かゆい。でも人前で掻けない。誰にも相談できないまま、下着の中でずっと気になっている——デリケートゾーンのかゆみは、つらさのわりに口に出しにくい症状です。

そして厄介なのは、「かゆい」という同じ症状の裏に、まったく違う原因が10種類以上あることです。カビの一種が増えている場合もあれば、ソープが合っていないだけのこともある。乾燥のこともあれば、皮膚の病気のこともあります。

原因が違えば、やるべきことは正反対になります。感染症なら薬が必要ですが、洗いすぎによる乾燥なら「洗うのをやめる」ほうが早く治まります。だから「とりあえず市販薬」「とりあえず念入りに洗う」が、いちばん遠回りになりやすい。

この記事では、あなたのかゆみがどれなのかを切り分けることを目的にしています。おりものの様子、かゆむ時間帯、見た目、いつから続いているか——手がかりから原因の見当をつけて、それぞれの詳しい記事へ案内します。

先に|早めに受診してほしいとき
  • 2週間以上かゆみが続いている——市販薬を使っても治まらない場合を含みます
  • 皮膚が白く硬くなってきた・つっぱる感じがする——硬化性苔癬という皮膚の病気のことがあります
  • 水ぶくれができて強く痛む——歩くのもつらいほどの痛みを伴うことがあります
  • 片側だけが腫れて痛い
  • 発熱を伴う排尿できないほど痛い
  • 掻きこわして出血している・ジュクジュクしている

「恥ずかしいから」で受診を先延ばしにしないでください。婦人科にとってはごく日常的な相談です。長引くほど掻き壊しで治りにくくなります。

まず切り分ける|かゆみの原因は5系統

細かい病名を並べる前に、大きく5つに分けます。ここでどのグループかの見当がつけば、その先が一気に絞れます。

系統特徴あてはまりそうなら
①感染によるものおりものの変化を伴うことが多い(量・色・におい)感染の章へ
②かぶれ・刺激触れているものに心当たりがある。おりものは普通かぶれの章へ
③乾燥カサつく・皮がむける・ヒリつく。洗ったあとに強まる乾燥の章へ
④皮膚の病気長く続く。皮膚の見た目そのものが変わってくる皮膚の病気の章へ
⑤ホルモンの変化生理前・妊娠中・更年期など、時期と結びついているホルモンの章へ
切り分けの最初の一手は「おりもの」
  • おりものが明らかに変わっている(量が増えた・色がついた・においが強い)→ ①感染の可能性が上がります
  • おりものはいつもどおりで、かゆいのは外側(皮膚)だけ②かぶれ ③乾燥 ④皮膚の病気のどれか
  • おりものの見方はおりものの色おりものの量にまとめています
  • ただし複数が重なることもよくあります。掻いたことでかぶれ、そこに感染が加わる、という順番はとても多いパターンです

①感染によるかゆみ|おりものの変化を伴う

原因おりものかゆみ詳しく
カンジダ白くポロポロ・カッテージチーズ状。においは強くないことが多い強い。外陰部が主カンジダ
細菌性膣症灰色〜白でサラサラ。魚のような強いにおい弱い〜なしのことが多い細菌性膣症
トリコモナス黄緑色で泡立つことがある。においが強い強いトリコモナス
外陰炎変化しないこともあるかゆみ+ヒリヒリ・赤み外陰炎
尖圭コンジローマ変化しないかゆみは弱い。イボができる尖圭コンジローマ
毛じらみ変化しない非常に強い。特に夜。毛の根元に付着物下に説明

カンジダがいちばん多い、けれど「毎回カンジダ」ではない

デリケートゾーンのかゆみで受診する方のうち、カンジダはもっとも多い原因のひとつです。もともと体にいる常在菌で、疲れ・抗生物質・妊娠・血糖の状態などをきっかけに増えることがあります。

ただし「前にカンジダと言われたから、今回も同じだろう」という自己判断が、いちばん危ないところです。細菌性膣症やトリコモナスは、カンジダとは必要な対応が違います。おりものの様子が前回と違うなら、同じとは限りません。

