが落ちているとLDLは上がります。1回の採血でわかります → 隠れた原因
  • やらなくていいこと:いきなり卵をやめること、油をすべて抜くこと、極端な食事制限。効率が悪いうえ、続きません食事

コレステロールとは?「悪玉」という呼び方の落とし穴

コレステロールは、体に必要な脂質のひとつです。細胞膜の材料になり、胆汁酸のもとになり、そしてホルモンの材料になります。エストロゲンもプロゲステロンも、実はコレステロールから作られています。「悪者」ではまったくありません。

問題になるのは、量とバランスです。コレステロールは脂なので血液にそのままでは溶けず、たんぱく質と結びついた「運搬役」の形で血管の中を運ばれます。この運搬役の種類が、LDLとHDLです。

名前役割多いとどうなるか
LDL
(悪玉)
肝臓から全身へコレステロールを配る配りすぎると余った分が血管の壁にたまり、動脈硬化につながる
HDL
(善玉)
余ったコレステロールを回収して肝臓へ戻す役少ないと回収が追いつかない。低すぎることが問題
中性脂肪
(トリグリセライド)
体を動かすエネルギー源。余ると体脂肪に高いとHDLが下がりやすく、LDLも質の悪いものに変わりやすい

「悪玉」という呼び名のせいで、LDLをゼロに近づけるほどよいと受け取ってしまう方がいますが、そうではありません。LDLも体に必要な配達係です。目指すのは「ゼロ」ではなく「適正な量」です。

健診の数値の読み方|LDL・HDL・中性脂肪・Non-HDL

健診の紙にある脂質の項目は、だいたい次の4つです。基準値は施設によって表記が少し違うことがありますが、目安は共通しています。

項目基準の目安意味
LDLコレステロール140以上で高い
120〜139は境界
いちばん注目される数値。配達係が多すぎないか
HDLコレステロール40未満で低い低いことが問題。回収係が足りているか
中性脂肪150以上で高い
(空腹時)
食事とお酒の影響を受けやすい。前夜の食事でも動く
Non-HDL
コレステロール
170以上で高い総コレステロールからHDLを引いた値。中性脂肪が高い人ではこちらが重視される
数値そのものより大事なこと

「LDLが◯◯だから危ない」という単純な線引きはありません。実際の医療では、その人がほかにどんなリスクを持っているか——年齢、喫煙、血圧、血糖、家族歴、すでに心臓や脳の病気があるか——を合わせて、どこまで下げるかの目標が決まります。

つまり、同じLDL 150でも、人によって「経過を見ましょう」にも「治療を始めましょう」にもなります。ネットの数値表だけで自己判断できないのは、このためです。

採血の前に知っておきたいこと

  • 中性脂肪は食事の影響を強く受けます。健診前夜の食事やお酒で跳ね上がることがあります。「食事は◯時まで」の指示は守ってください
  • LDLは食後でも比較的安定しています。ただし施設の方針に従ってください
  • 体調や体重の変化があった時期の数値は、いつもと違うことがあります。ダイエット直後、出産後、大きな病気のあとなどは、その旨を伝えてください
  • 1回の数値で決めつけない。再検査で確かめるのが普通の流れです

「要再検査」「要経過観察」——判定区分の意味と、いつまでに行くか

健診結果の判定欄に書かれている言葉は、施設によって表記が違いますが、おおむね次のように整理できます。いちばん多い失敗は、「要経過観察」を「様子を見ていい」と読んで、翌年まで何もしないことです。

判定意味いつまでに
異常なし
(A)
基準の範囲内次回の健診まで
要経過観察
(B・C)
すぐ治療ではないが、放置は勧められない範囲。生活を見直す段階3か月ほど取り組み、
可能なら再検査
要再検査
(D1)
もう一度測って確かめる必要がある1か月以内
要精密検査原因を詳しく調べる必要がある2週間〜1か月以内
要治療
(D2)
治療の相談が必要な段階できるだけ早く

脂質は症状が出ないぶん、判定がどれであっても「痛くないから」と先送りされがちです。「要経過観察」であっても、去年より上がっているなら、それは受診してよいサインです。

