「同じものを食べているのに、若い頃よりずっと体重が増えやすい」「お腹まわりだけがどんどん丸くなる」「これまで効いていたダイエット法が、まったく効かなくなった」──40代半ばを過ぎて、こうした変化に戸惑う方は本当に多くいらっしゃいます。

結論からお伝えすると、更年期は確かに痩せにくくなりますが、痩せられないわけではありません。 ただし、20〜30代と同じ方法ではうまくいきません。ホルモンの変化に合わせて「食べ方・動き方・休み方」をアップデートする必要があります。

この記事では、助産師として2,000件以上の女性の体に関わってきた立場から、「更年期世代が無理なく結果を出せるダイエット法」を、原則・食事・運動・生活習慣・サプリの順に体系的に解説します。読み終えた頃には、自分の体との新しい付き合い方が見えるはずです。

更年期は本当に痩せにくい?まず知っておきたい体の変化

まず、なぜ更年期に体重が増えやすく・落としにくくなるのか。原因を理解しないまま「食べる量を減らす」アプローチに突き進むと、必ず失敗します。更年期世代の体には、若い頃にはなかった3つの変化が同時に起こっています。

基礎代謝の低下と筋肉量の減少

基礎代謝とは、何もしなくても消費されるエネルギーのこと。安静時に呼吸・体温維持・内臓の活動などで使われるエネルギーを指します。基礎代謝は18歳前後をピークに少しずつ下がり、40代以降は1年ごとにじわじわと低下していきます。

原因のひとつが、加齢に伴う筋肉量の減少(サルコペニア)です。筋肉は安静時にも多くのエネルギーを消費する組織のため、筋肉が減ると基礎代謝も連動して下がります。20代と比べると、同じ生活でも1日あたり100〜200kcalほど消費量が減るとされ、これは年間にして数kgの体重差につながる計算です(実際の体重変化は個人差が大きく、運動習慣・遺伝・食事内容で左右されます。誰もが必ずこのペースで増えるわけではありません)。

エストロゲン減少が脂肪のつき方を変える

更年期の体重変化に最も大きく関わるのが、女性ホルモンの一つエストロゲンの減少です。エストロゲンには、以下のような働きがあります。

  • 脂肪を分解しやすい状態に保つ
  • 内臓脂肪より皮下脂肪(女性らしい体のライン)として蓄える
  • 食欲を一定に保つ(過食を抑える)
  • インスリン感受性を高め、血糖値を安定させる

閉経前後にエストロゲンが急減すると、これらの働きが弱まり、お腹まわり・内臓脂肪が増えやすい体質へとシフトします。同じ体重でも、ウエストだけが太くなったように感じるのはこのためです。

バランスのとれた和朝食のテーブル:玄米おにぎり、温泉卵、グリーンサラダ、緑茶が並ぶ朝のシーン

「若い頃と同じダイエット」が効かなくなる理由

20代であれば「夕食を抜く」「ジョギングを始める」など単純な引き算ダイエットでも体重は落ちました。しかし更年期世代の体では、この方法は逆効果になることが多いのです。

若い頃のダイエットがNGになる3つの理由
① 極端なカロリー制限は筋肉量をさらに減らし、基礎代謝を下げる
② タンパク質不足は更年期症状(疲労感・気分の落ち込み)を悪化させる
③ 短期間の急激な減量はホルモンバランスをさらに乱し、生理不順・抜け毛・肌荒れの原因になる

更年期に必要なのは「減らす」より「整える」アプローチです。食べる量を闇雲に減らすのではなく、必要な栄養はしっかり摂り、筋肉と代謝を守りながら脂肪だけを少しずつ落としていく。これが結果を出す唯一の道筋です。

関連記事
更年期に体重が増える原因をさらに詳しく知りたい方は、更年期の体重増加|原因と対策もあわせてご覧ください。

更年期ダイエットを成功させる5つの原則

ここからは、更年期ダイエットを成功させるための土台となる「5つの原則」をお伝えします。具体的なメニューや運動の前に、まずこの原則を頭に入れておくことが、リバウンドのない減量への近道になります。

原則1|短期勝負ではなく3〜6ヶ月スパンで考える

1ヶ月で5kg減らそうとする発想は、もう手放してください。更年期世代の体は、ホルモンの変動に対応するため「急な変化」を嫌います。短期間で大幅に体重を落とすと、生理周期がさらに乱れたり、髪のボリュームが減ったり、肌が一気に老け込むことも珍しくありません。