毛じらみ

陰毛に寄生する虫によるもので、夜に強くなるかゆみが特徴です。毛の根元に灰色〜茶色の小さな付着物(卵)が見えることがあります。

清潔にしていないから起こる、というものではありません。寝具やタオル、衣類を介してうつることもあります。皮膚科や婦人科で対応できます。パートナーがいる場合は一緒に相談してください。

性感染症の可能性を含めて考えるとき
  • 新しいパートナーができた後に症状が出た
  • パートナーにも症状がある
  • おりものの色・においが明らかに変わった
  • 水ぶくれ・イボ・潰瘍など、見た目の変化がある
  • これらに当てはまるなら、市販薬で様子を見るのではなく受診を。種類ごとの違いは膣の感染症の種類にまとめています
  • 「性感染症かも」と言い出しにくくても、症状をそのまま伝えれば必要な検査は組まれます。言いにくければ「感染症の検査も含めてお願いします」で伝わります
クリーム色の布の上に置かれた白いポンプ式ボトルと、綿花のついた枝

②かぶれ・刺激によるかゆみ|触れているものが原因

おりものはいつもどおりなのに、外側だけがかゆい。この場合、原因は体の中ではなく皮膚に触れているものにあることが多いです。

触れているもの起こりやすいこと詳しく
ナプキン・おりものシートムレと摩擦。長時間つけっぱなしで悪化ナプキンかぶれ
ボディソープ・石けん洗浄力が強すぎる。必要な皮脂まで落ちるソープの選び方
下着の素材化学繊維・締めつけ・レースの摩擦下に説明
剃毛・脱毛カミソリ負け。伸びかけの毛が刺さるVIO脱毛
洗剤・柔軟剤下着に残った成分での刺激下に説明
温水洗浄便座当てすぎ・強すぎ。常在菌が流れる正しい洗い方
尿もれパッドムレ+尿による刺激下に説明

「洗いすぎ」がかゆみをつくることがあります

かゆいと、多くの方が「不潔だからだ」と考えて、もっと念入りに洗おうとします。気持ちはとてもよくわかりますが、これが逆効果になることがあります。

洗いすぎが起こす連鎖
  • ボディソープで強く洗う → 皮脂と常在菌が落ちる
  • 皮膚が乾く → バリアが弱くなる
  • 刺激に弱くなる → よけいにかゆくなる
  • かゆいからまた洗う → 最初に戻る
  • この輪から出るには、洗う回数と力を減らすほうへ向かう必要があります(正しい洗い方

膣の中は洗わないでください。膣内には自分を守る常在菌がいて、酸性の環境を保っています。中まで洗うとこの働きが崩れ、かえって感染しやすくなります(膣のしくみ)。

下着・洗剤で確かめること

  • 綿素材のものに変えて2週間試す——それで軽くなるなら素材が原因の可能性があります
  • 締めつけの強いもの・レースが直接あたるものを一度やめてみる
  • 柔軟剤をやめる/すすぎを1回増やす——残った成分が刺激になることがあります
  • 新しく使い始めたものを思い出す——ソープ、洗剤、ナプキンの銘柄、下着。症状が出た1〜2週間前に何を変えたかがヒントになります
  • 変えるのは一度に1つ。まとめて変えると、何が原因だったかわからなくなります

③乾燥によるかゆみ|洗ったあとにヒリつく

カサつく、皮がむける、洗ったあとにヒリヒリする。おりものは普通で、赤みもそれほどない——これは乾燥によるかゆみのことがあります。

デリケートゾーンの皮膚は顔よりも薄くて敏感です。それなのに、顔ほど気をつかわれていないことが多い場所でもあります。

乾燥しやすくなる要因説明
洗いすぎ・強い洗浄剤皮脂が落ちすぎる。もっとも多い要因
熱いお湯皮脂が溶け出しやすくなります
エストロゲンの低下更年期・産後・授乳中など(エストロゲン
冬の空気の乾燥全身の乾燥と一緒に起こることがあります(乾燥肌
ナプキンによる摩擦こすれで角層が削られます