セルフチェック|あなたはどのくらい急ぐべきか

数値だけでは判断できないので、重なっている要素を数えてみます。

No.項目
1LDLコレステロールが140以上ある
2HDLコレステロールが40未満である
3中性脂肪が150以上ある
4血圧が高めと言われている、または治療中
5血糖値・HbA1cが高めと言われている、または糖尿病がある
6喫煙している(過去に習慣的に吸っていた場合も含む)
7親やきょうだいに、若い年齢で心筋梗塞・脳梗塞になった人がいる
8妊娠高血圧症候群、または妊娠糖尿病を経験したことがある
9閉経している、または生理が不規則になってきた
10だるさ・寒がり・体重増加・むくみなど、甲状腺の症状に心当たりがある
11去年より数値が急に上がった(LDLで30以上など)
12アキレス腱が厚い、まぶたに黄色っぽい膨らみがある
あてはまった数次にやること
1〜2個まずは食事運動を3か月試して、再検査で確かめる形が一般的です
3〜5個リスクが重なっています。自己流で3か月待つより、一度受診して目標値を決めてもらってください
6個以上早めに内科(またはかかりつけ)へ。治療の相談が必要な段階かもしれません
10にチェック甲状腺の検査を依頼してください。甲状腺が原因なら、そちらの治療でLDLが変わることがあります
7・12にチェック家族性の脂質異常症の可能性を確かめる価値があります。受診時に必ず家族歴を伝えてください
8にチェック妊娠中の合併症は将来の心血管リスクと関連します。この項目を読んでください

なぜ女性は閉経後に上がるのか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

エストロゲンは、血管と脂質を守っていました

閉経前の女性は、同年代の男性に比べて心筋梗塞や狭心症が少ないことが知られています。これは体質でも生活習慣でもなく、エストロゲンによる保護作用によるものと考えられています。

エストロゲンには、肝臓でLDLを取り込む受け皿(LDL受容体)のはたらきを保ち、血液中のLDLを回収しやすくする方向の作用があるとされています。また、HDLを保つ方向にもはたらきます。つまり、閉経前の女性の体は、脂質のバランスを取りやすい状態に置かれていたのです。

閉経でエストロゲンが大きく減ると、この保護が外れます。結果として、

  • LDLコレステロールが上がる
  • HDLコレステロールが下がる(または横ばいになる)
  • 中性脂肪が上がりやすくなる
  • 内臓脂肪がつきやすくなり、体型の変化として自覚されることも

という変化が、数年のあいだに起こります。「食生活は変えていないのに数値が悪くなった」というのは、この領域でもっともよく聞く言葉です。そして、それは正確な自己観察です。生活が変わったのではなく、体の前提が変わったのです。

だからといって「仕方ない」ではありません

ここを誤解しないでいただきたいのですが、「自然な変化だから放っておいてよい」という意味ではありません。

むしろ逆です。閉経後は、それまで守られていた血管が、男性と同じ条件にさらされていきます。「女性だから心臓の病気は心配ない」という時代が終わるのが、まさにこの時期です。だからこそ、この時期の健診結果には意味があります。

ホルモン補充療法(HRT)で数値は変わりますか?

HRTには脂質の値に影響する作用が知られており、投与の方法によっても違いがあります。ただし、HRTは脂質異常症の治療として行うものではありません。ほてりや不眠など更年期の症状に対して行う治療の中で、脂質の値も含めて主治医が判断していく、という位置づけです。

「コレステロールを下げるためにHRTを始めたい」という順番ではない、と覚えておいてください。HRTそのものについてはホルモン補充療法(HRT)で詳しく扱っています。

女性のライフステージと脂質の動き

脂質の数値は、女性の場合ライフステージによって動きます。「いつの数値か」で意味が変わるので、整理しておきます。

時期脂質の動き知っておきたいこと
20〜30代比較的安定していることが多いこの時期にLDLが高いなら、体質(家族性)や甲状腺など別の原因を確かめる価値があります
妊娠中後期にかけて総コレステロールも中性脂肪も大きく上がる胎児の発育に必要な生理的な変化。この時期の数値で「脂質異常症」と判断はしません
産後・授乳期授乳によりエネルギー消費が増える。数値は戻っていくことが多い産後の健診で高くても、時期を考慮して評価されます
40代
(プレ更年期)
じわじわ上がり始める人がいる生理が不規則になってきたら、脂質も動き始める時期(プレ更年期
閉経前後数年のあいだにLDLが明らかに上がるいちばん変化が大きい時期。健診を欠かさないこと
閉経後高い状態が続く血管を守っていた前提がなくなった状態。ここからは男性と同じ土俵
妊娠中の数値について

妊娠中はコレステロールも中性脂肪も生理的に上がります。これは赤ちゃんの発育に必要な変化で、異常ではありません。そして、脂質を下げる薬の多くは妊娠中に使えません。妊娠中・妊娠を考えている方は、この点を必ず主治医に伝えてください(薬の項目で詳しく扱います)。

ピルを飲んでいる方へ

低用量ピルを飲んでいる方から、「ピルのせいでコレステロールが上がりますか」という質問をよくいただきます。

ピルに含まれるホルモンは脂質の代謝に影響することが知られており、種類や成分によって作用の方向が違います。中性脂肪が上がる方向にはたらくことがある一方、LDLとHDLへの影響は製剤によって異なります。ただし、多くの方では健康上問題になるほどの変化ではありません。

