「クラミジアかもしれない」と気になりながら、誰にも相談できずに悩んでいる方は少なくありません。クラミジアは日本でもっとも多い性感染症(STI)のひとつですが、女性の場合は自覚症状がほとんどない場合が多く、気づかないまま長期間感染が続いてしまうことがあります。

放置すると不妊や子宮外妊娠のリスクにつながることもあるため、正しい知識を持って早めに対処することがとても大切です。この記事では、クラミジアの症状・感染経路・検査・治療・予防まで、わかりやすく解説します。

クラミジアとは

医学的な定義

クラミジア(性器クラミジア感染症)とは、Chlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマチス)という細菌による性感染症です。日本において届け出が必要な性感染症の中で最も報告数が多く、特に10〜20代の若い世代に多く見られます。

クラミジアは細菌の一種ですが、ウイルスに近い性質を持ち、自分では増殖できず宿主の細胞内に寄生して増えます。感染部位は主に子宮頸管(女性)・尿道(男性)ですが、のど(咽頭)や直腸への感染も起こります。

なぜ女性に多く・気づきにくいのか

クラミジアが問題なのは、女性の約70〜80%が無症状とされる点です。男性は尿道炎の症状(排尿時の痛みや分泌物)として気づきやすいのに対し、女性は子宮頸管に感染しても自覚症状がほとんど出ません。

また、おりものの変化や軽い不快感があっても「生理前だから」「疲れているから」と見過ごされやすく、感染に気づかないまま半年〜数年が経過してしまうケースも珍しくありません。

クラミジアは「恥ずかしい病気」ではない クラミジアは特定のパートナーとの性行為で感染しうる、ごく一般的な細菌感染症です。感染したことは道徳的な問題ではありません。早めに検査・治療を受けることが、自分とパートナーの健康を守る一番の方法です。

女性のクラミジアの症状

症状が出る場合のサイン

症状はどれも「クラミジアに特有」とは言えず、ほかの原因でも起こります。おりものの量の変化は細菌性膣症トリコモナスでも起こり、下腹部の痛みは月経困難症排卵痛と区別がつきません。症状の種類で自己判断せず、検査で確かめることが唯一の方法です。

約70〜80%は無症状ですが、症状が出る場合には以下のような変化が見られることがあります。

  • おりものの変化:量が増える・黄色や黄緑色になる・においが強くなる
  • 不正出血:性行為後の出血・生理以外の出血
  • 下腹部の違和感:軽い痛みや重さ
  • 排尿時の軽い痛み:尿道にも感染した場合
  • のどの軽い痛み:口腔性交による咽頭感染の場合

これらの症状は他の疾患(カンジダ膣炎・細菌性膣炎など)でも見られるため、症状だけで自己判断することは難しいです。気になる変化があれば検査を受けることが重要です。

進行した場合の症状

炎症が子宮の奥へ広がると、子宮のあたりの痛み性交痛としてあらわれることがあります。膀胱炎と思って受診したところ見つかる、というケースもあります。

クラミジアを長期間放置すると、感染が子宮・卵管・腹腔内へと広がり、骨盤内炎症性疾患(PID: Pelvic Inflammatory Disease)を引き起こすことがあります。PIDになると以下の症状が現れます。

  • 下腹部の強い痛み・発熱
  • 性行為時の痛み(性交痛)
  • 不正出血の増加
  • 吐き気・倦怠感

PIDは不妊や子宮外妊娠のリスクを高めるため、早期発見・治療が非常に重要です。

クリップボードにはさんだ問診票を両手で持つ女性の手元

感染してから症状が出るまで|潜伏期間

「いつの感染なのか知りたい」というのは、多くの人が最初に考えることです。ここは検索でもよく調べられている一方、書かれ方がばらついている部分なので整理します。

潜伏期間は1〜3週間が目安

クラミジアの潜伏期間はおよそ1〜3週間とされています。ただし、この数字には大きな但し書きがつきます。

感染からの時期 体の状態 検査でわかるか
〜24時間 自覚症状なし まだ検出できない
1〜2日 自覚症状なし 検査で検出できるようになる時期
1〜3週間 症状が出る人は出はじめる 検出できる
1か月以降 多くの女性は症状が出ないまま経過 検出できる

ここで押さえておきたいのは、「潜伏期間」と「検査でわかるまでの期間」は別物だということです。潜伏期間は症状が出るまでの時間ですが、検査は症状の有無に関係なく、菌の遺伝子を検出します。そのため症状が出る前でも検査は可能です。