ケアの方法はデリケートゾーンの保湿にまとめています。顔に使う化粧品をそのまま使うのは避けてください。刺激になる成分が含まれていることがあります。

④皮膚の病気によるかゆみ|長く続き、見た目が変わる

2週間以上続いている。市販薬を使っても治まらない。皮膚の見た目そのものが変わってきた。——このパターンは、皮膚の病気を考える必要があります。

硬化性苔癬(こうかせいたいせん)

かゆみが長く続く方に、意外と見落とされている病気です。外陰部の皮膚が慢性的に炎症を起こし、白く、薄く、硬くなっていきます。

こんな見た目・感じ方なら、皮膚科か婦人科へ
  • 皮膚が白っぽく変色してきた——「陶器のような白さ」と表現されることがあります
  • 皮膚が薄くなった・つっぱる感じがする
  • 小さな裂け目ができやすい——排便や性交のあとに切れる
  • かゆみが何か月も続いている。夜に強くなることが多い
  • 小陰唇の形が以前と変わってきたように感じる

市販のかゆみ止めでは対応できません。放置すると皮膚の変化が進むことがあるため、診断を受けたうえで継続的に管理していく病気です。閉経後に多いとされますが、若い方にも起こります。

「ずっとかゆいけれど、恥ずかしくて受診できていない」という方にこそ知っておいてほしい病気です。診断がつけば管理の方法があります。長く我慢するほど、皮膚の変化は戻りにくくなります。

そのほかの皮膚の病気

  • 接触皮膚炎(かぶれ)が慢性化したもの——原因を取り除かないまま掻き続けた結果、皮膚が厚くゴワゴワしてきます
  • 湿疹——アトピー性皮膚炎のある方は、デリケートゾーンにも出ることがあります
  • 乾癬(かんせん)——境界のはっきりした赤みが出ることがあります
  • できもの・しこりを伴う場合——できもの・しこりを参照してください
「掻くから治らない」という悪循環
  • 掻く → 皮膚が傷つく → バリアが壊れる → 刺激に弱くなる → もっとかゆい
  • この繰り返しで皮膚が厚く硬くなり、かゆみが慢性化します
  • 寝ている間に無意識に掻いてしまうのがいちばんの難所です。爪を短く切る・綿の手袋をして寝るといった方法があります
  • 「掻かないようにする」だけでは止まりません。かゆみそのものを抑える手当てが必要です(応急の対処

⑤ホルモンの変化によるかゆみ|時期と結びついている

時期起こりやすいこと
生理前ホルモンの変動で皮膚が敏感になります。むくみやすい時期でもあり、ムレも重なります(月経周期
生理中ナプキンのムレと摩擦が主。経血自体も皮膚には刺激になります
排卵期おりものが増える時期。おりものシートの長時間使用でムレることがあります
妊娠中おりものが増え、カンジダが増えやすくなります。自己判断で市販薬を使わず、必ず産科で相談を
産後・授乳中エストロゲンが低い状態が続き、乾燥しやすくなります
更年期以降萎縮性膣炎によるかゆみ・乾燥・性交痛(萎縮性膣炎

更年期以降のかゆみは、「年だから仕方ない」と諦められてしまいがちです。ですがエストロゲンの低下によるものであれば、ホルモン補充療法を含めて相談できる余地があります。性交時の痛みを伴う場合は性交痛もあわせて読んでください。

かゆむタイミングでわかること

「いつかゆいか」は、意外と大きな手がかりになります。

タイミング考えやすいこと
夜だけ・寝るときに強い毛じらみ/皮膚の病気(硬化性苔癬など)。日中は気が紛れているだけのこともあります
入浴後に強まる乾燥/洗浄剤が合っていない。温まって血流が増えることでも強まります
生理中だけナプキンによるムレ・かぶれ
生理前になると毎回ホルモンの変動。周期と一致するかを記録すると見えてきます
1日中ずっと感染/皮膚の病気。市販薬で治まらないなら受診を
特定の下着・ナプキンのとき接触によるかぶれ。原因がはっきりしています
汗をかいたあとムレ・汗の刺激。通気と着替えで変わります
木のテーブルに敷いた淡いピンクの布の上に置かれた、開いた丸い手鏡と琥珀色のスポイト付きボトル。かすみ草の影が落ちている

