ピルを飲んでみようかと思ったとき、最初につまずくのが「どこに行けばいいのか」です。
婦人科に行ったことがない。何を聞かれるのか分からない。内診があるのか怖い。いくらかかるのか見当がつかない。親に知られないか心配。そもそも保険は使えるのか——。
この記事では、受診を決めてから薬を手にするまでの流れを、順番にまとめました。予約の電話で何と言えばいいか、当日の持ち物、費用の目安、そしていちばん多い不安である「内診」についても具体的に書いています。
そして、この記事でどうしても伝えたいことがひとつあります。個人輸入や通販でピルを買わないでください。理由は本文で説明しますが、これは「正規のルートで買いましょう」という建前の話ではなく、安全に関わる実際的な問題です。
- 薬局やドラッグストアで市販されていません
- 誰にでも処方できるわけではありません。喫煙・年齢・持病・既往歴によっては使えないことがあります
- 問診で細かく聞かれるのは、その確認のためです。断るための質問ではなく、あなたを守るための質問です
- 他人に処方された薬を使わないでください。ご家族や友人のものでも同じです
- 個人輸入・通販は避けてください(後述)
どこで処方してもらえるか
| 婦人科・産婦人科(対面) | オンライン診療 | |
|---|---|---|
| 診察 | 対面。必要に応じて内診・超音波・血液検査ができる | ビデオ通話などで医師が診察 |
| 向いている人 | 初めての方/生理痛や不正出血など気になる症状がある方/保険適用を相談したい方 | 通院の時間が取りにくい方/継続処方の方 |
| 保険 | 診断がつけば保険適用のことがある | サービスにより異なる。自費が多い |
| 薬の受け取り | 院内処方または調剤薬局 | 配送 |
| 注意点 | 予約が必要なことが多い | 血圧測定や検査をどう行うかを確認。体調変化時の相談窓口も |
内科や一般クリニックでは
婦人科以外でも処方している医療機関はありますが、婦人科系の診察や検査が必要になったときに対応できるかどうかが変わります。初めての方は婦人科・産婦人科を選ぶのが確実です。
ピルの種類によって行き先が変わることも
- 低用量ピル(避妊・月経困難症など)——婦人科・産婦人科
- アフターピル(緊急避妊)——時間との勝負です。婦人科のほか、対応している医療機関やオンライン診療も(アフターピルとは)
- ミニピル——扱っている施設が限られることがあります(ミニピル)
- 生理日の移動——中用量ピルを使う場合があります(月経移動)
【重要】個人輸入・通販を避けてほしい理由
検索すると「処方箋なしで買える」「安い」という案内が出てきます。ここははっきり書きます。
- ①中身が確認できない。成分量が表示と違う、有効成分が入っていない、異物が混入しているといった問題が、医薬品の個人輸入では実際に報告されています
- ②健康被害が出ても救済されない。正規に処方された医薬品で重い副作用が起きた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象になりえます。個人輸入品は対象外です
- ③診察を受けないということは、禁忌の確認をしないということ。喫煙・血栓症の既往・前兆のある片頭痛など、使ってはいけない条件を自分では判断できません
- ④血栓症が起きたときに気づけない。処方時に説明されるはずの危険なサインを知らないまま飲むことになります
- ⑤体調が変わったときに相談先がない
安さの差より、この5つのほうが重いと考えてください。国内で処方を受ければ、自費でも1か月分でおおむね2,000〜3,000円前後です。
血栓症のサイン|飲む人が必ず知っておくこと
低用量ピルには、まれではあるものの血栓症(血管の中に血のかたまりができる状態)のリスクがわずかに高まることが知られています。処方を受ける場合は必ず説明されますが、ここでも書いておきます。
| 頭文字(ACHES) | 症状 |
|---|---|
| A | 激しい腹痛 |
| C | 激しい胸痛・息切れ・押しつぶされるような痛み |
| H | 激しい頭痛 |
| E | 見えにくい・視野が欠ける・舌がもつれる |
| S | ふくらはぎの痛み・腫れ・赤み(片脚だけ) |
どれかが出たら、服用を中止してすぐ受診してください。そして受診時には「低用量ピルを飲んでいます」と最初に伝えること。詳しくは低用量ピルの効果で解説しています。
初めての婦人科|予約から会計まで