心当たりの日から、いつ検査に行けばいい?
目安は心当たりの性交渉から24時間以降です。ただし検査の種類や医療機関の方針によって推奨時期は異なるため、受診時に「いつの心当たりか」を伝えて判断してもらってください。不安なら早めに一度受け、必要なら期間をあけてもう一度受けるという流れになります。

潜伏期間から「いつの感染か」は特定できない

ここは誤解が生まれやすいところなので、はっきり書きます。

クラミジアは、感染時期を潜伏期間から逆算して特定することができません。理由は次のとおりです。

  • 症状が出ない人が多い:女性の場合、感染しても7〜8割は自覚症状がないとされています。症状を起点に数えられません
  • 症状が出るまでの幅が広い:数日で出る人も、数か月たってから気づく人もいます
  • 無症状のまま何年も経過することがある:過去の感染が、不妊の検査で初めて見つかることもあります

この性質は、パートナーとの関係で誤解を生みやすい部分でもあります。「陽性が出た=最近の感染」でも「相手が最近うつした」でもありません。この点はパートナーへの伝え方の章でもう一度触れます。

感染経路

主な感染経路

クラミジアは主に性的な接触(粘膜同士の接触)によって感染します。具体的には以下のような行為が感染経路となります。

  • 膣性交
  • 口腔性交(オーラルセックス)→ 咽頭感染
  • 肛門性交 → 直腸感染
  • 手指を介した接触(手→目への感染で結膜炎になるケースも)

コンドームなしでの性行為が最も感染リスクが高く、コンドームを使用しない場合の一度の性行為での感染率は約20〜50%とされています。コンドームを正しく使用することで感染リスクを大幅に下げることができます。

「心当たりがない」と感じる場合

クラミジアは淋菌と同時に感染していることがあり、性器ヘルペス尖圭コンジローマ梅毒などほかの性感染症が同時に見つかることもあります。検査の機会には、まとめて調べておくと安心です。

「パートナーは1人だし、心当たりがない」という方は少なくありません。しかしクラミジアは以下の理由から気づきにくいのです。

  • パートナーが無症状:感染している男性の約50%が無症状のため、パートナー自身も気づいていない可能性がある
  • 潜伏期間が長い:感染から症状(または陽性反応)まで1〜3週間かかり、感染した時期が特定しにくい
  • 長期間潜伏:感染後に症状が出ないまま数ヶ月〜数年経過することもある

「心当たりがない=感染していない」とは言い切れません。検査で陽性が出た場合でも、それはあなたやパートナーの誠実さとは別の問題です。

日常生活での感染はほぼない トイレの便座・タオルの共用・プール・入浴などの日常的な接触ではクラミジアには感染しません。クラミジア菌は体外では非常に短時間しか生存できないためです。

検査・診断方法

産婦人科・泌尿器科での検査

クラミジアの検査は産婦人科(女性)で受けるのが一般的です。検査方法は以下の通りです。

  • 子宮頸管分泌物の検査:子宮頸管から綿棒で分泌物を採取してクラミジア菌のDNAを検出する。精度が最も高い
  • 尿検査:初尿(出始めの尿)を採取して検査する方法。病院によっては尿のみで可能
  • 血液検査(抗体検査):過去の感染歴を確認する方法。現在の感染を確定診断するには向かない

咽頭感染が疑われる場合は、のどの粘膜から採取する咽頭検査も行います。結果は通常数日〜1週間程度で出ます。

性感染症検査クリニック・自宅検査キット

産婦人科以外にも、性感染症(STI)専門クリニックや、自宅で採取して郵送する検査キットも利用できます。

  • STIクリニック:プライバシー配慮が高く、複数の性感染症を同時に検査できることが多い
  • 郵送検査キット:自宅で尿や膣分泌物を採取して郵送するタイプ。産婦人科に行きにくい方に選ばれているが、陽性の場合は必ず医療機関での治療が必要
自己判断での治療は絶対にしない 市販薬ではクラミジアを治療できません。抗生物質は医師の処方が必要です。また、陽性が出た場合は必ず医療機関を受診して治療を受けてください。未治療のまま放置すると感染が拡大し、重篤なリスクにつながります。

