避妊の話になると、日本ではほとんどの場合コンドームの一択で終わってしまいます。学校でもそう習い、実際にそれ以外の選択肢を知らないまま何年も過ごす方がたくさんいます。

でも実際には、選べる方法は複数あります。そして重要なのは、方法によって「実際に妊娠を防げている割合」がかなり違うということです。

この記事でいちばん伝えたいのは、「正しく使ったとき」と「ふつうに使ったとき」で数字が変わるという点です。多くの説明は前者だけを載せますが、実際に起きるのは後者です。この差を知らないまま選ぶと、思っていたのと違う結果になります。

ここでは日本で使える方法をひととおり並べ、確実さ・費用・入手のしやすさ・体への負担を比べたうえで、自分の状況ならどれが現実的かを選べるように整理します。日本では使えない方法についても、海外の情報を見て混乱しないよう触れておきます。

先に、この記事の結論だけ
  • 確実さで選ぶなら、ホルモンを使う方法か子宮内に入れる方法です
  • コンドームだけでは、実際の使用で年間15人前後に1人が妊娠するとされています。「ちゃんと使えば大丈夫」と「実際どうなるか」は別
  • 性感染症を防げるのはコンドームだけ。だから多くの場面で併用が現実的な答えになります
  • 膣外射精と安全日は、避妊法ではありません
  • どれを選んでも「完璧」はありません。失敗したときにどうするかまで知っておくことが、実は最大の備えです

まず知ってほしい|2つの数字が違う理由

避妊法の確実さを表すとき、2種類の数字が使われます。ここを分けて理解しておくと、以降の比較がまったく違って見えてきます。

意味実感としては
理想的な使用一度も間違えず、完璧に使い続けた場合の数字説明書どおりの世界。現実にはなかなか起きません
一般的な使用飲み忘れ・つけ忘れ・ずれなど、実際に起きることを含めた数字こちらが現実。選ぶときはこの数字で考えます

数字は「その方法を1年間使ったとき、100人のうち何人が妊娠したか」で表されます。たとえば「一般的な使用で13」なら、1年間で100人中13人が妊娠したということです。

この差が生まれるのは、使う人が悪いからではありません
  • 人は忘れます。毎日決まった時間に飲み続けるのは、思っている以上に難しいことです
  • その場の状況に左右されます。用意していなかった、途中でつけた、といったことは実際に起こります
  • だから「使う人の努力に依存しない方法ほど、数字が安定する」という関係になります
  • 子宮内に入れる方法や、長く効き続ける方法の数字が良いのは、毎回の判断や毎日の行動が要らないからです
  • 自分の生活で続けられるか——確実さと同じくらい、ここが選ぶ基準になります

日本で使える避妊法|比較一覧

方法一般的な使用での妊娠費用の目安入手性感染症
子宮内避妊システム(IUS・ミレーナ)1%未満3〜5万円前後(自費)/保険適用の場合あり婦人科防げない
子宮内避妊具(IUD・銅付加)1%前後3〜5万円前後婦人科防げない
低用量ピル7%前後月2,000〜3,000円前後婦人科・オンライン防げない
ミニピル7%前後月2,500〜4,000円前後婦人科防げない
コンドーム13〜15%前後1個100〜200円前後薬局・コンビニ防げる
避妊手術(卵管の処置)1%未満20〜50万円前後医療機関防げない
殺精子剤20%以上1回数百円薬局防げない
ペッサリー17%前後現在ほとんど流通していません防げない
膣外射精20%以上防げない
安全日を避ける20%以上防げない

数字は目安の幅です。報告により差があり、使い方や年齢によっても変わります。大事なのは正確な小数点ではなく、「桁が違う」という事実のほうです。

この表から読み取ってほしいこと
  • 1%未満のグループと、13%以上のグループがある。この差は「気をつけて使う」では埋まりません
  • 性感染症を防げるのはコンドームだけ。ほかの方法は妊娠だけを対象にしています
  • だから「確実さの高い方法+コンドーム」の併用が、多くの場面で現実的な答えになります
  • 費用は「1回あたり」ではなく「1年あたり」で比べてください。初期費用が高い方法ほど、長く使うと安くなります
  • 膣外射精と安全日は、この表に載せてはいますが避妊法ではありません。比較のために並べています