見た目でわかること|白い・ブツブツ・腫れ

見た目考えやすいこと
皮膚が白く硬い・つっぱる硬化性苔癬など皮膚の病気。受診を
白いカスがついているカンジダのおりもののことがあります(カンジダ
赤く腫れている・ヒリヒリ外陰炎・かぶれ外陰炎
小さなイボがある尖圭コンジローマの可能性(尖圭コンジローマ
水ぶくれ+強い痛みすぐ受診。歩行や排尿がつらいほど痛むことがあります
片側だけ腫れて痛い受診を。腺のつまりなどが起こることがあります(できもの・しこり
毛穴に赤いブツブツ剃毛・脱毛のあとの毛嚢炎VIO脱毛
毛の根元に小さな付着物毛じらみの卵のことがあります
ブツブツはあるが痛くもかゆくもないもともとある構造のことも。膣のしくみを参照
自分で見るときのこと
  • 鏡を使って明るいところで見るのがいちばん確実です。手鏡を床に置くか、立てかけて見ます
  • 「見るのが怖い」という方は多いのですが、見ておくと受診時に説明しやすくなります
  • 写真を撮っておくのも有効です。症状が出ているときと落ち着いているときで見た目が違うため、診察日に症状が引いていても伝えられます
  • 触って確かめるときは手を洗ってから。爪で傷つけないよう気をつけてください

かゆみを抑える|今日からできること

原因を確かめるのが本筋ですが、「いまかゆい」をどうにかしないと日常が回りません。原因が何であっても共通してできることを挙げます。

やること

  • 冷やす——保冷剤をタオルで包んで下着の上から短時間あてます。かゆみは冷やすと和らぎやすいです。直接あてない・長時間あてない
  • 通気をよくする——締めつけの少ない綿の下着へ。家では下着だけゆるいものに替えるのも有効です
  • ナプキン・シートをこまめに替える——「汚れていないから」ではなく時間で替える。ムレが大きな要因です
  • ぬるま湯でやさしく流すだけにする——ゴシゴシ洗わない。石けんを一度やめてみる
  • 拭くときは押さえるだけ——こすらない。タオルで押さえて水気を取ります
  • 爪を短くする——寝ている間の掻き壊しを減らせます
  • 記録をつける——いつ・どこが・どのくらい。受診時にいちばん役立つ情報になります

やらないこと

これはかゆみを長引かせます
  • ボディソープで念入りに洗う——皮脂と常在菌が落ち、乾燥してよけいかゆくなります
  • 膣の中まで洗う——自浄作用が壊れ、感染しやすくなります
  • 熱いお湯をあてる——一瞬すっきりしますが、そのあと強く返ってきます
  • 消毒液を使う——常在菌まで殺します
  • 顔用の化粧品を塗る——刺激になる成分が入っていることがあります
  • 掻いてから冷やすではなく、掻く前に冷やす
  • 症状が引いたら受診をやめる——原因が残っていれば繰り返します

市販薬について知っておきたいこと

ドラッグストアには、デリケートゾーンのかゆみ向けの外用薬がいくつも並んでいます。ただし「かゆみ止め」とひとくくりにできるものではなく、働きかける対象がまったく違います。

種類対象注意
抗真菌成分のものカンジダを想定したもの再発した方向けの製品が中心。初めての症状では使えないものがあります
ステロイド成分のものかぶれ・湿疹を想定したもの感染しているときに使うと悪化させることがあります
非ステロイドのかゆみ止め軽い刺激によるかゆみ原因そのものには働きかけません
保湿を目的としたもの乾燥によるかゆみ感染や皮膚の病気には対応できません
市販薬を使う前に確認してください
  • 初めてのかゆみなら、まず受診が確実です。原因が違えば、選ぶものも変わります
  • ステロイドと抗真菌は、対象が違います。間違えると症状が長引くことがあります
  • 使ってみて5〜6日で変化がなければ中止して受診を。漫然と使い続けないでください
  • 妊娠中・授乳中の方は自己判断で使わないでください。必ず産科で相談を
  • 市販薬を使ってから受診すると、検査で原因がつかみにくくなることがあります。使った薬の名前と使った期間は必ず伝えてください
  • 薬剤師に相談すること自体が有効です。症状を伝えれば、選べるものと受診すべき場合を判断してもらえます
窓から自然光が入る明るいクリニックの受付カウンター。木製のカウンターの上に白い花を生けたガラスの花瓶と観葉植物

