「ピルの副作用」と検索すると、症状がずらりと並んだ記事が出てきます。けれど、そこで見落とされがちなことがあります。ひとくちにピルといっても5種類あり、副作用の出方はそれぞれ違うということです。

毎日飲む低用量ピルと、1回だけ飲むアフターピルでは、当然ながら起きることが違います。エストロゲンを含むものと含まないものでは、注意すべき点そのものが変わります。

この記事では、種類ごとの違いを軸に整理します。自分が飲む(あるいは飲もうとしている)のはどれなのか——そこから読んでください。

この記事について
  • ピルは医師の診察と処方が必要な薬です。この記事は一般的な情報で、個別の判断に代わるものではありません
  • 個別の製品名は挙げていません。副作用の出方は薬の種類・体質によって変わります
  • 継続して飲むピルは、自己判断で中断しないでください

まず全体像|副作用は「種類」で変わる

なぜ副作用が起きるのか

ピルは女性ホルモンを含む薬で、飲むことで体のホルモン状態が変わります。副作用の多くは、体がその新しい状態に慣れる過程で起きるものです。妊娠初期に吐き気が出るのと似た仕組みだと考えると分かりやすいかもしれません。

だからこそ、含まれるホルモンの種類と量によって、出方が変わります。

分類含まれるホルモン飲み方副作用の傾向
低用量ピル エストロゲン+プロゲスチン 毎日 飲み始め1〜3か月に集中。その後落ち着く
超低用量ピル・LEP エストロゲン(少量)+プロゲスチン 毎日 低用量と同様。エストロゲンが少ないぶん吐き気は出にくい傾向
中用量ピル エストロゲン(多め)+プロゲスチン 短期間 吐き気が出やすい。短期間なので長期の心配は少ない
ミニピル プロゲスチンのみ 毎日 血栓症のリスクが低い。不正出血は出やすい
アフターピル プロゲスチン(高用量)など 1回のみ 吐き気が中心。数日で終わる

分類そのものの違いはピルの種類にまとめています。

いちばん大きな分かれ目は「エストロゲンを含むか」

副作用を考えるうえで、もっとも重要な区別がこれです。

  • エストロゲンを含む(低用量・超低用量・中用量)→ 血栓症に注意が必要。吐き気・胸の張りも出やすい
  • エストロゲンを含まない(ミニピル)→ 血栓症のリスクは低いとされる。ただし不正出血は出やすい

だから「ピルは血栓症が怖い」という話は、正確には「エストロゲンを含むピルは」ということになります。喫煙する方や年齢の条件でエストロゲンが使えない場合に、ミニピルが選択肢になるのはこのためです。

いつ出て、いつ治まるのか

分類出る時期続く期間
低用量・超低用量ピル飲み始め多くは1〜3か月で落ち着く
中用量ピル服用中飲んでいる数日〜2週間程度
ミニピル飲み始め不正出血は数か月続くことがある
アフターピル服用直後多くは1〜2日、長くて数日
木のテーブルに横一列に並べた、ラベルのない5つの白い容器とユーカリの枝

種類別|副作用はこう違う

ここからが本題です。それぞれ見ていきます。

低用量ピル・超低用量ピル(毎日飲むタイプ)

もっとも多くの方が使う分類です。副作用は飲み始めの1〜3か月に集中し、その後は落ち着いていきます。

  • 不正出血——もっとも多い。周期を重ねるうちに減ります
  • 吐き気・胃のむかつき——飲む時間の工夫で和らぐことがあります
  • 頭痛、胸の張り、むくみ
  • 気分の変化——個人差が大きい部分です

症状別の詳しい対処法、我慢してよい線引き、長期服用の話は低用量ピルの副作用の記事に詳しくまとめています。毎日飲むタイプを検討中・服用中の方は、そちらをご覧ください。

なお超低用量ピル(LEP)は、エストロゲンの量が少ないぶん吐き気は出にくい傾向があるとされます。一方で不正出血はやや出やすい面もあります。

中用量ピル|吐き気が出やすい

エストロゲンの量が多いため、吐き気がはっきり出やすいのが特徴です。生理日の移動など短期間の使用が中心で、飲んでいる期間だけの症状として経過します。

  • 吐き気・嘔吐——空腹時を避ける、就寝前に飲むなどで和らぐことがあります
  • 頭痛、だるさ、むくみ
  • 飲み終えたあと数日で消退出血が来ます

大事な予定のために生理をずらす場合、その予定当日に吐き気が出ては本末転倒です。低用量ピルで調整できるケースもあるため、できるだけ早めに(目安として1か月前までに)相談してください。

