産後、ある日ふと気づきます。「そういえば、生理っていつ戻るんだろう」と。

まわりに聞くと答えがばらばらです。「2か月で来た」という人もいれば、「1歳過ぎまで来なかった」という人もいる。これだけ幅があるのは、産後の生理再開が「授乳をしているかどうか」に大きく左右されるからです。

そして、この記事でいちばん伝えたいのは「再開したあと」のことです。検索して出てくる情報は「いつ再開するか」に集中していますが、実際に多くの方がとまどうのは、戻ってきた生理が以前とまるで違うときです。周期がばらつく、量が変わった、痛みが軽くなった(あるいは重くなった)——これは異常なのか、そのうち落ち着くのか。

もうひとつ、先に書いておきます。生理が来ていなくても、妊娠する可能性はあります。産後の最初の生理は、排卵が起きたあとに来るからです。「まだ来ていないから大丈夫」という考え方は成り立ちません。

先に|受診してほしいとき
  • 授乳をしていないのに、産後3か月を過ぎても再開しない
  • 卒乳・断乳から3か月以上たっても再開しない
  • 産後1か月以内に、鮮血が多量に出た/レバー状の塊が出た——これは生理ではなく、子宮の回復に問題がある可能性があります
  • 再開後、経血量が明らかに増えた(1〜2時間でナプキンがいっぱいになる/貧血症状がある)
  • 強い腹痛や発熱を伴う
  • 再開後の周期が、6か月たっても整わない

産後は「育児で手いっぱいで受診の時間が取れない」という方がとても多い時期です。ですが、上のどれかに当てはまるなら、一度は時間を作ってください。赤ちゃんを連れて行ける婦人科も増えています。

まず切り分ける|それは悪露?それとも生理?

産後1〜2か月ごろは、出血があっても悪露なのか生理なのか判断がつきにくい時期です。ここを最初に整理します。

悪露産後の最初の生理
時期産後すぐ〜6週ごろまでが中心産後6〜8週以降(授乳の状況で大きく変わる)
色の変化赤 → 茶 → 黄 → 白と、日を追って薄くなっていくいきなり赤い出血として始まる
出方だらだらと続き、少しずつ減っていく数日でピークが来て、1週間前後で終わる
いったん止まったか止まらずに続いている一度きれいに止まったあと、改めて出血が始まった
伴う症状特になし下腹部の痛み・胸の張り・気分の変化が出ることも
いちばん確実な見分け方は「一度止まったかどうか」
  • 悪露が完全に止まってから、改めて出血が始まった生理の可能性が高い
  • ずっと続いていて、量が増えたり減ったりしている悪露が長引いている可能性
  • 悪露が6週を過ぎても続いている、または一度減ったのにまた増えた受診してください。子宮の戻りが遅れていることがあります
  • 悪露の詳しい経過は悪露にまとめています
  • 迷ったら、産後健診で「これは悪露ですか、生理ですか」と聞いて構いません。助産師が毎日受けている質問です

生理が再開する時期|授乳で大きく変わる

なぜ授乳で変わるのか

母乳をつくるのはプロラクチンというホルモンです。このプロラクチンには、排卵を抑える働きがあります。

排卵が起きなければ生理も来ません。だから授乳の回数が多いほど、プロラクチンが高い状態が続き、生理の再開が遅くなる——これが仕組みです。

逆に、授乳の回数が減ってくると、プロラクチンが下がり、卵巣の働きが戻ってきます。「夜間授乳をやめたら生理が来た」という声が多いのは、そのためです。

授乳の状況別の目安

授乳の状況再開の目安補足
母乳をあげていない産後6〜8週ごろ遅くとも3か月ほどで戻ることが多いとされます
混合栄養産後3〜6か月ごろ授乳回数が減るにつれて再開しやすくなります
完全母乳産後6か月〜1年以上卒乳まで来ない方も珍しくありません
卒乳・断乳1〜3か月ほどやめてすぐ来る方も、数か月かかる方もいます