何科に行けばいい?受診で伝えること

受診先の選び方

状況受診先
おりものの変化を伴う婦人科。おりものの検査ができます
性感染症の可能性がある婦人科(または性感染症の専門外来)
皮膚の見た目が変わってきた皮膚科でも婦人科でも。硬化性苔癬はどちらでも扱われます
妊娠中かかりつけの産科へ
更年期以降で乾燥を伴う婦人科。ホルモンの相談も含めて
どこか迷うまず婦人科で構いません。必要なら皮膚科へ紹介されます

診察で伝える6項目

これを伝えれば十分です
  • ①いつから——「3週間前から」「生理のたびに」
  • ②どこが——外側か、入口か、中のほうか
  • ③いつ強いか——夜/入浴後/生理中
  • ④おりものの変化——量・色・におい。変わっていないなら「変わっていない」も情報です
  • ⑤使ったもの——市販薬の名前と期間、新しく変えたソープ・洗剤・下着
  • ⑥見た目の変化——白い・赤い・ブツブツ・腫れ。写真があれば見せる

費用は初診+おりものの検査でおおむね3,000〜5,000円前後(3割負担)。内診がある場合もありますが、希望を伝えれば配慮されます。「内診が不安です」と最初に言って構いません。

受診をためらう気持ちについて

「こんなことで行っていいのか」——いいです。婦人科にとって、デリケートゾーンのかゆみはもっとも日常的な相談のひとつです。

「不潔だと思われそう」とも、よく聞きます。ですが実際には、洗いすぎが原因のことのほうが多いくらいです。清潔さの問題として見られることはありません。

生理中の受診も、症状が強いなら遠慮しなくて構いません。検査ができない項目はありますが、状態を見てもらうことはできます。気になるなら予約時に「生理中ですが大丈夫ですか」と聞いてください。

白い机の上に置かれたチェックリストの用紙とペン、小さな多肉植物。2つの項目にチェックが入っている

セルフチェック|12項目

#質問はい/いいえ
12週間以上かゆみが続いている 
2皮膚が白く硬くなってきた/つっぱる感じがする 
3水ぶくれがあり、強く痛む 
4片側だけ腫れて痛い/発熱がある 
5おりものの量・色・においが変わった 
6新しいパートナーができた後に症状が出た 
7ボディソープや石けんでしっかり洗っている 
8膣の中まで洗っている/温水洗浄便座をよく使う 
9ナプキン・おりものシートを長時間つけている 
10ここ1〜2週間でソープ・洗剤・下着を変えた 
11市販薬を1週間以上使っているが変わらない 
12妊娠中である/更年期以降である 

結果の読み方

当てはまったもの行動
3・4のどちらか早めに受診してください。数日待たない
1・2・11受診を。皮膚の病気の可能性があります(硬化性苔癬
5・6婦人科でおりものの検査を。市販薬で様子を見ない
7・8洗い方を変えてみる。2週間で軽くなるか確かめます(正しい洗い方
9替える間隔を短くする。「汚れたら」ではなく時間で替える
10変えたものを元に戻す。一度に1つだけ戻して確かめます
12自己判断で市販薬を使わない。産科・婦人科で相談を
どれも当てはまらない洗いすぎとムレを見直して1〜2週間。それで治まらなければ受診を