方法別に詳しく

コンドーム|唯一、性感染症を防げる方法

向いている人相手が固定されていない/性感染症も防ぎたい/医療機関に行かずに始めたい
強み性感染症を防げる唯一の方法。薬局やコンビニで買える。副作用がない
弱み実際の使用では13〜15%前後が妊娠。相手の協力が要る。破れ・ずれが起こる
詳しくコンドームの正しい使い方

数字が思ったより悪いことに驚くかもしれません。ただこれは、「つけ忘れた」「途中からつけた」「サイズが合っていなかった」「保管が悪くて劣化していた」といった現実を含んだ数字です。

正しく使えば数字はぐっと良くなります。だからこそ、使い方を一度きちんと確認しておく価値があります。とくに「最初から最後までつける」ことと「サイズを合わせる」ことの2つは、実際の失敗の多くに関わっています。

低用量ピル|毎日飲むことで安定する

向いている人毎日決まった時間に飲める/生理痛や経血量の悩みもある/相手に依存せず自分で管理したい
強み確実さが高い。生理周期が整う・経血量が減る・生理痛が軽くなるといった働きもありますピルの効果
弱み毎日飲む必要がある。飲み始めに不調が出ることがある。喫煙者や一部の持病では使えないことがある
詳しく低用量ピルとは入手方法副作用

ピルの数字が「7%前後」と、思ったより高いのも同じ理由です。飲み忘れがある前提の数字だからです。飲み忘れたときの対応はピルの飲み忘れにまとめています。

種類が多く迷いやすいので、低用量ピルの種類ピルの種類の違いもあわせて読んでみてください。飲み始めの1か月については最初の1か月に書いています。

ミニピル|エストロゲンを含まないタイプ

向いている人エストロゲンを含むピルが使えない方(喫煙者・授乳中・片頭痛のある方など)
強みエストロゲンによる制限を受けにくい
弱み飲む時間の管理がより厳密。出血のパターンが不規則になりやすい。取り扱う医療機関が限られます
詳しくミニピル

IUS・IUD|入れたら数年そのまま

向いている人当分は妊娠を望まない/毎日の管理を続けるのが難しい/経血量が多くて困っている
強み数字がもっとも安定する方法のひとつ。一度入れれば数年間、毎日の行動が要りません。IUSは経血量が減ることが多い
弱み挿入時に痛みを伴うことがある。初期費用が高い。入れた直後は出血が続くことがある。定期的な確認が必要
詳しくミレーナ(IUS)
「出産経験がないと入れられない」は、もう前提ではありません
  • かつてはそう言われることがありましたが、出産経験がなくても選択肢になり得ます
  • ただし子宮の形や大きさによって適さない場合があり、判断は医師が行います
  • 挿入時の痛みは個人差が大きいです。不安なら「痛みが心配です」と最初に伝えてください。生理中や生理直後は入れやすいとされます
  • 過多月経や子宮腺筋症の治療として使う場合、保険が適用されることがあります。避妊目的だけなら自費です
  • 長く使うほど1年あたりの費用は下がります。5年使えば年1万円を切る計算になります

緊急避妊薬(アフターピル)|これは「避妊法」ではありません

普段の避妊の代わりにはなりません
  • 避妊できなかったとき・失敗したときの、事後の手段です
  • 早く飲むほどよいとされています。迷っている時間がそのまま影響します
  • 確実ではありません。飲んでも妊娠することがあります
  • 繰り返し使うことは想定されていません。必要になったなら、そのあとに普段の避妊法を整えてください
  • 詳しくはアフターピルとは効果と時間費用と入手
  • 「どこで手に入るか」を、必要になる前に調べておいてください。そのときに探し始めると間に合わないことがあります

避妊手術|もう妊娠を望まないと決めたとき

卵管に処置を行い、永続的に妊娠しないようにする方法です。数字はもっとも安定しますが、元に戻すことは基本的にできません。

  • 「もう産まない」と決めた方の選択肢です。将来の気持ちの変化まで含めて考える必要があります
  • 母体保護法に基づく手続きが必要で、配偶者の同意が求められる場合があります
  • 男性側の手術(精管の処置)という選択肢もあります。女性側の手術より体への負担は小さいとされています
  • 費用は高額で、原則自費です