①予約する
- 「低用量ピルを希望しているのですが、初めてです」
- 「生理痛がひどくて相談したいのですが、初めてです」——症状で困っているなら、こちらのほうが適切です
- 理由を詳しく説明する必要はありません
- 「女性医師を希望します」——伝えて構いません。対応できるかは施設によります
- 「今、生理中です」——伝えておくと、検査の段取りが変わることがあります
- Web予約なら、備考欄に「ピル希望・初診」と書けば十分です
②持ち物
| 持ち物 | 補足 |
|---|---|
| 健康保険証 | 自費でも念のため持参を |
| お金 | 5,000円ほどあれば足りることが多いです |
| お薬手帳 | 飲んでいる薬・サプリがあれば |
| 最終月経の開始日のメモ | 必ず聞かれます。アプリの画面でOK |
| 直近の健診結果 | あれば。血圧や血液の値が分かると話が早い |
| 生理用品 | 診察をきっかけに少量の出血が出ることがあります |
③服装
スカートかワンピースが楽です。内診がある場合、下だけ脱げば済むためです。パンツでも問題ありません(脱ぐことになります)。タイツより靴下のほうが着脱が簡単です。
④問診票を書く
ここが実質的な診察の始まりです。正直に書いてください。判断に必要な情報です。
- 最終月経の開始日/周期の日数/生理期間
- 喫煙の有無と本数——電子タバコ・加熱式も含めて
- 身長・体重
- 持病・既往歴(血栓症・片頭痛・乳がんなど)
- 家族の既往歴(血栓症など)
- 飲んでいる薬・サプリ
- 妊娠の可能性/性交渉の経験の有無
- ピルを希望する理由(避妊/生理痛/PMS/ニキビ/生理日の移動)
内診はあるのか|いちばん多い不安に答えます
受診をためらう理由として、いちばんよく挙がるのがこれです。順番に書きます。
低用量ピルの処方に、内診は必須ではありません
- 問診と血圧測定だけで処方に至ることもあります
- 内診や超音波が行われるかどうかは、症状・年齢・目的・経過によって医師が判断します
- 「内診が不安です」と最初に伝えて構いません。これは失礼でもわがままでもありません
- 性交渉の経験がない場合は、必ずその旨を伝えてください。配慮した方法が選ばれます
- 超音波はお腹の上から(経腹)という方法があります。「経膣が不安です」と言ってよい
それでも検査をすすめられることがある理由
「不安だから何もしない」が最善とは限りません。すすめられる場合には理由があります。
迷ったら「今日はどうしても難しいので、次回でもいいですか」と言って構いません。受診しないよりずっといい選択です。
内診がある場合、実際に何が起こるか
| 流れ | 実際のところ |
|---|---|
| ①下着を脱ぐ | カーテンで仕切られた場所で。上は着たままです |
| ②内診台に座る | 自動で動く台が多いです。カーテンで顔の側と仕切られます |
| ③診察 | 数分で終わります。力を抜いて口で呼吸すると楽です |
| ④終わり | 身支度をして診察室へ |
- 「初めてです」と言う。声かけや進め方が変わります
- 口で息を吐く。止めると力が入ります
- 痛かったら「痛い」と言っていい。我慢する場面ではありません
- カーテンを開けておいてほしい場合も、言って構いません(顔が見えるほうが安心という方もいます)
- 生理中でも受診はできます。ただし検査によっては日を改めることがあります
オンライン診療の流れ
対面と並べて、こちらも順番に書きます。継続処方には現実的な選択肢です。
| 段階 | 実際にすること |
|---|---|
| ①申し込み | サービスのサイトやアプリから予約。本人確認書類が必要なことが多いです |
| ②問診票の入力 | 対面と同じ項目(喫煙・持病・既往歴・服用中の薬・最終月経)。ここも正直に |
| ③診察 | ビデオ通話や電話で医師が診察。数分〜十数分。静かな場所と、通信環境を用意しておく |
| ④決済 | クレジットカードなど。診察料・薬代・送料の内訳を確認 |
| ⑤配送 | 数日で届くことが多い。受け取り方法(宅配ボックス・局留めなど)を選べるか確認 |
| ⑥その後 | 定期配送になることが多い。解約方法を最初に確認しておく |
- ①医師の診察を経て処方されるか。問診票の入力だけで薬が届くサービスには注意してください。それは診療ではありません
- ②血圧測定や検査をどう案内されるか。ピルの継続には定期的な確認がすすめられます。「一度も測らないまま何年も」は避けたい