目安は1ヶ月あたり0.5〜1kg。3〜6ヶ月で3〜6kgが、ホルモン環境を崩さず筋肉を残しながら脂肪を落とせる現実的なペースです。

原則2|「食べない」より「タンパク質と食物繊維を増やす」

食べる量を減らすより、まず「何を食べるか」を見直しましょう。具体的には、タンパク質と食物繊維をしっかり摂ることから始めます。タンパク質は筋肉の材料、食物繊維は血糖値の急上昇を抑えて脂肪蓄積を防ぐ働きをします。

糖質や脂質を完全に断つ必要はありません。むしろ極端な制限は更年期症状の悪化を招きます。「足りないものを足す」ことから始めるのが鉄則です。

原則3|有酸素運動より筋トレ優先

「ダイエット=ジョギングやウォーキング」というイメージを持つ方は多いのですが、更年期世代では筋トレを優先すべきです。有酸素運動だけを続けても、筋肉量はさらに落ちて基礎代謝が下がり、結果的に痩せにくい体になります。

もちろん有酸素運動も大切ですが、まずは週2〜3回の筋トレで失われた筋肉を取り戻すこと。これが代謝のエンジンを再点火する最も効率的な方法です。

原則4|睡眠・ストレス管理を最優先項目に

意外と見落とされがちですが、更年期ダイエットの成功は半分が睡眠とストレスで決まります。睡眠不足は食欲ホルモン(グレリン)を増やし、満腹ホルモン(レプチン)を減らします。ストレスはコルチゾールというホルモンを上げ、内臓脂肪を蓄積させます。

どれだけ食事と運動を頑張っても、夜更かしと慢性ストレスがあれば結果は出ません。先に睡眠とストレス対策を整えてから、食事・運動に取り組むのが正解です。

原則5|女性ホルモン様成分(大豆イソフラボン・エクオール)を味方にする

大豆イソフラボン、特にその代謝産物であるエクオールには、減少したエストロゲンの働きを部分的に補う作用があるとされています。日常的に大豆製品を取り入れることで、ホットフラッシュなどの更年期症状の緩和とあわせて、体重管理にもプラスに働く可能性があります。

納豆・豆腐・豆乳・きなこなどを毎日の食事に組み込むのが基本。エクオールを腸内で作れない体質の方(日本人女性の約半数)には、エクオールサプリの活用も選択肢になります。

閉経前と閉経後でアプローチをどう変えるか

同じ「更年期ダイエット」でも、閉経前と閉経後では戦略が少し変わります。自分が今どのフェーズにいるかを意識すると、無駄な遠回りを避けられます。

フェーズ 体の特徴 力を入れるべきこと
閉経前
(45歳前後〜閉経まで)
ホルモンが大きく揺らぐ。月によって体重・体調が安定しない 月経周期に合わせた食事量の調整/PMS時の食欲増進を許容/睡眠とストレス管理を最優先
閉経後
(最終月経から12ヶ月以降)
エストロゲンほぼゼロで、内臓脂肪・骨密度低下が加速 筋トレで筋肉維持と骨を守る/タンパク質・カルシウム・ビタミンDを意識的に追加/中性脂肪・血糖値の定期チェック

閉経後は「体重が落ちにくい」というより「放置すると内臓脂肪が増え続けやすい」フェーズです。閉経前のように体重がスルッと動かないことに失望する必要はなく、「現状維持できているだけで成功」と考えるのが現実的です。

【食事編】更年期に痩せる食べ方の具体的ルール

ここからは、毎日の食事で意識したい具体的なルールに落とし込みます。完璧を目指さず「8割できればOK」のスタンスで取り入れてみてください。

1日のタンパク質目標量と摂り方

更年期世代のタンパク質目標は、体重1kgあたり1.0〜1.2g。体重55kgの方なら55〜66gが目安です。これは想像以上に多く、意識しないと半分にも届きません。

食材 1食分の量 タンパク質量
鶏むね肉(皮なし)100g約23g
鮭の切り身1切れ(80g)約18g
1個約6g
納豆1パック約8g
豆腐(絹)1/2丁(150g)約8g
無糖ヨーグルト100g約4g
豆乳(無調整)200ml約7g