大切なのは、脂質の数値そのものよりも「血栓のリスクが重なっていないか」という視点です。

ピル服用中に、必ず確認しておきたいこと
  • 40歳以上での服用、喫煙、高血圧、肥満、片頭痛(前兆のあるもの)——これらが重なると血栓のリスクが上がります
  • 喫煙者で35歳以上の場合、ピルは原則として使えません
  • ピルを飲んでいることは、健診の問診票や受診時に必ず伝えてください
  • ピル服用中は定期的な検査が推奨されます。「調子がいいから受診しない」を続けないこと

ピルの副作用や注意点については低用量ピルの副作用で詳しく扱っています。数値が気になったからといって、自己判断でピルをやめないでください。まず処方元に相談を。

隠れた原因|甲状腺・腎臓・薬・PCOS

脂質の値が高いとき、「食べすぎ」「運動不足」だけが原因とは限りません。別の病気や薬の影響で、二次的に上がっているケース(続発性脂質異常症)があります。ここを確かめずに食事療法だけを続けると、遠回りになります。

背景脂質への影響気づくヒント
甲状腺機能低下症
(橋本病など)
LDLが上がる。代表的な原因だるい、寒がり、体重増加、むくみ、便秘、髪が抜ける。女性に圧倒的に多い橋本病
糖尿病中性脂肪が上がり、HDLが下がるのどが渇く、頻尿、体重減少。健診の血糖・HbA1cを確認
腎臓の病気
(ネフローゼなど)
脂質が大きく上がることがあるむくみ、尿の泡立ち。健診の尿たんぱくを確認
PCOS
(多嚢胞性卵巣症候群)
インスリン抵抗性を背景に脂質が乱れやすい生理不順、ニキビ、体毛が濃い(PCOS
薬の影響ステロイド、一部の利尿薬・向精神薬などで上がることがある飲んでいる薬をすべて伝える。自己判断でやめないこと
家族性高
コレステロール血症
体質としてLDLが著しく高い若い年齢からの高値、家族に若くして心筋梗塞の人がいる、アキレス腱が厚い
お酒中性脂肪が上がる飲酒量を正直に伝える
受診時に、そのまま言える一文
  • 「LDLが高いと言われました。甲状腺の検査もお願いできますか。甲状腺が原因のこともあると聞きました」
  • 「だるさと寒がり、むくみもあるので、あわせて調べていただけますか」
  • 「親が若いときに心筋梗塞をしています。家族性の可能性はありますか」

甲状腺は1回の採血で確かめられます。そして、こちらから言わないと調べられないことがあります。この「自分から依頼する」という動きは、貧血のフェリチンのときと同じです。

診察室で、後ろ姿の女性が椅子に座り、向かいに座った白衣の女性医師が机の上の紙を示しながら説明している様子

妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病を経験した方へ

ここは、産科に関わってきた立場として、いちばん伝えたい話です。

妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病を経験した方は、その後の人生で高血圧・糖尿病・心血管の病気を発症するリスクが高いことがわかっています。妊娠期間は、その人の血管や代謝に負荷がかかる「ストレステスト」のような側面があり、そこで出た反応が将来の傾向を映していると考えられているのです。

ところが実際には、こうなりがちです。

  • 出産して、産後の検査を受けて、「もう大丈夫」と言われて終わる
  • 育児が始まり、自分の健診は後回しになる
  • 10年、20年たって、40代・50代で健診に引っかかる
  • そのときには、妊娠中のことは誰にも話題にされない
20年前のことでも、伝える価値があります

いま健診でLDLや血圧、血糖を指摘されている方で、妊娠中にこれらの合併症を経験したことがあるなら、それは受診時に必ず伝えてください。

「20年前のことだから関係ない」ということはありません。むしろ、あなたの血管が、若い時期にすでに一度サインを出していたという重要な情報です。医師の側は、聞かなければ知りようがありません。

そして、いま妊娠中・産後の方は、産後の検査を一度受けて終わりにせず、その後も年1回の健診を続けてください。これはお子さんのためでもあります。

放っておくとどうなるのか

脂質異常症のいちばん厄介なところは、症状がまったくないことです。痛くもかゆくもないので、「数値が高いだけ」と受け止められてしまいます。

実際に起きているのは、余ったコレステロールが少しずつ血管の壁にたまり、血管が硬く狭くなっていく変化(動脈硬化)です。これは何年もかけて進み、ある日、詰まったり破れたりして初めて症状として現れます。

起こりうることどんな形で現れるか
狭心症・心筋梗塞胸の痛みや圧迫感。ただし女性では非典型的な出方をすることがある(次の項目へ)
脳梗塞片側の手足の脱力、ろれつが回らない、顔のゆがみ。すぐ救急へ
末梢動脈疾患歩くと脚が痛くなり、休むとまた歩ける。足の冷えや傷の治りにくさ
腎臓への影響腎機能の低下。自覚症状が出にくい