- ③体調が変わったときの相談窓口があるか。血栓症のサインが出たときに、誰に連絡するのか
- ④血栓症(ACHES)の説明があるか。説明がないサービスは、その時点で判断材料になります
- ⑤解約と休止の方法。定期配送は、始めるより止めるほうが手間なことがあります
そして——「オンライン診療」と「個人輸入の代行サイト」は、まったく別のものです。医師の診察がなく、海外から発送されるものは後者です。見分けがつかないときは使わないでください。
- 生理痛が強い/経血量が多い/レバー状のかたまりが多い——子宮筋腫や子宮内膜症が背景にあることがあり、超音波でしか分かりません
- 不正出血がある
- 初めてピルを飲む
- 年齢的に子宮頸がん検診の対象(子宮頸がん検診)
「初回は対面、2回目以降はオンライン」——これがいちばん現実的な組み合わせだと思います。
費用|保険が使える場合と、自費の場合
分かれ目は「目的」です
| 目的 | 費用の扱い |
|---|---|
| 避妊 | 自費 |
| 月経困難症・子宮内膜症などの治療 | 診断がつけば保険が適用されることがあります |
| PMS・ニキビ・生理日の移動 | 目的により異なります。自費のことが多い |
判断するのは医師です。「保険にしてください」と希望して決まるものではありません。ただし生理痛や経血量で困っているなら、そのことを正確に伝えることには意味があります。詳しくは低用量ピルの効果の費用の項を参照してください。
費用の目安
| 内容 | 目安 |
|---|---|
| 初診+問診(保険・3割負担) | おおむね1,000〜2,000円前後 |
| 超音波検査(保険・3割負担) | おおむね1,500〜3,000円前後 |
| LEP製剤(保険適用)1か月分 | おおむね1,000〜2,500円前後 |
| 診察料(自費) | 施設により0〜3,000円程度 |
| OC(自費)1か月分 | おおむね2,000〜3,000円前後 |
| 子宮頸がん検診 | 自治体の助成で無料〜2,000円程度のことが多い |
| 再診+処方 | おおむね1,500〜3,000円前後 |
初回は3,000〜5,000円を見ておけば足りることが多いです。施設によって設定はかなり異なるので、予約時に「自費だといくらくらいですか」と聞いて構いません。
まとめ処方という選択肢
継続して飲む場合、3か月分などまとめて処方されることがあります。通院の回数が減るぶん、負担が軽くなります。ただし定期的な受診(血圧測定など)は続けてください。「まとめてもらったから1年行かない」は避けたいところです。
保険証・親に知られるか
10代・20代の方がいちばん気にする部分です。制度の話なので、事実だけ書きます。
| 気になること | 実際のところ |
|---|---|
| 保険証を使うと家族に分かるか | 加入している健康保険から「医療費のお知らせ」が世帯主宛に届くことがあります。医療機関名と月・金額が載る形式が一般的で、病名までは記載されないのが通常です。ただし様式は保険者によって異なります |
| 自費なら | 保険を使わないので、保険者への記録は残りません |
| 親の同意は必要か | 受診自体に保護者の同意は必須ではありません。ただし未成年の場合、内容によっては保護者への説明を求められることがあります |
| 薬の受け取り | 院内処方なら薬局に行く必要がありません。気になる場合は予約時に確認を |
| 学校・仕事を休む必要があるか | 土曜診療やWeb予約のある施設が増えています。「土曜はやっていますか」と聞いてみてください |
- 知られるかどうかが不安で先延ばしにするうちに、望まない妊娠のリスクや、つらい生理痛の期間が続きます
- 自費という選択肢があります。費用は上がりますが、保険を使わずに済みます
- 予約時や受付で相談して構いません。「家族に知られたくないのですが」と伝えて大丈夫です
- どうしても難しい事情があるなら、自治体の思春期相談窓口や学校の保健室に先に相談する方法もあります
婦人科の選び方
確認したい6つのポイント
| ポイント | 見るところ |
|---|---|
| ①通いやすさ | いちばん大事です。継続して通うことになります。職場・学校・家からの距離、土曜診療の有無 |
| ②予約のしやすさ | Web予約があるか。待ち時間の目安 |
| ③女性医師の在籍 | 希望があれば。予約時に確認できます |