これはあくまで目安の幅です。同じ完全母乳でも、産後3か月で再開する方もいれば、2年近く来ない方もいます。「みんなと違う」ことを心配する必要はありません。

再開が遅いことは、体に悪いのか
  • 授乳中で再開が遅いのは、想定されている状態です。体の異常ではありません
  • 「経血が溜まる」ということもありません。排卵が起きていないので、子宮内膜がはがれる準備自体が進んでいません
  • むしろ出血がないぶん、鉄の消耗が抑えられます。出産で失った分を取り戻す時期でもあります(生理と貧血
  • 「体が弱っているから戻らない」わけではありません。プロラクチンが排卵を抑えているだけです
  • ただし「授乳していないのに来ない」は別です。産後3か月を目安に相談してください

再開が早い人の特徴

「まわりはまだなのに、自分だけ2か月で来た」——これも不安になるポイントです。ですが早い再開も、異常ではありません。

早く再開しやすい状況理由
ミルク中心・混合栄養プロラクチンが下がりやすい
夜間授乳をしていない夜間の授乳はプロラクチンを高く保つ働きが大きいとされます
授乳の間隔が空いている離乳食が進んで授乳回数が減った時期に来やすい
もともと周期が順調だった卵巣の働きが戻りやすい傾向があります
2人目以降授乳のペースが1人目と違うことが影響することがあります

「早く来た=母乳が足りていない」ではありません。生理が再開しても母乳は出ます。ここは次の章で詳しく扱います。

授乳中に生理が来たら|母乳はどうなる?

授乳を続けている最中に生理が来ると、多くの方が「母乳をあげ続けていいのか」と心配になります。

結論から
  • 生理が来ても、授乳は続けて構いません
  • 母乳が「悪くなる」ということはありません。赤ちゃんに害があるという根拠は示されていません。「生理が来たから断乳しなければ」ということもありません
  • ただし生理の前後で、一時的に母乳の量が減ったり、味が変わったように感じられたりすることがあります
  • 赤ちゃんが飲みたがらない日があっても、多くは数日で戻ります
  • 乳首が敏感になって授乳が痛く感じることも。これも生理が終われば和らぐことが多いです

生理前後に起こりやすいこと

起こることどうするか
母乳の量が一時的に減る授乳回数を増やす・水分をとる。生理が終われば戻ることが多いです
赤ちゃんが嫌がる・飲みが浅い味やにおいの変化を感じている可能性。無理強いせず、機嫌のよいときに試す
乳首が痛い・敏感になるホルモンの変動による一時的なもの。ひどい痛み・傷・しこりを伴うなら別の原因を疑う乳腺炎
胸が張る/逆に張らない周期に伴う変化。授乳を続けて構いません
強い眠気・だるさ育児の疲れと重なりやすい時期。貧血が背景にあることも

