低用量ピルを勧められたけれど、副作用が怖い。あるいは飲み始めたものの、吐き気や不正出血が続いていて「このまま飲んでいいのか」と迷っている——。

副作用について調べると、症状がずらりと並んだ記事が出てきます。けれど本当に知りたいのは「それはどのくらいの人に起きるのか」「いつまで続くのか」「どこからが我慢すべきでないのか」ではないでしょうか。

この記事では、まず頻度と期間から整理します。そのうえで我慢してよい/相談すべき/すぐやめるべきの3段階で線を引き、最後に多くの記事が触れていない「飲み続けたらどうなるのか」——長期服用の話までお伝えします。

この記事について
  • 低用量ピルは医師の診察と処方が必要な薬です。この記事は一般的な情報で、個別の判断に代わるものではありません
  • 個別の製品名は挙げていません。副作用の出方は薬の種類・体質によって変わります
  • 自己判断で中断しないでください。避妊効果がなくなり、不正出血も起きやすくなります

副作用は「きつい」のか|まず頻度で見る

胸の痛みと急な息切れが同時にあるときの考え方は胸が痛いに書いています。

いちばん多い疑問に、先に答えます。多くの副作用は、飲み始めの1〜3か月に出て、その後は落ち着いていきます。

体が新しいホルモンの状態に慣れる過程で起きるもので、ずっと続くわけではありません。ここを知らないまま「一生この状態なのか」と思い込んでやめてしまう方がいます。

症状出やすさいつ出るか経過
不正出血もっとも多い飲み始め〜3か月周期を重ねるごとに減る
吐き気・胃のむかつき比較的多い飲み始め〜1か月多くは数週間で軽快
頭痛比較的多い飲み始め〜3か月軽快することが多い
胸の張り・痛み比較的多い飲み始め〜3か月軽快することが多い
気分の変化個人差が大きい時期は一定しない続くなら相談を
むくみときどき飲み始め多くは落ち着く
性欲の変化ときどき時期は一定しない個人差が大きい
血栓症まれとくに飲み始め3か月すぐに受診が必要

「1〜3か月」を目安に考える

この「1〜3か月」という期間が、判断の基準になります。

  • 3か月以内に軽くなってきている → 順調な経過です。もう少し続けてみる価値があります
  • 3か月たっても変わらない → 薬が合っていない可能性があります。相談してください
  • 日を追うごとに悪化している → 期間に関係なく相談してください
  • 後述の「すぐ中止」に当てはまる → 期間は関係ありません。受診してください

詳しい飲み始めの経過は飲み始めの1か月の記事にまとめています。

症状別|出たときにどうするか

ベッドサイドのテーブルに置かれた水のグラスと小さな目覚まし時計

吐き気・胃のむかつき

飲み始めに多い症状です。エストロゲンの影響で胃腸が敏感になることが関係しているとされます。

  • 飲む時間を夕食後〜就寝前に変える——眠っている間に山を越せます。ただし変更してよいかは医師に確認してください
  • 空腹時に飲まない
  • 脂っこい食事を控えめにする
  • 吐いてしまった場合——飲んで2時間以内に嘔吐すると吸収されていない可能性があります。対応は飲み忘れの記事に準じるため、確認してください

頭痛

多くは飲み始めの一時的なものですが、見分けが必要な頭痛があります。

この頭痛は、すぐに受診してください
  • 今までに経験したことのない激しい頭痛
  • 目のちらつき・視野が欠ける・舌がもつれるをともなう
  • 手足のしびれや力が入らない感じをともなう

これらは血栓症のサインのことがあります。市販の鎮痛薬でしのがず、受診してください。生理と頭痛で説明している片頭痛のうち、前兆をともなうタイプはピルが使えない条件にあたります。

不正出血

もっとも多い副作用です。飲み始めの数か月に起きやすく、周期を重ねるうちに減っていきます。

出血があっても、飲み続けるのが基本です。ここで自己判断でやめると、かえって出血が長引き、避妊効果もなくなります。ただし量が多い・長く続く・性交後に繰り返す場合は、ピルとは別の原因を考える必要があります。詳しくはピルと不正出血にまとめました。