どこで検査を受ける?費用と、保健所の無料検査

検査を受けようと決めても、次に迷うのが「どこで」「いくらかかるか」です。ここは情報が探しにくい部分なので、選択肢を並べて比べられるようにします。

4つの選択肢を比べる

受ける場所 費用の目安 特徴
保健所 無料 匿名で受けられる。実施日・対象項目は自治体によって異なる
婦人科・産婦人科 症状があれば保険適用で数千円/無症状なら自費で5,000〜10,000円程度 陽性なら同じ場所で治療まで進められる
性感染症専門クリニック 自費で5,000〜15,000円程度 複数項目のセット検査を扱っていることが多い
郵送検査キット 4,000〜8,000円程度 自宅で完結。陽性なら結局受診が必要になる

※金額は目安です。医療機関・自治体によって異なります。

保健所の無料・匿名検査

多くの自治体の保健所で、性感染症の検査を無料・匿名で受けられます。これは検査キットや自費クリニックの案内ページにはまず書かれていない選択肢なので、知らないまま費用を払っている人が少なくありません。

保健所の検査を利用するときのポイント
  • 費用は無料。保険証も不要で、名前を伝えずに受けられる自治体が多くあります
  • 実施日が決まっている。週1回・月数回などのことが多いため、事前に自治体のサイトか電話で確認します
  • 予約制のことが多い。当日枠がない場合もあります
  • 検査項目は自治体によって違う。HIVのみの日、クラミジア・淋菌も含む日などがあります
  • 陽性だった場合の治療は保健所では行いません。医療機関の受診が必要です

「費用が心配」「保険証を使うと家族に知られそう」という理由で受診をためらっている場合、保健所は現実的な選択肢になります。費用を理由に検査をあきらめる必要はありません。

保険が使えるかどうかは「症状の有無」で決まる

婦人科で受ける場合、費用が変わる分かれ目はここです。

  • 症状がある場合(保険適用):おりものの変化・不正出血・下腹部痛などがあり、医師が必要と判断して行う検査は保険が使えます
  • 症状がない場合(自費):「心当たりがあるので念のため」というスクリーニング目的の検査は、原則として自費になります

つまり「保険にしてください」と希望して決まるものではありません。ただし、自覚していなかっただけでおりものの変化不正出血があることは珍しくないので、気になっている症状は遠慮せず全部伝えてください。

郵送検査キットを使うときの注意

自宅で採取して郵送するタイプの検査は、受診のハードルが高い人にとって入口になります。ただし限界も知っておいてください。

キットで済ませてはいけないこと
  • 陽性なら結局受診が必要です。キットだけでは治療の薬は手に入りません
  • 採取がうまくできていないと正しい結果が出ません。説明書のとおりに行ってください
  • のど・肛門の感染は、専用の検査でないと調べられません。膣の検査だけでは見落とします
  • 症状があるなら、キットではなく最初から受診したほうが早く終わります

なお、クラミジアは淋菌と同時に感染していることが少なくありません。症状も似ているため、検査は両方を同時に調べるのが一般的です。受診時に「クラミジアだけ」と限定せず、医師の判断にゆだねてください。ほかの性感染症については性感染症の種類と特徴で整理しています。

治療方法

抗生物質による治療

クラミジアは適切な抗生物質を服用することで治療できます。主に使われる薬は以下の通りです。

  • アジスロマイシン系抗生物質:1回の服用で治療が完了する(単回投与)。最も広く使われる
  • ドキシサイクリン系抗生物質:7日間服用するタイプ。上記が使えない場合に処方されることが多い
  • その他の抗生物質:状況や体質に応じて医師が判断する

治療後は通常1〜3週間後に再検査(判定検査)を行い、菌の消失を確認します。薬を飲み切るまで、または再検査で陰性が確認されるまでは性行為を控えることが推奨されます。

パートナーも一緒に治療することが重要

クラミジアは、自分が治療を完了してもパートナーが未治療のままだと再感染(ピンポン感染)が起こります。そのため、パートナーにも必ず検査・治療を受けてもらうことが治療成功の鍵です。

「パートナーに話しにくい」という方は、担当医に相談すると、パートナーへの伝え方についてアドバイスをもらえることもあります。

木のテーブルをはさみ、ピンクのカーディガンを着た女性と白衣の女性医師が向かい合って話す様子

治療の終わり方|治癒判定とパートナーの同時治療

クラミジアの治療は、抗菌薬を飲めばそれで完了、ではありません。「治ったことを確認する」ところまでが治療です。ここが抜けると、治ったつもりで感染が続くことになります。