ミニピル|血栓症のリスクは低いが、不正出血は出やすい

エストロゲンを含まないため、血栓症のリスクが低いとされるのが最大の特徴です。授乳中の方、喫煙する方、片頭痛のある方など、エストロゲンが使いにくい方の選択肢になります。

一方で知っておくべきなのが出血のパターンが不規則になりやすいこと。少量の出血がだらだら続く、逆に生理が来なくなる——どちらも起こりえます。これは異常ではなくミニピルの性質ですが、知らないと不安になります。

また飲む時間の正確さがより求められます。詳しくはミニピルの記事を。

アフターピル|1回だけ、数日で終わる

ほかと性質が違います。高用量のホルモンを1回飲むため、その直後に症状が出ますが、継続的な副作用ではありません。

  • 吐き気——もっとも多い症状です
  • 頭痛、だるさ、めまい
  • 次の生理が予定とずれる——早まることも遅れることもあります
  • 不正出血
アフターピルで知っておくこと
  • 飲んで2時間以内に吐いてしまった場合は、吸収されていない可能性があります。すぐに処方を受けた医療機関に連絡してください
  • その後の性交渉に対する避妊効果はありません
  • 次の生理が3週間以上来ない場合は妊娠検査を。効果は100%ではありません

詳しくはアフターピルとは効果の記事に。

【全種類共通】血栓症|エストロゲンを含むかで違う

もっとも注意が必要な副作用です。頻度としてはまれですが、知っているかどうかで対応が変わります。

リスクは分類によって違います

  • エストロゲンを含むピル(低用量・超低用量・中用量)——飲んでいない人と比べてリスクが上がります。とくに飲み始めの3か月
  • ミニピル——エストロゲンを含まないため、リスクは低いとされています
  • アフターピル——1回のみのため、継続的なリスクとしては考えません

知っておいてほしいのは、妊娠中・産後のほうが、ピル服用中よりも血栓症のリスクは高いとされていること。漠然と怖がるより、サインを覚えて備えるほうが実際的です。

ACHES(エイクス)|すぐに服用を中止して受診
  • Abdominal pain — 激しい腹痛
  • Chest pain — 胸の痛み、息切れ、押しつぶされるような感じ
  • Headache — 激しい頭痛、いつもと違う頭痛
  • Eye problems — 見えにくい、視野が欠ける、舌がもつれる
  • Severe leg pain — 片側のふくらはぎの痛み・腫れ・赤み

受診の際は「ピルを飲んでいます」と必ず伝えてください。これがあるかないかで、医師が疑う病気が変わります。夜間・休日なら救急外来へ。

そのほかの重篤な副作用

  • 肝機能の異常——強いだるさ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が濃くなる
  • 血圧の上昇——自覚症状が出にくいため、定期的な測定が必要です

どちらも定期受診で見つかるものです。「調子がいいから通院しなくていい」とはならない理由がここにあります。

淡いピンクの布の上に置かれた錠剤のシートと水のグラス

症状別|どの種類でも共通する対処

種類が違っても、出る症状には共通するものがあります。ここではどの種類にも当てはまる対処をまとめます。

吐き気|「ずっと続くのか」への答え

もっとも多い相談のひとつです。結論から言うと、継続して飲むタイプなら多くは数週間から1〜3か月で落ち着きます。アフターピルなら1〜2日、中用量ピルなら飲んでいる期間だけです。

  • 空腹時に飲まない——胃が空だと出やすくなります
  • 就寝前に飲む——眠っている間に山を越せます(毎日飲むタイプの場合。変更の可否は医師に確認を)
  • 脂っこい食事を控えめにする
  • 飲んで2時間以内に吐いた場合は、吸収されていない可能性があります——毎日飲むタイプなら飲み忘れに準じた対応を、アフターピルなら医療機関に連絡を

頭痛|見分けが必要です

多くは一時的なものですが、次の頭痛は別に考えてください。

この頭痛は、すぐに受診
  • 今までに経験したことのない激しい頭痛
  • 目のちらつき・視野が欠ける・舌がもつれるをともなう
  • 手足のしびれや力が入らない感じをともなう