| ④ピルの扱い | サイトに「低用量ピル」の記載があるか。扱っている種類が複数あるか(合わないときに変更しやすい) |
| ⑤説明の丁寧さ | 初回に副作用や血栓症の説明があるか |
| ⑥費用の明示 | サイトに自費の料金が書かれているか |
- 「待ち時間が長い」は、人気の裏返しのこともあります
- 「説明が丁寧」「質問しやすい」という評価は、継続して通ううえで効いてきます
- 極端に良い評価・極端に悪い評価は、両方とも割り引いて読む
- いちばん確実なのは一度行ってみること。合わなければ変えていいのです
- 「一度行ったらそこに通い続けなければ」ということはありません
合わないと感じたら、変えていい
説明が足りない、質問しにくい、不安を伝えても取り合ってもらえない——そう感じたら、別の医療機関を探して構いません。これは失礼なことではなく、継続的に付き合う相手を選ぶという、当たり前のことです。
とくにピルは年単位で続けることがある薬です。相談しやすい相手かどうかは、実際に大きく影響します。
処方を受けたあと
受け取ったら確認すること
- いつから飲み始めるか——生理初日からか、それ以外か。避妊効果の扱いが変わります
- 1日1錠・毎日同じ時間——飲み忘れを減らす工夫はピルの飲み忘れを参照
- シートの読み方——21錠か28錠か。偽薬があるか(低用量ピルの効果で解説)
- 最初の期間、他の避妊法の併用が必要か——必ず確認してください
- 次はいつ受診するか
- 体調が変わったときの連絡先
受診した日から、飲み始めるまで
「薬をもらった=今日から飲む」とは限りません。ここが分かっていないと、いつまでも飲み始められません。
| パターン | 飲み始めるタイミング | その間の避妊 |
|---|---|---|
| 次の生理を待って始める | 生理が始まった日から。もっとも一般的な案内のひとつ | それまでは他の方法が必要。待つ期間が最大1か月近くになることも |
| 受け取った日から始める | その日から飲み始める方法が案内されることもあります | 最初の一定期間は他の方法の併用を指示されることがあります |
| 生理が来ている最中に受診した | その場で始められることがあります | 同上 |
- 製剤ごとに案内が異なり、飲み始めのタイミングによっても扱いが変わるためです。ここに一般論を書くと、自己判断の材料になってしまいます
- 必ず処方時の説明と添付文書に従ってください
- そして「いつから避妊効果を期待してよいですか」と、その場で聞いてください。聞きにくい質問ではありません。むしろ聞かないほうが危険です
- もらった説明書は、捨てずに1シート目が終わるまで手元に置いてください
2回目以降|どのくらい通うのか
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1〜3か月目 | 1か月ごとの受診になることが多いです。副作用の出方と体調を確認する時期 |
| 落ち着いてきたら | 2〜3か月分などのまとめ処方になることがあります。通院の負担が減ります |
| 継続中 | 定期的に血圧測定などの確認。間隔は医師の指示に従ってください |
| 年1回 | 子宮頸がん検診を忘れずに(年齢により対象) |
| 体調が変わったとき | 次の予約を待たずに連絡。ACHESの症状なら中止してすぐ受診 |
- 薬が切れそう——残り1週間を切る前に予約を。「なくなってから」だと、飲まない日ができてしまいます
- 予約が取れない——連休前や年度末は混みます。次の受診日を、会計のときに予約してしまうのが確実
- 引っ越し・転職で通えなくなった——自己判断でやめず、新しい医療機関を探して継続を。これまでの経過を伝えられるよう、飲んでいる薬の名前を控えておく
- 費用がきつくなった——そのまま相談してください。保険適用の可能性や、まとめ処方で通院回数を減らす方法があります
- やめたくなった——これも相談を。やめ方にも指示があります(シートの途中でやめると不正出血が起こることがあります)
飲み始めの1〜2か月
吐き気・不正出血・頭痛などが出ることがあります。多くは1〜3周期で落ち着くとされていますが、つらいときは我慢せず相談してください(飲み始めた1か月目・副作用)。
合わない場合は、種類を変えるという選択肢があります(低用量ピルの種類)。1つ試して駄目でも、そこで終わりではありません。
ほかの医療機関で伝えること