治癒判定検査を受ける

薬を飲み終えたあと、本当に菌がいなくなったかを確認する検査を受けます。これを治癒判定といいます。

治癒判定でいちばん大事なこと

薬を飲み終えてすぐに検査を受けても、正しい結果になりません。死んだ菌の遺伝子がしばらく残るため、治っていても陽性と出てしまうことがあるからです。

そのため、治療終了から一定期間をあけてから検査します。あける期間は検査方法や医療機関の方針によって異なるため、必ず主治医の指示に従ってください。「いつ来ればいいですか」と、薬をもらうときに聞いておくと確実です。

症状が消えたことは、治ったことの証明にはなりません。そもそも女性の多くは最初から無症状なので、症状を目安にできないのです。

パートナーにどう伝えるか

ここが、この病気でもっとも難しい部分です。そしてここを乗り越えないと治療は完結しません。

理由ははっきりしています。自分だけが治療しても、パートナーが治療していなければ、次の性交渉でまた感染します。これを「ピンポン感染」と呼びます。行ったり来たりするからです。

伝えるときに使える事実
  • いつの感染かは特定できません。「最近うつされた」とも「自分が持ち込んだ」とも言えません。何年も無症状で経過することがあるためです
  • だから「誰のせいか」を決める材料がそもそもありません。この点を先に共有すると、話が責任追及になりにくくなります
  • 治療は簡単です。多くは抗菌薬の内服で終わります
  • 放置すると相手にも不利益があります。男性でも尿道炎や精巣上体炎を起こすことがあります

伝え方としては、「あなたを責めたいわけではない。2人で同時に治す必要がある病気だから伝えている」という立て方が現実的です。原因の話ではなく、これからの行動の話にすると受け取られ方が変わります。

言い出しにくい場合は、この記事のページを見せる、検査結果の紙を見せる、といった方法もあります。口頭で全部説明しようとしなくて構いません。

治療中に守ること

  • 薬は指示どおり最後まで飲み切る。症状が消えても途中でやめない
  • 治療期間中とその後しばらくは性交渉を控える。控える期間は薬の種類によって異なるため、医師の指示に従ってください
  • パートナーの治療が終わるまでは、再開しない。片方だけ終わっても意味がありません
  • 治癒判定を受けるまでが治療。予約を先に取っておくと忘れません

また、再開後もしばらくはコンドームを使うことをおすすめします。クラミジアは一度治っても、また感染します。免疫がついて二度とかからない、という病気ではありません。

自然に治ることはある?

検索でよく調べられている疑問です。結論から書きます。

クラミジアは、自然に治ることを期待して待ってよい病気ではありません

ごくまれに自然に菌が消えることがあるとする報告はありますが、それを当てにして放置してよい根拠にはなりません。治るかどうかを事前に見分ける方法はなく、待っている間に感染は続きます。

「自然に治る」と考えてしまう理由は、たいていこの2つです。

  • 症状が消えたから治ったと思う:クラミジアは症状が軽くなったり消えたりすることがありますが、菌がいなくなったわけではありません。むしろ症状がないまま体の奥へ進んでいることがあります
  • もともと症状がないから病気だと思えない:女性の7〜8割は無症状です。自覚がないことと、感染していないことは別です

放置した場合に何が起こるかは、次の章で具体的に見ていきます。クラミジアで本当に怖いのは、症状そのものではなく、症状がないまま進むことです。

放置した場合のリスク

骨盤内炎症性疾患(PID)

治療されないクラミジアが子宮・卵管・卵巣・腹膜へと広がると、骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こします。PIDは適切な抗生物質治療が必要な重篤な状態で、入院が必要なこともあります。また、炎症が繰り返されると卵管に瘢痕(傷跡)が残ることがあります。

不妊・子宮外妊娠リスク

妊娠を考えている、あるいはいつか考えるかもしれないという段階の人にとって、ここがこの病気のいちばん重要な部分です。不妊の検査で卵管の通り具合を調べる子宮卵管造影検査を受けて、そこで初めて過去の感染がわかることも珍しくありません。妊活を始める前に調べておく価値があります。

卵管に瘢痕が形成されると、卵管が詰まったり狭くなったりすることで卵管性不妊につながる可能性があります。また、受精卵が卵管内で詰まって着床してしまう子宮外妊娠のリスクも高まります。子宮外妊娠は生命に関わる緊急事態になることもあるため、注意が必要です。