逆に言えば、いま数値でわかっているというのは、症状が出る前に手を打てるということです。健診に引っかかったことは、悪い知らせではありません。なお、閉経後に上がりやすくなる健診の数値はコレステロールだけではありません。尿酸値も同じくエストロゲンの低下で上がる項目です。

女性の心筋梗塞は、胸が痛いとは限らない

これは、この記事でどうしても書いておきたい項目です。

心筋梗塞というと「胸を押さえてうずくまる」というイメージがありますが、女性ではその典型的な出方をしないことがあります。報告されている非典型的な症状には、次のようなものがあります。

女性で見逃されやすい症状
  • みぞおちの痛み・吐き気・嘔吐(胃の不調と間違われる)
  • あご・首・肩・背中の痛み(肩こりや四十肩と間違われる)
  • 息切れ・強い倦怠感・冷や汗
  • なんとなく気分が悪い、いつもと違うという漠然とした感覚

これらが突然始まり、数分以上続く場合、とくに冷や汗を伴う場合は、迷わず救急要請をしてください。「大げさかもしれない」という遠慮がいちばん危険です。

更年期の時期は、ほてり・動悸・吐き気・肩の痛みなど、紛らわしい症状が日常的にある時期でもあります(動悸吐き気四十肩)。だからこそ、「いつもの更年期の症状とは違う」と感じたときの感覚を大事にしてください。

食事|何を減らし、何を増やすか

「コレステロールを下げる食事」と聞くと、卵を我慢して、油を抜いて、肉をやめて……と考えがちですが、効率のよいところと、労力の割に効かないところがあります。優先順位をつけます。

減らす|まずここから

減らすもの具体的に優先度
飽和脂肪酸脂身の多い肉、バター、生クリーム、ラード、ココナッツオイル、洋菓子・菓子パン
トランス脂肪酸マーガリン・ショートニングを使った菓子類、揚げ物の作り置き
お酒とくに中性脂肪が高い方。休肝日をつくる
(中性脂肪が高い人)
砂糖・果糖甘い飲み物、果物の食べすぎ。中性脂肪に直結します
食事から摂る
コレステロール
卵、魚卵、レバーなど低〜中
後述

ポイントは、「コレステロールを含む食品を避ける」より「飽和脂肪酸を減らす」ほうが、はるかに効率がよいということです。体内のコレステロールの多くは肝臓で作られており、その材料になるのが飽和脂肪酸だからです。

増やす|こちらのほうが続けやすい

増やすもの具体的にねらい
水溶性食物繊維海藻、きのこ、大麦(もち麦)、オクラ、大豆製品、りんご腸でコレステロールの再吸収を減らす方向にはたらく
青魚いわし、さば、さんま、あじ。缶詰でよいn-3系脂肪酸。中性脂肪の面でも意味がある
大豆製品豆腐、納豆、豆乳、大豆そのもの肉のおかずを置き換えられる
植物油オリーブ油、なたね油などバターやラードからの置き換えとして
野菜・きのこ1食に必ず1皿満足感が上がり、脂の多いおかずが自然に減る
いちばん効率のいい置き換え3つ
  • ①白いごはんを、もち麦入りごはんに。混ぜて炊くだけで、食物繊維が増えます
  • ②週に2〜3回、肉のおかずを魚か大豆製品に。「肉をやめる」ではなく「置き換える」
  • ③菓子パン・洋菓子の頻度を半分に。飽和脂肪酸とトランス脂肪酸が両方入っている、いちばん効率の悪い食品です

この3つだけで十分です。全部やろうとすると続きません。

木のテーブルに並んだ焼き魚・雑穀入りごはん・海藻の小鉢・豆腐とわかめの味噌汁からなる和食の献立

外食・コンビニでの選び方

平日の昼を自炊できる人のほうが少数派です。外で食べる前提でどう選ぶかを書いておきます。

場面選びたいもの避けたいもの
定食屋焼き魚定食、刺身定食、湯豆腐。小鉢に海藻やひじきがあれば必ず取るとんかつ、唐揚げ、カレー+大盛り
コンビニサラダチキン、ゆで卵より豆腐バー、もずく・めかぶ、納豆巻き、ノンオイルのサラダ、大麦入りおにぎり菓子パン、揚げ物、クリーム系のパスタ、カフェオレの甘いもの
社員食堂主菜は焼く・煮る・蒸すもの。小鉢を1つ増やす主菜が揚げ物の日に、副菜も揚げ物
カフェ・軽食ミネストローネ、サンドイッチなら野菜が多いものクロワッサン・デニッシュ・スコーン(バターの塊です)
居酒屋枝豆、冷奴、刺身、焼き鳥(塩・もも以外も)、海藻サラダから揚げ、ポテトフライ、〆のラーメン
会食が続く週翌日の食事で調整する。1食ごとに完璧を目指さない「今日は失敗したからもういいや」と諦めること