殺精子剤・ペッサリー|現在はあまり使われていません

  • 殺精子剤——単独では数字が悪く、これだけに頼る方法としてはすすめられていません
  • ペッサリー——医師によるサイズ合わせが必要で、日本では現在ほとんど流通していません
  • どちらも「選択肢としては存在するが、現実的には他の方法を選ぶことになる」という位置づけです

日本では使えない方法

海外の情報や英語のサイトを見ていると出てくるけれど、日本では承認されていない方法があります。知らないと「なぜ日本にはないのか」と混乱するので、触れておきます。

方法どんなもの
避妊インプラント腕の皮下に小さな棒を入れ、数年間効き続けるもの。日本では承認されていません
避妊注射数か月ごとに注射するもの。日本では避妊目的での承認はされていません
避妊パッチ皮膚に貼るタイプ。日本では避妊目的では使えません
膣リング膣内に入れて数週間使うもの。日本では承認されていません

個人輸入で手に入れようとするのは避けてください。品質の保証がなく、副作用が出たときに医療機関で経過を追ってもらうことも難しくなります。

避妊法ではないもの

ここは、はっきり書いておきたい部分です。広く信じられているけれど、避妊の方法として数えられないものがあります。

膣外射精(外に出す)

避妊法ではありません
  • 射精の前に出る分泌液にも精子が含まれることがあります。だから「間に合った」としても妊娠の可能性は残ります
  • タイミングを毎回正確に判断するのは現実的ではありません
  • 実際の使用では20%以上が1年のうちに妊娠するとされています
  • 性感染症も防げません
  • 「今までこれで大丈夫だった」は、たまたま起きなかっただけです

安全日を避ける(リズム法・オギノ式)

排卵の時期を避ければ妊娠しない、という考え方です。ですが「安全な日」というものは存在しません。

  • 排卵は毎回同じ日に起こるとは限りません。体調やストレスでずれます(月経周期
  • 精子は数日間生きています。行為の日と排卵日がずれていても妊娠は起こり得ます
  • 生理不順の方では、そもそも予測が成り立ちません
  • 詳しくは安全日という考え方にまとめています

基礎体温は妊娠したいときには役立ちますが、避妊の道具としては使えません。体温が上がるのは排卵のあとだからです。

そのほか、よく聞くけれど根拠のないもの

  • 生理中なら妊娠しない——妊娠する可能性はあります。周期が短い方ではとくに
  • 行為のあとに洗い流す——防げません。むしろ膣内を洗うことは、感染しやすい状態をつくります
  • 授乳中なら妊娠しない——条件がそろった場合に限った話で、一般化できません。産後の避妊は必要です
  • 閉経が近いから大丈夫——生理が完全に止まるまで妊娠の可能性は残ります閉経について
  • 初めてなら妊娠しない——回数は関係ありません

併用という考え方

ここまで読んで、「確実さを取るとコンドームより良い方法があるけれど、性感染症は防げない」という板挟みに気づいた方が多いと思います。

その答えが併用です。

状況現実的な組み合わせ
相手が固定されていないコンドームは必須。加えてピルやIUSで確実さを上げる
相手は固定・検査済み/確実さを重視ピルやIUSを中心に。ただし検査は一度きりではないことに注意
ピルを飲み始めたばかり効果が安定するまではコンドームを併用最初の1か月
飲み忘れがあった数日間はコンドームを併用飲み忘れ
下痢・嘔吐があった吸収が不十分な可能性。同様に併用を
抗生物質など他の薬を始めた処方元に確認を。その間はコンドームを併用してください
性感染症について、避けて通れないこと
  • クラミジアなどは症状が出ないことが多いです。「相手は大丈夫そう」では判断できません(クラミジア
  • 症状がないまま進んで、将来の妊娠に影響することがあります
  • コンドームでも完全には防げない感染症があります。皮膚の接触で広がるものは、覆えない部分から感染し得ます
  • 心配なことがあったら検査を。種類ごとの違いは膣の感染症にまとめています
  • 「疑っている」のではなく「お互いのために確認する」——そう伝えれば、話は切り出しやすくなります
淡いピンクの机に開かれた無地のノートとローズゴールドのペン、紅茶のカップ、たたんだ生成りの布