不妊の原因のうち、クラミジアなどの感染症が関与しているケースは一定数あります。「なかなか妊娠しない」という方は、不妊検査とあわせてSTI検査を受けることも選択肢のひとつです。

妊娠中・出産時のリスク

妊娠がわかったあとの妊婦健診では、クラミジアの検査が標準的な項目として組み込まれています。妊娠検査薬で陽性が出たら、早めに受診して検査を受けてください。

妊娠中にクラミジアに感染している場合、以下のリスクがあります。

  • 早産・低体重児出産のリスク上昇
  • 分娩時に赤ちゃんへの母子感染(新生児結膜炎・肺炎の原因になる)

妊娠初期の検査(妊婦健診)でクラミジア検査が含まれているのはこのためです。陽性の場合は妊娠中でも安全な抗生物質で治療できます。

予防方法

コンドームの正しい使用

クラミジアの感染予防において最も有効な方法は、コンドームを性行為の最初から最後まで正しく使用することです。ただし、コンドームは100%の予防を保証するものではなく、接触部位によってはカバーできない場合もあります。

定期的な検査

婦人科を受診する機会そのものを増やしておくと、見つかるのが早くなります。子宮頸がん検診HPVワクチンの相談のタイミングにあわせるという方法もあります。

症状がなくても、以下に当てはまる方は定期的なSTI検査を受けることをおすすめします。

  • 新しいパートナーと性行為をした
  • コンドームなしの性行為があった
  • パートナーが複数いる・いた
  • 妊活を始めた・妊娠した(妊婦健診で検査あり)

年に1回程度の定期検査は、自分の体を守るための習慣として広まりつつあります。

パートナーとのオープンなコミュニケーション

性感染症の予防・早期発見には、パートナーとSTI検査について話し合えることが大切です。「一緒に検査を受けよう」と提案することは、お互いへの信頼と配慮の表れです。

よくある質問

Q クラミジアは自然に治りますか?

A.クラミジアは自然には治りません。抗生物質による治療が必要です。症状がないからといって放置すると感染が広がり、不妊や子宮外妊娠などの深刻なリスクにつながる可能性があります。陽性が確認されたら必ず医療機関を受診してください。

Q クラミジアの検査はどこで受けられますか?費用は?

A.産婦人科・泌尿器科・性感染症クリニックで受けられます。保険適用の場合は自己負担で2,000〜5,000円程度が目安ですが、クリニックや検査内容によって異なります。自宅検査キットは3,000〜8,000円程度です。陽性の場合は保険適用で治療を受けられます。

Q クラミジアに感染したかもしれませんが、パートナーにどう伝えればいいですか?

A.「検査で陽性が出た。お互いの健康のために一緒に検査・治療を受けてほしい」とシンプルに伝えることをおすすめします。責任の追及よりも、ふたりで対処することを優先するのが大切です。どうしても話しにくい場合は、担当医に相談すると対応のアドバイスをもらえます。

Q クラミジア治療後に妊娠できますか?

A.早期に治療できた場合は、その後の妊娠・出産に影響しないケースがほとんどです。ただし、長期間放置して卵管に瘢痕が残ってしまった場合は、卵管性不妊として治療が必要になることがあります。妊活中の方は早めの検査・治療をおすすめします。

Q クラミジアと細菌性膣炎・カンジダとの違いは?

A.クラミジアは性感染症(性的接触で感染)で無症状が多いのが特徴です。カンジダ膣炎は真菌(カビの一種)が原因で、強いかゆみ・白いおりものが特徴的で性感染症ではありません。細菌性膣炎は膣内の常在菌バランスの乱れで起こります。症状だけでは区別が難しく、検査で原因を特定することが重要です。カンジダ膣炎の詳細はこちらもあわせてご覧ください。

Q 妊婦健診でクラミジア検査はありますか?

A.はい、日本の妊婦健診では妊娠初期(妊娠10週前後)にクラミジア検査が標準的に含まれています。陽性の場合は妊娠中でも安全な抗生物質(アジスロマイシンなど)で治療できます。新生児への母子感染を防ぐためにも、妊娠中の治療が重要です。

Q クラミジアは「やばい」病気ですか?

A.症状そのものは軽いことが多く、治療も抗菌薬の内服で終わるのが一般的です。怖いのは症状ではなく、症状がないまま進むことです。女性の7〜8割は自覚症状がないまま経過し、放置すると卵管に炎症が及んで卵管性不妊や子宮外妊娠のリスクにつながります。つまり「今つらいかどうか」ではなく「将来のために早く見つけるかどうか」の病気です。見つけて治せば、過度に恐れる必要はありません。

Q 性行為以外で感染することはありますか?