コツはひとつだけです。「調理法で選ぶ」——揚げる・炒めるより、焼く・煮る・蒸す・生。メニュー名を見た瞬間に判断できるので、迷いません。

家族と同じ食卓で、自分だけ変えるには

「育ち盛りの子どもがいるのに、自分だけ食事を変えられない」——これも本当によく聞く声です。家族全員の食事を作り替える必要はありません。現実的な方法を挙げます。

  • 主食だけ分ける。もち麦入りごはんは家族が食べても問題ありません。むしろ全員にとってよい変更です
  • 「引き算」ではなく「足し算」で。唐揚げの日でも、海藻の小鉢と具だくさんの味噌汁を足す。自分はその2皿を先に食べる
  • 自分の分だけ調理法を変える。魚を1切れだけ焼く、豆腐を1丁足す。手間としては数分です
  • 取り分ける量で調整する。揚げ物は自分の皿に取る数を決めておく
  • 油とマヨネーズは「かける前」に止める。ドレッシングを別添えにするだけで量が変わります
  • 家族に説明しておく。「健診で言われたから、しばらく魚を増やすね」の一言があるだけで、食卓の空気が変わります

自分の食事だけ別に作る、という形は続きません。「家族の食卓に、自分向けの1〜2皿を足す」くらいがちょうどいいと思います。そしてその1〜2皿は、たいてい家族の健康にも役立ちます。

更年期世代ならではの注意

この時期は、骨のことも同時に考える必要があります。脂質を気にして乳製品を極端に減らすと、カルシウムが不足します。低脂肪の牛乳やヨーグルトに替える、小魚や大豆製品で補う、といった形で「減らす」ではなく「替える」を選んでください。更年期の食事全般は更年期ダイエット生活習慣のケアもあわせてご覧ください。

運動・体重・お酒・たばこ

項目目安脂質への効き方
有酸素運動早歩きを1日30分程度、週の大半。10分×3回に分けてもよいHDLを上げ、中性脂肪を下げる方向にはたらく。LDLへの効果は穏やか
筋トレ週2回程度筋肉量の維持は代謝の面で意味がある。骨にもよい
体重いまの体重の3〜5%減が最初の目標中性脂肪に効きやすい。大幅減を目指さない
お酒休肝日をつくる。量を減らす中性脂肪に直結
禁煙やめるHDLが下がる原因。血管への影響がいちばん大きい
睡眠眠れない状態を放置しない代謝と食欲に影響(眠れないとき
朝の木立の公園で、散歩の途中に立ち止まって前を向いている50代前後の日本人女性

運動でいちばん現実的なのは、「まとまった時間を確保する」ことをあきらめることです。通勤の一駅分、買い物を徒歩に、階段を使う——分割して構いません。この年代は、時間をつくること自体がいちばんの障壁です。

薬をすすめられたら

食事と運動を数か月続けても目標に届かないとき、あるいはリスクが重なっていて早く下げる必要があるときには、薬が選択肢になります。代表的なのがスタチンと呼ばれる種類の薬で、肝臓でコレステロールが作られる過程にはたらきます。

「一度飲んだら一生ですか?」

いちばん多い質問です。答えは「必ずしもそうではありませんが、簡単にやめられるものでもありません」です。

薬は数値を下げますが、上がりやすい体質や、閉経で保護が外れたという前提そのものを変えるわけではありません。ですから、やめれば数値は戻ることが多くなります。一方で、生活の改善が進んだり、背景にあった甲状腺の病気が治療されたりして、減量や中止を検討できることもあります。

大事なのは、自己判断でやめないこと。「数値が下がったから、もういいだろう」と中断するのが、いちばんよくあるパターンです。やめたいと思ったら、そのまま主治医に伝えてください。それは相談してよいことです。

妊娠を考えている方・妊娠中の方へ|必ず確認してください

スタチンをはじめ、脂質を下げる薬の多くは妊娠中に使えません。妊娠を希望している、妊娠の可能性がある、授乳中である——このいずれかに当てはまる場合は、処方を受ける前に必ず伝えてください。

また、すでに服用中の方が妊娠に気づいた場合は、自己判断で飲み続けることも中止することもせず、その日のうちに処方元に連絡を。年齢的に妊娠の可能性が低いと思っていても、閉経が確定するまでは可能性が残ります(閉経のしくみ)。

費用の目安

内容3割負担の目安
初診+血液検査約2,000〜4,000円
甲状腺の検査を追加+約1,000〜2,000円
再診+処方(1か月)約1,500〜3,500円
頸動脈エコー(必要時)約1,500〜3,000円
年間(3か月ごと受診+服薬)おおよそ2万〜4万円

通院は安定していれば2〜3か月に1回というペースが一般的です。高額療養費の対象になるような規模の医療費にはなりませんが、年間の医療費が一定額を超える場合は医療費控除の対象になります。領収書は残しておいてください。

何科に行けばいい?