「生理が来たから断乳しなければ」ということはありません。授乳を続けるかどうかは、生理の有無ではなく、ご自身と赤ちゃんの状況で決めて構いません。

レースカーテン越しのやわらかな光が入るリビングで、ソファに腰かけて窓のほうを向いている女性の後ろ姿。隣にはたたんだ白いブランケットが置かれている

再開したあと|周期が乱れるのは普通のこと

ここがこの記事でいちばん厚く書きたい部分です。「いつ再開するか」より、「戻ってきた生理が以前と違う」ことのほうが、実際には長く悩まされます。

最初の数回は、整わないのが普通です

よくあること説明
周期がばらばら20日で来たり、45日空いたり。卵巣の働きが戻る途中だからです
最初の1〜2回は排卵を伴わない排卵のない出血のことがあります(無排卵月経
量が以前と違う増える方も減る方もいます。どちらもあり得ます
日数が変わった短くなった・長くなった、どちらも起こります(生理の日数
ダラダラ続く再開直後にありがちなパターン。回を重ねるうちに整うことが多い
いつまで様子を見ていいのか
  • 再開から3〜6か月——この間に少しずつ整っていくのが一般的な経過です
  • 授乳を続けている間は、整いにくいのが普通です。卒乳後に落ち着く方が多くいます
  • 6か月たっても周期がばらばら3か月以上あいてしまう——このときは相談してください
  • 記録をつけておくと判断が早くなります。開始日と日数だけで十分です(月経周期
  • 「そのうち治る」で何年も過ぎてしまうのが、この時期のいちばんの落とし穴です。育児で自分のことは後回しになりますが、6か月という期限だけ決めておいてください
  • 甲状腺の病気が背景にあることもあります。だるさ・体重の変化・むくみを伴うなら伝えてください(橋本病

経血の量・痛みが変わった

産後、「生理痛が軽くなった」という方と「重くなった」という方の両方がいます。どちらも起こり得ます。

変化考えられること
生理痛が軽くなった出産で子宮の出口が広がり、経血が出やすくなったことが関わるとされます
生理痛が重くなった子宮の状態の変化のほか、子宮筋腫などが見つかることも。強い痛みが続くなら受診を
経血量が増えた子宮が大きくなった影響のことも。ただし過多月経の域なら確認が必要です経血量
経血量が減った授乳中はホルモンの影響で少ないことがあります
塊が出るようになった量が多いときに出やすくなります。大きな塊が続くなら相談を
色が変わった茶色っぽい日が増えることがあります(経血の色
この量なら受診してください
  • 1〜2時間でナプキンがいっぱいになる日が続く
  • 夜用ナプキンを重ねても漏れる
  • 500円玉より大きい塊が何度も出る
  • 立ちくらみ・動悸・強い疲れ——貧血が進んでいるサインです
  • 産後はもともと鉄が不足しやすい時期です。そこに経血量の増加が重なると、貧血が深くなります(生理と貧血

PMSの出方が変わることもあります

産後、生理前の不調が以前より強くなったと感じる方がいます。イライラしやすい、落ち込む、胸が張る、頭痛がする——といった変化です。

この時期は睡眠不足・育児の負担・ホルモンの変動が重なっているため、以前と同じ症状でもつらさの感じ方が変わります。

PMSと産後うつは、切り分けが必要です
  • PMSは、生理が始まると症状が軽くなるのが特徴です
  • 周期に関係なく気分の落ち込みが続く2週間以上続くなら、それはPMSの範囲を超えています
  • 赤ちゃんをかわいいと思えない・自分を責め続ける・眠れない——これらが続くなら早めに相談してください(産後うつ
  • 「産後だから当たり前」と我慢しないでください。相談できる先があります
  • PMSそのものについてはPMSにまとめています
生成りの布の上に開かれた、月間のマス目が引かれた無地の手帳とローズゴールドのペン、小さな観葉植物と淡いピンクの布

再開しないとき|どこからが相談の目安か

「まだ来ない」と検索する方は、大きく2つに分かれます。授乳中の方と、授乳をしていないのに来ない方です。この2つは意味がまったく違います。

状況考え方
完全母乳で、産後1年たっていない想定の範囲です。様子を見て構いません
完全母乳で、産後1年以上珍しくはありませんが、一度相談しておくと安心です
混合栄養で、産後6か月以上相談の目安です
授乳していないのに、産後3か月以上受診してください
卒乳・断乳から3か月以上受診してください
次の妊娠を考えている再開を待たずに相談して構いません

授乳以外に考えられること

  • 体重の大きな減少——産後に急激に痩せると、排卵が戻りにくくなることがあります
  • 強いストレス・睡眠不足——育児期はどちらも避けにくい要因です
  • 甲状腺の病気——産後に甲状腺の働きが変化することがあります。だるさ・むくみ・体重の変化を伴うなら伝えてください(橋本病
  • 多嚢胞性卵巣症候群——妊娠前から周期が不順だった方は、産後も戻りにくいことがあります
  • 次の妊娠——これがいちばん見落とされます。生理が来ないので気づきにくいのです(妊娠検査薬
  • まれに、出産時の大量出血が後の月経に影響することがあります。該当する方は、そのことも医師に伝えてください
受診で伝える6項目
  • ①出産日と、出産の方法(経膣分娩か帝王切開か)
  • ②授乳の状況——完全母乳/混合/ミルク。1日の回数と夜間授乳の有無まで
  • ③悪露がいつ終わったか
  • ④妊娠前の周期——順調だったか、不順だったか
  • ⑤体重の変化——妊娠前・出産後・現在
  • ⑥次の妊娠を考えているか——ここで方針が変わります