A.クラミジアは粘膜と粘膜の接触で感染するため、性器同士の性交渉だけが感染経路ではありません。オーラルセックスでのど(咽頭)に、アナルセックスで直腸に感染することがあります。一方、浴槽・便座・タオル・プールなどの日常生活で感染することは、通常ありません。菌は体の外では長く生きられないためです。ディープキスでの感染は可能性が指摘されていますが、頻度は高くないとされています。

Q 検査は無料で受けられますか?費用はどのくらい?

A.多くの自治体の保健所で、無料・匿名の検査を実施しています。保険証も不要なことが多く、費用や身元の心配で迷っている場合は現実的な選択肢です。ただし実施日・検査項目は自治体によって異なるため、事前に確認してください。婦人科では、症状があれば保険適用で数千円、無症状のスクリーニングなら自費で5,000〜10,000円程度が目安です。

Q 自然に治ることはありますか?

A.自然に治ることを期待して待ってよい病気ではありません。症状が軽くなったり消えたりすることはありますが、それは菌がいなくなった証拠にはならず、症状がないまま体の奥へ進んでいることがあります。治るかどうかを事前に見分ける方法もありません。抗菌薬で確実に治せる病気なので、待たずに検査を受けてください。

Q 薬を飲み終えたら、それで治療は終わりですか?

A.いいえ。治ったことを確認する「治癒判定」の検査までが治療です。注意点として、飲み終えてすぐ検査すると、死んだ菌の遺伝子が残っていて陽性と出ることがあります。そのため一定期間をあけてから検査しますが、あける期間は検査方法や医療機関の方針で異なるため、必ず主治医の指示に従ってください。薬をもらうときに「いつ再診すればよいか」を聞いておくと確実です。

Q パートナーにどう伝えればいいですか?

A.伝えるときに使える事実が2つあります。ひとつはいつの感染かは特定できないこと。何年も無症状で経過することがあるため、「誰がうつしたか」を決める材料がそもそもありません。もうひとつは治療が簡単なことです。そのうえで「責めたいわけではなく、2人で同時に治す必要がある病気だから伝えている」という立て方にすると、原因の話ではなくこれからの行動の話になります。口頭で説明しにくければ、検査結果の紙やこの記事を見せる方法でも構いません。

Q 一度治れば、もうかかりませんか?

A.いいえ。クラミジアは免疫がつく病気ではないため、治ったあとも再感染します。とくにパートナーの治療が終わっていない状態で性交渉を再開すると、お互いにうつし合う「ピンポン感染」が起こります。治療後もコンドームの使用を続けることと、パートナーが変わったタイミングでの検査を習慣にしてください。

まとめ

この記事のポイントまとめ
  • クラミジアは日本で最も多い性感染症。女性の約70〜80%は無症状のため気づきにくい
  • 症状が出る場合:おりものの変化・不正出血・下腹部の違和感など
  • 感染経路は主に性的接触。パートナーが無症状でも感染しているケースがある
  • 産婦人科・STIクリニック・自宅検査キットで検査可能
  • 適切な抗生物質で治療できる。パートナーも一緒に治療することが再感染防止に不可欠
  • 放置すると骨盤内炎症性疾患(PID)・不妊・子宮外妊娠のリスクがある
  • 予防はコンドームの正しい使用と定期的なSTI検査

クラミジアは「自分には関係ない」と思いがちですが、無症状のまま感染が続くことが多いため、心当たりがある方・妊活を考えている方は一度検査を受けることをおすすめします。早期発見・早期治療が、将来の妊娠や体の健康を守ることにつながります。デリケートゾーンや感染症に関するその他の情報はカンジダ膣炎の症状と対処法デリケートゾーンのかゆみガイドもあわせてご覧ください。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会「性感染症の診断・治療ガイドライン2020」
  • 厚生労働省「性感染症報告数」2023年
  • 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016」
  • WHO "Guidelines for the Treatment of Chlamydia trachomatis." 2016.
  • Haggerty CL, et al. "Burden of pelvic inflammatory disease in the United States." Sex Transm Dis. 2013.
  • Centers for Disease Control and Prevention (CDC). "Chlamydia - STI Treatment Guidelines 2021."