口の端が切れて痛い。大きく口を開けると裂ける。リップクリームを塗っても、市販の軟膏を塗っても、なかなか治らない。

そして、何度も繰り返す。

この記事でまず伝えたいのは、「治らない口角炎」には理由があるということです。そしてその理由のひとつが、塗っている薬が原因と合っていないことです。

口角炎には大きく分けてカビの一種(カンジダ)によるものと、栄養の不足や乾燥・刺激によるものがあります。この2つは、必要な対応が正反対です。カンジダなのにステロイドを塗ると、かえって悪化することがあります。

もうひとつ。繰り返す口角炎は、体からのサインのことがあります。とくに女性は、鉄が足りていない状態になりやすく、それが口の端に出てくることがあります。

先に|受診してほしいとき
  • 市販薬を1週間使っても変わらない塗ってから悪化した
  • 2週間以上治らない
  • 白いカスのようなものが付いている——カンジダの可能性があります
  • 水ぶくれができている・ピリピリした前ぶれがあった——ヘルペスのことがあります
  • 片側だけが繰り返し切れる
  • 口の中や舌にも白いものがある舌が白いとき
  • 立ちくらみ・強い疲れ・爪が割れる・髪が抜けるが同時にある

「たかが口の端」と思われがちですが、繰り返すなら理由があります。受診先は皮膚科です。

なぜ「口の端」だけが切れるのか

口のトラブルが重なるときは歯茛が下がるもあわせてご覧ください。

原因の話に入る前に、そもそもなぜこの場所なのかを押さえておくと、あとの対処が納得しやすくなります。

口の端の特徴だから起こること
皮膚と粘膜の境目にあるどちらの性質も中途半端で、もともと弱い場所です
唾液がたまりやすい濡れる→乾くを繰り返し、皮膚がふやけて傷つきます
常に動く話す・食べる・笑うたびに引っぱられ、治りかけがまた裂けます
折りたたまれている湿ったまま閉じているので、カビの一種が増えやすい環境になります
皮脂腺が少ない自前で守る油分が乏しく、乾燥に弱い
「舐めるとよくなる気がする」が悪化させます
  • 唾液は蒸発するときに、皮膚の水分も一緒に持っていきます
  • 舐めた直後はうるおって感じますが、乾いたあとはより乾燥します
  • 唾液には消化のはたらきをする成分があり、皮膚には刺激になります
  • そして舐めるほど、その場所は「湿ったまま」の時間が増えます——カンジダが増えやすい条件です
  • 気づいたら舐めている、という方はとても多いです。まずここを止めるだけで変わることがあります

2種類に分ける|カンジダか、それ以外か

ここがこの記事でいちばん大事な切り分けです。対応が正反対になるからです。

カンジダによるもの栄養・乾燥・刺激によるもの
見た目白いカスのようなものが付く。じゅくじゅくして赤い乾いて切れる・かさぶたになる
場所両側に出ることが多い片側のことも両側のことも
経過長引く。治ってもすぐ戻る数日〜2週間ほどで治ることが多い
ステロイドを塗ると悪化することがあります炎症が引くことがあります
口の中は舌や頬にも白いものが出ていることがある変化なし
背景にあること抗生物質・吸入ステロイド・免疫の低下・入れ歯・口の乾き鉄やビタミンの不足・乾燥・唇を舐める癖
「治らない口角炎」でいちばん多い流れ
  • ①口の端が切れる
  • ②市販のステロイド軟膏を塗る——手元にあるものを使うことが多い
  • ③一時的に赤みが引く——ここで「効いた」と感じます
  • ④やめるとぶり返す。むしろ広がってくる
  • ⑤また塗る——この繰り返しで何か月も過ぎます
  • 原因がカンジダなら、ステロイドは炎症を抑える一方で、カビが増えるのを助けてしまうことがあります
  • 「塗ると少し良くなるのに、やめると戻る」——これが起きているなら、薬が合っていない可能性を考えてください