胸の張り・痛み

ホルモンの影響で、生理前に似た張りが出ることがあります。多くは数か月で落ち着きます。締めつけの少ない下着にすると楽になることがあります。

ただし片側だけにしこりを触れる場合は、ピルとは別に確認が必要です。胸のしこりの記事をご覧ください。

気分の落ち込み・イライラ

ここは正直に書きます。ピルと気分の変化の関係は、はっきり結論が出ていません。関連を示す研究もあれば、そうでない研究もあります。

ただし、研究で結論が出ていないことと、あなたがつらくないことは別です。飲み始めてから気分が落ち込むようになった、以前より涙もろい、理由もなくイライラする——それは相談してよい変化です。

種類を変えることで改善するケースがあります。また、もともとPMDDがあった方では、ピルで軽くなることもあれば、合わないこともあります。「気のせい」で片づけず、具体的に伝えてください。

次の場合は、早めに相談してください
  • 気分の落ち込みが2週間以上続いている
  • 仕事や学校に行けない日がある
  • 眠れない、食欲がない状態が続く
  • 自分を傷つけたいという気持ちが出てきた

最後の項目に当てはまるなら、次の受診を待たずに医療機関へ連絡してください。

むくみ・体重の変化

「ピルで太る」という話をよく聞きますが(生理前のむくみと混同されることもあります)、低用量ピル自体が体脂肪を増やすという確かな根拠は乏しいとされています。飲み始めに感じる体重の変化は、水分をため込みやすくなることによるむくみであることが多く、多くは落ち着きます。詳しくはピルと体重にまとめました。

性欲の変化

増えたと感じる方も、減ったと感じる方もいます。個人差が大きく、ホルモンの影響なのか、避妊の不安がなくなった影響なのかも切り分けが難しい部分です。困っているなら相談してよいことで、種類の変更が選択肢になります。

【最重要】血栓症|頻度・サイン・受診

ここだけは、頻度が低くても必ず読んでください。知っているかどうかで、対応が変わります。ピルの効果とあわせた全体像は低用量ピルの効果と副作用、分類ごとの違いはピルの種類にまとめています。

どのくらいまれなのか

血栓症は、ピルの副作用のなかでもっとも注意が必要な一方、頻度としてはまれです。ただし飲んでいない人と比べるとリスクは上がります。

知っておいてほしいのは、妊娠中・産後のほうが、ピル服用中よりも血栓症のリスクは高いとされていること。「ピルは危ない」という漠然とした不安だけで判断せず、サインを知って備えるほうが実際的です。

ACHES(エイクス)|すぐに服用を中止して受診
  • Abdominal pain — 激しい腹痛
  • Chest pain — 胸の痛み、息切れ、押しつぶされるような感じ
  • Headache — 激しい頭痛、いつもと違う頭痛
  • Eye problems — 見えにくい、視野が欠ける、舌がもつれる
  • Severe leg pain — 片側のふくらはぎの痛み・腫れ・赤み

受診の際は「低用量ピルを飲んでいる」と必ず伝えてください。これがあるかないかで、医師が疑う病気が変わります。夜間・休日なら救急外来へ。

リスクが上がる条件

  • 飲み始めの3か月——この時期がもっとも高いとされています
  • 喫煙——とくに35歳以上で1日15本以上は、エストロゲンを含むピルが使えない条件です
  • 肥満、高血圧
  • 血栓症の既往、家族歴
  • 長時間の同一姿勢——飛行機、長距離バス、デスクワーク
  • 脱水
  • 手術の前後、けがで動けない期間
今日からできる予防
  • 水分をこまめにとる——脱水は血液を固まりやすくします
  • 1時間に一度は足を動かす——立ち上がる、ふくらはぎを動かす
  • 禁煙——リスクを下げる最も確実な方法のひとつです
  • 手術の予定ができたら医師に伝える——一時的に中止することがあります
  • 長時間のフライトの前は、あらかじめ相談しておく

受診するとき、何を伝えるか

「ピルを飲んでいると伝えてください」と書きましたが、急いでいる場面ほど言葉が出ないものです。伝える内容を決めておきます。

この4つを伝えれば足ります
  • ①「低用量ピルを飲んでいます」——これが最優先。医師が疑う病気が変わります
  • ②飲み始めてどのくらいか——「先月から」「3年前から」。飲み始めの3か月かどうかが重要です
  • ③どんな症状が、いつから——「昨日の夜から右のふくらはぎが痛くて腫れています」
  • ④直前に長時間動かなかったか——飛行機、長距離移動、寝込んでいた期間など

薬の名前が分からなくても構いません。「低用量ピル」と言えれば伝わります。シートを持っていければなお確実です。

そして、普段かかっていない医療機関(救急外来・内科・整形外科など)ほど、この一言が効きます。ふくらはぎの痛みを「筋肉痛かな」で終わらせないために、自分から言う必要があります。

開いたノートとペン、水のグラスとカーディガンを並べた机の上

どこまで我慢すべきか|3段階の線引き

「副作用はどこまで我慢すべきか」——検索でもよく問われます。3段階で整理します。

段階状態どうする
様子を見てよい 飲み始め1〜3か月の吐き気・不正出血・胸の張り・軽い頭痛で、日を追って軽くなっている 続けてみる。生活の工夫で和らげる
相談する 3か月たっても変わらない/日常生活に支障がある/気分の落ち込みが続く/出血が多い・長い 受診して相談。種類の変更で改善することがある。勝手にやめない
すぐ中止して受診 ACHESに当てはまる/今までにない激しい頭痛/片側のふくらはぎの痛み・腫れ/胸痛・息切れ/視覚や言葉の異常 服用を中止し、すぐに受診。「ピルを飲んでいる」と伝える

いちばん多いのは、真ん中の「相談する」に当てはまるのに我慢し続けてしまうケースです。合わないまま飲み続ける必要はありません。選択肢は「我慢する」か「やめる」かの2つではなく、「種類を変える」があります。

飲み続けたらどうなるのか|長期服用の話

「何年も飲み続けて大丈夫なのか」——これも多い疑問ですが、意外と書かれていません。

何年飲み続けてよいのか

問題がなければ、年数の上限は設けられていません。定期的に受診して、血圧測定などの確認を受けながら続けるのが一般的です。

かつては「数年ごとに休薬すべき」と言われた時期もありましたが、現在は定期的な休薬が必要という考え方はとられていません。むしろ中断と再開を繰り返すほうが、飲み始めのリスクが高い時期を繰り返すことになります。

長く飲むことで下がるとされるもの

副作用の話に隠れがちですが、長期服用にはリスクが下がる方向で知られていることもあります。

  • 卵巣がん——服用期間が長いほどリスクが低くなる傾向が報告されており、中止後もしばらく続くとされています
  • 子宮体がん(子宮内膜がん)——同様にリスクの低下が報告されています
  • 良性の卵巣のう腫——排卵を抑えることで、機能性のものができにくくなります
  • 子宮内膜症の進行を抑える——治療として使われる理由でもあります
  • 鉄欠乏性貧血——経血量が減ることで改善することがあります

議論があるもの

一方で、結論が定まっていないものもあります。ここは断定せずに書きます。

  • 乳がん——服用中にわずかに上がるという報告がある一方、中止後は差がなくなっていくとされています。もともとの発症率が年齢によって大きく違うため、年齢によって意味合いが変わります
  • 子宮頸がん——長期服用との関連を示す報告がありますが、子宮頸がんの主な原因はHPV感染です。ピルを飲んでいるかどうかにかかわらず、定期的な検診HPVワクチンが予防の柱になります

これらは「飲むべきでない理由」にも「安心してよい理由」にもなりません。ご自身の年齢・家族歴・生活状況によって意味が変わるため、気になる点は診察で具体的に聞いてください。

やめたあと、妊娠しにくくなりませんか

服用が、その後の妊娠しやすさを下げるという根拠は示されていません。中止後、多くの方は数か月以内に排卵が戻ります。もともと周期が不安定だった方は時間がかかることがありますが、それはピルのせいというより元の状態に戻ったということです。