低用量ピルを飲んでいることは、婦人科以外でも申告が必要な情報です。他科の受診・手術や入院・抜歯・市販薬やサプリの購入・救急のとき。お薬手帳に記載してもらうのがいちばん確実です。
通説の検証
「ピルは薬局で買える」は本当か
判定:低用量ピルは市販されていません。
ドラッグストアや薬局の店頭で、処方箋なしに低用量ピルを購入することはできません。「薬局で買える」という情報を見かけたら、それは個人輸入の代行サイトや、海外の制度の話である可能性が高いです。
なお緊急避妊薬(アフターピル)については、薬局での試験的な販売の取り組みが進められています。ただしこれは低用量ピルとは別の薬で、扱いも異なります(アフターピルとは)。
「オンラインのほうが安い」は本当か
判定:一概には言えません。総額で比べてください。
- オンラインは診察料・配送料が加わることがあります
- 対面は保険が適用されれば安くなることがあります。生理痛で困っているなら、この差は大きい
- オンラインの「初回無料」などは、2回目以降の総額で見ないと比較になりません
- そして安さだけで選ばないでください。体調が変わったときに相談できるかどうかは、金額に表れません
「内診がないと処方してもらえない」は本当か
判定:内診は必須ではありません。
問診と血圧測定だけで処方に至ることもあります。「内診が怖いから受診しない」という理由で先延ばしにしているなら、それは避けられる遠回りです。まず予約の電話で「内診が不安なのですが」と聞いてみてください。
「未成年は親の同意がないと無理」は本当か
判定:受診自体に保護者の同意は必須ではありません。
ただし未成年の場合、内容によっては保護者への説明を求められることがあります。施設によって対応が異なるので、予約時に確認するのが確実です。
「どうせ無理だろう」と決めつけて相談しないのが、いちばんもったいないと思います。
- 薬局で買える:低用量ピルは市販されていません
- オンラインが安い:一概に言えない。保険適用の可能性も含めて総額で比較を
- 内診が必須:必須ではありません。不安なら先に伝えてよい
- 未成年は親の同意が必要:受診自体に必須ではありません
よくある質問
Q 婦人科に行ったことがありません。何を話せばいいですか?
A.「ピルを希望しています。初めてです」——これだけで十分です。あとは問診票と医師の質問に答えるだけで進みます。上手に説明する必要はありません。最終月経の開始日だけメモしていけば、あとはその場で大丈夫です。「何を聞かれるか分からないのが不安」という方は、この記事の問診票の項目に先に目を通しておくと、心づもりができます。婦人科にとって、ピルの相談は日常的なものです。
Q 生理中でも受診できますか?
A.受診できます。ただし検査によっては日を改めることがあるので、予約時に「今生理中です」と伝えてください。逆に、飲み始めのタイミングを生理に合わせる場合もあるため、生理中や生理直後の受診がむしろ都合がよいこともあります。「いつ行けばいいですか」と予約時に聞いてしまうのがいちばん早いです。
Q その日にピルをもらえますか?
A.その日に処方されることが多いです。ただし問診の結果によっては、検査を先に行う・別の方法を提案されることもあります。「今日必ずもらえる」と決めつけず、検査が必要になる可能性も含めて時間と費用を見ておくと安心です。所要時間は待ち時間を含めて1〜2時間を目安にしてください。
Q 避妊が目的だと言いにくいのですが。
A.避妊は、正当な受診理由です。婦人科では日常的な相談で、判断されることはありません。そして正直に伝えることには実際的な意味があります——避妊が目的なら、飲み始めのタイミングや併用が必要な期間の説明が変わるからです。目的をぼかすと、必要な説明が受けられません。なお生理痛やPMSでも困っているなら、それも一緒に伝えてください。保険適用の判断に関わることがあります。
Q オンライン診療だけで完結させても大丈夫ですか?
A.継続処方には現実的な選択肢です。ただし次の3点を確認してください。——①医師の診察を経て処方されるか(問診票だけで薬が届くサービスには注意)②血圧測定や必要な検査をどう案内されるか ③体調が変わったときの相談窓口があるか。そして生理痛が強い・経血量が多い・不正出血があるといった症状がある方は、一度は対面で超音波を受けてください。背景に子宮筋腫や子宮内膜症があると、オンラインだけでは分かりません。
Q 通販サイトで安く売っています。なぜだめなのですか?