カンジダによる口角炎

カンジダはもともと口の中にもいる常在菌です。普段は問題を起こしませんが、条件がそろうと増えます。

増えやすくなる条件

条件説明
抗生物質を飲んだあと常在菌のバランスが変わります
吸入ステロイドを使っている使用後のうがいを忘れると増えやすくなります
口が乾いている唾液の洗い流す働きが落ちます
疲れ・睡眠不足が続いている免疫の状態が変わります
妊娠中体の状態が変わる時期です
血糖の状態糖尿病があると増えやすいことが知られています
入れ歯・矯正装置手入れが不十分だと繁殖しやすくなります
唾液がたまりやすい口元加齢や歯の状態で口角が下がると、たまりやすくなります
デリケートゾーンのカンジダを繰り返している方へ
  • 口と膣は別の場所ですが、増えやすくなる背景(抗生物質・免疫・血糖・疲れ)は重なります
  • 「あちらもこちらも繰り返す」なら、共通する背景を確認する価値があります
  • ただし、口の症状と膣の症状が直接つながっているわけではありません。それぞれ別に見てもらってください
  • 片方だけ治しても、背景が変わらなければ繰り返します

カンジダによる口角炎は、市販の保湿やステロイドでは治りません。皮膚科で確認してもらえば、対応する方法があります。検査で調べられます。

木のテーブルに並べられた納豆・ゆで卵・青菜・あさり・アーモンド・牛乳。鉄とビタミンを含む日常の食材

栄養が足りていない場合|女性でとくに多い背景

もうひとつの大きな原因が、粘膜をつくる材料の不足です。そしてここは、女性でとくに見落とされやすいところです。

関わる栄養素

栄養素粘膜との関わり多く含む食品
粘膜の入れ替わりに関わります。女性でもっとも不足しやすい赤身肉・レバー・あさり・小松菜
ビタミンB2皮膚や粘膜の健康維持に関わりますレバー・卵・納豆・乳製品・きのこ
ビタミンB6たんぱく質の代謝に関わりますまぐろ・かつお・鶏肉・バナナ
亜鉛細胞の新生に関わります牡蠣・牛赤身肉・チーズ・ナッツ
たんぱく質粘膜そのものの材料。これが足りないと他を足しても追いつきません肉・魚・卵・大豆製品
「口角炎=ビタミンB2不足」で止めないでください
  • ビタミンB2はよく知られていますが、それだけとは限りません
  • 女性で見落とされやすいのは鉄です。経血・妊娠・出産・授乳・ダイエットで減る場面が多くあります(経血量
  • ビタミンB2のサプリを飲んでも治らないという場合、そもそも足りていないのが鉄やたんぱく質かもしれません
  • 血液検査ではヘモグロビンだけでなく、貯蔵鉄(フェリチン)も見てもらってください。ヘモグロビンが正常範囲でも貯蔵鉄が減っていることがあります(貧血
  • 粘膜・皮膚・髪・爪は入れ替わりが速く、材料が足りなくなると先に影響が出ます

体のほかの場所も見てください

鉄が足りていない場合、口の端だけに出ることは、実はあまりありません。ほかの場所にも同時に出ていることが多いです。

場所出ること
赤くツルツルになる・ヒリヒリする舌が白いとき
割れやすい・スプーンのように反る爪の変化
抜け毛が長引く(産後の抜け毛
口の中口内炎を繰り返す(口内炎
全身立ちくらみ・息切れ・強い疲れ・氷が食べたくなる

これらが同時に起きているなら、口角炎だけを治そうとしても繰り返します。共通の背景を確認するほうが早道です。

そのほかの要因

  • 乾燥——冬に悪化する方が多くいます(乾燥肌
  • 唇を舐める癖——無意識のことが多く、本人が気づいていないことがあります
  • マスクによる摩擦とムレ
  • 口呼吸——口元が乾きます
  • 歯の状態・噛み合わせ——口角が下がると唾液がたまりやすくなります
  • アトピー性皮膚炎——もともと乾燥しやすい方は起こりやすくなります
  • 更年期以降——エストロゲンが減ると粘膜が乾きやすくなります(閉経について
  • 妊娠中——つわりで食事が偏り、材料が不足しやすい時期です(つわり
  • 甲状腺の働きの変化——粘膜や代謝に影響します(橋本病