費用は初診+血液検査でおおむね3,000〜6,000円前後(3割負担)。超音波を行う場合は追加されます。赤ちゃんを連れて行けるか、予約時に確認しておくと安心です。

生理が来ていなくても妊娠します

この記事でもっとも大事な部分です。

「まだ生理が来ていないから大丈夫」は成り立ちません
  • 産後の最初の生理は、排卵が起きたあとに来ます。つまり、生理が来る前にすでに1回排卵している可能性があります
  • だから「1回目の生理が来る前に妊娠する」ことがあり得ます
  • 授乳中でも妊娠します。「授乳していれば避妊になる」は、「完全母乳」「夜間も含めて頻回」「産後6か月以内」「まだ生理が来ていない」がすべてそろった場合に限って語られるものです。ひとつでも外れれば前提が崩れます
  • そして、条件がそろっているかを自分で正確に判断するのは困難です。離乳食が始まれば授乳回数は減りますし、夜まとまって寝るようになれば夜間授乳も減ります。「避妊しているつもり」がいちばん危ない状態です
  • 産後すぐの妊娠は、体の回復が追いつかないうちに次の妊娠が重なることになります。次の妊娠まで一定の期間をあけることには意味があります
  • 性生活を再開するなら、そのときから避妊が必要です

産後に使える避妊法

方法産後・授乳中の扱い
コンドーム産後すぐから使えます。性感染症も防げる唯一の方法
ミニピルエストロゲンを含まないため、授乳中の選択肢になります
IUS・IUD入れられる時期に目安があります。産後健診で相談を
低用量ピル授乳中は制限がかかることがあります。時期も含めて医師と決めます
授乳しているから大丈夫避妊法として数えられません

それぞれの確実さや費用の比較は避妊方法の種類と選び方にまとめています。産後健診は、避妊について相談するのにちょうどよいタイミングです。「まだ考えていません」でも、そこで一度話しておくと選びやすくなります。

性生活の再開について

再開の時期は産後1か月健診で問題がないことを確認してからが目安とされます。ただし時期の問題より、体と気持ちの準備が整っているかのほうが大事です。

  • 痛みがある場合、我慢しないでください。授乳中はエストロゲンが低く、膣の粘膜が乾きやすい状態です(性交痛
  • 会陰の傷が気になる方は、健診で相談を会陰切開
  • 乾燥が原因なら、保湿や潤滑剤で楽になることがあります保湿ケア
  • 気が進まないのも、この時期には自然なことです。睡眠不足とホルモンの変化が重なっています

次の妊娠を考えるとき

「生理が戻らないと妊娠できないのでは」と心配される方がいますが、順番は逆です。排卵が戻れば生理が来ます。つまり生理が来た時点で、排卵はすでに戻っているということです。

状況考え方
生理が再開した排卵は戻っています。ただし最初の数回は排卵を伴わないことも
周期が不安定基礎体温をつけると排卵の有無が見えてきます
授乳中に妊娠を望む授乳を減らすと再開しやすくなります。相談しながら進めてください
帝王切開だった次の妊娠まであける期間の目安があります。必ず確認してください
1年たっても妊娠しない相談の目安です(不妊症
次の妊娠に向けて、いま準備できること
  • 鉄を戻す——出産で失った分が回復しきっていないことがあります。鉄が足りないと産後の抜け毛が長引くこともあります
  • 葉酸を再開する——妊娠を考え始めた時点から
  • 体重を戻しすぎない——急激な減量は排卵の回復を妨げます
  • 周期の記録をつける——再開後の記録が、そのまま相談の材料になります
  • 次の妊娠まで期間をあけることには意味があります。体の回復のためです(妊活の基本

セルフチェック|12項目

#質問はい/いいえ
1産後1か月以内に鮮血が多量に出た/レバー状の塊が出た 
2強い腹痛や発熱を伴う出血がある 
3悪露が6週を過ぎても続いている/一度減ったのにまた増えた 
4授乳をしていないのに、産後3か月を過ぎても再開しない 
5卒乳・断乳から3か月以上たっても再開しない 
6再開後、1〜2時間でナプキンがいっぱいになる日が続く 
7立ちくらみ・動悸・強い疲れがある 
8再開から6か月たっても周期が整わない/3か月以上あく 
9だるさ・体重の大きな変化・むくみを伴う 
10気分の落ち込みが周期に関係なく2週間以上続いている 
11性生活を再開しているが、避妊をしていない 
12完全母乳で、産後1年たっていない。ほかに困っていることはない 

結果の読み方

当てはまったもの行動
1・2・3のどれかすぐ受診してください。生理ではなく、子宮の回復に関わる問題の可能性があります
6・7受診を。産後は鉄が不足しやすく、貧血が深くなりやすい時期です
4・5・8婦人科で相談を。血液検査で原因を確認します
9甲状腺の確認を。産後に働きが変化することがあります
10PMSの範囲を超えています。産後うつを含めて相談してください
11生理が来ていなくても妊娠します。避妊の方法を決めてください
12だけ想定の範囲です。様子を見て構いません

よくある質問

Q 産後の生理は、平均するといつごろ再開しますか?

A.授乳の状況で大きく変わるため、ひとつの平均値はあまり意味を持ちません。目安は、母乳をあげていない方で産後6〜8週ごろ、混合栄養で3〜6か月ごろ、完全母乳で6か月〜1年以上です。完全母乳では卒乳まで来ない方も珍しくありません。「まわりと違う」ことを気にする必要はありません。

Q これは悪露ですか、生理ですか?

A.いちばん確実な手がかりは「一度きれいに止まったかどうか」です。悪露が完全に止まったあとに改めて出血が始まったなら生理の可能性が高く、ずっと続いていて量が増減しているなら悪露が長引いている可能性があります。悪露が6週を過ぎても続く、一度減ったのにまた増えた場合は受診してください悪露)。

Q 授乳中に生理が来ました。母乳をあげ続けていいですか?

A.続けて構いません。生理が来たことで母乳が赤ちゃんに害を及ぼすという根拠は示されていません。ただし生理の前後で量が一時的に減る、赤ちゃんが飲みたがらない、乳首が敏感になるといったことは起こります。多くは数日で戻ります。「生理が来たから断乳」という判断は必要ありません。

Q 再開した生理の周期がばらばらです。異常ですか?

A.再開直後に整わないのは、よくあることです。卵巣の働きが戻る途中で、最初の1〜2回は排卵を伴わないこともあります。3〜6か月かけて整っていくのが一般的で、授乳を続けている間は整いにくいのも普通です。ただし6か月たっても整わない、3か月以上あくという場合は相談してください。

Q 生理が来ていないのに妊娠することはありますか?

A.あります。産後の最初の生理は排卵が起きたあとに来るため、生理が来る前にすでに排卵している可能性があります。つまり「1回目の生理が来る前に妊娠する」ことが起こり得ます。授乳中でも同じです。性生活を再開するなら、そのときから避妊が必要です避妊方法の選び方)。

Q 産後、生理痛が重くなった気がします

A.産後は生理痛が軽くなる方と重くなる方の両方がいます。軽くなるのは出産で子宮の出口が広がり経血が出やすくなったことが関わるとされます。一方で重くなった場合、子宮筋腫などが見つかることもあります。痛み止めが効かない、寝込むほど痛いという状態が続くなら受診してください(月経困難症)。

Q 卒乳したのに生理が来ません

A.卒乳から1〜3か月ほどで再開する方が多いとされます。3か月以上たっても来ない場合は受診してください。授乳以外の原因として、体重の急な減少、強いストレス、甲状腺の病気、そして次の妊娠が考えられます。とくに次の妊娠は生理が来ないので気づきにくく、見落とされやすいところです。

Q 生理が戻らないと、次の妊娠はできませんか?

A.順番が逆です。排卵が戻れば生理が来るので、生理が来た時点で排卵はすでに戻っています。逆に言えば、生理が来る前にも排卵は起こり得ます。授乳中に妊娠を望む場合は、授乳を減らすと再開しやすくなります。帝王切開だった方は、次の妊娠まであける期間の目安があるので必ず確認してください。

Q 再開後、経血の量が増えました

A.子宮が大きくなった影響で増えることがあります。ただし1〜2時間でナプキンがいっぱいになる日が続く、夜用を重ねても漏れる、500円玉より大きい塊が何度も出る——このいずれかなら受診してください。産後はもともと鉄が不足しやすい時期で、そこに経血量の増加が重なると貧血が深くなります(生理と貧血)。

Q 生理前のイライラが産後にひどくなりました

A.睡眠不足と育児の負担が重なる時期なので、同じ症状でもつらさの感じ方が変わります。ここで大事なのは切り分けです。PMSは生理が始まると軽くなります。周期に関係なく気分の落ち込みが2週間以上続く、赤ちゃんをかわいいと思えない、自分を責め続ける——これらはPMSの範囲を超えています。「産後だから当たり前」と我慢せず相談してください産後うつ)。

まとめ

産後の生理再開は、授乳の状況で大きく変わります。だから「いつ来るか」に唯一の正解はなく、まわりと比べても意味がありません。

そして、この記事で厚く書いたのは「再開したあと」です。周期がばらつく、量が変わる、痛みが違う——最初の3〜6か月は整わないのが普通です。ただし「そのうち治る」で何年も過ぎてしまわないよう、6か月という期限だけ決めておいてください。

最後にもう一度。生理が来ていなくても、妊娠する可能性はあります。産後の最初の生理は排卵のあとに来るからです。ここだけは、覚えて帰ってください。

この記事のポイントまとめ
  • 悪露と生理の見分けは「一度きれいに止まったか」で判断する
  • 再開の目安——母乳なし6〜8週/混合3〜6か月/完全母乳6か月〜1年以上
  • プロラクチンが排卵を抑えているため、授乳が多いほど遅くなる
  • 早く再開しても、母乳が足りていないわけではありません
  • 授乳中に生理が来ても、授乳は続けて構いません
  • 再開後の3〜6か月は、周期も量も整わないのが普通
  • 6か月たっても整わない/3か月以上あくなら相談を
  • 経血量が増えたら貧血に注意。産後はもともと鉄が不足しやすい
  • 周期に関係なく落ち込みが2週間以上続くなら、PMSの範囲を超えています
  • 授乳していないのに産後3か月/卒乳から3か月で来ないなら受診
  • 生理が来ていなくても妊娠します。授乳は避妊法として数えられません
  • 生理が来た=排卵は戻っている。次の妊娠を考えるならここが起点

産後の体の回復については悪露、気持ちの変化は産後うつ、避妊の選び方は避妊方法の種類と選び方にまとめています。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン-産科編」
  • 日本産科婦人科学会「産科婦人科用語集・用語解説集」
  • 日本産科婦人科学会「OC・LEPガイドライン」
  • 厚生労働省「産後ケア事業ガイドライン」
  • 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
  • こども家庭庁「産後の健康支援に関する情報」
  • 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック」
  • 世界保健機関(WHO)「Postnatal care of the mother and newborn」
  • 日本助産師会「助産業務ガイドライン」
  • 日本内分泌学会「甲状腺の病気について」