選び方|4つの質問で絞る

方法を並べられても、結局どれを選べばいいのか——という段階だと思います。順番に4つだけ考えてください。

質問①|今後どれくらいの期間、妊娠を望まないか

期間向く方法
1年以内に妊娠を考えているコンドーム/低用量ピル。やめればすぐ戻ります
数年は望まないIUS・IUDが有力。1年あたりの費用も下がります
もう望まないIUS・IUDの継続使用/避妊手術も選択肢に

質問②|毎日決まった時間に飲めるか

  • 飲める——低用量ピルが選択肢に入ります
  • 正直、自信がない——ここで無理をしないでください。毎日の行動が要らない方法(IUS・IUD)のほうが、結果的に確実になります
  • 生活が不規則・夜勤がある——時間を固定しにくいなら、同じくIUS・IUDが向きます

質問③|生理そのものにも悩みがあるか

悩みあわせて相談できること
生理痛が重い低用量ピル。月経困難症の治療として保険が適用される場合があります
経血量が多いIUSで経血量が減ることが多いとされています
周期が不規則低用量ピルで周期が整うことがあります
子宮内膜症がある治療と避妊を兼ねられる場合があります
PMSがつらい相談する価値があります

避妊だけが目的でないなら、選択肢の見え方が変わります。「生理も軽くしたい」と伝えると、提案される内容が変わることがあります。

質問④|性感染症のリスクをどう見るか

相手が固定されていないなら、コンドームは外せません。そのうえで確実さを足すかどうか、という順番で考えます。

相手が固定されている場合でも、「お互いに検査を受けたことがあるか」が判断の材料になります。受けたことがないなら、一度受けておくと以降の選択がしやすくなります。

体質・持病で使えない方法があります
  • 喫煙者(特に35歳以上)——エストロゲンを含むピルは使えないことがあります
  • 前兆のある片頭痛がある——同上
  • 血栓症の既往・家族歴がある——同上
  • 高血圧・特定の肝臓の病気——制限がかかることがあります
  • 授乳中——時期と方法に条件があります
  • 子宮の形によってはIUS・IUDが適さないことがあります
  • これらは自己判断せず、必ず医師に伝えてください。使えない方法があっても、代わりの選択肢は用意できます

ライフステージ別に考える

状況考え方
10代コンドームは必須。そのうえでピルも選択肢になります。年齢だけを理由に処方されないということはありません
20代・相手が固定されていないコンドーム+ピルの併用がもっとも現実的です
結婚後・数年は考えていないIUS・IUDが有力。毎日の管理から解放されます
産後授乳中でも避妊は必要です。時期と方法に条件があるため、産後健診で相談を
出産を終えた・もう望まないIUS・IUDの継続/避妊手術も選択肢に
40代後半・閉経が近い生理が完全に止まるまで避妊は必要閉経について

産後の避妊について

「授乳中は妊娠しない」は、条件がそろった場合に限った話で、一般化できるものではありません。実際に、産後まもなく次の妊娠がわかる方はいます。

  • 生理が戻る前に排卵は起こります。「まだ生理が来ていないから」は根拠になりません(産後の生理再開
  • 授乳中はエストロゲンを含むピルに制限がかかることがあります。ミニピルやIUS・IUDが選択肢になります
  • IUS・IUDを入れられる時期には目安があります。産後健診のときに相談してください
  • 次の妊娠まで期間をあけることには意味があります。体の回復のためです
窓から自然光が差し込む明るい部屋に、向かい合わせに置かれた2脚のクリーム色の椅子と観葉植物

相談するときのこと

受診先と費用

受診先婦人科。「避妊について相談したい」で通じます
ピルの相談初診で3,000〜5,000円前後+薬代(血液検査を行う場合は追加)
IUS・IUD挿入込みで3〜5万円前後(自費の場合)
オンライン診療ピルなら対応している場合があります(入手方法
保険が使える場合月経困難症など治療目的なら適用されることがあります。避妊目的だけなら自費

診察で伝える6項目

これだけ用意すれば十分です
  • ①どれくらいの期間、妊娠を望まないか——「当分は考えていません」でも構いません
  • ②毎日飲めそうか——正直に。「自信がない」と言っていいです
  • ③生理の悩みがあるか——痛み・量・周期。ここを言うと選択肢が広がります
  • ④喫煙の有無・持病・飲んでいる薬——お薬手帳を持参
  • ⑤片頭痛や血栓症の既往・家族歴
  • ⑥最終月経の初日

「避妊の相談で受診するのは気まずい」と感じる方は多いのですが、婦人科では日常的な相談です。年齢を理由に断られることもありません。

パートナーとどう話すか

避妊は片方だけの問題ではありません。けれど、話を切り出しにくいのも事実です。

  • 「信用していないから」ではなく「二人のことだから」という言い方のほうが伝わります
  • コンドームを嫌がられたら——それは避妊とは別の問題として扱っていい話です。断ることは、わがままではありません
  • ピルやIUSを使っていても、性感染症は防げません。この点は共有しておく価値があります
  • 費用を分担するという考え方もあります。負担が片方に偏りやすい領域です

失敗したかもしれないとき

迷っている時間が、そのまま選択肢を狭めます
  • 緊急避妊薬は、早く飲むほどよいとされています。「明日でいいか」と考えないでください
  • 入手先を今のうちに調べておいてください——対応している医療機関、オンライン診療、休日や夜間はどうするか(費用と入手
  • 飲んでも確実ではありません。次の生理が予定より遅れたら妊娠検査薬で確認を
  • 性感染症の心配もあるなら、あわせて検査を
  • そのあとで、普段の避妊法を整えてください。同じことを繰り返さないために、いちばん意味のある行動です

通説の検証

「ピルは太る」は本当か

判定:体重が増えるという明確な根拠は示されていません。

飲み始めにむくみを感じる方はいますが、多くは一時的とされています。詳しくはピルと体重にまとめています。

「ピルを長く飲むと妊娠しにくくなる」は本当か

判定:そうした根拠は示されていません。

やめれば排卵は戻ります。多くの方で1〜3か月のうちに月経が戻るとされています。やめた直後から妊娠の可能性がありますので、避妊を続けたいなら別の方法が必要です。

「IUDは出産経験がないと入れられない」は本当か

判定:前提ではなくなっています。

出産経験がなくても選択肢になり得ます。ただし子宮の形や大きさによって適さない場合があり、判断は医師が行います。挿入時の痛みが心配なら、その旨を先に伝えてください。

「コンドームをつけていれば安心」は本当か

判定:妊娠については、思っているほど高くありません。

実際の使用では13〜15%前後が1年のうちに妊娠するとされています。ただし性感染症を防げる唯一の方法であり、外していいものではありません。「コンドームか、それ以外か」ではなく「コンドーム+何か」で考えるのが現実的です。

4つの通説まとめ
  • ピルは太る:明確な根拠は示されていません。むくみは多くが一時的
  • 長く飲むと妊娠しにくくなる根拠は示されていません。やめれば戻ります
  • IUDは出産経験がないと無理前提ではなくなっています
  • コンドームなら安心妊娠については13〜15%前後。ただし性感染症を防げるのはこれだけ

よくある質問

Q 結局、いちばん確実な方法は何ですか?

A.妊娠を防ぐ確実さでいえば避妊手術、次いでIUS・IUDです。これらは毎日の行動や毎回の判断を必要としないため、数字が安定します。ただし性感染症は防げません。「確実さ」をどちらの意味で問うかで答えが変わります。相手が固定されていないなら、コンドームとの併用が最も現実的な答えです。

Q 未成年でもピルを処方してもらえますか?

A.年齢だけを理由に処方されないということはありません。初経を迎えていれば選択肢になります。ただし医療機関によって保護者の同意を求める運用がありますので、心配なら予約時に確認してください。生理痛が重い場合は治療目的として相談することもできます(入手方法)。

Q ピルを飲んでいればコンドームは要りませんか?

A.性感染症を防ぐという意味では、必要です。ピルは妊娠を防ぐためのもので、感染症には働きません。相手が固定されていない、あるいはお互いに検査を受けていないなら、コンドームは外さないでください。また飲み始めの時期・飲み忘れがあったとき・下痢や嘔吐があったときは、妊娠を防ぐ意味でも併用が必要になります。

Q 毎日飲むのが不安です。他に方法はありますか

A.あります。IUS・IUDなら、一度入れれば数年間、毎日の行動は要りません。「飲み忘れそう」という自覚があるなら、無理にピルを選ばないほうが結果的に確実です。診察でも「毎日は自信がない」と正直に言って構いません。それを前提にした提案が返ってきます。

Q 費用をできるだけ抑えたいのですが

A.「1年あたり」で比べてみてください。IUS・IUDは初期費用が3〜5万円前後と高く見えますが、数年使えば1年あたりの負担は下がります。ピルは月2,000〜3,000円前後なので年間2.4〜3.6万円前後。また、生理痛や過多月経の治療として保険が適用される場合があります。生理の悩みがあるなら必ず伝えてください。

Q 相手がコンドームを嫌がります

A.断ることは、わがままではありません。妊娠も性感染症も、影響を受けるのは主にあなたの体です。サイズが合っていないことが理由なら、変えてみると変わることがあります(コンドームの使い方)。それでも応じてもらえない場合、それは避妊の問題というより、関係のあり方の問題として考えていい話です。

Q 海外にある避妊インプラントを個人輸入できますか?

A.やめてください。インプラントは皮下に埋め込む処置が必要で、そもそも自分でどうにかできるものではありません。日本では承認されていないため、入れたあとに問題が起きても対応できる医療機関を見つけるのが難しくなります。個人輸入した薬は品質の保証もありません。日本で使える方法の中にも、確実さの高い選択肢はあります。

Q 40代です。まだ避妊は必要ですか?

A.必要です。周期が乱れてきても、排卵が完全に止まったわけではありません。生理が完全に止まるまでは妊娠の可能性が残ります。この年代は経血量の変化や生理痛の悩みも出やすい時期なので、避妊と生理の悩みをあわせて相談すると選択肢が広がります(閉経について)。

まとめ

避妊法を選ぶときにいちばん大事なのは、「一番確実な方法」を探すことではなく、「自分の生活で続けられる方法」を選ぶことです。

どんなに数字の良い方法でも、続けられなければ意味がありません。逆に、毎日の行動が要らない方法なら、自分の努力に関係なく数字が安定します。「飲み忘れそう」という自覚があるなら、それは弱点ではなく、選ぶときの重要な情報です。

そして、どの方法にも「完璧」はありません。だからこそ、失敗したときにどうするかを先に知っておくことが、実は最大の備えになります。

この記事のポイントまとめ
  • 数字には「理想的な使用」と「一般的な使用」の2つがある。選ぶときは後者で考える
  • 1%未満のグループ(IUS・IUD・避妊手術)と、13%以上のグループがある
  • 使う人の努力に依存しない方法ほど、数字が安定する
  • 性感染症を防げるのはコンドームだけ。だから多くの場面で併用が答えになる
  • 膣外射精・安全日・生理中・授乳中は、避妊法ではありません
  • 緊急避妊薬は普段の避妊の代わりにならない。入手先を事前に調べておく
  • 費用は「1年あたり」で比べる。初期費用が高い方法ほど長く使うと安くなる
  • 生理の悩みもあるなら必ず伝える。保険が適用される場合があり、選択肢も広がります
  • 喫煙・片頭痛・血栓症の既往などで使えない方法がある。自己判断せず医師へ
  • 産後も、閉経前も、避妊は必要です
  • インプラント・注射・パッチ・膣リングは日本では使えません。個人輸入は避けてください

それぞれの方法の詳細は、コンドームミレーナ(IUS)低用量ピルミニピルアフターピルへ。始め方はピルの入手方法にまとめています。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン-婦人科外来編」
  • 日本産科婦人科学会「OC・LEPガイドライン」
  • 日本産科婦人科学会「産科婦人科用語集・用語解説集」
  • 一般社団法人日本家族計画協会「避妊法に関する情報」
  • 厚生労働省「母体保護法」
  • 厚生労働省「性感染症に関する特定感染症予防指針」
  • 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン」
  • 世界保健機関(WHO)「Family planning/Contraception」
  • 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック」
  • こども家庭庁「思春期の健康支援に関する情報」