ヘルペスとの見分け方

口の端にできるものとして、ヘルペスと間違えられることがあります。これも対応が違います。

口角炎口唇ヘルペス
始まり方じわじわ切れてくるピリピリ・チクチクした前ぶれがある
見た目切れる・赤くなる・かさぶた小さな水ぶくれが集まってできる
場所口の端そのもの唇の縁や周りの皮膚。毎回ほぼ同じ場所
左右両側のことが多い片側に出ることが多い
きっかけ乾燥・栄養不足・カンジダ疲れ・発熱・強い日差し・生理前
うつるかうつりません接触でうつります
対応原因に応じた対処早めの受診が有効とされています

ヘルペスのほうだった場合、いちばん気になるのは「いつまで人にうつるのか」だと思います。うつる期間の目安と、やってはいけないことを口唇ヘルペスの記事に詳しくまとめました。

ヘルペスが疑われるときに気をつけること
  • 触った手で目をこすらないでください——目に症状が出ることがあります
  • タオル・食器を分ける——とくに小さなお子さんがいる家庭では
  • ステロイドは避けてください——ヘルペスに使うと悪化することがあります
  • 生理前に繰り返す方がいます——体調の変動と関係することがあります
  • 口唇ヘルペスがある間の口を使った性的接触は避けてください——性器に感染することがあります(性器ヘルペス
  • 「前ぶれの段階で受診する」のがいちばん有効とされています。繰り返す方は、前ぶれを覚えておいてください

なお、切れているのが口の端だけでなく唇全体が乾いて皮むけしているなら、口角炎とは別の口唇炎が重なっていることがあります。こちらは塗っているリップそのものが原因になっている場合があり、対応が変わります。

市販薬について|ここを間違えると治りません

「口角炎 市販薬」で検索する方はとても多いのですが、ここが分かれ道になります。

種類対象注意
ステロイドを含むもの炎症を抑えることを想定したものカンジダやヘルペスが原因の場合、悪化させることがあります
抗真菌成分を含むものカビの一種を想定したもの口の周りに使えるものは限られます。自己判断で流用しない
ビタミンの飲み薬・サプリ栄養の不足を想定したもの原因が別なら変化は出ません
保湿のみのもの乾燥によるものカンジダや強い炎症には対応できません
殺菌成分を含むもの細菌を想定したもの刺激になることがあります
市販薬を使う前に確認してください
  • 白いカスが付いているなら、ステロイドは避けてください——カンジダの可能性があります
  • 水ぶくれがあるなら、ステロイドは避けてください——ヘルペスの可能性があります
  • 1週間使って変化がなければ中止して受診を。漫然と続けないでください
  • 塗ってから悪化したなら、すぐやめて受診してください。これは重要なサインです
  • 口の周りは、口に入る可能性があります。使えるかどうかを必ず確認してください
  • 妊娠中・授乳中は自己判断で使わないでください
  • 薬剤師に相談すること自体が有効です。「白いカスがあるか」「水ぶくれがあるか」を伝えれば、選べるものと受診すべき場合を判断してもらえます
  • 市販薬を使ってから受診すると、見た目が変わって判断しにくくなることがあります。使った薬の名前と期間は必ず伝えてください

「効く/効かない」ではなく「対象が合っているか」で考えてください。合っていないものをどれだけ塗っても、期待した変化は出ません。

何日で治るのか|経過の目安

「いつまで続くのか」がわからないと、市販薬を漫然と使い続けることになります。先に見通しを渡しておきます。

原因経過の目安これを過ぎたら
乾燥・刺激によるもの数日〜1週間で落ち着くことが多い1週間で変化がなければ別の原因を考えます
栄養の不足によるもの食事を整えても、粘膜が入れ替わるまでに数週間1か月続くなら血液検査を
カンジダによるもの放っておくと長引きます。受診すれば対応があります2週間で受診してください
ヘルペス1〜2週間で治ることが多い繰り返すなら前ぶれの段階で受診を
薬が合っていない場合何か月でも続きます塗って悪化したなら、すぐ中止
期限を決めておいてください
  • 市販薬は1週間まで。変わらなければ受診
  • 切れている状態が2週間続いたら受診——これは口の中の変化を見るときの共通の目安です
  • 食事を変えたなら、判断は1か月後。粘膜が入れ替わるのに時間がかかります
  • 「そのうち治る」で何か月も過ぎるのが、いちばん避けたい流れです
  • 繰り返す回数も記録しておいてください。「年に何回」が受診時の情報になります

