おりものがいつもと違う、生理以外の出血がある、下腹部が痛い——婦人科に行ったほうがいいとわかっていても、「内診があるかもしれない」というだけで足が止まってしまう方はとても多いです。

不安の正体は、痛みそのものよりも「何をされるのかわからない」ことにあります。実際、インターネットで「内診」と検索しても出てくるのは、クリニックのQ&Aが1問だけ、個人のブログ、SNSの投稿といった断片的なものばかりで、最初から最後まで通して説明したページがほとんど見当たりません。

この記事では、内診で医師が何を見ているのか、指は何本入れるのか、どのくらいの時間がかかるのか、痛いときに何ができるのか、そして「受けたくない」と言えるのかまでを順番に整理します。読み終えたときに、受診するかどうかを自分で決められる状態になることをめざしています。

内診とは|医師は指と器具で何を見ているのか

内診とは、婦人科や産婦人科で行われる、外からは見えない部分の状態を調べるための診察です。専用の椅子(内診台)に座り、医師が外陰部を目で見て、膣の中を器具で観察し、指とお腹の上の手で子宮や卵巣に触れて確かめます。

ポイントは、内診が「検査」ではなく「診察」だということです。血液検査のように機械が数値を出すのではなく、医師が自分の目と手で情報を集めます。だからこそ、たった数分で「子宮の大きさ」「卵巣の腫れ」「押したときの痛み」「炎症の有無」といった、画像だけでは拾いきれない情報が得られます。

内診でわかること・わからないこと

内診は万能ではありません。何がわかって何がわからないかを知っておくと、「今日は内診が必要か」を医師と相談しやすくなります。

内診でわかりやすいこと内診だけではわからないこと
外陰部の湿疹・できもの・腫れがんかどうか(細胞や組織を採って調べます)
膣の炎症や、おりものの性状ホルモンの数値(採血が必要です)
子宮の入口の見た目と、出血の有無卵管が通っているかどうか(別の検査が必要です)
子宮の大きさ・かたさ・傾き病変の正確な大きさ(超音波のほうが得意です)
卵巣の腫れ、押したときの痛み妊娠しているかどうか(尿検査や超音波で確認します)
骨盤の奥の動きの悪さ(癒着を思わせる所見)痛みの原因が腸や膀胱にある場合の切り分け

たとえば子宮筋腫は、内診で「子宮が全体に大きく、でこぼこしている」と感じ取れることがありますが、いくつあるのか・どこにあるのかは超音波を当てて初めてわかります。子宮内膜症では、子宮の後ろ側を押したときの痛みや、子宮が動きにくいことが手がかりになります。内診と超音波は、どちらかを選ぶものではなく、組み合わせて使うものです。

「内診」「クスコ診」「経膣エコー」は別のものです

この3つは同じ日にまとめて行われることが多いため混同されがちですが、それぞれ別の診察・検査です。「内診はしたくないけれど超音波は受けたい」といった希望を伝えるためにも、区別しておくと役に立ちます。

名前何をするか膣に入れるもの
視診外陰部を目で見る入れません
膣鏡診(クスコ診)器具で膣を広げ、膣の壁と子宮の入口を目で見る。おりものや細胞の採取もここで行う膣鏡(クスコ)
双合診(狭い意味での内診)指を膣に入れ、もう一方の手をお腹に当てて、子宮と卵巣を挟むように触れる手袋をした指(通常1〜2本)
経膣超音波(経膣エコー)細長い超音波の器械を入れ、子宮と卵巣を画面に映すプローブ(超音波の端子)
「内診台に乗る=全部やる」ではありません
内診台に乗っても、行われるのはその日に必要なものだけです。おりものの検査だけなら膣鏡診で終わりますし、超音波だけを希望することもできます。医師は事前に「今日は膣鏡と超音波を見せてください」と説明してくれるはずですが、説明のないまま進みそうなときは「今日は何をしますか」と聞いて構いません。

実際に何をされるのか|3つの診察に分けて説明します

ここが、多くの方がいちばん知りたいところだと思います。検索窓には「内診 やり方」「内診 指 何本」といった言葉が並びます。順番に、具体的に説明します。

1. 視診|外陰部を目で見る(数十秒)

下着を外して内診台に座ると、まず外陰部を目で見ます。見ているのは、湿疹やただれ、できもの、腫れ、傷、いぼ状のもの、色の変化などです。かゆみやしこりで受診した場合は、この段階でおおよその見当がつくことも少なくありません。

触れられるのは必要なときだけで、多くは「見るだけ」で終わります。所要時間は数十秒です。デリケートゾーンのかゆみしこり・できもので受診した方にとっては、この視診がいちばん大事な診察になります。

2. 膣鏡診(クスコ診)|器具で広げて、中を見る(1分ほど)

膣鏡(ちつきょう)という、くちばしのような形をした器具を膣に入れ、ゆっくり広げて膣の壁と子宮の入口を観察します。「クスコ」と呼ばれることもありますが、これは器具を考案した人の名前です。

器具の素材は金属かプラスチックで、サイズは1種類ではありません。未産婦用の細いもの、さらに細い小児用のものが用意されている施設が多くあります。冷たさが苦手な方のために、ぬるま湯で温めたりゼリーを塗ったりする配慮も一般的です。

この段階で行われることには、次のようなものがあります。

細胞を採るときに、チクッとした感覚やこすられる感じがあります。少量の出血が半日ほど続くことがありますが、これは異常ではありません。

3. 双合診|指は通常1〜2本、強く押しているのはお腹側の手です

検索でいちばん多い疑問に、先に答えます。膣に入れる指は、通常1本か2本です。手袋をした人差し指、または人差し指と中指を膣に入れ、もう一方の手を下腹部に当てて、子宮と卵巣を上下から挟むように触れます。これを双合診(そうごうしん)といい、狭い意味での「内診」はこの診察を指します。

ここで知っておくと気持ちが少し変わるのは、強く押しているのは膣の中の指ではなく、お腹の上の手だということです。子宮や卵巣は骨盤の奥にあるため、お腹側から押し下げて、膣の中の指に当たるようにして位置や大きさを確かめます。「お腹をぐっと押されるのがつらい」と感じる方が多いのは、この仕組みのためです。

ここで確かめているのは、次のようなことです。

  • 子宮の大きさ・かたさ・前後どちらに傾いているか
  • 子宮を軽く動かしたときに痛みがあるか(炎症のサインになります)
  • 卵巣が腫れていないか、押して痛みがないか
  • 骨盤の奥にしこりのような硬さがないか

時間は30秒から1分程度です。自覚症状が出にくい卵巣嚢腫が、この診察をきっかけに見つかることもあります。

内診台のカーテンは、外すこともできます

多くの施設では、上半身と下半身のあいだにカーテンが引かれます。顔を見られずに済む一方で、「何をされているのか見えないほうが怖い」と感じる方もいます。

このカーテンは絶対に必要なものではありません。「開けたままにしてほしい」「進めながら声をかけてほしい」と伝えれば、対応してもらえる施設がほとんどです。逆に、説明が細かいほうが緊張するという方は「声かけは最小限で」と伝えても構いません。どちらが正解ということはなく、自分が楽なほうを選べます。

内診台は自動で動きます。驚かなくて大丈夫です
  • 座ると、椅子が自動で後ろに倒れたり、脚の部分が開いたりします
  • 動き出すときに声をかけてもらえることが多いですが、無言で動く機種もあります
  • 手すりを持って、背中を預けて力を抜いていて大丈夫です

初めてだと「勝手に動いた」と驚いてしまいますが、故障ではありません。不安なときは「初めてなので、動く前に教えてください」と受付や看護師に伝えておくとスムーズです。

受付から終わるまでの流れと、かかる時間

内診そのものは数分ですが、受診全体では時間がかかります。予定を立てるときの目安として整理します。

段階内容時間の目安
①受付・問診票保険証を出し、症状・最終月経・妊娠歴などを記入10〜15分
②医師の問診症状の経過を話す。ここで内診の必要性も相談できる5〜10分
③着替え下着を外す。スカートならそのままで済むことが多い2〜3分
④内診・超音波視診・膣鏡診・双合診・経膣エコー1〜3分
⑤説明・会計その場でわかったことの説明。検査結果は後日のことが多い5〜15分

初診では待ち時間を含めて1時間前後を見ておくと安心です。台の上にいる時間は、思っているよりずっと短いというのが実際のところです。

服装・下着・持ち物

  • スカートかワンピースが楽です。下着だけ外せばよく、下半身を全部脱ぐ必要がありません。タイトすぎるものより、ゆとりのあるものを
  • パンツスタイルでも問題ありません。ほとんどの施設に更衣スペースと、腰に巻く布が用意されています
  • タイツやストッキングは脱ぐことになります。寒い時期は靴下があると足元が冷えません
  • 生理用ナプキンを1枚。検査のあとに少量の出血があることがあります
  • 保険証・お薬手帳・基礎体温表や生理管理アプリの画面

飲んでいる薬やサプリは、必ず伝えてください。低用量ピルやホルモン剤は、診察の判断に直接関わります。

問診で聞かれること(先にメモしておくと話が早いです)

  • 最終月経の開始日と、おおよその周期(生理周期の長さ)
  • いまの症状と、いつから続いているか
  • 妊娠・出産の経験、婦人科にかかったことがあるか
  • 性交渉の経験の有無(内診の進め方が変わるため、必ず聞かれます)
  • 服用中の薬・アレルギー

アプリの画面を見せるだけでも十分です。うろ覚えなら「だいたい先月の20日ごろ」で構いません。正確さよりも、伝えようとすることのほうが役に立ちます。

費用の目安|保険が効くもの・効かないもの

受診をためらう理由は「内診が怖い」だけではありません。「いくらかかるのかわからない」ことも、同じくらい足を止めます。金額は施設や検査の内容によって変わりますが、考え方の枠組みだけでも知っておくと、財布の心配をせずに予約できます。

いちばん大きな分かれ目は、症状があるかどうかです。困っている症状があって受診する場合は保険診療になり、自己負担は原則3割です。症状がなく、念のため調べたいという場合は自費になります。

受診の内容保険自己負担の目安
症状があっての初診+内診+超音波効く3,000〜6,000円程度
おりものの検査を追加効く上記に1,000〜2,000円程度が加わる
自治体の子宮頸がん検診補助あり無料〜2,000円程度(自治体により異なる)
症状のない自費の婦人科検診効かない10,000円前後〜(項目数で変わる)
症状のない性感染症検査効かないことが多い項目ごとに数千円
薬の処方内容による上記に薬代が加わる

症状があるのに「自費だと高そう」と思って我慢してしまうのは、いちばん避けたい行き違いです。おりものの変化や不正出血、痛みがあるなら、それは保険で診てもらえる受診理由です。金額が不安なときは、予約のときに「保険診療になりますか」と聞いて構いません。

結果はいつ、どうやって知らされるのか

その日にわかることと、後日になることがあります。ここを知らないまま帰ると、「連絡が来ないけれど大丈夫なのだろうか」と何週間も気をもむことになります。

調べたこと結果が出るまで
内診・超音波でわかることその場で説明があります
おりものの顕微鏡検査当日わかることがあります
おりものの培養検査数日〜1週間程度
性感染症の検査数日〜1週間程度
子宮頸がん検診の細胞診1〜3週間程度

注意したいのは、伝え方が施設によってまったく違うことです。再来院して聞く、電話で知らせる、郵送する、Webで見る——どれもあります。そして「異常がなければ連絡しません」という方式の施設も少なくありません。この場合、連絡が来ないこと自体が「異常なし」の意味になります。

会計のときに、次の3つだけ確認しておくと安心です。

  • 結果はいつごろ出るのか
  • どうやって知らされるのか(再来院・電話・郵送・Web)
  • 異常がなかった場合も連絡はあるのか
診察室で、白衣を着た女性医師から手ぶりを交えた説明を受けている、くすみピンクのニットを着た30代前半の日本人女性

内診は痛い?|痛みが強くなる条件と、減らす方法

正直に書くと、内診は「まったく痛くない」とは言えません。ただし、痛みには理由があり、その多くは条件によって変わります。「自分は痛い体質だから仕方ない」とあきらめる前に、何が痛みを強くしているのかを知っておくと、次の受診が変わります。

痛みが強くなるのは、この4つのときです

条件なぜ痛くなるのかできること
力が入っている膣の入口を囲む骨盤底筋が締まり、器具や指が通りにくくなる息を吐く・脚の力を抜く(次で詳しく)
炎症があるカンジダ・細菌性膣症・膀胱炎などで粘膜が敏感になっている「触れると痛い」と先に伝える
乾燥している授乳中や更年期以降はエストロゲンが減り、粘膜が薄く乾きやすい潤滑ゼリーを使ってもらう
お尻の位置が浅い台の奥に座っていると、医師が角度をつけて力を入れる必要が出る「もう少し下に」と言われたら遠慮なく下げる

3つ目の乾燥は見落とされがちです。萎縮性膣炎(閉経後の膣の乾燥や炎症)があると、器具が触れるだけで痛むことがあります。これは我慢する種類の痛みではなく、治療の対象になる状態です。痛みを伝えることが、そのまま次の相談につながります。

力を抜くための、具体的な5つの方法

「力を抜いてください」と言われても、それができないから困るのですよね。実際に効きやすい順に挙げます。

  • 息を止めない。細く長く吐く。息を止めると全身に力が入ります。器具が入るタイミングで「ふーっ」と吐き続けるのがいちばん効きます
  • 膝を外に倒し、閉じようとしない。脚を閉じようとする力は、そのまま膣の入口の力になります
  • 手を握らない。こぶしを握ると連動して下半身にも力が入ります。手すりに軽く添える程度に
  • お尻を台の端まで下げる。浅く座っているほど痛くなります。下げるのが正解です
  • 天井の一点を見るか、目を閉じて呼吸だけ数える。「いま何をされているか」を追うほど身構えます
痛かったら、その場で言っていいです
「痛いです」「少し止めてください」と言うことで、医師は器具のサイズを替えたり、角度を変えたり、いったん中断したりできます。黙って耐えると、医師は「問題なく進んでいる」と判断してそのまま続けます。声を出すことは、わがままではなく情報提供です。

「感じたらどうしよう」「声が出たら」に答えます

検索データを見ると、「産婦人科 内診 感じる」「婦人科 内診 声が出る」という言葉で調べている方が、毎月かなりの数いらっしゃいます。けれど、この疑問に正面から答えているページはほとんどありません。誰にも聞けないまま、受診をやめてしまう方もいます。ここで書いておきます。

濡れること・声が出ることは、恥ずかしい失敗ではありません

膣の粘膜は、触れられれば分泌が増えます。これは意思とは関係のない反射で、緊張していても、痛みを感じていても起こります。快感の証拠ではなく、粘膜が自分を守るための反応です。

声についても同じです。器具が入るときや、お腹を押されたときに声が出るのは、痛みや驚きへの反応として自然なことです。医療者はどちらも日常的に目にしていて、特別なこととは受け止めていません。

それでも気になる方へ、実際に役に立つことをいくつか挙げます。

  • 気になるなら、先に「緊張しやすいです」とだけ伝えておく。理由まで説明する必要はありません
  • 声が出そうなときは、息を吐くほうに意識を向ける。呼吸と声は同時に出しにくいです
  • 診察が終わったあとに、ナプキンやおりものシートで整えられるよう1枚持っておく

恥ずかしさをゼロにしようとしなくて大丈夫です

「慣れれば平気」という言葉は、いま不安な方にはあまり役に立ちません。恥ずかしいと感じること自体は、なくす必要のあるものではありません。大切なのは、恥ずかしさが受診しない理由になってしまわないことです。

不正出血やおりものの変化を放置したまま時間が過ぎることのほうが、体にとっては大きな問題になります。不正出血のように、原因を早く確かめたほうがよい症状ほど、内診をためらう気持ちが強くなりがちです。

内診は断れる?|断ったときの代わりの方法

結論から書きます。内診は、あなたの同意なしに行われる診察ではありません。「今日は内診を受けたくありません」と伝えることができますし、それによって診てもらえなくなるということもありません。

ただし、断ることには限界もあります。代わりの方法で何がどこまでわかるのかを、正直に整理します。

代わりの方法できること限界
経腹超音波(お腹の上から)子宮や卵巣の大きな変化、妊娠の確認解像度が落ちる。膀胱に尿をためる必要がある。小さな変化は見えにくい
おりものの自己採取感染症の検査(施設によって対応が異なります)膣の壁や子宮の入口を目で見ることはできない
直腸診(肛門から指を入れる)子宮の後ろ側や骨盤の奥の状態膣の中は見えない。抵抗を感じる方も多い
血液検査・尿検査ホルモン・炎症・妊娠・貧血の有無形の異常はわからない
問診のみ方針の相談、次の一歩を決める診断はつかない

大事なのは「断る/受ける」の二択にしないことです。「今日は問診と超音波だけにして、次回に内診を考える」という進め方ができます。初回は話すだけにして、医師との相性を確かめてから決める方もいます。

性交経験がない場合

性交経験がない方が婦人科を避ける最大の理由が、ここにあります。実際には、次のような進め方が一般的です。

  • 膣鏡を使わず、お腹の上からの超音波で子宮や卵巣を確認する
  • 診察が必要な場合も、小児用の細い膣鏡や、指1本での確認にとどめる
  • 生理痛や生理不順の相談なら、問診・採血・経腹超音波だけで方針が立つことが多い

「処女膜が破れるのでは」という心配については、処女膜とは何かの記事で詳しく書いていますが、これは膜のように塞いでいるものではなく、経血が出るための開口部があるひだ状の組織です。診察でそこに触れる必要があるときは、必ず事前に説明があります。問診票の「性交経験の有無」は、この配慮のために聞かれています。

中学生・高校生の場合

「内診されるのが怖くて言い出せない」という理由で、生理のつらさを何年も我慢してしまう10代は少なくありません。実際のところは次のとおりです。

  • 10代の受診で内診が行われることは多くありません。生理痛・生理不順・初経の相談では、問診・お腹の上からの超音波・採血で方針が立つことがほとんどです
  • 保護者の同伴は必須ではありませんが、未成年では治療方針の説明や支払いの関係で同伴が望ましい場合があります。施設に電話で確認しておくと確実です
  • 診察室に保護者と一緒に入るか、自分だけで入るかは選べます。話しにくいことがあるときは、そう伝えて構いません
  • ピルを含む治療も、10代だからという理由だけで対象外になるわけではありません

「内診されるかもしれない」という思い込みだけで受診をやめてしまうことが、いちばんの損失です。電話予約のときに「内診はありますか」と聞いてから決めても、まったく問題ありません。

内診が必要な場面・必須ではない場面

「どういうときに内診になるのか」がわかると、身構えずに済みます。目安を整理します。

受診の理由内診の可能性補足
不正出血が続く高いどこから出血しているかを確かめる必要があるため
おりものの変化・においが気になる高い採取して調べます。おりものの色も手がかりになります
下腹部の痛みが強い・続く高い押したときの痛みが診断の手がかりになります
子宮頸がん検診あり(膣鏡診)細胞を採るために器具が必要です
性感染症の検査中〜高自己採取で対応できる施設もあります
低用量ピルの処方必須ではない問診と血圧測定が基本。ピルのもらい方を参照
ホルモンの採血必須ではない血液を調べる検査です。女性ホルモン検査を参照
緊急避妊薬の処方必須ではない問診が中心です
生理不順・生理痛の相談低〜中経腹超音波で足りることが多くあります

この表でいちばん伝えたいのは、下の3行です。ピルをもらうため、ホルモンを測るため「だけ」に内診が必要になることは、基本的にありません。「ピルを飲みたいけれど内診が怖くて相談できない」という状態は、避けられるはずのつまずきです。

どの症状でどの科に行けばよいか迷うときは、症状別・受診先の早見表も参考にしてください。

自宅のテーブルで、受診前に気になることをノートに書き出している30代の日本人女性

受診前の疑問|生理中・おりもの・VIO・お風呂

生理中でも受診していい?

症状があるなら、生理中でも受診して構いません。むしろ出血そのものが情報になる場面もあります。ただし、目的によっては日をずらしたほうがよい検査があります。

目的生理中の受診
不正出血・強い痛み・おりものの異常そのまま受診してよい
子宮頸がん検診経血で細胞の判定がしにくくなるため、終わってからが望ましい
おりものの検査経血が混じると判定しにくい。可能なら終わってから
ホルモンの採血目的によって測る日が決まっている。予約時に相談を
妊娠しているかの確認出血の有無にかかわらず受診してよい

おりものが多い日でも大丈夫?

問題ありません。むしろ、そのおりものが診断の材料になります。受診前に膣の中を洗わないでください。洗い流してしまうと、調べるべきものがなくなってしまいます。

VIOの処理はしていくべき?

必要ありません。医療者は処理の有無を見ていません。アンダーヘアの手入れは好みや衛生上の理由で選ぶもので、受診のためにするものではありません。むしろ受診直前の自己処理は、小さな傷やかぶれの原因になることがあります。

お風呂・洗い方

普段どおりで大丈夫です。デリケートゾーンの洗い方の基本と同じで、外側をぬるま湯でやさしく洗うだけにして、膣の内側は洗わないでください。石けんで洗いすぎると、かえって炎症の原因になります。

内診が怖い・つらい記憶がある方へ

「以前の内診がとても痛かった」「診察中に配慮のない言葉をかけられた」「性被害の経験があって、触れられることがつらい」——こうした背景がある方にとって、内診は単なる診察ではありません。「婦人科 内診 トラウマ」という言葉で調べる方が一定数いることが、その事実を示しています。

受診前に伝える方法(そのまま使える言い方)

いちばん確実なのは、内診台に乗る前に伝えておくことです。台の上では話しにくくなります。予約の電話、Web問診票の自由記入欄、受付での一言、どこでも構いません。理由を詳しく説明する必要はありません。

伝え方の例
  • 「以前の内診がとても痛くて不安です。細いサイズの器具でお願いできますか」
  • 「今日は内診なしで、相談だけでもいいですか」
  • 「触れられることに強い抵抗があります。進めるときに声をかけてください」
  • 「途中でつらくなったら、止めてもらえますか」

最後の一言を先に言っておくだけでも、「止められる」とわかっている状態で受けられるので、緊張がずいぶん違います。

医療機関の選び方

  • Webサイトに初診の流れが具体的に書かれている施設は、説明を大事にしている傾向があります
  • 電話で「内診が不安なのですが」と伝えたときの反応を、判断材料にしてよいです
  • 医師の性別を選びたい場合は、予約時に確認できます
  • 合わないと感じたら、別の施設に変えて構いません。我慢して通う必要はありません

痛みで体がこわばってしまう、器具がどうしても入らないという状態が繰り返すときは、膣けいれん(膣痙攣)が関係していることもあります。「気の持ちよう」ではなく、相談できる状態です。性交痛で悩んでいる場合も、背景が重なることがあります。

妊娠中の内診|妊婦健診と臨月の診察

妊娠中は内診の意味が少し変わります。時期ごとに整理します。

時期行われること目的
妊娠初期経膣超音波が中心子宮の中に妊娠しているかの確認、心拍の確認
妊娠中期毎回の内診は行われないことが多いお腹の上からの超音波と腹囲・子宮底長の計測が中心
妊娠後期〜臨月指で子宮の入口を確かめる子宮口の開き・かたさ・位置を調べ、お産の準備が進んでいるかを見る

臨月の内診は、指で子宮の入口に触れるため痛みを伴うことがあります。終わったあとに少量の出血があるのも、めずらしくありません。ただし出血が生理の日のように多い、破水したような水っぽい流れがある、強い腹痛が続く——このようなときは、内診のせいと考えずに施設へ連絡してください。

また、臨月には子宮の入口の内側に指を入れて卵膜をはがし、陣痛を促す処置が行われることがあります。俗に「内診グリグリ」と呼ばれるもので、痛みが強いことで知られています。処置の中身や陣痛との関係は内診グリグリ(卵膜剥離)とは?痛み・陣痛が来る確率・断れるのかを解説にまとめました。この処置も、事前に説明を受けたうえで受けるものです。「これから何をしますか」「今日は控えたいです」と伝えて構いません。妊娠後期の経過については妊娠10ヶ月(36〜39週)もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q 内診は指を何本入れますか?

A.通常は1本または2本です。手袋をした人差し指、または人差し指と中指を膣に入れ、もう一方の手でお腹を押して、子宮と卵巣を挟むようにして触れます。強く押している感覚があるのは、多くの場合お腹側の手によるものです。時間は30秒から1分程度で終わります。

Q 内診ではどんなことをされるのですか?

A.大きく3つに分かれます。外陰部を目で見る「視診」、器具で膣を広げて中を見る「膣鏡診(クスコ診)」、指とお腹の手で子宮や卵巣に触れる「双合診」です。必要に応じて経膣超音波が加わります。すべて行っても、台の上にいる時間は1〜3分程度です。その日に必要なものだけが行われ、内診台に乗ったら全部やるということはありません。

Q 産婦人科の内診は恥ずかしいものですか?

A.恥ずかしいと感じるのは自然なことで、無理になくす必要はありません。多くの施設ではカーテンで視線を区切る、露出を最小限にする、必要な部分だけ布を外すといった配慮がされています。カーテンを開けておきたい場合や、進行を声に出して説明してほしい場合は、その希望を伝えられます。大切なのは、恥ずかしさが受診しない理由になってしまわないことです。

Q 内診で処女膜は破れますか?

A.そもそも「膜」のように塞いでいるものではなく、開口部のあるひだ状の組織です。そのうえで、性交経験がないと伝えた場合は、膣に器具を入れない方法(お腹の上からの超音波など)が優先されます。診察上どうしても必要なときも、小児用の細い器具を使う、指1本にとどめるなどの配慮がされ、事前に説明があります。問診票で性交経験の有無を聞かれるのは、この判断のためです。

Q 生理中でも内診は受けられますか?

A.受けられます。痛みや出血などの症状があるときは、生理中でも受診してください。出血の様子そのものが診断の手がかりになることもあります。ただし子宮頸がん検診やおりものの検査は、経血が混じると判定がしにくくなるため、生理が終わってからのほうが望ましいです。予約のときに「生理中ですが大丈夫ですか」と伝えれば、日程を調整してもらえます。

Q 内診のあとに出血しました。大丈夫でしょうか?

A.子宮の入口の細胞を採ったあとや、粘膜に炎症があるときは、少量の出血が半日から1日ほど続くことがあります。おりものシートで足りる程度なら、多くは心配いりません。一方で、生理の多い日のような量が続く、鮮やかな赤い出血が止まらない、強い腹痛や発熱を伴う——このようなときは、受診した施設へ連絡してください。

Q ピルをもらうだけでも内診は必要ですか?

A.低用量ピルの処方にあたって必須とされているのは、問診と血圧測定です。内診は必須ではありません。ただし不正出血が続いている、強い下腹部痛があるなど、別に調べるべき症状があるときは、医師から内診をすすめられることがあります。心配な場合は予約時に「内診はありますか」と確認しておくと安心です。

まとめ

内診は、短時間で多くの情報が得られる診察です。そして同時に、あなたが内容を知り、希望を伝え、断ることもできる診察です。何をされるかがわかっているだけで、受診のハードルはかなり下がります。

この記事のポイントまとめ
  • 内診は「視診」「膣鏡診」「双合診」の3つに分かれ、台の上にいる時間は1〜3分程度
  • 膣に入れる指は通常1〜2本。強く押しているのはお腹側の手
  • 痛みが強くなるのは「力み」「炎症」「乾燥」「お尻の位置が浅い」とき。どれも対処できる
  • 息を細く吐き続けること、膝を閉じようとしないことが、いちばん効く
  • 濡れる・声が出るのは意思と関係のない反応で、恥ずかしい失敗ではない
  • 内診は断れる。経腹超音波・自己採取・問診だけという選び方もできる
  • 性交経験がない場合・10代の場合は、膣に器具を入れない方法が優先される
  • 低用量ピルの処方、ホルモンの採血、緊急避妊薬の処方に内診は必須ではない
  • 痛かったら、その場で「痛いです」と言ってよい。黙って耐えると伝わらない
  • 症状があっての受診は保険診療。内診と超音波で3,000〜6,000円程度が目安
  • 「異常がなければ連絡しない」方式の施設もある。会計時に結果の伝え方を確認しておく

不正出血やおりものの変化、下腹部の痛みは、時間が経つほど調べにくくなることがあります。「内診が怖いから」という理由だけで受診をあきらめてしまうのは、いちばんもったいない選択です。まずは電話で「内診はありますか」と聞くところから始めても、十分に一歩です。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編」
  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編」(子宮頸管熟化・分娩誘発の項)
  • 厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(子宮頸がん検診)
  • 厚生労働省「e-ヘルスネット」
  • 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン」
  • 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック 更年期医療編」(萎縮性腟炎の項)
  • 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤 ガイドライン」