通説の検証

「かゆいのは不潔だから」は本当か

判定:むしろ洗いすぎが原因のことのほうが多いです。

デリケートゾーンには常在菌がいて、酸性の環境を保つことで有害な菌が増えにくくしています。強い洗浄剤で念入りに洗うと、この仕組みごと落ちてしまいます。

「かゆい→不潔だと思う→もっと洗う→もっとかゆい」という連鎖は、とてもよくあるパターンです。清潔にしていてもかゆくなるし、清潔にしすぎてもかゆくなります。

「カンジダは性感染症だ」は本当か

判定:カンジダはもともと体にいる常在菌です。

性行為で発症することもありますが、それだけが原因ではありません。疲れ、抗生物質の使用、妊娠、血糖の状態などをきっかけに増えることがあります。

「うつされた」と考える必要はありませんし、「うつした」と責められる筋合いもありません。ただしパートナーにも症状があるなら、一緒に相談してください。

「市販薬で治らないなら重い病気だ」は本当か

判定:そうとは限りません。原因が違っただけのことが多いです。

ステロイドはかぶれ向け、抗真菌はカンジダ向け——対象が違えば、期待した変化は出ません。「効かない=重い」ではなく、「効かない=選んだものが合っていなかった可能性」です。

ただし5〜6日使って変化がないなら、漫然と続けずに受診してください。

「更年期のかゆみは年齢のせいだから仕方ない」は本当か

判定:相談できる余地があります。

更年期以降のかゆみや乾燥は、エストロゲンの低下が背景にあることが多いとされています。だとすれば、それに対する相談ができます(萎縮性膣炎ホルモン補充療法)。

「年だから」で片づけて我慢し続ける必要はありません。

4つの通説まとめ
  • 不潔だからかゆい洗いすぎが原因のことのほうが多い
  • カンジダは性感染症:もともといる常在菌です。誰かを責める必要はありません
  • 市販薬で治らない=重い病気原因が違っただけのことが多い。ただし5〜6日で見切りを
  • 更年期のかゆみは仕方ない相談できる余地があります

よくある質問

Q 病院に行かずに治すことはできますか?

A.原因によります。ムレやかぶれ、洗いすぎによる乾燥が原因なら、通気をよくして洗い方を変えるだけで1〜2週間のうちに軽くなることがあります。一方で感染症や皮膚の病気は、生活を変えるだけでは治まりません。おりものが変わっている・2週間以上続いている・見た目が変わってきた——このどれかがあるなら受診してください。

Q 夜になるとかゆくて眠れません。どうすればいいですか

A.応急には保冷剤をタオルで包んで下着の上から短時間あてる方法があります。あわせて爪を短く切ること。寝ている間の掻き壊しが、翌日のかゆみを強くします。ただし夜だけ強いかゆみが続く場合は、毛じらみや皮膚の病気のことがあります。眠れないほどなら受診してください。我慢の問題ではありません。

Q 皮膚が白っぽくなってきました。これは何ですか

A.白いカスのようなものが付着しているならカンジダのおりもののことがありますが、皮膚そのものが白く変色し、薄く硬くなっている場合は硬化性苔癬という皮膚の病気の可能性があります。裂けやすくなる、つっぱる、かゆみが何か月も続くといった特徴があります。市販のかゆみ止めでは対応できません。皮膚科か婦人科を受診してください。

Q 何度も繰り返します。体質でしょうか

A.繰り返す場合、原因が取り除かれていないことが多いです。ナプキンの長時間使用、洗いすぎ、合わない下着——生活の中に続いている要因が残っていると、治ってはまた戻ります。「症状が引いたら受診をやめる」パターンにも注意してください。また、繰り返すカンジダの背景に血糖の状態が関わることもあるため、頻回なら一度相談してください。

Q 妊娠中にかゆみがあります。市販薬を使っていいですか

A.自己判断で使わず、かかりつけの産科で相談してください。妊娠中はおりものが増え、カンジダが増えやすい時期でもあります。相談すれば妊娠中でも対応できる方法があります。「このくらいで受診していいのか」と迷う必要はありません。健診のついでに伝えるので構いません。

Q 生理中でも受診できますか?