自分でできること

まず止めること

  • 舐めない——いちばん大きい。気づいたら舐めている方が多いので、意識して止めてください
  • 触らない・かさぶたをはがさない——治りかけをまた裂くことになります
  • 大きく口を開けない——あくび・大きな一口。数日は意識するだけで変わります
  • 合っていない薬を塗り続けない
  • 刺激物を避ける——辛いもの・熱いもの・酸っぱいものはしみます

やること

やること理由
食後に口の端をやさしく拭く唾液や食べ物を残さない。こすらず押さえる
ワセリンなどで保護する乾湿の繰り返しから守ります。ただしカンジダが疑われるなら受診が先
マスクの中が湿ったら替えるムレた状態を長く続けない
鼻で呼吸する口元が乾きにくくなります
たんぱく質を1品足す粘膜そのものの材料です
鉄を意識してとるビタミンCと一緒に(食事の整え方
睡眠を確保する免疫の状態に関わります
吸入薬を使ったらうがいカンジダを防ぐために重要です
窓辺の明るい木のテーブルに置かれた、たたんだ白いタオルとペン、白い小花を生けたガラスの花瓶

何科に行けばいい?

こんなとき受診先
切れて治らない・白いカスがある皮膚科(検査でカンジダを確認できます)
水ぶくれ・ピリピリした前ぶれ皮膚科(早いほうがよいとされています)
口の中や舌にも白いものがある皮膚科・歯科口腔外科
立ちくらみ・疲れ・爪や髪の変化も内科(血液検査で鉄を)
入れ歯や噛み合わせが気になる歯科(口角が下がっていると繰り返します)
だるさ・むくみ・体重の変化も内科(甲状腺の確認)
更年期の症状も重なっている婦人科で相談も可能です
どこか迷うまず皮膚科で構いません
診察で伝える6項目
  • ①いつから——「3週間前から」
  • ②片側か両側か
  • ③白いカス・水ぶくれの有無——ここが判断の分かれ目になります
  • ④使った市販薬の名前と期間——塗って悪化したかどうかも
  • ⑤繰り返しているか——「年に◯回くらい」
  • ⑥ほかの症状——立ちくらみ・疲れ・爪や髪の変化・口の中の白いもの・吸入薬の使用

費用は初診でおおむね1,500〜3,000円前後(3割負担)。検査や血液検査を行う場合は追加されます。「口の端が切れただけで受診していいのか」と迷う必要はありません。繰り返しているなら、それ自体が理由になります。

セルフチェック|10項目

#質問はい/いいえ
1白いカスのようなものが付いている 
2水ぶくれがある/ピリピリした前ぶれがあった 
3市販薬を塗ってから悪化した 
42週間以上治らない 
5口の中や舌にも白いものがある 
6抗生物質を飲んだあと吸入ステロイドを使っている 
7立ちくらみ・強い疲れ・爪が割れる・髪が抜けるが同時にある 
8気づくと唇や口の端を舐めている 
9年に何度も繰り返している 
10乾燥する季節だけ、数日で治る 

結果の読み方

当てはまったもの行動
1・5・6カンジダの可能性。ステロイドを塗らずに皮膚科へ
2ヘルペスの可能性。ステロイドを避けて皮膚科へ
3すぐ中止してください。薬が合っていないサインです
4受診の目安です
7鉄の確認を。フェリチンまで見てもらう
8今日から意識して止めてください。これだけで変わることがあります
9背景を確認する段階です。栄養・カンジダ・噛み合わせ
10だけ乾燥によるものの可能性。保護と保湿で様子を見て構いません

通説の検証

「口角炎はビタミンB2不足」は本当か

判定:それだけとは限りません。

ビタミンB2は確かに粘膜の健康維持に関わりますが、女性で見落とされやすいのは鉄です。経血・妊娠・出産・授乳・ダイエットで減る場面が多くあります。

そしてそもそもカンジダが原因なら、栄養をいくら足しても治りません。「B2のサプリを飲んでいるのに治らない」という場合、原因が別のところにあります。

「市販の軟膏を塗っておけば治る」は本当か

判定:合っていなければ、かえって長引きます。

カンジダが原因なのにステロイドを塗ると、悪化することがあります。塗ると一時的に赤みが引くので「効いた」と感じますが、やめると戻る——この繰り返しで何か月も過ぎることがあります。

