夜中、ふくらはぎに激痛が走って飛び起きる。声も出せず、足を抱えて痛みが過ぎるのをただ待つ。おさまったあとも、そこがじんじん痛んで眠れない——こむら返りを経験したことのある方なら、この数十秒がどれほど長いかご存じだと思います。
こむら返りは、ありふれた症状です。ありふれているからこそ「年のせい」「運動不足だから」「疲れているだけ」で片づけられ、そのまま何年も続いている方が少なくありません。
けれど、女性の体にはこむら返りが増えるはっきりした時期が2つあります。ひとつは妊娠後期。もうひとつは閉経前後です。どちらも偶然ではなく、体の中で起きていることに理由があります。
この記事では、まず「今つっている方」のための対処から始めて、なぜ起こるのか、女性のどの時期に増えるのか、そして「これは病気のサインではないか」という不安にどう向き合えばいいかまでを、順番にお話しします。
- 今まさにつっている方は、この先を読まずに「今つっている方へ」だけ見てください
- 妊娠中の方は「妊娠中のこむら返り」へ
- 40代後半以降の方は「閉経前後に増えるのはなぜか」へ
- 病気が心配な方は「病気のサインなのか」へ
今つっている方へ|まずこれをしてください
つっているとき、やることはひとつです。縮んでしまった筋肉を、ゆっくり伸ばす。これだけです。
ふくらはぎがつったとき
ふくらはぎの筋肉は、つま先を下に伸ばすと縮み、つま先を手前に引くと伸びます。だから、やることは「つま先を手前(自分のほう)に引く」ことです。
- 座れるなら——足を前に伸ばして座り、つま先を手で持って、ゆっくり手前に引きます。膝は曲げないほうがよく伸びます。手が届かなければ、タオルやバスタオルをつま先にひっかけて引いてください
- 寝たまましかできないなら——仰向けのまま、つった側の足の裏を壁や布団の端に押しつけ、かかとを押し出すようにします。あるいは反対側の手でつま先をつかんで引きます
- 妊娠中でお腹が大きく、前かがみになれないなら——横向きに寝たまま、パートナーや家族につま先を押してもらいます。ひとりのときは、壁に足の裏をつけて押す方法が確実です
- 立てるなら——壁に手をついて、つった側の足を後ろに引き、かかとを床につけたまま体重を前にかけます(アキレス腱を伸ばす姿勢)
- 反動をつけて一気に伸ばす——筋肉を傷めます。ゆっくり、痛くない範囲までが原則です
- つっている最中に強く揉む——収縮している筋肉を揉むと痛みが増すことがあります。揉むのはおさまってからにしてください
- 無理に立ち上がって歩く——バランスを崩して転倒することがあります。特に夜間、暗い中では危険です
おさまったあと
痛みが引いたら、そこをやさしくさすって温めます。蒸しタオルやレッグウォーマーで温めると、その後の張った感じが和らぎやすくなります。そして、コップ1杯の水を飲んでください。理由は「水を控えていませんか」でお話しします。
こむら返り(足がつる)とは|体の中で起きていること
「こむら」とは、ふくらはぎのことです。こむら返りは、ふくらはぎの筋肉が自分の意思と関係なく強く縮み、そのまま戻らなくなる状態を指します。医学的には有痛性筋けいれん、筋クランプなどと呼ばれます。
筋肉にはセンサーがついている
筋肉には、伸び具合や張り具合を感じ取るセンサーがついています。このセンサーが「伸びすぎだ」「縮みすぎだ」という情報を脊髄に送り、脊髄が「もう少し縮め」「ゆるめろ」と指示を返す。この往復によって、私たちは意識せずに筋肉の張りを調節しています。
こむら返りは、この調節がうまくいかなくなり、「縮め」の信号が出っぱなしになった状態と考えられています。だから、意思の力ではゆるめられません。外から物理的に伸ばしてやると、センサーが「もう十分伸びた」と認識して、ようやく信号が止まる——つっているときにストレッチが効くのは、このためです。
なぜ「ふくらはぎ」なのか
足の裏、太もも、手や腹筋がつることもありますが、圧倒的に多いのはふくらはぎです。理由はいくつか考えられています。
- 体重を支え続けている筋肉で、日中の負担がもっとも大きい
- 心臓から遠く、血流が滞りやすい(「第二の心臓」と呼ばれるのはこのため)
- 寝ているとき、布団の重みでつま先が伸びた状態=ふくらはぎが縮んだ状態になりやすい
3つ目は特に重要なので、あとで詳しくお話しします。
なぜ足がつるのか|4つの引き金
こむら返りの原因はひとつではなく、いくつかの条件が重なったときに起こります。大きく4つに整理できます。
| 引き金 | 何が起きているか | こんなときに増える |
|---|---|---|
| ①水分・ミネラルの不足 | 筋肉の収縮と弛緩には、マグネシウム・カルシウム・カリウム・ナトリウムのバランスが関わります。汗や尿でこれらが失われると調節が乱れます | 夏、寝汗、下痢、利尿薬、水を控えている、極端な食事制限 |
| ②血流の低下 | 筋肉に酸素と栄養が届きにくくなり、老廃物も滞ります | 冷え、同じ姿勢が続く、むくみ、下肢静脈瘤、動かない時間が長い |
| ③筋肉の疲労・使いすぎ/使わなすぎ | 疲れた筋肉はセンサーが誤作動しやすくなります。一方、筋肉量が減ってもつりやすくなります | 久しぶりの運動、立ち仕事、ヒール、逆に運動不足・加齢による筋肉量の減少 |
| ④体の状態の変化 | 妊娠、ホルモンの変動、持病、薬など | 妊娠後期、閉経前後、糖尿病・甲状腺・腎臓の病気、特定の薬 |
多くの方は、このうち複数が重なっています。「疲れているから」だけでも、「水分不足だから」だけでもないことがほとんどです。だから対策も、ひとつだけやってうまくいかなくても、諦めないでください。
夜中・明け方に集中するのはなぜか
「昼間はつらないのに、寝ているときだけ」——これは非常によくある訴えです。夜に集中するのには、いくつも理由が重なっています。
寝ている間に起きていること
- つま先が伸びた姿勢になる——仰向けで寝ると、布団の重みや重力で足首が伸び、ふくらはぎが縮んだ状態が何時間も続きます。縮んだ筋肉は、ちょっとしたきっかけで一気に収縮しやすくなります
- 汗をかいている——人はひと晩にコップ1〜2杯分の汗をかくといわれます。寝汗が多い方はさらに多く失っています
- 水分をとらない時間が長い——夕食後から朝までの6〜10時間、まったく飲まない方が多い
- 血流が落ちる——体温が下がり、動きもないため、ふくらはぎの血流はもっとも滞りやすい状態になります
- 日中の疲労がたまった状態——立ち仕事や歩いた日の夜に多いのはこのためです
明け方に多いのは、この条件が最も強まる時間帯だからです。体は一晩かけて水分を失い、体温は明け方に最低になり、ふくらはぎは何時間も縮んだままでいる。そこで寝返りを打ったり、伸びをしたりした瞬間に——というのが典型的な流れです。
「布団の中で伸びをすると足がつる」のはなぜ?
これは非常に多くの方が経験していて、検索でもよく調べられている現象です。理由を知ると、防ぎ方も見えてきます。
伸びの姿勢は、ふくらはぎにとっては「縮み」の姿勢
朝の伸びを思い出してみてください。両手を上に伸ばして、足はつま先までピンと伸ばす——気持ちのいい姿勢です。
ところが、このときつま先を伸ばす=ふくらはぎの筋肉を最大限に縮めていることになります。すでに何時間も縮んだ状態でいた筋肉に、さらに強い収縮の指令が加わる。しかも寝起きは体温が低く、水分も足りていない。これ以上ないほど条件がそろった瞬間なのです。
つらない伸びのやり方
- 両手を上に伸ばすのはそのままで構いません
- 足は、つま先を伸ばすのではなく「かかとを前に押し出す」——つま先は自分のほうに引いたまま、かかとで壁を押すイメージです
- この向きなら、ふくらはぎは伸びる方向に動くので、つりません
- 片足ずつ、交互にゆっくり行うとさらに安全です
それでも起きてしまうときは、伸びをする前に一度、布団の中で足首をゆっくり10回まわすことを習慣にしてみてください。血流が動き出してからのほうが、はるかに起こりにくくなります。
妊娠中のこむら返り|後期に増える4つの理由
妊娠中、特に妊娠後期のこむら返りは、とてもよくある症状です。妊婦健診でも「夜中に足がつって眠れません」という相談は日常的に聞かれます。珍しいことではないので、まずは安心してください。ただし、なぜ起こるかを知っておくと対策が立てやすくなります。
①大きくなった子宮が血管を圧迫する
妊娠後期になると、子宮は下半身から心臓へ戻る太い静脈(下大静脈)を圧迫します。すると足から心臓へ戻る血液の流れが滞り、ふくらはぎの血流が悪くなります。むくみが強くなるのも同じ理由です。
仰向けで寝ているときに圧迫が強くなるため、左を下にした横向きで休むと血流が改善しやすくなります。抱き枕やクッションを足の間にはさむと、その姿勢を保ちやすくなります。
②体重が増え、ふくらはぎの負担が増す
妊娠中は体重が増え、重心も前に移動します。バランスをとるために、ふくらはぎや足裏の筋肉は日中ずっと余分な仕事をしています。「特別なことは何もしていないのに」と思っても、筋肉にとっては十分な負荷です。
③ミネラルの必要量が増える
赤ちゃんの骨や体をつくるために、カルシウム・マグネシウムの必要量が増えます。お母さんの側の余裕が減るため、不足に傾きやすくなります。加えて、つわりで食べられなかった時期があると、その影響が後になって出ることもあります。
④夜間頻尿で水分が減っている
大きくなった子宮が膀胱を圧迫するため、妊娠後期は夜中に何度もトイレに起きます。すると多くの方が「夜中に起きたくないから」と、夕方以降の水分を控えます。気持ちはよく分かるのですが、これがこむら返りの引き金になります。
- 左を下にした横向きで休む。足の間にクッションをはさむ
- 寝る前にふくらはぎを下から上へさすり上げる(強く揉まなくて構いません)
- 足を心臓より少し高くして休む時間を、1日2〜3回、10〜15分ずつ
- 水分は控えず、日中に多めにとって夕方以降を少し減らすという配分にする
- レッグウォーマーや靴下でふくらはぎを冷やさない
- 寝る前にかかとを押し出すストレッチを左右10秒ずつ
- サプリメントを自己判断で始めない。マグネシウムやカルシウムのサプリは、量によっては勧められないことがあります。必ず妊婦健診で相談してください
- 市販薬・漢方薬も自己判断で使わない。こむら返りに処方されることのある漢方薬もありますが、妊娠中に使うかどうかは医師の判断が必要です
- 強いマッサージや、ふくらはぎのツボ押しは避ける。妊娠中は避けたほうがよいとされる部位があります
- 片足だけが痛み、赤く腫れて熱をもっている場合はすぐに連絡を。こむら返りではなく血栓の可能性があります(後述)
妊娠中の体の変化については、妊娠7ヶ月・妊娠9ヶ月・妊娠10ヶ月の各記事でも詳しく触れています。むくみが強い方は足のむくみもあわせてご覧ください。
閉経前後に増えるのはなぜか|女性の体の側から
もうひとつ、こむら返りが増える時期があります。40代後半から50代です。この年代の方から「最近、夜中に足がつるようになった」という話をよく聞きます。
筋肉量が減っていく時期と重なる
筋肉量は、何もしなければ年齢とともに減っていきます。筋肉が減ると、残った筋肉ひとつあたりの負担が増え、疲労しやすく、センサーも誤作動を起こしやすくなります。「昔と同じ生活をしているだけなのに」という感覚は正しくて、体の側が変わっているのです。
血流の調節が変わる
エストロゲンには血管を広げて血流を保つはたらきがあると考えられています。閉経に向かってエストロゲンが減っていく時期には、血流の調節が不安定になり、冷えを感じやすくなる方が増えます。ふくらはぎは冷えと血流低下の影響を最も受けやすい場所です。
ただし、「エストロゲンが減るからこむら返りになる」という直接の因果が証明されているわけではありません。この時期に起こりやすい変化がいくつも重なる、と理解してください。
寝汗で水分を失うのに、水を控えてしまう
ここが、女性にとっていちばん見落とされている点だと思います。
更年期には寝汗やホットフラッシュで、夜のあいだに普段よりずっと多くの水分を失います。下着を替えるほど汗をかく方もいます。
ところが同じ時期、頻尿が気になり始める方も多い。「夜中にトイレで起きたくない」「外出先でトイレを気にしたくない」という理由で、水分を意識的に減らしているのです。
失う量が増えているのに、入れる量を減らしている。この組み合わせが、こむら返りの土台をつくります。同じ構造は尿酸値のところでも起こります。
眠りが浅く、体の回復が追いつかない
寝つけない、途中で目が覚めるという状態が続くと、筋肉の疲労も抜けにくくなります。そして皮肉なことに、こむら返り自体がさらに睡眠を妨げます。この悪循環を断つという意味でも、対策には価値があります。
生理前・生理中につりやすい方へ
「生理のころになると足がつる」という方もいます。はっきりした機序が確立しているわけではありませんが、いくつか関わりうる要素があります。
むくみと水分の移動
生理前はむくみやすい時期です。体の中で水分が移動し、血管の外に水がたまると、めぐりが滞りやすくなります。
見落とされがちな「鉄」
経血量が多い方は、鉄が不足していることがあります。鉄が足りないと酸素を運ぶ力が落ち、筋肉に酸素が届きにくくなります。
そして、鉄不足の方にはむずむず脚(じっとしていると脚がむずむずして動かしたくなる)が起こることも知られています。こむら返りとむずむず脚は別のものですが、どちらも夜間に脚の不快感として現れるため、混同されがちです。
健診で貧血を指摘されたことがある方、経血量が多い方、生理が長引く方は、一度生理と貧血の記事をご覧ください。ヘモグロビンが正常でも、貯蔵鉄(フェリチン)が減っていることがあります。
冷え
生理前後は体調全般が揺れやすく、冷えを感じる方も増えます。冷えは血流を落とし、こむら返りの条件をひとつ増やします。
ミネラルの話|マグネシウム・カルシウム・カリウム・鉄
「ミネラル不足」とひとことで言われますが、それぞれ役割が違います。
| 栄養素 | 筋肉との関わり | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| マグネシウム | 筋肉をゆるめる方向にはたらくとされます | 豆腐、納豆、アーモンド、海藻(ひじき・わかめ)、玄米、ごま |
| カルシウム | 筋肉を収縮させる方向にはたらきます。マグネシウムとのバランスが大切 | 牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、小松菜、木綿豆腐 |
| カリウム | 細胞の内外の水分・電解質バランスを保ちます | バナナ、アボカド、ほうれん草、いも類、大豆製品 |
| ナトリウム | 汗で失われます。大量に汗をかいた日は水だけでなく塩分も | みそ汁、スープ、経口補水液 |
| 鉄 | 直接の原因ではありませんが、酸素を運ぶ力に関わります | 赤身肉、レバー、あさり、小松菜、大豆 |
1日の食事に落とし込むと、こうなります
「豆・海藻・乳製品を」と言われても、実際の食卓に落とすのは案外むずかしいものです。特別なことはしなくて構いません。1日のどこかに入っていればいい、という考え方で十分です。
| 足すもの(どれかひとつで構いません) | |
|---|---|
| 朝 | ヨーグルト/納豆/しらすをごはんに/牛乳を入れたコーヒー/わかめのみそ汁 |
| 昼 | 冷奴か厚揚げの小鉢/ひじきの煮物/さばの塩焼き/チーズをひとつ |
| 夕 | 豆腐かわかめのみそ汁/小松菜のおひたし/煮豆/ごまをかける |
| 間食 | アーモンド10粒程度/ヨーグルト/バナナ |
外食・コンビニのときの選び方
自炊できない日のほうが多い、という方も多いと思います。そのときは「豆腐・海藻・乳製品・小魚のどれかが入っているものを1品足す」とだけ覚えてください。
- 定食屋——みそ汁を具だくさんのものに。冷奴やひじきの小鉢を1品追加
- コンビニ——豆腐、納豆巻き、めかぶ、ヨーグルト、素焼きアーモンド、ゆで卵。飲み物は甘い炭酸ではなく水かお茶を1本
- 麺類で済ませる日——わかめを増やす、ゆで卵か冷奴を足す。汁は飲みすぎない(塩分の摂りすぎを避けるため)
- お弁当——サラダよりひじきや切り干し大根の惣菜のほうがこの目的には向いています
- 居酒屋——冷奴、枝豆、海藻サラダ、しらすおろし。お酒と同量の水を一緒に
「バナナを食べれば治る」ではない理由
こむら返りの対策としてバナナがよく挙がります。カリウムが豊富なのは事実ですが、こむら返りの原因がカリウム不足だけとは限りません。マグネシウムが足りていない方がバナナを増やしても、変化は感じにくいでしょう。
現実的なのは、特定の食品を足すのではなく、豆・海藻・乳製品・魚のどれかが毎日食卓にあるかを見直すことです。和食に寄せると、マグネシウムとカルシウムは自然に入ってきます。
- マグネシウムのサプリは、量が多いとお腹がゆるくなることがあります
- 腎臓の機能が低下している方は、ミネラルのサプリを自己判断で始めないでください
- 妊娠中・授乳中の方も、必ず医師に相談してから
- まずは食事から。それでも続くようなら医療機関で相談するほうが確実です
水を控えていませんか|女性に多い脱水のつくり方
こむら返りの相談で最初に確認したいのが水分です。そして、思い当たる方が本当に多いところです。
女性が水を控えてしまう、5つの理由
- トイレが近くなるのが嫌だ——通勤中、会議中、外出先。トイレの心配をしたくないので飲まない
- 夜中に起きたくない——夕食後は一切飲まない、という方が多くいます
- むくむのが嫌だ——「水を飲むとむくむ」と思い込んで控えている。実際には水分が足りないほうがむくみやすくなることもあります
- 体重を気にしている——飲んだ分だけ体重が増えるのが気になる
- 忙しくて忘れている——気づいたら夕方で、その日まだ何も飲んでいない
どれも責められることではありません。ただ、この状態でこむら返りだけを止める方法はないということはお伝えしておきたいのです。
現実的な水分のとり方
- 夜中に起きたくないなら、減らすのではなく前倒しにします。起床時・午前・昼・15時ごろまでにしっかりとり、夕方以降を少なめに
- コップ1杯を朝起きてすぐ。ひと晩で失った分を戻す時間帯です
- 寝る前に一口〜半杯。飲みすぎず、ゼロにもしない
- 汗をかいた日は、水だけでなくみそ汁やスープを1杯足す
- 白湯やノンカフェインのお茶なら、体を冷やしにくくなります
コーヒー・お酒とこむら返り
「コーヒーを飲むと足がつる気がする」という声は、実際によく聞かれます。
カフェインの影響
コーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンクに含まれるカフェインには利尿作用があります。飲んだ量以上に尿として出ていくわけではありませんが、「水分をとったつもり」がそこまで水分補給になっていないということは起こります。
1日に何杯もコーヒーを飲み、それ以外の水はほとんど飲まない——という方は、コーヒーを減らすよりコーヒーとは別に水を足すほうが現実的です。
お酒の影響
アルコールの影響は、カフェインよりはっきりしています。
- 強い利尿作用がある——飲んだ量より多くの水分が尿として出ていきます
- ミネラルの排泄が増える——マグネシウムなどが失われやすくなります
- 睡眠が浅くなる——寝汗も増えやすくなります
「飲んだ日の夜中に必ずつる」という方は、この3つが重なっています。飲むなら、同量以上の水を一緒に——これだけでもかなり違います。
病気のサインなのか|受診したほうがよい場合
「足がつるのは何かの前兆では」と検索してこの記事にたどり着いた方も多いと思います。ここは正確にお伝えします。
結論|ほとんどは心配のいらないこむら返りです
こむら返りは非常にありふれた症状で、その大多数は、水分・ミネラル・血流・疲労という日常的な要因で説明がつきます。「足がつる=重い病気の前触れ」という理解は、正しくありません。
特に「脳梗塞の前兆では」という心配をされる方がいますが、こむら返り自体が脳梗塞のサインというわけではありません。脳の血管の問題で起こるのは、片側の手足の脱力やしびれ、ろれつが回らない、顔の片側が下がるといった症状で、こむら返りとは性質が異なります。
それでも、確認したほうがよい場合
ただし、次のような場合は「よくあるこむら返り」ではない可能性があるため、一度受診をおすすめします。
| こんなとき | 考えられること |
|---|---|
| ほぼ毎晩、何度も起こる | 背景に持病や薬の影響がないか確認する価値があります |
| 足のしびれ・感覚の鈍さを伴う | 糖尿病による神経の障害、腰の神経の圧迫(脊柱管狭窄症など) |
| 歩くとふくらはぎが痛くなり、休むと治まる | 足の動脈が細くなっている可能性(閉塞性動脈硬化症)。これはこむら返りとは別のものです |
| 片足だけが急に腫れ、赤み・熱感・痛みがある | 深部静脈血栓症の可能性。すぐに受診してください |
| むくみ・だるさ・体重増加・寒がりを伴う | 甲状腺のはたらきの低下(橋本病など) |
| のどの渇き・多尿・体重減少を伴う | 血糖の問題。妊娠糖尿病の既往がある方は特に |
| むくみ・尿の出が悪い・健診で腎機能を指摘された | 腎臓のはたらきの低下、電解質の異常 |
| 手や体幹もつる、力が入りにくい | 神経・筋肉の病気の可能性。神経内科での相談を |
- 片足だけが腫れて赤く、熱をもち、痛みが続く(深部静脈血栓症の疑い。妊娠中・産後・長時間の移動のあとは特に注意)
- それに加えて息苦しさ・胸の痛みがある場合は、迷わず救急受診を
- 足の色が悪い(青白い・紫っぽい)、冷たい、脈が触れにくい
- 片側の手足の力が入らない、しびれ、言葉が出にくい
何科に行けばいいか
| 状況 | 受診先 |
|---|---|
| まずどこか迷う/持病がある | 内科(かかりつけ医) |
| 妊娠中 | 妊婦健診で相談(自己判断でほかを受診する前に) |
| 足に血管が浮き出ている・むくみが強い | 血管外科・下肢静脈瘤を扱う科 |
| しびれ・腰痛を伴う | 整形外科 |
| 更年期の不調全般と一緒に相談したい | 婦人科 |
| 片足の急な腫れ・熱感 | その日のうちに内科・血管外科・救急へ |
- 「夜中に足がつることが週に◯回あって、眠れないので相談したいのですが」
- 持病や薬がある方は「今飲んでいる薬が関係していないか、確認していただけますか」
- 健診の結果を持っている方は持参してください。腎機能・血糖・甲状腺の数値があると話が早くなります
下肢静脈瘤・むくみとの関係
足の血管がぼこぼこと浮き出て見える、青い血管が目立つ——それは下肢静脈瘤かもしれません。
女性に多く、妊娠・出産がきっかけになりやすい
下肢静脈瘤は、足の静脈にある逆流防止の弁がうまく働かなくなり、血液が下にたまってしまう状態です。女性に多く、妊娠・出産をきっかけに現れることがよくあります。立ち仕事の方にも多く見られます。
症状は、見た目の血管の浮き出しのほかに、足のだるさ、重さ、むくみ、そして夜間のこむら返りです。「夕方になると足が重い」「夜中によく足がつる」という組み合わせがあるなら、一度足を鏡で見てみてください。
むくみとの関係
むくみそのものがこむら返りを起こすわけではありませんが、むくみがあるということは、その足の血流やリンパの流れが滞っているということです。同じ土台の上に、こむら返りが乗っていると考えると分かりやすいと思います。
詳しくは足のむくみで解説しています。片側だけのむくみには別の意味があることも、そちらで触れています。
飲んでいる薬が関係していることがある
意外に見落とされているのが、薬の影響です。思い当たる時期に薬が変わっていないかを振り返ってみてください。
| 薬の種類 | 関わりうる理由 |
|---|---|
| 利尿薬(血圧・むくみの薬) | 水分とミネラルが尿から出ていきます。尿酸値にも影響します |
| コレステロールを下げる薬(スタチン系) | 筋肉の症状が出ることがあります。力が入らない・広い範囲の筋肉痛を伴うときは早めに相談を |
| 一部の降圧薬 | 電解質のバランスに影響することがあります |
| ぜんそくの吸入薬・気管支拡張薬 | ふるえや筋のけいれんが出ることがあります |
| 下剤の常用 | 下痢が続くとミネラルが失われます |
| ホルモン剤・ピル | 直接の原因ではありませんが、足の腫れ・痛みが片側に出た場合は血栓の可能性を確認する必要があります |
ここに挙げた薬を、自己判断でやめないでください。血圧やコレステロールの薬は、やめることのほうがリスクになります。「この薬を飲み始めてから足がつるようになった気がします」と主治医に伝えれば、種類の変更や量の調整を検討してもらえます。低用量ピルを服用中で、片方のふくらはぎが腫れて痛む場合は、こむら返りとして様子を見ずにすぐ相談してください。
つったあとも痛い|肉離れとの見分け方
「つったのは昨日なのに、まだふくらはぎが痛い」——これもよくある相談です。
こむら返りのあとの痛み
強く収縮した筋肉は、そのあと筋肉痛のような痛みや張りを数日残すことがあります。押すと痛い、歩くと突っ張る、という程度なら、多くは自然におさまります。温める、やさしくさする、無理に伸ばしすぎないことで経過を見てください。
肉離れかもしれないとき
| こむら返りのあとの痛み | 肉離れの可能性 | |
|---|---|---|
| 痛みの出方 | じんわり張る・押すと痛い | 「ブチッ」という感覚があった |
| 歩けるか | 歩ける | 体重をかけると強く痛む・かばって歩く |
| 見た目 | 変化なし | 腫れ・内出血(青あざ)・へこみ |
| 経過 | 数日で軽くなる | 数日たっても改善しない・悪化する |
| 対応 | 温めて様子を見る | まず冷やして整形外科へ |
ポイントは「温めるか冷やすか」が逆になることです。こむら返りのあとの張りは温めますが、肉離れが疑われるとき(腫れ・内出血がある)は、まず冷やします。迷ったら冷やしてから受診してください。
足の指・土踏まずがつるとき
ふくらはぎ以外に、足の指や土踏まずがつる方もいます。原因の考え方は同じですが、次の点も関わります。
- 合わない靴・ヒール——足の指が縮んだ状態が続きます
- 冷え——足先は最も冷えやすい場所です
- 足裏の筋力低下・扁平足
対処は、つった指を手で反らせること。予防としては、足の指をグー・パーと動かす、タオルを足の指でたぐり寄せる運動が続けやすいと思います。
今夜からできる予防
ひとつだけやるなら、寝る前のふくらはぎのストレッチです。習慣にできた方から「回数が減った」という声をよく聞きます。
寝る前の3分