A.理由は本文に詳しく書きましたが、要点は「中身が確認できない」「健康被害が出ても救済制度の対象外」「禁忌の確認をしないまま飲むことになる」の3つです。とくに3つ目が重要で、喫煙・血栓症の既往・前兆のある片頭痛など、使ってはいけない条件を自分では判断できません。そして血栓症の危険なサインを知らないまま飲むことになります。国内で処方を受ければ自費でも1か月2,000〜3,000円前後です。差額より、この差のほうが重いと考えてください。
Q 高校生です。一人で行っても大丈夫ですか?
A.受診自体に保護者の同意は必須ではありません。ただし施設によって対応が異なるため、予約時に「高校生ですが、一人で受診できますか」と確認するのが確実です。生理痛がひどい場合、月経困難症の治療として処方されることがあり、10代でも一般的に用いられています。「若いのに」と思われるかもしれませんが、痛みで学校を休み続けるほうが、生活への影響は大きいです。学校の保健室の先生に先に相談するのも、いい入口になります。
Q 「使えません」と言われたら、もう手はないのですか?
A.ほかの選択肢があります。喫煙や片頭痛などで低用量ピルが使えない場合でも、ミニピルやミレーナ(子宮内システム)、漢方薬、鎮痛薬の使い方の見直しなど、目的に応じた方法が検討できます。避妊が目的なら避妊法の種類と選び方も参照してください。「ピルが使えない=何もできない」ではありません。そのまま医師に「では、ほかにどんな方法がありますか」と聞いてください。
まとめ
ピルを手にするまでの道のりは、思っているより短いです。予約の電話で「ピルを希望しています。初めてです」と言う。それだけで、あとは向こうが進めてくれます。
止まってしまう理由の多くは、内診・費用・親に知られることの3つです。この記事では、その3つに具体的に答えました。内診は必須ではありません。初回は3,000〜5,000円が目安です。自費という選択肢もあります。
そして、繰り返します。通販や個人輸入で買わないでください。安さの差より、中身が確認できないこと・救済制度の対象外であること・禁忌の確認をしないまま飲むことのほうが、はるかに重い問題です。
- 低用量ピルは医師の処方が必要な医療用医薬品。薬局では市販されていない
- 初めてなら対面の婦人科・産婦人科から。超音波で背景を確認でき、保険適用も相談できる
- 【重要】個人輸入・通販は避ける。中身が確認できず、健康被害の救済制度の対象外で、禁忌の確認もできない
- 飲む人全員が知っておくべき血栓症のサイン「ACHES」——とくに片脚だけのふくらはぎの痛み
- 予約は「ピルを希望しています。初めてです」で通じる
- 持ち物は保険証・5,000円ほど・最終月経の開始日のメモ。服装はスカートが楽
- 問診では喫煙(電子タバコ含む)と片頭痛を正直に。これは禁忌の確認のため
- 内診は必須ではない。「不安です」と先に伝えてよい。経腹エコーという方法もある
- 費用の分かれ目は目的——避妊は自費、月経困難症などは診断がつけば保険適用のことがある
- 初回は3,000〜5,000円が目安
- 保険を使うと「医療費のお知らせ」が世帯主宛に届くことがある。自費なら保険者への記録は残らない
- 受診自体に保護者の同意は必須ではない(施設により対応は異なる)
- 医院選びでいちばん大事なのは通いやすさ。合わなければ変えていい
- 受け取ったら「いつから飲むか」「最初の期間の併用が必要か」「次はいつ来るか」を必ず確認
- 「使えません」と言われても、ほかの選択肢がある
今日できるのは、近くの婦人科を1つ調べて、土曜にやっているかを見ることだけかもしれません。それでも、予約の電話までの距離はぐっと縮まります。
参考文献
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会「OC・LEPガイドライン」
- 公益社団法人 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編」
- 厚生労働省「医薬品等の個人輸入について(一般の方へ)」
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「医薬品副作用被害救済制度」
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「患者向医薬品ガイド・添付文書情報」
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル|血栓症」
- 公益社団法人 日本産婦人科医会「思春期の月経随伴症状とホルモン療法」
- World Health Organization「Medical eligibility criteria for contraceptive use」
- National Health Service (NHS)「Combined pill」