受診先こんなときにできること
内科
(かかりつけ)
まずはここ。健診で指摘された全ての場合再検査、背景の病気の確認、生活指導、薬の処方
循環器内科血圧も高い、胸の症状がある、家族歴が強い心血管のリスク評価、頸動脈エコーなど
内分泌内科甲状腺の異常が見つかった甲状腺の治療。そちらが整うとLDLが変わることがある
婦人科ほてり・不眠など更年期症状もある更年期全体としての相談(更年期の治療
救急突然の胸・みぞおち・あごの痛み、冷や汗急ぐ場面
受診のとき、持っていくもの・伝えること
  • 健診の結果(できれば過去数年分)。推移が見えると判断の精度が上がります
  • 飲んでいる薬・サプリメントをすべて(お薬手帳)
  • 閉経したかどうか、生理の状況
  • 妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病の既往
  • 家族に若くして心筋梗塞・脳梗塞になった人がいるか
  • ピルを飲んでいるか

下の4つは、こちらから言わないと出てこない情報です。とくに「閉経したかどうか」は、内科では聞かれないことがあります。

通説の検証|卵・納豆・「やせているから大丈夫」

「卵は1日1個まで」

かつては食事から摂るコレステロールを厳しく制限する考え方が主流でしたが、現在は食事中のコレステロールが血液中の数値に与える影響には個人差が大きいと考えられており、一律の上限を設ける形からは変わってきています。

ただし、「だから何個でもいい」という意味でもありません。すでにLDLが高い方では、摂りすぎを避けるよう指導されることがあります。卵1個を減らすことより、菓子パンや脂身の多い肉を減らすほうが効率がよい——という優先順位で考えてください。

「納豆を毎日食べればLDLが下がる」

大豆製品は、肉のおかずの置き換えとして意味があります。ただし「納豆を足せば数値が下がる」という単純なものではありません。大事なのは足すことではなく、何かの代わりにすることです。夕食に納豆を足しつつ、揚げ物もそのまま食べていれば、変化は期待しにくくなります。

納豆について、ひとつだけ注意

血液を固まりにくくする薬(ワルファリン)を飲んでいる方は、納豆を食べてはいけません。薬の効果が弱まります。同じ理由で青汁やクロレラも避ける必要があります。該当する方は必ず主治医の指示に従ってください。

「やせているから大丈夫」

これはよくある誤解です。体型と脂質の数値は一致しません。やせている方でもLDLが高いことは珍しくなく、とくに閉経後は体型に関係なく上がります。家族性の脂質異常症も、体型では判断できません。

「症状がないから、急がなくていい」

脂質異常症には症状がありません。症状が出たときには、すでに血管の変化が進んでいます。「痛くないから後回し」ができない代表的な項目です。

「コレステロールは低ければ低いほどよい」

コレステロールはホルモンや細胞膜の材料でもあります。極端な食事制限で不足させることが健康につながるわけではありません。目指すのは「ゼロ」ではなく「適正」です。とくに、この年代で無理なダイエットに走ると、骨や筋肉を失うほうが問題になります。

「トクホの飲み物を飲めば解決する」

特定保健用食品は、あくまで生活習慣の改善を補助する位置づけのものです。それだけで治療の代わりになるものではありませんし、背景に甲状腺の病気があれば、飲み続けても変わりません。まず原因を確かめる——という順番を、ここでも守ってください。

経過の見通し|3か月後の再検査まで

脂質は、生活を変えれば比較的はっきり動く数値です。ただし、動きやすいものと動きにくいものがあります。

項目変化を判断する期間見るポイント
中性脂肪数週間〜1か月いちばん動きやすい。お酒と甘いものを減らすと反応が早い
LDLコレステロール2〜3か月食事の内容(飽和脂肪酸)を変えた効果が出るまで時間がかかる
HDLコレステロール3〜6か月いちばん動きにくい。運動と禁煙が中心
薬を始めた場合1〜2か月効果と副作用の確認のため、早めに再検査になることが多い
甲状腺が原因だった場合治療開始から数か月甲状腺の値が整うのに合わせてLDLも動くことがある
3か月やっても変わらないときは

頑張りが足りないのではなく、背景に別の原因があるか、生活だけでは届かない体質かもしれません。「もう少し頑張ります」ではなく、「3か月続けましたが変わりませんでした。ほかに調べることはありますか」と伝えてください。これは失礼な報告ではなく、いちばん重要な情報です。