妊娠を希望する時期が決まっているなら、その予定を医師に伝えておくと相談しやすくなります。

副作用ではない「デメリット」も知っておく

副作用の話とは別に、実務的な負担があります。ここを知らずに始めると「思っていたのと違う」となりがちです。

デメリット内容対応の考え方
毎日飲む必要がある ほぼ同じ時間に飲み続ける。忘れると効果が落ちる 続かないなら子宮内システムなど別の方法も
避妊目的は自費 継続的に費用がかかる 治療目的なら保険が使えることがあるピルの種類
性感染症を防がない クラミジアなどの予防効果はない コンドームの併用が必要
定期的な受診が必要 血圧測定や問診のため通院する まとめて処方してもらえるか相談する
飲み始めの数か月は不調が出やすい 吐き気・不正出血など 繁忙期や大事な予定の前は避けて始める
使えない人がいる 喫煙・年齢・持病などの条件がある エストロゲンを含まない選択肢もある

「飲み始めの時期を選ぶ」のは、実は有効な工夫です。試験や繁忙期と重なると、吐き気や不正出血がよけいにつらく感じます。予定に余裕のある時期から始められると、乗り切りやすくなります。

副作用が出やすい人・使えない人

出やすいとされる条件

  • もともと乗りもの酔いをしやすい・胃腸が弱い(胃の不調がある方も含む)
  • 片頭痛もちである
  • PMSの症状が強い/生理前の頭痛が出やすい
  • やせ型で体格が小さい
  • 飲み始めたばかり(これがいちばん大きい要素です

ただし当てはまっても必ず出るわけではなく、当てはまらなくても出ることがあります。体質による部分が大きく、飲んでみないと分からない面があります。

使えない人(禁忌)

エストロゲンを含むピルが使えない主な条件
  • 35歳以上で、1日15本以上の喫煙
  • 前兆をともなう片頭痛(目のちらつきなどが先に来るタイプ)
  • 血栓症の既往、または家族に血栓症の人がいる
  • コントロールされていない高血圧
  • 乳がんの既往
  • 重い肝機能障害
  • 手術の予定がある、長期間動けない状態
  • 妊娠中・産後の一定期間

これらに当てはまっても、エストロゲンを含まないミニピルや、ホルモンを全身に回さない方法が選択肢になることがあります。「使えない」で終わりではありません。

診察で必ず伝えること

  • 喫煙の有無と本数——少なく申告すると安全な判断ができません
  • 片頭痛の有無と、前兆があるかどうか
  • 持病、飲んでいる薬、サプリメント
  • 血栓症の既往と家族歴
  • 手術の予定

種類を変えると変わることがある

「合わない」と感じたとき、選択肢はやめることだけではありません。

低用量ピルは、含まれるプロゲスチンの種類(世代)やホルモン量の並び方(相性)によって、副作用の出方が変わります。ひとつ目が合わなくても、別のものが合うことは珍しくありません。

  • 吐き気が強い → エストロゲン量の少ないものが検討されることがあります
  • 不正出血が続く → 別の相性・世代のものが検討されます
  • ニキビが気になる → 世代によって影響が違うとされます
  • 費用を抑えたい → ジェネリックという選択肢があります

どれが合うかは医師が判断しますが、「何がつらいのか」を具体的に伝えることが、変更の手がかりになります。種類の詳細は低用量ピルの種類と選び方をご覧ください。

自己判断で中断しないでください
  • 避妊効果がなくなります
  • 不正出血が起きやすくなります
  • 治療目的で飲んでいる場合、症状が戻ります
  • 中断と再開を繰り返すと、リスクの高い「飲み始め」を何度も繰り返すことになります

やめる場合も、いつ・どのようにやめるかを医師と決めてください。ただしACHESに当てはまる症状が出たときは、すぐに中止して受診——ここだけは例外です。

やめるとき・やめたあと

「やめたい」と考えている方に向けて、実際どうなるのかを書いておきます。副作用がつらい場合だけでなく、妊娠を希望する、費用の負担が重い、といった理由もあると思います。