市販の鎮痛薬でしのがず、受診してください。なお前兆をともなう片頭痛は、エストロゲンを含むピルが使えない条件にあたります(生理と頭痛)。

不正出血|やめると、かえって長引きます

毎日飲むタイプでもっとも多い副作用です。出血があっても飲み続けるのが基本で、ここで自己判断でやめると出血が長引き、避妊効果もなくなります。

ただし量が多い・3か月以上続く・性交後に繰り返す場合は、ピルとは別の原因を考える必要があります。詳しくはピルと不正出血に。

気分の変化|結論は出ていない、でも相談してよい

ピルと気分の変化の関係は、はっきりした結論が出ていません。関連を示す研究もあれば、そうでない研究もあります。

ただし研究で結論が出ていないことと、あなたがつらくないことは別です。飲み始めてから変化を感じるなら、相談してよいことです。

次の場合は、早めに相談してください
  • 気分の落ち込みが2週間以上続いている
  • 仕事や学校に行けない日がある
  • 自分を傷つけたいという気持ちが出てきた

最後の項目に当てはまるなら、次の受診を待たずに医療機関へ連絡してください。

おりものの変化

量が増えた・減った、性状が変わったと感じる方がいます。多くは経過とともに落ち着きますが、強いかゆみや、いつもと違うにおいをともなう場合は感染の可能性があります。おりものの色においの記事で確認してみてください。

使えない人|種類によって違います

「ピルが使えない」と言われても、すべての種類が使えないとは限りません。ここは分けて考えてください。

条件エストロゲンを含むピルミニピル
35歳以上+1日15本以上の喫煙使えません選択肢になりえます
前兆をともなう片頭痛使えません選択肢になりえます
血栓症の既往使えません医師の判断による
コントロールされていない高血圧使えません医師の判断による
授乳中一定期間は避ける選択肢になりえます
乳がんの既往使えません使えません
手術の予定・長期間動けない一時的に中止医師の判断による

「使えない」で終わらせず、別の選択肢を聞いてください。ホルモンを全身に回さない子宮内システムや、ほかの避妊方法もあります。

診察で必ず伝えること

  • 喫煙の有無と本数——少なく申告すると安全な判断ができません
  • 片頭痛の有無と、前兆があるかどうか——目のちらつきなどが先に来るか
  • 持病、飲んでいる薬、サプリメント
  • 血栓症の既往と家族歴
  • 手術の予定、授乳中かどうか

副作用が出やすい人・出にくい人

出やすいとされる条件はありますが、当てはまっても必ず出るわけではなく、当てはまらなくても出ることがあります。

  • もともと乗りもの酔いをしやすい・胃腸が弱い
  • 片頭痛もちである(生理と頭痛
  • PMSの症状が強い
  • やせ型で体格が小さい
  • 飲み始めたばかり——これがいちばん大きい要素です

「体質だから仕方ない」ということではありません。種類を変えると出方が変わることがあります。

合わないときの選択肢

つらいときの答えは「我慢する」か「やめる」かの2つではありません。

困っていること考えられる選択肢
吐き気が強い飲む時間を変える/エストロゲン量の少ない種類へ
不正出血が続く別の世代・相性の種類へ(種類と選び方
血栓症のリスクが心配エストロゲンを含まないミニピル子宮内システム
毎日飲むのが続かない子宮内システムなど、毎日でない方法
費用の負担保険が使えるか相談/ジェネリック(ピルの種類
気分の変化がつらい種類の変更を相談。2週間以上続くなら早めに
自己判断で中断しないでください

継続して飲むピルを勝手にやめると、避妊効果がなくなり、不正出血も起きやすくなります。治療目的の場合は症状が戻ります。また中断と再開を繰り返すと、リスクの高い「飲み始め」を何度も繰り返すことになります。ただしACHESに当てはまる症状が出たときは、すぐに中止して受診——ここだけは例外です。

よくある質問

Q 種類によって副作用は違うのですか?

A.違います。いちばん大きな分かれ目はエストロゲンを含むかどうかです。含むもの(低用量・超低用量・中用量)は血栓症に注意が必要で、吐き気や胸の張りも出やすくなります。含まないミニピルは血栓症のリスクが低いとされる一方、不正出血が出やすいという性質があります。またアフターピルは1回だけなので、症状も数日で終わります。

Q アフターピルの副作用はいつまで続きますか?

A.吐き気やだるさは多くが1〜2日、長くて数日で治まります。継続的に飲む薬ではないため、副作用が長く残ることは通常ありません。ただし次の生理が予定とずれることはよくあり、早まることも遅れることもあります。3週間以上生理が来ない場合は妊娠検査をしてください。効果は100%ではありません。また飲んで2時間以内に吐いた場合は吸収されていない可能性があるので、すぐ医療機関に連絡を。

Q 「ピルは血栓症が怖い」と聞きましたが、どの種類でもそうですか?