とくに甲状腺をまだ調べていないなら、この段階で必ず。順番を逆にすると、効かない努力を何年も続けることになります。

2週間の実行プラン

やることが多いので、順番を決めます。1週目は3つだけです。

時期やることねらい
1週目
その1
健診結果を過去数年分そろえて、LDL・HDL・中性脂肪の推移を書き出す今年だけ高いのか、じわじわ上がっているのかで意味が変わる
1週目
その2
白いごはんをもち麦入りに替える。菓子パン・洋菓子の頻度を半分にいちばん効率のいい2つ。買い物のときに決まる
1週目
その3
内科の予約を取り、「甲状腺の検査もお願いしたい」と伝える隠れた原因を先に外す
2週目
その1
週に2〜3回、肉のおかずを魚か大豆製品に置き換える「やめる」ではなく「替える」
2週目
その2
早歩き10分を1日2〜3回。通勤・買い物に混ぜるまとまった時間を確保することをあきらめる
2週目
その3
お酒を飲む方は、休肝日を週2日決める中性脂肪はここでいちばん動く

あえて入れていないのは、卵を我慢すること、サプリメントやトクホを買うこと、体重を大きく落とそうとすることです。どれも、優先順位としては後ろです。

記録のつけかた

脂質の記録は毎日つける必要がありません。年に1〜2回の数値と、続けられた習慣だけで十分です。

日付LDLHDL中性脂肪そのとき続けていたこと・出来事
2024/91186892とくになし。生理は順調
2025/914262110生理が不規則になってきた
2026/916858135閉経。食生活は変えていない
2026/121516098もち麦・週2回の魚・早歩きを3か月継続
この記録が効く理由
  • 推移が見えると、「今年だけ高い」のか「上がり続けている」のかがわかります。医師がいちばん知りたいのはここです
  • 右端の欄が大事です。閉経の時期、生活を変えた時期を書き添えておくと、数値の動きに理由がつきます
  • 健診結果はスマートフォンで撮影しておくだけでも構いません。紙は失くします

よくある質問

Q 悪玉コレステロールを下げるには、何がいちばん効きますか?

A.LDLに関していえば、飽和脂肪酸(脂身の多い肉、バター、生クリーム、菓子パン・洋菓子)を減らすことがいちばん効率的です。次に水溶性食物繊維(海藻・きのこ・もち麦・大豆製品)を増やすこと。運動はHDLと中性脂肪には効きやすい一方、LDLへの効果は穏やかです。ただし、背景に甲状腺の病気などがある場合は、食事をどれだけ頑張っても届きません。まず原因を確かめてから取り組むほうが、結果的に近道です。

Q 悪玉コレステロールが高い人の特徴はありますか?

A.女性でいちばん多いのは「閉経前後の年代であること」です。体型や食生活と関係なく上がります。ほかに、脂身の多い食事や菓子パンの習慣、運動不足、喫煙、飲酒、甲状腺のはたらきが落ちていること、糖尿病、腎臓の病気、一部の薬、そして体質(家族性)が挙げられます。「やせているから大丈夫」「食事に気をつけているから大丈夫」は当てはまりません。だからこそ、健診の数値で知るしかない項目です。

Q LDLが高いと、食べてはいけないものがありますか?

A.「絶対に食べてはいけないもの」は基本的にありません。頻度と量の問題です。優先して減らしたいのは脂身の多い肉、バター・生クリームを使った料理、菓子パン・洋菓子、揚げ物です。卵については、かつてほど厳格な制限はされなくなりましたが、すでにLDLが高い方では摂りすぎを避けるよう言われることがあります。禁止リストを作ると続きません。「置き換える」という考え方のほうが、結果的に長く続きます。なお、ワルファリンを服用中の方は納豆が禁止です。

Q 食生活は変えていないのに、去年より数値が上がりました。なぜですか?

A.40代後半から50代の女性であれば、閉経に伴うエストロゲンの低下が背景にある可能性が高いです。エストロゲンには、血液中のLDLを回収しやすくする方向のはたらきがあると考えられており、その保護が外れることで、同じ生活をしていても数値が上がります。気のせいでも不摂生でもありません。ただし「自然な変化だから放っておいてよい」という意味ではなく、閉経後は血管を守る前提がなくなるからこそ、この時期の数値には意味があります。あわせて甲状腺の病気が隠れていないかも確かめておくと安心です。

Q 薬は一度飲み始めたら、一生やめられないのですか?

A.必ずしもそうではありませんが、簡単にやめられるものでもありません。薬は数値を下げますが、上がりやすい体質や、閉経で保護が外れたという前提そのものを変えるわけではないため、中止すれば戻ることが多くなります。一方で、生活の改善が進んだ場合や、背景にあった甲状腺の病気が治療された場合には、減量や中止を検討できることもあります。いちばん避けたいのは、数値が下がったからと自己判断で中断することです。やめたいと思ったら、その気持ちをそのまま主治医に伝えてください。

Q ピルを飲んでいます。やめたほうがいいですか?

A.自己判断でやめないでください。まず処方元に、健診の結果を持って相談してください。ピルは脂質の代謝に影響することが知られていますが、多くの方では健康上問題になるほどの変化ではありません。それよりも重要なのは、喫煙・高血圧・肥満・前兆のある片頭痛・年齢といった血栓のリスクが重なっていないかという視点です。とくに35歳以上で喫煙している場合、ピルは原則として使えません。健診結果は、処方の見直しを相談するよい機会になります。

Q 甲状腺の検査は、頼めばしてもらえますか?