やめ方|途中でやめてよいのか

結論から言うと、1シートを飲みきってから終えるのが基本です。途中でやめると不正出血が起きやすくなります。ただしACHESに当てはまる症状が出たときは、シートの途中でも即中止——ここは例外です。

また、治療目的で飲んでいる場合は、自己判断でやめないでください。月経困難症子宮内膜症の症状が戻ることがあります。

やめたあと、体はどう戻るか

起きること時期の目安
消退出血(生理のような出血)やめてから数日以内
排卵の再開多くは1〜3か月以内
周期が安定するまで数か月かかることがある
経血量・生理痛が元に戻る周期が戻るにつれて
ニキビ・肌の変化が戻る数か月かけて

注意してほしいのは、「ピルをやめたら不調になった」の多くは、ピルの離脱症状ではなく「元の状態に戻った」ということです。飲んでいた間は経血量が減り、生理痛も軽くなっていた——その効果がなくなっただけ、というケースが多くあります。

元の症状がつらいのであれば、それは治療の対象です。「ピルをやめたら生理痛がひどい」なら、我慢するのではなく、再開も含めて相談してください。

妊娠を希望してやめる場合

やめてすぐに妊娠しても差し支えないとされています。「数か月あけるべき」という考え方は、現在はとられていません。ただし周期が戻るまで排卵日が読みにくいため、基礎体温排卵検査薬で確認していくとタイミングがつかみやすくなります。

妊娠を希望する時期が決まっているなら、やめる前に医師に伝えておくと、葉酸の準備なども含めて相談できます。

やめる以外の選択肢

「やめたい」の理由によっては、別の解決があります。

よくある質問

Q 低用量ピルの副作用はきついですか?

A.個人差が大きいのですが、多くは飲み始めの1〜3か月に出て、その後は落ち着きます。もっとも多いのは不正出血で、次いで吐き気・頭痛・胸の張り。いずれも周期を重ねるうちに軽くなることが一般的です。「ずっと続く」わけではないという点を知らずにやめてしまう方が多いので、まずは3か月を目安に考えてみてください。ただし日を追って悪化する場合や、日常生活に支障がある場合は、期間に関係なく相談してください。

Q 低用量ピルを飲み続けたらどうなりますか?

A.問題がなければ年数の上限は設けられていません。定期的に受診しながら続けるのが一般的です。長く飲むことで卵巣がん・子宮体がんのリスクが下がる傾向が報告されている一方、乳がん・子宮頸がんについては議論があります。どちらも年齢や生活状況によって意味合いが変わるため、気になる点は診察で聞いてください。なお「数年ごとに休薬すべき」という考え方は、現在はとられていません。

Q 吐き気がつらいのですが、飲む時間を変えてもいいですか?

A.夕食後から就寝前に変えると、眠っている間に山を越せるため楽になることがあります。ただし変更のしかたによっては効果に影響するため、自己判断で急に変えず、医師に確認してください。変えるときは一度に大きくずらさず、少しずつ移すのが一般的です。なお飲んで2時間以内に吐いてしまった場合は、吸収されていない可能性があります——対応は飲み忘れに準じるので確認してください。

Q 不正出血が続いています。やめたほうがいいですか?

A.飲み続けるのが基本です。不正出血は飲み始めにもっとも多い副作用で、周期を重ねるうちに減っていきます。ここでやめると、かえって出血が長引き、避妊効果もなくなります。ただし量が多い・3か月以上続く・性交後に繰り返す場合は、ピルとは別の原因を考える必要があります。その場合は相談してください。詳しくはピルと不正出血の記事に。

Q ピルで気分が落ち込むことはありますか?

A.関係については、はっきりした結論が出ていません。関連を示す研究もあれば、そうでない研究もあります。ただし研究で結論が出ていないことと、あなたがつらくないことは別です。飲み始めてから変化を感じるなら、それは相談してよいことです。2週間以上続く・生活に支障がある・自分を傷つけたい気持ちが出た場合は、次の受診を待たずに連絡してください。種類の変更で改善することがあります。

Q 血栓症はどのくらいの確率で起きますか?

A.頻度としてはまれですが、飲んでいない人と比べるとリスクは上がります。とくに飲み始めの3か月が高いとされています。知っておいてほしいのは、妊娠中・産後のほうがピル服用中よりリスクは高いとされていること。漠然と怖がるより、ACHES(激しい腹痛/胸痛・息切れ/激しい頭痛/視覚・言語の異常/片側のふくらはぎの痛み)を覚えて備えるほうが実際的です。

Q 副作用がつらいとき、勝手にやめてもいいですか?

A.ACHESに当てはまる症状が出たときは、すぐに中止して受診してください。それ以外は、自己判断での中断は避けてください。避妊効果がなくなり、不正出血も起きやすくなります。また中断と再開を繰り返すと、リスクの高い「飲み始め」を何度も繰り返すことになります。「やめる」か「我慢する」かの2択ではなく、「種類を変える」という選択肢があります。まず相談してください。

Q 飲み始めるのに、いい時期はありますか?

A.医学的な開始日は医師が指示しますが、生活の面では「予定に余裕のある時期」から始めるのがおすすめです。飲み始めの1〜3か月は吐き気や不正出血が出やすいため、試験・繁忙期・旅行と重なるとよけいにつらく感じます。大事な予定の直前に始めない——これだけで乗り切りやすさが変わります。

Q 副作用が心配で、そもそも飲むか迷っています

A.迷った状態のまま受診して構いません。「飲むと決めてから行く場所」ではありません。診察では、あなたの持病・喫煙・片頭痛の有無などをふまえて、使えるかどうか、どのくらいのリスクがあるかを個別に説明してもらえます。一般論で悩み続けるより、自分の条件で聞いたほうが早く決まります。「副作用が心配で迷っている」と、そのまま伝えてください。

まとめ

低用量ピルの副作用でいちばん誤解されやすいのは、「ずっと続く」と思われていることです。実際には多くが飲み始めの1〜3か月で、その後は落ち着いていきます。この見通しを持っているかどうかで、乗り切れるかどうかが変わります。

一方で、我慢してはいけないものもはっきりしています。ACHESに当てはまる症状は、期間に関係なく中止して受診してください。

そして、つらいときの選択肢は「我慢する」か「やめる」かの2つではありません。種類を変えるという道があります。合わないまま飲み続ける必要も、あきらめる必要もありません。

この記事のポイントまとめ
  • 多くの副作用は飲み始めの1〜3か月に出て、その後落ち着く。もっとも多いのは不正出血
  • 判断の目安は3か月——軽くなっていれば続ける、変わらなければ相談する
  • ACHES(激しい腹痛/胸痛・息切れ/激しい頭痛/視覚・言語の異常/片側のふくらはぎの痛み)は期間に関係なく即中止・受診
  • 受診時は「ピルを飲んでいる」と必ず伝える。疑う病気が変わります
  • 血栓症はまれだがリスクは上がる。ただし妊娠中・産後のほうが高いとされる
  • 予防にできること=水分・1時間に一度足を動かす・禁煙・手術予定を伝える
  • 不正出血が出ても飲み続けるのが基本。やめるとかえって長引く
  • 気分の変化は研究の結論は出ていないが、つらいなら相談してよい
  • 長期服用に年数の上限はない。卵巣がん・子宮体がんのリスクは下がる傾向、乳がん・子宮頸がんは議論がある
  • 「数年ごとの休薬」は現在の考え方ではない。中断・再開の繰り返しはリスクの高い時期を繰り返す
  • 副作用以外のデメリット=毎日飲む・自費・性感染症を防がない・定期受診
  • 合わないときは「種類を変える」という選択肢がある。自己判断で中断しない

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤ガイドライン」
  • 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編」
  • 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「患者向医薬品ガイド」および安全性情報
  • World Health Organization「Medical eligibility criteria for contraceptive use」
  • 日本血栓止血学会「静脈血栓塞栓症に関する診療の手引き」
  • 国立がん研究センター「がん情報サービス」