A.できます。検査によっては経血の影響で正確に見られないものもありますが、症状が強いなら待つ必要はありません。気になるなら予約時に「生理中ですが大丈夫ですか」と聞いてください。そのうえで日をずらすかどうかを判断してもらえます。

Q パートナーにうつしますか?

A.原因によって違います。かぶれや乾燥によるかゆみはうつるものではありません。一方でトリコモナスや尖圭コンジローマ、毛じらみはパートナーも一緒に対応が必要になります。カンジダは常在菌ですが、症状が出ている間は控えたほうが楽です。原因がはっきりしないうちは、受診して確かめるのがいちばん早いです。

Q かゆみ止めを塗ったら悪化しました。なぜですか

A.原因と合っていなかった可能性があります。ステロイド成分はかぶれや湿疹を想定したものですが、感染が背景にある場合には症状を長引かせることがあります。また、薬の基剤そのものが刺激になることもあります。使用を中止して受診し、使った薬の名前と期間を伝えてください。それも診断の手がかりになります。

Q VIO脱毛をしてからかゆくなりました

A.伸びかけの毛が皮膚を刺激していることがよくあります。また施術後の肌は乾燥しやすく、下着の摩擦を受けやすい状態です。保湿と、締めつけの少ない綿の下着で軽くなることが多いです。ただし毛穴に赤いブツブツができている場合は毛嚢炎のことがあります。詳しくはVIO脱毛アンダーヘアのケアへ。

Q においも一緒に気になります

A.かゆみとにおいが同時にある場合、感染の可能性が上がります。とくに魚のような強いにおいを伴うなら細菌性膣症のことがあります。この場合かゆみは弱いか、ないことも多いです。においを消そうとして洗いすぎると、かえって悪化します。詳しくはデリケートゾーンのにおいを参照してください。

まとめ

デリケートゾーンのかゆみは、「かゆい」という一語の下に10種類以上の違う原因が隠れています。そして原因が違えば、やるべきことは正反対になります。

だからこの記事では、まずおりものが変わっているかどうかで大きく二つに分け、そこから時間帯・見た目・心当たりで絞り込む形にしました。見当がついたら、それぞれの詳しい記事へ進んでください。

そして、いちばん伝えたいことがあります。この症状で受診するのは、恥ずかしいことではありません。婦人科にとっては日常的な相談です。むしろ「恥ずかしいから」と我慢した数か月のあいだに、掻き壊しで治りにくくなってしまうことのほうが、ずっともったいない。

この記事のポイントまとめ
  • 切り分けの第一手は「おりものが変わっているか」。変わっていれば感染、変わっていなければ皮膚側
  • 原因は5系統——感染/かぶれ・刺激/乾燥/皮膚の病気/ホルモンの変化
  • 「かゆい=不潔」ではありません。洗いすぎが原因のことのほうが多い
  • 膣の中は洗わない。常在菌が自分を守っています
  • かゆむ時間帯が手がかりになる——夜だけなら毛じらみや皮膚の病気を考えます
  • 皮膚が白く硬くなってきたら硬化性苔癬の可能性。市販薬では対応できません
  • 市販薬はステロイドと抗真菌で対象が違う。間違えると長引きます
  • 5〜6日使って変化がなければ中止して受診。漫然と続けない
  • 妊娠中は自己判断で使わず、産科へ
  • 2週間以上続く/見た目が変わった/水ぶくれ・片側の腫れは受診の目安
  • 更年期のかゆみを「年だから」で諦めない。相談できる余地があります

洗い方そのものを見直したい方は正しい洗い方へ。乾燥が主なら保湿ケア、ソープ選びはソープの選び方にまとめています。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編」
  • 日本産科婦人科学会「産科婦人科用語集・用語解説集」
  • 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」
  • 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン」
  • 厚生労働省「性感染症に関する特定感染症予防指針」
  • 日本性感染症学会「性感染症に関する情報」
  • 日本医真菌学会「皮膚真菌症診療ガイドライン」
  • 厚生労働省「一般用医薬品の適正使用について」
  • 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック」
  • 日本臨床皮膚科医会「皮膚の病気について」