- ①壁を使う——壁に両手をつき、伸ばしたい足を後ろに引く。かかとを床につけたまま体重を前へ。20〜30秒、左右2回ずつ。痛気持ちいいところで止めます
- ②座って——足を前に伸ばして座り、タオルをつま先にかけて手前に引く。20〜30秒、左右2回ずつ。妊娠中でお腹が張るときは無理をしないでください
- ③足首まわし——布団の中で、左右10回ずつゆっくり。血流が動きます
そのほかにできること
- ふくらはぎを冷やさない——レッグウォーマー、靴下、夏場のエアコンの風向き。冷房の効いた部屋で寝る季節は特に
- 入浴——シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯に10分。血流と睡眠の両方によい影響が期待できます
- 布団を重くしすぎない——つま先が伸びた姿勢を固定しないため。足元の布団を少し持ち上げると楽になる方もいます
- 寝る前にコップ半分の水
- 日中に歩く——ふくらはぎは動かすことで血流が保たれます。1日のどこかで10分でも
- ヒールの日を続けない——翌日はフラットな靴に
- 夕食に豆・海藻・乳製品のどれかを入れる
生活習慣全般については更年期の生活習慣、食事は更年期の食事もあわせてご覧ください。
病院で相談できること・漢方薬のこと
受診すると何をするか
内科では、まず問診で頻度・時間帯・持病・飲んでいる薬を確認します。必要に応じて血液検査で電解質・腎機能・血糖・甲状腺のはたらきなどを調べることがあります。足の血管が心配なときはエコー検査が行われることもあります。
「こむら返りくらいで受診していいのか」と迷う方がいますが、眠れないほど繰り返しているなら、それは十分な受診理由です。睡眠が削られることの影響は、決して小さくありません。
こむら返りの記録のつけ方
受診すると、まず聞かれるのが「どのくらいの頻度で起こりますか」です。ところが、いざ聞かれると答えられないものです。痛みは強烈なのに、朝になると忘れてしまうのがこの症状の困ったところで、「たまに」としか言えず、話が進まないことがあります。
受診を考えているなら、2週間だけ記録してみてください。スマホのメモでも、カレンダーの隅でも構いません。次の5つが分かれば十分です。
| 記録すること | 書き方の例 |
|---|---|
| ①起きた日と時刻 | 「8/12 午前3時ごろ」 |
| ②場所と左右 | 「右のふくらはぎ」「左の足の指」 |
| ③そのときしていたこと | 「寝返り」「伸びをした」「立ち上がった」 |
| ④前日の状況 | 「立ち仕事」「お酒を飲んだ」「歩き回った」「暑くて汗をかいた」 |
| ⑤そのあと残った症状 | 「翌日まで痛かった」「すぐ治まった」 |
これがあると、「週◯回、右のふくらはぎ、深夜から明け方、立ち仕事の日の翌日に多い」と一言で伝えられます。医師にとっては、ここまで分かれば原因を絞り込みやすくなります。
あわせてお薬手帳と、直近の健診結果を持参してください。薬の影響や、腎機能・血糖・甲状腺の数値をその場で確認できます。
長時間の移動・旅行のとき
飛行機や新幹線、車での長距離移動のあとに足がつる、という経験をされた方も多いと思います。同じ姿勢で座り続けると、ふくらはぎの血流は大きく落ちます。そのうえ、移動中はトイレを気にして水分を控えがちです。
そしてこの状況は、こむら返りだけの問題ではありません。長時間の同じ姿勢と水分不足は、足の静脈に血のかたまり(血栓)ができる条件でもあります。いわゆる「エコノミークラス症候群」と呼ばれるものです。妊娠中・産後の方、低用量ピルを服用中の方は、この点により注意が必要です。
- 1〜2時間に一度は立って歩く。通路側の席をとると実行しやすくなります
- 座ったままでも、かかとの上げ下げ・足首まわしを10回ずつ。ふくらはぎのポンプが動きます
- 水分を控えない。「トイレに立つ回数が増える」ことは、この場面ではむしろ好都合です
- 足を組み続けない、きつい下着や締めつける服を避ける
- むくみやすい方は着圧ソックスを検討する(妊娠中の方は健診で相談してください)
- 到着後、ふくらはぎを下から上へさすり上げ、足を高くして休む時間をつくる
移動のあとに片方のふくらはぎだけが腫れて痛み、赤みや熱感がある場合は、こむら返りとして様子を見ないでください。息苦しさや胸の痛みを伴う場合はすぐに救急受診を。とくに妊娠中・産後、手術のあと、低用量ピル服用中の方は早めの相談をおすすめします。
漢方薬について
こむら返りに対して、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬が処方されることがあります。比較的よく使われる薬ですが、注意点があります。
- 芍薬甘草湯に含まれる甘草(かんぞう)は、長期に続けると血圧の上昇やむくみ、体のだるさが出ることがあります。「漢方だから安心して飲み続けられる」という薬ではありません
- ほかの漢方薬にも甘草が含まれていることが多く、重ねて飲むと量が増えます
- 妊娠中・授乳中の方、持病のある方、血圧の薬を飲んでいる方は必ず医師・薬剤師に相談してください
- 使い方(毎日飲むのか、つったときだけか)も、状態によって変わります
更年期の不調全般に漢方を検討したい方は更年期と漢方を、ホルモンの面から相談したい方はホルモン補充療法もご覧ください。
通説の検証|よく言われるけれど本当?
