体温計が37.0℃を示す。だるいような、熱っぽいような感じが何日も抜けない。けれど寝込むほどではない——。

微熱は、いちばん相談しにくい体調不良かもしれません。数字としては小さく、休むほどではなく、それでも確かに調子が悪い。「気のせいかな」と思っているうちに何週間も経ってしまいます。

この記事では、まず「それは本当に微熱なのか」を確かめるところから始めます。とくに生理のある方には、微熱と間違えやすい体の仕組みがあります。そこを外すと、原因のない不調を延々と探すことになります。

「微熱」は何度から?——平熱を知らないと決められない

よく検索される問いから答えます。「37.0℃は微熱ですか」——これは、あなたの平熱によります。

平熱には大きな個人差があります
日本人の平熱はおおよそ36.6〜37.2℃の範囲に分布しているという調査があり、37.0℃が平熱の人も普通にいます。「37.0℃=熱がある」と決まっているわけではありません。
逆に、平熱が35℃台の人にとっては36.8℃でも「いつもより高い」ことになります。

つまり、大事なのは絶対の数字ではなく「自分の平熱より何度高いか」です。

考え方 目安
自分の平熱より0.5℃以上高い これが実質的な「微熱」の目安です
37.5℃以上 一般に「発熱」として扱われる線
38.0℃以上 はっきりした発熱。原因を調べる対象

平熱の測り方

「自分の平熱を知らない」という方がほとんどです。まずここから始めてください。

体調のよい日に、1日4回・数日間
  • 起きてすぐ(動く前)/午前中/夕方/寝る前
  • 同じ体温計を使い、同じ場所(わきの下なら同じ側)で測る
  • わきの汗を拭いてから、しっかり挟んで測る

体温は1日のうちで0.5℃前後動きます。朝がいちばん低く、夕方に高くなるのがふつうです。「夕方だけ37.2℃」は、それだけでは異常ではありません。

測り方で0.5℃くらいは簡単に変わります

次のときは高めに出ます。測り直してから判断してください。

  • 食事・入浴・運動の直後
  • 厚着をしていた、暖房の効いた部屋にいた
  • わきに汗をかいたまま測った(逆に低く出ることもあります)
  • 体温計の当て方が浅い、時間が足りていない

同じ日に測っても数字が違う理由

「さっきは37.1℃だったのに、いま測ったら36.6℃」——この差に振り回される方がとても多いので、先に説明しておきます。

クリーム色の布の上に置かれた白い体温計と、リングノート、細いペン、ドライフラワー

体温計には2つの方式があります

方式 かかる時間 特徴
予測式 20秒〜1分ほど 上がり方から最終的な体温を計算で出しています。速いぶん、条件で誤差が出ます
実測式 10分ほど 実際に温度が上がりきるまで測る。数字は安定します
多くの家庭用体温計は「予測式」です
予測式でも、そのまま外さずに10分ほど挟んでいると実測値に切り替わる製品があります。取扱説明書を確認してみてください。
経過を追いたいときは、同じ体温計で・同じ方式で・同じ側のわきで測る。これだけで、数字のばらつきはかなり減ります。

測る場所でも変わります

場所 出やすい値
わきの下 日本でいちばん一般的。低めに出ます
口の中 わきより0.2〜0.5℃ほど高く出ます
耳(鼓膜) 速いが、当て方で差が出やすい
おでこ・非接触 手軽だが、室温や汗の影響を受けます
基礎体温は別の測り方です

周期との関係を確かめたいときに使う基礎体温は、婦人体温計で、口の中で、朝目が覚めて体を起こす前に測ります。0.01℃単位で表示されるのはこのためです。

ふだんの体温計(わきで測るもの)とは、目的も測り方も違います。混同すると「基礎体温が高いから熱がある」と誤解してしまいます。

まず確かめてほしいこと——それは「高温期」ではありませんか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

生理のある方の体温は、1か月のあいだで規則的に上下しています。排卵を境に、後半は体温が上がるのです。

時期 体温 感じ方
生理〜排卵まで(低温期) 低めで安定 ふだんの調子
排卵後〜生理前(高温期) 0.3〜0.5℃ほど上がる 「熱っぽい」「だるい」と感じやすい
生理が始まると 下がる すっと楽になる
高温期は約2週間続きます

つまり「微熱が2週間くらい続いて、生理が来たら治った」という経過は、体温の変動として説明がつきます。病気ではありません。

プロゲステロン(黄体ホルモン)という、排卵後に増えるホルモンの働きによるものです。この時期に37.0〜37.3℃くらいになるのは、めずらしいことではありません。

見分け方はひとつです

生理が始まったときに下がるかどうか
生理開始とともに熱っぽさが引くなら、それは高温期です。逆に生理が来ても続く・周期と関係なく続くなら、別の原因を考えます。
確かめるには基礎体温をつけるのがいちばん早い方法です。2周期つければ、自分の体温がどう動いているかが目で見えます。

生理前の熱っぽさそのものについては生理前の微熱に詳しくまとめています。あわせてPMSの症状として出ている場合もあります。

高温期が来ない・ずっと高いままの場合

基礎体温をつけてみて、二相に分かれない(低温期と高温期の差がはっきりしない)場合は、排卵が起きていない可能性があります。無排卵月経にまとめています。

また高温期が3週間以上続いているなら、妊娠している可能性があります。妊娠検査薬で確かめてください。妊娠初期症状として熱っぽさが出ることはよくあります。

周期と関係なく続くとき、考えられること

生理が来ても引かない、そもそも周期と関係なく続いている——その場合に考えるものを整理します。

背景 いっしょに出やすいこと
感染のあと(感染後微熱) いちばん多い。風邪やインフルエンザのあと、数週間続くことがあります
甲状腺の病気 動悸・汗・体重が減る・手のふるえ(バセドウ病
自律神経の乱れ だるさ・めまい・眠れない。緊張やストレスと連動する自律神経失調症
貧血・鉄不足 だるさ・立ちくらみ・息切れ。熱っぽさとして感じることがあります
更年期 ほてり・のぼせ・汗。「熱がある感じ」と体温は別(後述)
慢性的な炎症・膠原病 関節の痛み・発疹・口や目の乾き。血液検査で調べます
薬の影響 飲みはじめた時期と一致するかを確認
歯・のど・尿路などの慢性の感染 痛み・違和感が続いている

更年期の「ほてり」と微熱は別のものです

混同されやすいので分けておきます。

微熱 ほてり(ホットフラッシュ)
体温計の数字 実際に上がっている 測ると平熱のことが多い
出方 1日を通してだらだら続く 数分で急に来て、引く
場所 全身 顔・首・上半身から
あまり伴わない どっと出ることが多い

「熱っぽいのに測ると平熱」で、波のように来ては引くなら、微熱ではなくほてりです。ホットフラッシュにまとめています。

女性に多い背景

微熱が続くという相談は、女性のほうが多く寄せられます。理由はいくつか重なっています。

  • 周期による体温変動がある——高温期を微熱と受け取ってしまう(前述)
  • 甲状腺の病気が女性に多い——橋本病バセドウ病とも男性より圧倒的に多い
  • 鉄が不足しやすい——生理で毎月失うため
  • 膠原病の多くが女性に多い
  • 妊娠初期に体温が高い時期がある
まず整理すべきは「周期との関係」です
原因を1つずつ疑っていく前に、生理周期と重なっているかどうかを確かめる。これだけで、探す範囲が半分になります。その意味で、基礎体温は検査より先にできる「最初の1手」です。

いつ受診する?——期間で線を引く

「このくらいで病院に行っていいのか」が分からないまま続いてしまう症状なので、目安を書きます。

状況 どうするか
数日で治まった 様子を見て構いません
2週間以上続いている ここが受診の目安です
体重が減っている 期間にかかわらず受診してください
寝汗でパジャマを替えるほど 同上
関節の痛み・発疹・リンパの腫れを伴う 同上
38℃以上が続く、息苦しい、強い痛みがある すぐに受診してください
受診をためらう必要はありません

「微熱くらいで」と思うかもしれませんが、2週間以上続く微熱は、医師にとって調べる理由になる訴えです。大げさな受診にはなりません。

受診先は内科です。生理周期と連動しているようなら婦人科でも構いません。

受診の前にそろえておくもの

微熱は、診察室では「症状がない」ように見えてしまいます。そのとき体温が平熱なら、なおさらです。だから記録が効きます。

1〜2週間、1日2回だけ記録する
  • 朝起きてすぐ夕方の体温(同じ時間帯に)
  • 生理が始まった日——これがいちばん重要な情報です
  • その日のつらさを3段階で(平気/気になる/支障が出た)
  • ほかの症状(だるさ・関節の痛み・汗など)

アプリでも手帳でも構いません。「体温のグラフと、生理の初日」がそろっていれば、診察の会話がまったく変わります。

診察で調べられること

調べるもの 何が分かるか
血液検査(炎症の値) 体のどこかで炎症が起きていないか
甲状腺のホルモン 健診には含まれていません。疑って調べる必要があります
血算・フェリチン 貧血と、蓄えの鉄の状態
尿検査 尿路の感染がないか
必要に応じて画像検査 胸部などに原因がないか

「甲状腺とフェリチンも調べてもらえますか」——この一言を添えるかどうかで、検査の内容が変わることがあります。どちらも女性で見落とされやすく、どちらも微熱やだるさの背景になりうるものです。

「異常なし」と言われたあと

実は、この記事を読んでいる方でいちばん多いのは、すでに受診して「異常なし」と言われた状態かもしれません。

検査で何も出なかったのに、症状は続いている。それでも「気のせいではありません」と、まず書いておきます。

考えられること どうするか
実は平熱の範囲だった 記録をつけると分かります。体温そのものより「いつもと違う感じ」が本体のことも
周期による変動だった 生理の初日と体温を並べてみる
感染のあとで、時間が必要な段階 数週間かけて戻ることがあります
自律神経の働きが関わっている 睡眠・生活リズムの立て直しが効くことがあります
まだ調べていない項目がある 甲状腺・フェリチンを調べたか確認する
体温を測る回数を、いったん減らしてみてください

微熱が気になると、1日に何度も測るようになります。すると0.1℃の上下に一喜一憂して、そのこと自体がつらさになります。

体温は1日で0.5℃くらい動くのがふつうです。朝と夕方の2回だけと決めてしまうほうが、経過も分かりやすくなります。

再受診してよい目安
  • さらに2週間以上続いている
  • 体重が減ってきた、寝汗が増えた
  • 新しい症状が加わった(関節の痛み・発疹・リンパの腫れなど)
  • 前回の検査で甲状腺を調べていない

「この前も異常なしだったから」と遠慮する必要はありません。経過が長くなること自体が、新しい情報です。

続くあいだ、どう過ごすか

原因を調べている最中も、日常は続きます。「熱があるほどではないけれど、本調子でもない」時期をどう過ごすかを書いておきます。

休んでいいかどうかの目安

状況 考え方
37.5℃以上ある 休む理由になります。職場に説明もしやすい線です
のどの痛み・咳を伴う 人にうつる可能性がある段階。休んでください
だるさで仕事にならない 体温の数字は関係ありません。支障が出ているなら休んでよい
微熱だけで、動ける 無理のない範囲で。ただし予定を詰めない
「熱がないのに休むのは申し訳ない」と思わないでください
37.0℃で休みにくいのは、多くの人が感じることです。ただ判断の基準は数字ではなく、仕事や生活に支障が出ているかどうかです。
説明しづらければ「微熱とだるさが続いていて、受診しています」で十分です。診断名を言う必要はありません。
やわらかな日差しの入るリビング。ソファにたたんだグレーのブランケットと、温かい飲み物のマグ、水のグラス、閉じた本

日常でできること

  • 水分をこまめに。わずかな体温上昇でも、水分は失われます
  • 睡眠を最優先にする——回復にいちばん効きます(睡眠の問題
  • 厚着をしすぎない。こもった熱で数字が上がることがあります
  • 食事は量より回数。食欲がないときは、食べられるものを少しずつ
  • 鉄とたんぱく質を意識する生理中の食べ物に一覧があります)
  • 予定を減らす——「治ったら戻す」でよい
いちばん避けたいのは「気合いで乗り切ろうとすること」です

微熱は寝込むほどではないぶん、いつもどおり動いてしまいがちです。けれど体が回復にエネルギーを使っている時期に予定を詰めると、その状態が長引きます。

7割くらいで回すつもりでいるほうが、結果として早く戻ります。

よくある質問

Q 37.0℃は微熱ですか?

A.あなたの平熱によります。平熱が37.0℃前後の人は珍しくなく、その場合37.0℃は平熱です。逆に平熱が36.0℃の人にとっては1.0℃高いことになります。判断の目安は「自分の平熱より0.5℃以上高いか」です。また体温は夕方に高くなるので、夕方だけ37.2℃というのは、それだけでは異常とはいえません。まず体調のよい日に平熱を測っておいてください。

Q 生理前になると毎回熱っぽくなります。異常でしょうか?

A.排卵後は体温が0.3〜0.5℃上がるので、熱っぽく感じるのは自然なことです。この時期は約2週間続き、生理が始まると下がります。「毎回、生理が来ると楽になる」なら、体温の変動として説明がつきます。ただしだるさで生活に支障が出ているなら、それは相談してよいことです。PMSとして対処できる場合があります。

Q 熱っぽいのに測ると平熱です。どういうことですか?

A.「熱感」と「体温」は別のものです。体温が上がっていなくても、血管が広がって顔や上半身が熱く感じることがあります。数分で来て引くならホットフラッシュ、一日じゅう続くなら自律神経の乱れが関わっていることがあります。いずれも「気のせい」ではありません。

Q 風邪のあと、微熱だけがずっと残っています。

A.感染のあとに微熱やだるさが数週間残ることはよくあります。体が回復の途中にある段階で、時間とともに戻っていくことが多いものです。ただし体重が減っている、寝汗が続く、咳が長引いているといった場合は別です。また「風邪のあと」だと思っていたものが、別の原因の始まりだったということもあります。2週間以上続くなら、一度受診してください。

Q 解熱剤を飲んで下げたほうがいいですか?

A.微熱そのものを薬で下げる必要は、通常ありません。むしろ飲み続けていると、原因を確かめる手がかりになる体温の動きが見えなくなります。つらさをやわらげる目的で使うのは構いませんが、「毎日飲んで下げ続ける」使い方は避けてください。そして解熱剤でごまかせている状態が続いているなら、それ自体が受診の理由です。

Q 妊娠している可能性はありますか?

A.妊娠すると高温期が続くため、熱っぽさが長引くことがあります。目安は「高温期が3週間以上続いている」または「生理予定日を1週間過ぎている」こと。心当たりがなくても、まず妊娠検査薬で確かめてから次を考えるほうが、話が早く進みます。ほかの症状は妊娠初期症状にまとめています。

まとめ

この記事のポイントまとめ
  • 「37.0℃=微熱」ではありません。目安は自分の平熱より0.5℃以上高いかどうか
  • 体温は1日で0.5℃ほど動く。夕方に高いのはふつう
  • 排卵後の約2週間は体温が0.3〜0.5℃上がる。「微熱が2週間続いて、生理が来たら治った」は体温の変動で説明がつく
  • 見分ける鍵は「生理が始まったときに下がるか」
  • 周期と関係なく続くなら、甲状腺・鉄・自律神経・感染のあとなどを考える
  • 受診の目安は2週間。体重減少・寝汗があれば期間にかかわらず受診
  • 診察では「甲状腺とフェリチンも調べてもらえますか」の一言を添える
  • 「異常なし」と言われても気のせいではない。ただし測る回数はいったん減らす

微熱は、休むほどではないのに確かにつらい、という中途半端さがいちばんの負担です。そのぶん「たいしたことない」と自分に言い聞かせて、何週間も過ごしてしまいがちです。

まず自分の平熱を知ること、そして生理の初日と並べてみること。この2つだけで、その熱っぽさが何なのかがかなり見えてきます。それでも続くなら、それは相談していいことです。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本臨床内科医会「わかりやすい病気のはなし 不明熱」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「体温調節のしくみ」
  • 日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン」
  • 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編」
  • 田坂定孝ほか「健常日本人腋窩温の統計値について」日本臨床. 1957.
  • 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック 更年期医療編」