「塗ると少し良くなるのに、やめると戻る」なら、薬が合っていない可能性を考えてください。

「舐めておけば治る」は本当か

判定:悪化させます。

唾液は蒸発するときに皮膚の水分も持っていきます。舐めた直後はうるおって感じますが、乾いたあとはより乾燥します。

さらに唾液には消化のはたらきをする成分があり、皮膚には刺激になります。そして舐めるほど「湿ったまま」の時間が増え、カビの一種が増えやすい条件になります。

「口角炎はうつる」は本当か

判定:口角炎そのものはうつりません。

栄養不足や乾燥による口角炎は、人にうつるものではありません。カンジダも、もともと誰の口にもいる常在菌です。

ただしヘルペスは別です。接触でうつるため、タオルや食器を分けてください。だからこそ、水ぶくれがあるかどうかの確認が大事になります。

4つの通説まとめ
  • ビタミンB2不足:それだけとは限りません。女性は鉄を見落としやすい
  • 市販の軟膏で治る合っていなければ長引きます。塗って悪化したら中止
  • 舐めておけば治る悪化させます。いちばん止めてほしい癖
  • うつる:口角炎はうつりません。ただしヘルペスは別

よくある質問

Q 口角炎は何日で治りますか?

A.原因によって大きく違います。乾燥や刺激によるものなら数日〜1週間で落ち着くことが多く、栄養の不足なら食事を整えても粘膜が入れ替わるまでに数週間かかります。カンジダが原因の場合は、放っておくと長引きます。目安としては市販薬は1週間まで、切れている状態が2週間続いたら受診と決めておいてください。

Q 市販薬を塗っているのに治りません

A.薬が原因と合っていない可能性があります。とくにカンジダが原因なのにステロイドを塗ると、悪化することがあります。「塗ると少し良くなるのに、やめると戻る」という状態なら、これを疑ってください。白いカスが付いているか、水ぶくれがあるかを確認して、どちらかがあるならステロイドは避けて皮膚科へ。1週間使って変化がなければ中止してください。

Q 口角炎がしょっちゅう繰り返します

A.繰り返すなら、背景があります。考えられるのは①鉄などの栄養不足 ②カンジダ ③唇を舐める癖 ④噛み合わせや入れ歯で口角が下がり、唾液がたまりやすい——の4つです。とくに立ちくらみ・強い疲れ・爪が割れる・髪が抜けるが同時にあるなら、鉄の状態を確認してください。口角炎だけを治そうとしても、背景が変わらなければ繰り返します。

Q ヘルペスと口角炎はどう見分けますか?

A.決め手は「水ぶくれ」と「前ぶれ」です。ヘルペスはピリピリ・チクチクした前ぶれのあとに小さな水ぶくれが集まってできます。片側に出ることが多く、毎回ほぼ同じ場所です。一方、口角炎はじわじわ切れてきて、両側のことが多くなります。ヘルペスは接触でうつるのでタオルや食器を分けてください。またステロイドは悪化させることがあるので避けてください。

Q ビタミンB2のサプリを飲んでいますが変わりません

A.「口角炎=ビタミンB2」で止まっているかもしれません。女性で見落とされやすいのはで、経血・妊娠・出産・授乳・ダイエットで減る場面が多くあります。またたんぱく質そのものが足りていないと、ビタミンを足しても追いつきません。そして原因がカンジダなら、栄養をいくら足しても治りません。1か月続くなら血液検査を受けてください(フェリチンまで)。

Q なぜ口の端だけが切れるのですか?