①「水を飲めば治る」→ 予防にはなりますが、今つっているのは止まりません
水分不足は大きな要因なので、予防としては正しい方向です。ただ、今まさに縮んでいる筋肉は、伸ばす以外に戻す方法がありません。飲むのはおさまってからで構いません。
②「バナナを食べれば防げる」→ カリウムだけの話ではありません
前述のとおりです。マグネシウム・カルシウム・水分・血流のどれが足りていないかは人によって違います。
③「運動不足だから」→ 使いすぎでも起こります
運動不足による筋肉量の減少は要因のひとつですが、久しぶりに運動した日、たくさん歩いた日、立ち仕事だった日にも起こります。「動かないから」と決めつけて急に運動を増やすと、かえって増えることがあります。
④「年のせいだから仕方ない」→ 対策の余地は十分あります
加齢は要因ですが、水分・ミネラル・冷え・ストレッチ・薬の見直しは、いくつになっても変えられます。「仕方ない」で終わらせると、睡眠が削られたままになります。
⑤「病気の前兆に違いない」→ 大多数は違います
ただし確認したほうがよい場合に当てはまるなら、一度調べる価値はあります。不安なまま眠れないより、確認して安心するほうがずっといいと思います。
⑥「お酒は関係ない」→ 関係します
利尿作用、ミネラルの排泄、睡眠の質——3つの経路で関わります。「飲んだ日の夜に多い」という実感は、根拠のある観察です。
⑦「妊娠中は我慢するしかない」→ できることがあります
寝る姿勢、水分の配分、ふくらはぎの保温、寝る前のストレッチ。薬に頼らなくても変えられる要素がいくつもあります。妊婦健診で相談してよい症状です。
よくある質問
Q こむら返りを治すにはどうしたらいいですか?
A.つっている最中は、つま先を手前(自分のほう)にゆっくり引くのが基本です。座れるなら足を前に伸ばしてつま先を持つ、届かなければタオルをかけて引く、寝たままなら足の裏を壁に押しつけます。反動をつけないこと、つっている最中に強く揉まないことが大切です。おさまったら温めて、水を1杯飲んでください。
Q 就寝中のこむら返りの原因は何ですか?
A.夜は条件が重なります。布団の重みでつま先が伸び、ふくらはぎが縮んだ姿勢が何時間も続くこと、寝汗で水分とミネラルを失うこと、夕食後から朝まで水分をとらないこと、体温が下がり血流が落ちること、日中の疲労が残っていること。明け方に多いのは、これらが最も強まる時間帯だからです。
Q 足がつるのは何かの病気のサインですか?
A.大多数は、水分・ミネラル・血流・疲労で説明のつくものです。ただししびれを伴う/歩くと痛くなり休むと治まる/片足だけ急に腫れて赤く熱い/ほぼ毎晩繰り返すといった場合は、糖尿病・腰の神経・足の動脈や静脈・甲状腺・腎臓などの確認をおすすめします。特に片足の急な腫れと熱感は、血栓の可能性があるためその日のうちに受診してください。
Q 妊娠中によく足がつります。大丈夫でしょうか?
A.妊娠後期のこむら返りは非常によくある症状で、それ自体が赤ちゃんに影響するものではありません。子宮による血管の圧迫・体重増加・ミネラル需要の増加・夜間頻尿による水分不足が重なって起こります。左を下にした横向きで休む、寝る前にふくらはぎを伸ばす、水分は減らさず時間帯を前倒しにする、といった対策が現実的です。サプリや漢方薬は自己判断で使わず、妊婦健診で相談してください。
Q 布団の中で伸びをすると必ずつります。どうすれば?
A.伸びをするときにつま先まで伸ばすと、ふくらはぎを最大限に縮めることになるのが原因です。何時間も縮んだ状態でいた筋肉に、さらに強い収縮が加わります。つま先を伸ばすのではなく、つま先を自分のほうに引いたまま「かかとを前に押し出す」やり方に変えてください。伸びの前に足首を10回まわしておくと、さらに起こりにくくなります。
Q コーヒーを飲むと足がつる気がします。関係ありますか?
A.カフェインには利尿作用があり、「水分をとったつもり」ほど補給になっていないということが起こります。コーヒーを何杯も飲み、それ以外の水はほとんど飲まないという方は要注意です。現実的な対策は、コーヒーを減らすことよりコーヒーとは別に水を足すこと。お酒はさらに影響が大きく、利尿作用・ミネラルの排泄・睡眠の質の3つが重なります。
Q つったあと、ふくらはぎがずっと痛いのですが
A.強く収縮したあとに、筋肉痛のような張りが数日残ることはよくあります。押すと痛い・歩くと突っ張る程度なら、温めてやさしくさすりながら様子を見てください。ただし「ブチッ」という感覚があった、体重をかけると強く痛む、腫れや内出血がある場合は肉離れの可能性があります。その場合は温めずにまず冷やして整形外科を受診してください。
Q 更年期になってから増えました。ホルモンのせいですか?
A.「エストロゲンが減るからこむら返りが起こる」という直接の因果が証明されているわけではありません。ただしこの時期には、筋肉量が減る・血流の調節が不安定になる・寝汗で水分を失う・頻尿を気にして水を控える・眠りが浅く疲れが抜けないという変化がいくつも重なります。「ホルモンのせい」と一言で片づけるより、重なっている要素をひとつずつ外していくほうが、実際には変化を感じやすいはずです。
Q サプリメントを飲んだほうがいいですか?
A.まずは食事からをおすすめします。豆・海藻・乳製品・魚のどれかが毎日の食卓にあるかを見直すほうが確実です。マグネシウムのサプリは量が多いとお腹がゆるくなることがあり、腎臓の機能が低下している方、妊娠中・授乳中の方は自己判断で始めないでください。食事を見直しても続くようなら、サプリを足す前に一度受診して原因を確認するほうが近道です。
Q 何回くらい起きたら受診の目安ですか?
A.明確な基準はありませんが、目安としては週に何度も起こる、そのために睡眠が削られている、対策をしても変わらないなら受診をおすすめします。「こむら返りくらいで」と遠慮される方が多いのですが、眠れないほど繰り返しているなら十分な受診理由です。持病や飲んでいる薬がある方は、それが関係していないかを確認する意味もあります。
まとめ
こむら返りは、あまりにありふれているせいで「そういうもの」として扱われがちです。けれど、夜中に飛び起きて痛みが過ぎるのを待つ時間も、そのあと眠れない時間も、本当は減らせるものです。
そして女性の場合、増える時期には理由があります。妊娠後期は、子宮が血管を圧迫し、体重が増え、ミネラルの必要量が増え、夜間頻尿で水分を控えてしまう時期。閉経前後は、筋肉量が減り、血流の調節が変わり、寝汗で水分を失うのに頻尿を気にして水を控える時期。どちらも「年のせい」でも「気のせい」でもありません。
今夜できることは、寝る前にふくらはぎを20秒ずつ伸ばして、コップ半分の水を飲んで、レッグウォーマーを履く——それだけです。それで減らない、あるいは眠れないほど繰り返すなら、そのときは遠慮せずに受診してください。
- つっているときはつま先を手前にゆっくり引く。反動をつけない、最中に強く揉まない
- こむら返りは筋肉のセンサーの誤作動で「縮め」の信号が出っぱなしになった状態
- 引き金は①水分・ミネラル ②血流 ③筋肉の疲労や筋肉量 ④体の状態の変化の4つ。多くは複数が重なっている
- 夜に多いのは、つま先が伸びた姿勢・寝汗・水分をとらない時間の長さ・血流低下が重なるため
- 布団で伸びをするとつるのは、つま先を伸ばす=ふくらはぎを最大限に縮める動きだから。「かかとを押し出す」伸びに変える
- 妊娠後期は、子宮による血管の圧迫・体重増加・ミネラル需要増・夜間頻尿での水分不足が重なる。左を下にした横向きで休む
- 閉経前後は、筋肉量の減少・血流の調節の変化に加え、寝汗で失うのに頻尿を気にして水を控えるという組み合わせが起こりやすい
- 経血量が多い方は鉄も確認を。ヘモグロビンが正常でもフェリチンが減っていることがある
- 利尿薬・コレステロールの薬などが関係することがある。ただし自己判断でやめない
- 片足だけが急に腫れて赤く熱い場合は血栓の可能性。その日のうちに受診
- つったあとの張りは温める。「ブチッ」・腫れ・内出血があれば肉離れを疑い、冷やして整形外科へ
- 芍薬甘草湯は処方されることがあるが、甘草を長期に続けると血圧上昇やむくみが出ることがあり、自己判断は避ける
参考文献
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン 産科編」
- 日本静脈学会「下肢静脈瘤に関する診療ガイドライン」
- 日本循環器学会「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断・治療・予防に関するガイドライン」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」
- 日本東洋医学会「漢方治療エビデンスレポート」
- 日本神経学会「有痛性筋けいれん(筋クランプ)に関する解説」
- 日本整形外科学会「肉離れ(筋挫傷)について」