A.正確には「エストロゲンを含むピルは」です。エストロゲンを含まないミニピルは、リスクが低いとされています。だから喫煙する方や片頭痛のある方でも、ミニピルなら選択肢になりえます。なお妊娠中・産後のほうが、ピル服用中よりリスクは高いとされています。漠然と怖がるより、ACHESを覚えて備えるほうが実際的です。

Q ピルで太りますか?

A.低用量ピル自体が体脂肪を増やすという確かな根拠は乏しいとされています。飲み始めに感じる変化は、水分をため込みやすくなることによるむくみであることが多く、多くは落ち着きます。ただし食欲の変化を感じる方はいます。詳しくはピルと体重の記事に。

Q 「ピルが使えない」と言われました。もう方法はないのでしょうか?

A.「エストロゲンを含むピルが使えない」という意味であることが多いです。喫煙や片頭痛が理由なら、エストロゲンを含まないミニピルや、ホルモンを全身に回さない子宮内システムが選択肢になりえます。「何が理由で使えないのか」を聞いてください。理由が分かれば、代わりの方法も見えてきます。

Q 副作用が怖くて、飲むか迷っています

A.迷ったまま受診して構いません。「飲むと決めてから行く場所」ではありません。診察では、あなたの年齢・喫煙・片頭痛・持病をふまえて、使えるかどうか、どの程度のリスクがあるかを個別に説明してもらえます。一般論で悩み続けるより、自分の条件で聞いたほうが早く決まります。「副作用が心配で迷っている」と、そのまま伝えてください。

Q 副作用がつらいとき、自分でやめてもいいですか?

A.ACHESに当てはまる症状が出たときは、すぐ中止して受診してください。それ以外は自己判断での中断を避けてください。避妊効果がなくなり、不正出血も起きやすくなります。治療目的なら症状が戻ります。また中断と再開の繰り返しは、リスクの高い「飲み始め」を何度も繰り返すことになります。まず「種類を変える」という選択肢を相談してください。

Q 定期的に通院しないといけませんか?

A.必要です。理由は血圧の上昇や肝機能の異常は自覚症状が出にくいためで、定期的な確認でしか見つかりません。「調子がいいから行かなくていい」とはならないのはこのためです。通院の負担が大きい場合は、まとめて処方してもらえるか、オンライン診療が使えるかを相談してみてください(ピルの処方)。

まとめ

ピルの副作用を考えるとき、いちばん大切なのは「どの種類の話をしているのか」を意識することです。毎日飲む低用量ピルと、1回だけのアフターピルでは、起きることも続く期間もまったく違います。

そして分かれ目はエストロゲンを含むかどうか。ここが血栓症のリスクを左右し、使える人・使えない人も分けています。「ピルが使えない」と言われても、別の種類なら選択肢になることがあります。

どの種類を使うにしても、ACHESだけは覚えておいてください。頻度は高くありませんが、知っているかどうかで対応が変わります。

この記事のポイントまとめ
  • 副作用は種類によって出方が違う。まず自分が飲むのがどれかを確認する
  • いちばん大きな分かれ目はエストロゲンを含むかどうか
  • エストロゲンを含む(低用量・超低用量・中用量)→ 血栓症に注意。吐き気・胸の張りも出やすい
  • ミニピル(含まない)→ 血栓症のリスクは低いとされるが、不正出血は出やすい
  • アフターピル→ 吐き気が中心で1〜2日、長くて数日。継続的な副作用ではない
  • 中用量ピルは吐き気が出やすい。生理移動なら早めに(目安1か月前)相談する
  • ACHES(激しい腹痛/胸痛・息切れ/激しい頭痛/視覚・言語の異常/片側のふくらはぎの痛み)は即中止・受診
  • 受診時は「ピルを飲んでいます」と必ず伝える
  • 血圧上昇・肝機能異常は自覚症状が出にくい。だから定期受診が必要
  • 「ピルが使えない」=すべての種類が使えない、ではない。理由を聞けば代わりの方法が見つかることがある
  • 合わないときは「種類を変える」という選択肢がある。自己判断で中断しない

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤ガイドライン」
  • 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編」
  • 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「患者向医薬品ガイド」および安全性情報
  • 厚生労働省「緊急避妊薬に係る取扱いについて」
  • World Health Organization「Medical eligibility criteria for contraceptive use」
  • 日本血栓止血学会「静脈血栓塞栓症に関する診療の手引き」