A.「LDLが高いのですが、甲状腺の検査もお願いできますか」と伝えれば、多くの場合は検討してもらえます。甲状腺のはたらきが落ちるとLDLが上がることは知られており、女性に圧倒的に多い病気です。だるさ・寒がり・体重増加・むくみ・便秘といった症状があれば、それも一緒に伝えてください。症状は更年期とよく似ていて見分けにくいので、血液検査で確かめるのがいちばん確実です。詳しくは橋本病の記事をご覧ください。

Q HDL(善玉)が低いと言われました。上げる方法はありますか?

A.HDLは、脂質の中でいちばん動きにくい数値です。中心になるのは禁煙と有酸素運動で、中性脂肪を下げることもHDLを保つ方向にはたらきます。ただし、短期間で大きく上がるものではないので、3〜6か月という単位で見てください。食事だけでどうにかしようとすると、うまくいかないことが多い項目です。なお、HDLが低いこと自体を薬で治療するという考え方は一般的ではなく、まずは全体のリスクを下げることが優先されます。

Q 妊娠中に高いと言われました。治療が必要ですか?

A.妊娠中はコレステロールも中性脂肪も生理的に上がります。これは赤ちゃんの発育に必要な変化で、この時期の数値だけで脂質異常症と判断することはありません。そして、脂質を下げる薬の多くは妊娠中に使えません。心配なことは産科の主治医に相談してください。ただし、もともと妊娠前から高かった方、家族性が疑われる方は別なので、その場合は妊娠前・妊娠中を通して相談しておくことをおすすめします。

Q トクホの飲み物やサプリメントで下がりますか?

A.特定保健用食品は、生活習慣の改善を補助する位置づけのものです。治療の代わりになるものではありませんし、背景に甲状腺の病気などがある場合は、続けても状況は変わりません。いちばん問題なのは、試している数か月〜数年のあいだに受診が先延ばしになることです。取り入れること自体を否定はしませんが、「原因を確かめる」より先に置かないでください。また、飲んでいるものは受診時にすべて伝えてください。

まとめ

健診でLDLコレステロールを指摘されたとき、多くの女性がまず思うのは「何がいけなかったんだろう」です。けれど、40代後半から50代にかけての変化は、生活のせいではありません。閉経でエストロゲンが減り、それまで血管と脂質を守っていた前提がなくなった——その結果として、同じ生活のまま数値が動きます。

だからこそ、大事なのは自分を責めることではなく、順番を間違えないことだと思います。まず、甲状腺をはじめとする隠れた原因を確かめる。数値だけでなく、ほかのリスクがいくつ重なっているかで判断する。食事は禁止リストではなく置き換えで考える。そして、妊娠中に高血圧や糖尿病を経験したことがあるなら、それを必ず伝える。

症状がないぶん、後回しにされやすい項目です。けれど、いま数値でわかっているということは、まだ何も起きていないうちに手を打てるということでもあります。閉経は、体からの「ここから先は自分で守っていってください」という合図なのだと思います。

この記事のポイントまとめ
  • 「食生活は変えていないのに数値が上がった」は、気のせいでも不摂生でもない
  • 閉経でエストロゲンが減ると、LDLが上がり、HDLが下がりやすくなる
  • ただし「自然な変化だから放置してよい」ではない。閉経後は血管を守る前提がなくなる
  • 数値だけでなく、ほかのリスクがいくつ重なっているかで判断が変わる
  • 甲状腺のはたらきが落ちるとLDLは上がる。1回の採血で確かめられる
  • PCOS・腎臓の病気・一部の薬・体質(家族性)も背景になりうる
  • 妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病の既往は、20年前のことでも伝える価値がある
  • 食事は「卵を我慢」より「飽和脂肪酸を減らす」ほうが効率がよい
  • 効率のいい置き換え3つ=もち麦/週2〜3回を魚か大豆に/菓子パン・洋菓子を半分に
  • 中性脂肪は1か月、LDLは2〜3か月、HDLは3〜6か月で見る
  • 薬は自己判断でやめない。妊娠を考えている・妊娠中なら必ず先に伝える
  • 女性の心筋梗塞は、みぞおち・あご・背中の痛みや吐き気として出ることがある

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」「脂質異常症診療のQ&A」
  • 日本循環器協会「脂質異常症」(病気を知ろう)
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」「LDLコレステロール」「中性脂肪/トリグリセリド」
  • 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック 更年期医療編」
  • 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン ─婦人科外来編/産科編」
  • 日本内分泌学会「甲状腺機能低下症」(一般の方向け)
  • 日本糖尿病・妊娠学会/日本産科婦人科学会「妊娠糖尿病」関連情報
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」