A.もともと弱い条件がそろっている場所だからです。皮膚と粘膜の境目にあって性質が中途半端、唾液がたまって濡れる→乾くを繰り返す、話す・食べるたびに引っぱられて治りかけがまた裂ける、折りたたまれていて湿ったまま閉じているためカビの一種が増えやすい、皮脂腺が少なく自前で守る油分が乏しい——これらが重なります。

Q 舐めると少し楽になるのですが

A.いちばん止めてほしい癖です。唾液は蒸発するときに皮膚の水分も一緒に持っていくため、舐めた直後はうるおって感じても、乾いたあとはより乾燥します。さらに唾液には消化のはたらきをする成分があり、皮膚には刺激になります。そして舐めるほど「湿ったまま」の時間が増え、カビの一種が増えやすい条件になります。無意識にやっていることが多いので、意識して止めるだけで変わることがあります。

Q デリケートゾーンのカンジダも繰り返しています。関係ありますか?

A.直接つながっているわけではありませんが、増えやすくなる背景は重なります。抗生物質・免疫の状態・血糖・疲れ——どちらにも共通する要因です。「あちらもこちらも繰り返す」なら、共通する背景を確認する価値があります。ただし口の症状と膣の症状は、それぞれ別に見てもらってください(カンジダ)。

Q 妊娠中なのですが、市販薬を使っていいですか?

A.自己判断で使わず、かかりつけで相談してください。口の周りに塗るものは口に入る可能性があります。妊娠中はつわりで食事が偏って材料が不足しやすく、カンジダも増えやすい時期で、口角炎が起こりやすい条件がそろいます。「このくらいで相談していいのか」と迷う必要はありません。健診のついでに伝えるので構いません(つわり)。

Q 40代後半から急に切れやすくなりました

A.いくつかの要因が重なる時期です。エストロゲンが減ると粘膜が乾きやすくなり、口の乾きも出やすくなります。また歯の状態や噛み合わせの変化で口角が下がると、唾液がたまりやすくなります。肌や髪の乾燥が同時に来ているなら、更年期の変化と重なっている可能性があります(乾燥肌)。あわせて鉄と甲状腺も確認してもらってください。

まとめ

口角炎で大事なのは、原因を2つに分けることです。カビの一種によるものか、栄養の不足や乾燥によるものか。この2つは必要な対応が正反対で、間違えると何か月も治りません。

見分けの手がかりは「白いカスが付いているか」。そして「塗ると少し良くなるのに、やめると戻る」なら、薬が合っていない可能性を考えてください。

そして、繰り返す口角炎は体からのサインのことがあります。とくに女性は鉄が減る場面が多く、舌がひりひりする・爪が割れる・髪が抜けるが同時に起きているなら、口の端だけを治そうとしても繰り返します。

この記事のポイントまとめ
  • まず2つに分ける——カンジダによるものか、栄養・乾燥・刺激によるものか
  • 見分けの手がかりは「白いカスが付いているか」
  • カンジダにステロイドを塗ると悪化することがあります
  • 「塗ると良くなるのに、やめると戻る」は薬が合っていないサイン
  • 水ぶくれ・ピリピリした前ぶれがあればヘルペス。こちらもステロイドは避ける
  • 「口角炎=ビタミンB2」で止めない。女性は鉄を見落としやすい
  • 舌・爪・髪にも同時に変化があるなら、鉄を確認(フェリチンまで)
  • 舐めるのがいちばん悪化させます。無意識のことが多い
  • 市販薬は1週間まで。切れた状態が2週間続いたら受診
  • 塗って悪化したら、すぐ中止
  • 繰り返すなら背景を確認する段階。栄養・カンジダ・癖・噛み合わせ
  • 吸入薬を使ったら必ずうがいを

口の中の潰瘍は口内炎、舌の表面が気になるなら舌が白いとき、鉄については貧血にまとめています。爪にも同時に変化があるなら爪の変化もあわせて読んでみてください。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」
  • 日本皮膚科学会「日本皮膚科学会ガイドライン|皮膚真菌症」
  • 日本医真菌学会「皮膚真菌症診療ガイドライン」
  • 日本口腔外科学会「口腔外科相談室」
  • 日本歯科医師会「テーマパーク8020|お口の健康」
  • 日本臨床皮膚科医会「皮膚の病気について」
  • 厚生労働省「e-ヘルスネット|歯・口腔の健康」
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
  • 厚生労働省「一般用医薬品の適正使用について」
  • 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック」