「ピルを飲み忘れた!どうすればいい?」——ピルを服用している方なら一度は感じたことがある焦りではないでしょうか。飲み忘れへの対処法は、何日分飲み忘れたかシートのどの位置かによって変わります。間違った対処をすると避妊効果が下がる可能性があるため、正しい手順を知っておくことがとても大切です。

この記事では、低用量ピル(21錠・28錠シート)の飲み忘れについて、状況別の対処法・妊娠リスク・不正出血への対応まで、わかりやすく解説します。

この記事は低用量ピル(LEP・OC)を対象としています アフターピル(緊急避妊薬)や中用量ピルの飲み忘れ対処とは異なります。服用中のピルの種類が分からない場合は、処方した医師・薬剤師に確認してください。

ピルを飲み忘れた!まず確認すること

「飲み忘れ」の定義——何時間過ぎたらアウト?

低用量ピルの飲み忘れについて、日本産婦人科学会の指針では「決められた服用時刻から24時間以上経過した場合」を飲み忘れとして扱うことが多いです(製品により異なる場合があります)。

つまり、「いつも夜10時に飲んでいるのに、翌日の夜10時より前に気づいた」という場合は、原則として1錠飲み忘れの対処(気づいたときにすぐ飲む)を取ります。

飲み忘れの定義の目安
  • 24時間以内に気づいた:1錠飲み忘れ → 気づいた時点ですぐ服用する
  • 24〜48時間気づかなかった:1錠飲み忘れ(2錠分の遅れ)→ 注意が必要
  • 48時間以上気づかなかった:2錠以上の飲み忘れ → 慎重な対処が必要
※WHO(世界保健機関)のガイドラインでは「12時間以上」を飲み忘れとする製品もあります。服用中の製品の添付文書・処方医の指示を優先してください。

いつのシートの何錠目かを確認する

21錠タイプと28錠タイプでは数え方が変わります。自分の飲んでいるものがどちらか分からない場合は、ピルの種類低用量ピルの製品ごとの違いでシートの構成を確認できます。

飲み忘れへの対処はシートの「どの位置の錠剤か」によっても変わります。まず自分のシートを見て、今何錠目を飲んでいる段階かを確認しましょう。

  • シート前半(1〜7錠目):服用開始〜1週間。無排卵効果がまだ固まっていないため、飲み忘れのリスクが最も高い時期
  • シート中盤(8〜14錠目):2週目。ホルモンレベルが安定しているため、1錠の飲み忘れによるリスクは比較的低い
  • シート後半(15〜21錠目):3週目。次の休薬期間に近いため、飲み忘れ方によっては対処法が異なる

何時間までなら「飲み忘れ」にならない?

検索でいちばん多く聞かれている質問です。まずここに答えます。

低用量ピルは「24時間」がひとつの区切り

一般的な低用量ピル(エストロゲンと黄体ホルモンの配合剤)では、いつも飲んでいる時刻から24時間以内に気づいて飲めば、避妊効果は保たれていると考えられています。

つまり数時間のずれで慌てる必要はありません。朝8時に飲んでいる人が、夜10時に「飲んでいない」と気づいた——これは24時間以内なので、気づいた時点で飲めば大丈夫、という考え方になります。

いつも飲む時刻からの経過 扱い やること
数時間〜24時間以内 ずれの範囲 気づいた時点ですぐ1錠。次はいつもの時刻に
24時間を超えた(=1錠ぶん飛んだ) 飲み忘れ 気づいた時点で1錠。同じ日にもう1錠(合計2錠になることがある)
48時間以上(=2錠ぶん以上) 影響が大きい飲み忘れ 下の章の対応へ。コンドームの併用が必要

※薬の種類によって考え方が異なります。処方時に渡された説明書と添付文書の記載を優先してください。

【重要】ミニピルはルールがまったく違います

ここを混同すると危険です。

ミニピル(黄体ホルモンだけの薬)は、許容できるずれがずっと短い

低用量ピルの「24時間」という感覚でミニピルを扱うと、気づかないうちに避妊効果が落ちます。ミニピルは数時間のずれでも飲み忘れとして扱う設計になっており、毎日ほぼ同じ時刻に飲むことが前提です。

授乳中や、エストロゲンが使えない事情があってミニピルを処方されている場合は、必ず自分の薬の添付文書で許容時間を確認してください。詳しくはミニピルとはで解説しています。

同じ「ピル」でも、種類によって性質が違います。自分が飲んでいるのがどれなのか分からない場合は、シートの名称を控えて処方元に確認してください。

時差のある場所へ行くとき

旅行や出張で時差がある場所へ行くと、「現地時間で何時に飲めばいいのか」で混乱します。

  • 短い滞在なら、日本時間のままで飲むのがいちばん簡単です。スマホの時計とは別に、日本時間のアラームを1つ残しておきます
  • 長い滞在なら、少しずつ時刻をずらして現地時間に合わせます。一度に大きくずらすと間隔が空きすぎます
  • いずれの場合も「前に飲んでから24時間以内かどうか」で考えると判断しやすくなります
  • 飛行機の遅延・乗り継ぎを見込んで、機内持ち込みの手荷物に入れておく

旅行のために生理の時期をずらしたい場合は、生理日の移動で解説しています。移動の相談は直前ではなく、余裕をもって受診してください。

いつ飲み忘れたかで、対応が変わります

「何日ぶん忘れたか」と同じくらい大事なのが、シートのどのあたりで忘れたかです。ここは競合するどの説明よりも先に押さえてください。

理由は、低用量ピルが「排卵させない状態を保ち続ける」ことで効いているからです。効き目が切れやすいのは、その状態がもともと不安定になる時期——つまり休薬期間の前後です。

週ごとの危険度

忘れた時期 避妊効果への影響 基本の考え方
1週目(1〜7錠目) もっとも影響が大きい 休薬明けで卵胞が育ちはじめる時期。排卵につながりやすい
2週目(8〜14錠目) 比較的小さい すでに抑えられた状態が続いているため、影響は出にくい
3週目(15〜21錠目) 大きい このあとの休薬が重なると、休みが長くなりすぎる
休薬期間・偽薬の期間 —— 偽薬の飲み忘れは問題にならないが、次のシートの開始が遅れるのが危険

この表からわかるのは、「休薬期間をはさんで前後が弱い」ということです。そして最も避けたいのは、休薬期間が予定より長くなることです。

いちばん危ないのは「休薬明けの飲み始めが遅れる」こと
休薬中は薬を飲んでいないので、体は「そろそろ動き出そうか」という状態に近づいています。ここで次のシートの開始が1日でも遅れると、休みが延びたのと同じことになります。飲み忘れの中でいちばん多く、いちばん影響が大きいのがこのパターンです。

3週目に忘れたときの「休薬を飛ばす」という選択

3週目(実薬の最後のほう)で飲み忘れた場合、休薬期間をとらずに次のシートへ進むという対応がとられることがあります。休薬をはさむと「飲まない期間」が長くつながってしまうためです。

ただし、自己判断で決めないでください
  • この対応が適切かどうかは、飲んでいる薬の種類・シートの構成(21錠か28錠か)・何錠ぶん忘れたかで変わります
  • 21錠タイプと28錠タイプでは、そもそもシートの進め方が違います
  • まず処方時に渡された説明書と添付文書を確認し、判断に迷ったら処方元へ連絡してください
  • 連続して飲み続けると、途中で出血が出ることがあります。これ自体は想定される変化です

「休薬を飛ばしていいのか」は、電話で聞けば数分で答えが出る質問です。オンライン診療で処方を受けている場合も、チャットや問い合わせ窓口があります。ピルの入手方法によって連絡先は変わりますが、どの経路でも「飲み忘れたときの連絡先」は必ずあります。受け取ったときに一度確認しておくと、いざというとき迷いません。

偽薬(プラセボ)を飲み忘れたとき

28錠タイプの最後の7錠はホルモンを含まない偽薬です。これは飲み忘れても避妊効果に影響しません。

ただし偽薬には「飲む習慣を切らさない」「次のシートを始める日を間違えない」という役割があります。飛ばしてしまうと次のシートの開始日がずれやすくなるので、気づいた時点で予定どおりの日に次のシートを始められるかを確認してください。

なお偽薬を飲み忘れたぶんを、あとからまとめて飲む必要はありません。捨てて構いません。飲むべきは「次のシートの1錠目を、決められた日に始めること」です。

状況別の対処法

白いマーブル台の上に置かれた目覚まし時計・水のグラスと淡いグレーの丸石のフラットレイ。服薬の規則正しいリズムを表すミニマルなシーン

1日(24時間以内)気づいた場合

1錠の飲み忘れで24時間以内に気づいた場合は、次の手順で対応します。

  1. 気づいた時点ですぐに1錠服用する(前日分)
  2. 次の錠剤は通常通りの時間に服用する(1日に2錠服用する日になっても問題ありません)
  3. 追加の避妊措置は不要(コンドーム等の併用は必要ありません)

この対応で、避妊効果はほぼ維持されると考えられています。焦らず、まずシートから1錠取り出して飲んでください。

2日以上(48時間以上)飲み忘れた場合

2錠以上の飲み忘れは、避妊効果に影響する可能性が高くなります。基本的な対処手順は以下の通りです。

2錠以上飲み忘れた場合の基本対処(WHOガイドライン準拠)
  1. 気づいた時点で、直近の飲み忘れ分1錠だけを服用する(複数錠まとめて飲まない)
  2. 残りのシートは予定通りの順番で飲み続ける(飲み忘れ分は捨てる)
  3. その後7日間はコンドームなどの追加避妊措置を併用する
  4. 性交渉があった場合はアフターピルの検討も(詳細は後述)

なお、2錠以上まとめて飲む方法(一度に複数錠服用)は、吐き気などの副作用が出やすいうえに対処効果も限定的なため、現在は推奨されていません。

「どこで」×「何錠」の早見表

前の章で見た週ごとの危険度と、忘れた錠数を組み合わせると、対応が絞れます。

忘れた時期 1錠 2錠以上
1週目(1〜7錠目) 基本の対処+念のため7日間コンドームを併用 7日間コンドームを併用。性行為があったなら早めに連絡
2週目(8〜14錠目) 基本の対処でよいとされることが多い 7日間コンドームを併用
3週目(15〜21錠目) 基本の対処+7日間コンドームを併用 休薬を飛ばす対応が検討される。処方元に確認
休薬・偽薬の期間 偽薬の飲み忘れは影響なし。次のシートを予定どおりの日に始めることが最優先

※あくまで一般的な考え方です。飲んでいる薬の種類とシート構成によって変わるため、処方時の説明と添付文書を優先し、迷ったら処方元へ連絡してください。

3週目に2錠以上忘れた場合の選択肢は、大きく2つあります。①残りを飲み切り、休薬をはさまずに次のシートへ進む ②残りを中止して早めに次のシートを始める——どちらが適切かはシートの残り枚数と薬の種類で変わります。ここは自己判断せず、必ず確認してください。

飲み忘れ後の妊娠リスクとアフターピル

飲み忘れ後の妊娠リスクについて

不安が続くときは、いつから数えればよいかを先に決めておくと落ち着きます。一般的な妊娠検査薬は生理予定日の1週間後から使えるもので、それより早い時期の陰性は判断材料になりません。妊娠超初期の症状は生理前の不調とよく似ているため、体調で見分けようとしないでください。

正しく服用した場合の低用量ピルの避妊率は99%以上とされていますが、飲み忘れがあると避妊効果が低下する可能性があります。特に以下の条件が重なる場合、妊娠のリスクが高まるとされています。

  • シート前半(1〜7錠目)での飲み忘れ
  • 2錠以上の飲み忘れ
  • 飲み忘れ期間中に性交渉があった
  • 前周期の休薬期間と合わせて7日以上ピルなしの状態が続いた

ただし、飲み忘れがあったとしても必ずしも妊娠するわけではありません。リスクの有無は状況によって異なります。

アフターピルを検討すべきケース

アフターピルは時間が経つほど選択肢が狭まります。アフターピルとはその効果と限界をあらかじめ読んでおくと、必要になったときに迷わず動けます。費用はアフターピルの費用にまとめています。

以下の条件がすべて当てはまる場合は、アフターピル(緊急避妊薬)の服用を検討するよう日本産婦人科学会は案内しています。

アフターピルを検討する目安
  • シート前半(1〜7錠目)で2錠以上飲み忘れた
  • かつ、飲み忘れ期間中(または直前)に避妊なしの性交渉があった
アフターピルは性交渉から72時間以内に服用するほど効果が高いとされています。判断に迷う場合は早めに婦人科・産婦人科に連絡してください。→ アフターピルについて詳しく見る

「リスクがあるかもしれない」と感じたら、自己判断せずに婦人科に電話で相談することを強くおすすめします。産婦人科や婦人科のほか、オンライン診療でもアフターピルの処方を受けられるクリニックが増えています。

飲み忘れたあと、性行為をしてもいい?

検索でよく調べられている質問です。実際、これがいちばん知りたいことという人は多いはずです。

結論から書きます。

先に結論
  • 飲み忘れに気づいたら、しばらくはコンドームを併用してください。ピルだけに頼らない期間が必要です
  • 目安として連続7日間きちんと飲めるまでは、避妊効果が十分に戻っていないものとして扱います
  • すでに性行為があった場合は、時間が勝負です。次の章を読んでください

なぜ「7日間」なのか

ピルが排卵を抑える状態は、飲みはじめてすぐ完成するものではなく、数日かけて整います。飲み忘れで一度ゆるんだ状態を立て直すのにも、同じだけ時間がかかります。

この「立て直しにかかる日数」の目安が、およそ7日です。だから飲み忘れのあとは、7日連続で飲めるまでコンドームを併用するという考え方をとります。

ここで見落とされやすいのが、その7日のあいだに休薬期間が来てしまうケースです。3週目の飲み忘れが危ないのはこのためで、休薬をはさむと「立て直しの途中でまた休む」ことになります。前章の「休薬を飛ばす」という対応は、これを避けるためのものです。

避妊効果が戻るまでの目安

状況 コンドームの併用
24時間以内に気づいて、すぐ飲んだ 基本的には不要とされることが多いが、心配なら使う
48時間以上あいた 連続7日間飲めるまで併用
3日以上あいた 連続7日間飲めるまで併用。あわせて処方元へ連絡
飲み忘れが重なって、いつからずれたか分からない 併用したうえで受診

※実際の判断は薬の種類と飲み忘れの状況で変わります。処方時の説明と添付文書を優先してください。

「コンドームを使って」と言い出しにくいとき

ピルを飲んでいることを前提にしている関係では、急にコンドームを求めるのが言い出しにくい、という声があります。

そんなときに使える言い方を挙げておきます。理由まで説明しなくても構いません。

  • 「今週は薬の飲み方がずれちゃったから、しばらく使ってほしい」
  • 「病院から、この期間は併用してって言われてる」
  • 「今月はちょっと不安だから、使いたい」

納得してもらえない、話し合いにならないという場合は、その相手との性行為を見送る判断も含めて考えてください。妊娠したときに体の負担を引き受けるのは自分の側です。コンドームの正しい使い方もあわせて確認しておくと、いざというときに慌てません。

ピルは性感染症を防ぎません
飲み忘れの有無にかかわらず、ピルには性感染症を防ぐ働きはありません。とくにクラミジアは自覚症状が出にくく、気づかないまま経過することがあります。パートナーが特定でない場合は、飲み忘れとは別の理由でコンドームの併用が推奨されます。

飲んだのに「飲み忘れ扱い」になることがあります

ここは、飲み忘れの記事でほとんど触れられていない部分です。きちんと飲んだつもりでも、体に吸収されていなければ飲んでいないのと同じになります。

服用後まもなく吐いてしまったとき

錠剤を飲んだあと短時間のうちに嘔吐した場合、成分がまだ吸収されきっていない可能性があります。この場合は「1錠飲み忘れた」のと同じ扱いで対応します。

状況 考え方
飲んですぐ吐いた(錠剤がそのまま出てきた) 吸収されていない。飲み忘れと同じ扱い
飲んで数時間以内に吐いた 吸収が不十分な可能性がある。飲み忘れに準じて対応
飲んでかなり時間がたってから吐いた 吸収は進んでいると考えられる
激しい下痢が続いている 吸収が妨げられることがある。下痢が続く間は併用を考える

※「何時間以内なら吸収されていないか」の線引きは薬によって異なります。添付文書の記載を確認し、判断に迷うときは処方元へ連絡してください。

とくに気をつけたい場面

吐いたり下痢をしたりする状況は、たいてい別のことで頭がいっぱいになっています。そこで見落とされます。

  • 胃腸炎にかかったとき:数日にわたって嘔吐・下痢が続くと、その間ずっと吸収が不安定になります
  • 二日酔いで吐いたとき:飲んだ直後に吐いていないか、翌朝に思い出せないことがあります
  • 食あたり・急性の腹痛:ピルのことまで気が回りません
  • つわり:妊娠が判明した時点でピルは中止しますが、それ以前の段階で嘔吐が続いていたなら、そもそも避妊効果が落ちていた可能性があります
  • ダイエット目的の下剤:常用していると吸収が安定しません。ピルを飲んでいることを必ず医師に伝えてください

体調を崩した週は、ピルが効いていなかったかもしれない週です。その週に性行為があったなら、飲み忘れと同じ前提で考えてください。生理中の吐き気で嘔吐した場合も同じです。

薬やサプリで効果が落ちることがあります

もう一つ、見落とされやすい経路があります。ほかの薬やサプリメントとの飲み合わせです。

一部の薬は、体の中でピルの成分が分解されるスピードを速めてしまいます。その結果、きちんと飲んでいても血中の濃度が下がり、避妊効果が落ちることがあります。

とくに注意したいもの
  • セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ):気分の落ち込みに使われるハーブで、市販のサプリメントに含まれていることがあります。ピルとの併用は避けるべきものとして知られています
  • 一部の抗てんかん薬・抗結核薬・抗HIV薬
  • 一部の抗菌薬:すべての抗生物質が問題になるわけではありませんが、種類によっては影響が指摘されています

自己判断でピルをやめないでください。やめると避妊効果は確実になくなります。必要なのは「やめること」ではなく「併用してよいかを確認すること」です。

明るい木のデスクに置かれた無地のノートと2本のペン、水のグラス、リネンの布と観葉植物

ほかの科を受診するときに伝える

いちばん確実な方法は、ピルを飲んでいることをどの医療機関でも伝えることです。

  • お薬手帳に記載してもらう——これが最も確実です。口頭だと言い忘れます
  • 内科・皮膚科・歯科・整形外科など、婦人科以外を受診するときも伝える
  • ドラッグストアで市販薬やサプリを買うときも、薬剤師に「低用量ピルを飲んでいます」と伝える
  • 薬の名前が思い出せなければ「低用量ピル」と言えば伝わります

詳しい飲み合わせについては低用量ピルの効果と注意点でも解説しています。

飲み忘れ後の不正出血・生理が来たときの対処

木製のベッドサイドテーブルに置かれた目覚まし時計と白い丸い錠剤。朝の服薬タイミング管理のイメージ

なぜ不正出血・消退出血が起きるのか

飲み忘れに限らず、ピルを飲み始めた時期には少量の出血が続くことがあります。詳しくはピル服用中の不正出血飲み始め1か月の変化で解説しています。出血の色が気になるときは経血の色でわかることもあわせて確認してみてください。

ピルを飲み忘れると、血中のホルモン濃度が一時的に低下します。この急激なホルモン変動がきっかけになって、子宮内膜の一部がはがれ落ちる「消退出血」が起きることがあります。これはいわゆる「不正出血」として現れ、量は生理よりも少なく、茶色っぽいおりものや少量の出血であることが多いです。

消退出血は飲み忘れがあったことを体が知らせているサインのようなもので、それ自体が危険なわけではありません。ただし出血量が多い・痛みが強い場合は婦人科を受診してください。

生理様の出血が来たら飲み続ける?リセットする?

逆に、休薬期間になっても出血が来ないことがあります。これ自体は珍しいことではありませんが、飲み忘れが重なっているなら妊娠の可能性を先に確かめてください。詳しくはピル服用中に生理が来ないときで解説しています。ピルをやめたあとの周期については生理が来ない原因も参考になります。

飲み忘れをきっかけに「生理のような出血」が起きた場合、多くのケースではそのままシートを飲み続けることが推奨されています。出血があっても服用を自己判断で止めると、さらにホルモンバランスが崩れてしまいます。

ただし以下の場合は医師に相談してください。

  • 出血量が通常の生理と同じかそれ以上に多い
  • 出血が1週間以上続いている
  • 腹痛・発熱などほかの症状を伴っている
  • 「シートを最初からやり直すべきか」判断できない
飲み忘れ後の出血:基本の考え方
  • 少量の出血(スポッティング):シートを続けて服用しながら様子を見る
  • 生理量に近い出血が来た:シートの残り錠数や状況によって対応が変わるため、処方医に確認するのが確実
  • 次の生理が来ない・妊娠が心配:市販の妊娠検査薬は性交渉から最短2〜3週間後(月経予定日の1週間後以降が精度高い)に使用する。陽性・陰性にかかわらず婦人科受診で確認するのが確実

飲み忘れを防ぐコツ

ピルは毎日同じ時間帯に飲むことで最大限の効果を発揮します。飲み忘れを繰り返さないための習慣化のコツをいくつか紹介します。

スマホのアラーム・アプリを活用する

最もシンプルで効果的な方法がアラームの設定です。毎日同じ時間にアラームを設定しておくことで、飲み忘れの大半は防げます。

  • スマホの目覚まし機能を「ピル」という名前で毎日設定する
  • ピル管理アプリ(「ルナルナ」「ミミル」など)を使うと飲み忘れ通知・周期管理が一括でできる
  • アラームが鳴ったら必ず飲む、という習慣を徹底する

ルーティンに組み込む

飲み忘れが続いて負担に感じるなら、毎日飲まなくてよい方法に切り替えるという選択肢もあります。ミレーナ(IUS)は一度入れれば最長5年、飲み忘れという概念そのものがありません。ほかの選択肢は避妊方法の種類と選び方で比較しています。

毎日必ずやることとセットにして覚えると、飲み忘れが減ります。

  • 就寝前の歯磨きのタイミングで飲む
  • 朝の朝食・コーヒーのタイミングで飲む
  • シートをよく目につく場所(洗面台・枕元・財布の中)に置く
  • 旅行・外泊時はシートを忘れずカバンに入れておく

飲んだかどうか迷ったら?

なお、飲み忘れが多いこと自体を負い目に感じる必要はありません。毎日同じ時刻に何かを続けるのは、それだけで難しいことです。続けにくい理由が副作用にあるなら、ピルの副作用低用量ピルの副作用を読んだうえで、種類の変更を相談するという道もあります。

「今日飲んだかどうかわからない」という場合は、ピルシートを確認してください。シートから今日分の錠剤が抜けていれば飲んだ証拠、残っていれば未服用です。この確認ができるようにシートは毎日同じ場所に保管しておくのがおすすめです。

よくある質問

Q 気づいたのが翌日——2錠まとめて飲んでいいですか?

A.かつては「まとめて2錠飲む」という対処法が案内されることもありましたが、現在のWHOガイドラインでは「気づいた時点で1錠だけ飲み、残りは通常通り続ける」方法が推奨されています。2錠まとめて飲むと吐き気・頭痛などの副作用が出やすくなります。飲み忘れ分は飛ばして1錠だけ服用してください。

Q 3日以上飲み忘れた場合、新しいシートで飲み直すべきですか?

A.3日(72時間)以上飲み忘れた場合は、今のシートを続けるか新しいシートを始めるかの判断が必要です。これはシートの位置・残錠数・直近の性交渉の有無によって変わります。自己判断でシートをリセットすると出血が起こったり、次の周期がずれたりすることもあります。必ず処方した医師・産婦人科に電話で相談してください。

Q 飲み忘れた翌日にセックスをしました。妊娠の可能性はありますか?

A.「飲み忘れ1錠・24時間以内に気づいた・シート中盤以降」であれば妊娠のリスクは比較的低いと考えられています。ただし「シート前半で2錠以上飲み忘れていた・コンドームなしだった」という条件が重なる場合は、アフターピルの服用を検討してください。性交渉から72時間以内であれば、婦人科またはオンライン診療に早めに連絡することをおすすめします。

Q 飲み忘れで不正出血が続く場合、受診が必要ですか?

A.飲み忘れ直後の少量の茶色い出血(スポッティング)は数日で落ち着くことが多く、通常はそのままシートを続けて問題ありません。ただし出血量が多い・1週間以上続く・腹痛を伴うという場合は受診をおすすめします。また出血が「生理と同じくらいの量」で来た場合は、シートをどう続けるかの判断が必要なため、処方医に相談するのが確実です。

Q ピルを飲む時間は毎日ぴったり同じじゃないとダメですか?

A.低用量ピルは「毎日だいたい同じ時間帯」に飲めば問題ありません。1〜2時間のズレは避妊効果に影響しないとされています。ただし「いつも夜に飲んでいるのに翌日の夕方になってしまった」といった大幅なズレは飲み忘れと同様の対処が必要になる場合があります。習慣化のために「毎日同じ時間」を心がけるのがベストです。

Q 何時間ずれても大丈夫ですか?

A.一般的な低用量ピルでは、いつもの時刻から24時間以内に気づいて飲めば避妊効果は保たれていると考えられています。数時間のずれで慌てる必要はありません。ただしミニピルはまったく別で、数時間のずれでも飲み忘れとして扱います。自分が飲んでいる薬の添付文書で許容時間を確認してください。

Q 飲み忘れたあと、性行為をしてもいいですか?

A.避妊効果が十分に戻るまではコンドームを併用してください。目安は連続7日間きちんと飲めるまでです。飲み忘れで一度ゆるんだ状態を立て直すのにそれだけの日数がかかるためです。すでに性行為があった場合は時間が勝負になります。早めに処方元へ連絡してください。

Q 飲んだあとに吐いてしまいました。飲み忘れになりますか?

A.服用後まもなく嘔吐した場合は、成分が吸収されきっていない可能性があり、飲み忘れと同じ扱いで対応します。激しい下痢が続いているときも、吸収が妨げられることがあります。とくに胃腸炎で数日にわたって症状が続いた週は、その間ずっと効果が不安定だった可能性があります。その週に性行為があったなら、飲み忘れと同じ前提で考えてください。

Q シートのどこで飲み忘れたかで違いはありますか?

A.あります。1週目と3週目の飲み忘れは影響が大きく、2週目は比較的小さいとされています。理由は、避妊効果がゆるみやすいのが休薬期間の前後だからです。とくに休薬明けに次のシートを始めるのが遅れるパターンが、いちばん多く、いちばん影響が大きい飲み忘れです。3週目に忘れた場合は休薬を飛ばす対応がとられることもありますが、薬の種類とシート構成で変わるため自己判断せず処方元に確認してください。

Q ほかの薬やサプリで効果が落ちることはありますか?

A.あります。一部の薬はピルの成分が分解される速さに影響し、きちんと飲んでいても効果が落ちることがあります。とくにセント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)は市販のサプリメントに含まれていることがあり、併用は避けるべきものとして知られています。自己判断でピルをやめないでください。やめれば避妊効果は確実になくなります。必要なのは併用してよいかの確認です。お薬手帳に記載してもらうのがいちばん確実です。

Q 偽薬(プラセボ)を飲み忘れました。どうすればいいですか?

A.28錠タイプの最後の7錠はホルモンを含まないため、飲み忘れても避妊効果に影響しません。あとからまとめて飲む必要もなく、捨てて構いません。ただし偽薬には「次のシートを始める日を間違えない」という役割があります。大事なのは、次のシートの1錠目を決められた日に始めることです。

まとめ

この記事のポイントまとめ
  • 24時間以内に気づいた1錠飲み忘れ:気づいた時点で1錠服用→次の錠剤は通常通り。追加避妊は不要
  • 2錠以上の飲み忘れ:1錠だけ飲んでシート続行+7日間コンドーム併用
  • シート前半(1〜7錠目)の2錠以上飲み忘れ+性交渉あり→アフターピルを早めに検討
  • 飲み忘れ後の不正出血(スポッティング)は数日で落ち着くことが多い。シートは続けて服用
  • 生理量に近い出血・1週間以上続く出血・腹痛を伴う場合は婦人科受診
  • 飲み忘れ防止の最善策:毎日同じ時間のアラーム設定+目につく場所にシートを置く
  • 判断に迷ったら自己判断せず、処方医・婦人科に電話で確認するのが一番確実

ピルの飲み忘れへの対処は「何錠・どこで飲み忘れたか」によって最適な手順が変わります。焦らず状況を確認し、この記事の手順に従って対応してください。それでも判断が難しい場合や、性交渉があって妊娠が心配な場合は、自己判断せずに婦人科に相談するのが最も確実な方法です。アフターピル(緊急避妊薬)ピルの副作用についても合わせて確認しておくと安心です。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合薬ガイドライン(案)」2020年
  • World Health Organization. "Selected practice recommendations for contraceptive use." 3rd ed. WHO, 2016.
  • 日本産科婦人科学会「緊急避妊法の適正使用に関する指針」2016年
  • Faculty of Sexual and Reproductive Healthcare (FSRH). "Combined Hormonal Contraception Clinical Guideline." 2023.
  • バイエル薬品「ヤーズ配合錠 患者向け使用ガイド」
  • あすか製薬「トリキュラー錠28 添付文書」