朝食でタンパク質を抜くと、午前中の代謝スイッチが入りません。「3食すべてに片手のひら分のタンパク質を入れる」ことを最初の目標にしてみてください。

内臓脂肪を減らす栄養素ベスト5

更年期世代がお腹まわりの脂肪を落とすために、特に意識したい栄養素は次の5つです。

  1. 食物繊維(野菜・海藻・きのこ・豆類):血糖値の急上昇を抑え、満腹感を持続させる
  2. オメガ3脂肪酸(青魚・えごま油・亜麻仁油):脂肪燃焼を助け、炎症を抑える
  3. 大豆イソフラボン(納豆・豆腐・豆乳):エストロゲン様作用で代謝をサポート
  4. カルシウムとビタミンD(牛乳・小魚・卵黄・きのこ):骨粗鬆症予防と脂肪代謝
  5. マグネシウム(海藻・ナッツ・玄米):インスリン感受性を高め、糖の代謝を助ける

避けたい食べ方・取り入れたい食べ方

避けたい食べ方
・朝食を抜く、または菓子パンとコーヒーだけで済ます
・夕食を21時以降に摂る
・「ベジファースト」を意識せず、ご飯から食べ始める
・ジュース・砂糖入りコーヒー・スポーツドリンクを日常的に飲む
・寝る前のスナック菓子・甘いもの
取り入れたい食べ方
・朝食にタンパク質(卵・納豆・ヨーグルト)を必ず入れる
・「野菜・きのこ・海藻 → タンパク質 → 主食」の順で食べる
・夕食は寝る3時間前までに終える
・水を1日1.5〜2リットルこまめに飲む
・間食はナッツ・ゆで卵・無糖ヨーグルトに置き換える

大豆製品・発酵食品の活用法

毎日の食事に「大豆製品+発酵食品」のセットを意識して組み込みましょう。大豆製品は女性ホルモン様の働きを、発酵食品は腸内環境を整えてエクオール産生をサポートします。

たとえば朝食に納豆と味噌汁、昼食に豆腐サラダ、夕食に豆乳鍋、おやつに無糖ヨーグルト──と分散させると、無理なく1日3〜4種類の発酵食品を取り入れられます。

1週間モデル献立例(朝・昼・夜)

無理なく続けられる、更年期向けの1週間モデル献立をご紹介します。完璧に再現する必要はなく、「タンパク質と食物繊維を意識する」「主食を半分にする」だけでもOKです。

曜日
納豆ご飯(半膳)+味噌汁+卵焼き 鮭おにぎり+豆腐サラダ+わかめスープ 鶏むね肉のソテー+温野菜+玄米半膳
ヨーグルト+ベリー+ゆで卵 豚しゃぶサラダ+ひじき煮+雑穀ご飯 豆乳鍋(鶏・きのこ・葉物)+小盛りご飯
オートミール+豆乳+バナナ+クルミ サバの塩焼き定食(ご飯半量) 豆腐ハンバーグ+ブロッコリー+スープ
卵焼き+納豆+具だくさん味噌汁 蒸し鶏のサラダボウル(玄米トッピング) 魚介トマト鍋+大豆+根菜
ギリシャヨーグルト+ナッツ+オレンジ 鶏胸肉のサンドイッチ+野菜スープ 鮭のホイル焼き+ひじき+雑穀ご飯
豆乳スムージー+ゆで卵+全粒粉トースト そば(温)+鶏天1個+ほうれん草おひたし 湯豆腐+焼き魚+茶碗蒸し
納豆ご飯+味噌汁+焼き鮭 ベジタブルカレー+ヨーグルト 蒸し野菜+豆腐ステーキ+具だくさんスープ

ポイントは「主食を半分量にしてタンパク質と野菜を増やす」「夕食を軽めにする」「発酵食品を毎食どこかに入れる」の3つです。

【運動編】更年期に効く運動プログラム

食事と並行して、運動も少しずつ取り入れていきましょう。「ジムに通わなきゃ」「毎日1時間ジョギング」と気負う必要はありません。更年期世代に必要なのは、頻度と継続性です。

週3回の筋トレメニュー(自宅でできる)

まずは自宅で道具なしでできる基本の筋トレを、週3回(月・水・金など)に取り入れましょう。1回あたり10〜15分で十分です。

  • スクワット:10回×3セット(太もも・お尻・体幹をまとめて鍛える)
  • ヒップリフト(仰向けでお尻を持ち上げる):10回×3セット
  • プランク:30秒×3セット(お腹まわりに効く)
  • 壁腕立て伏せ:10回×3セット(二の腕・胸まわり)
  • カーフレイズ(つま先立ち):15回×3セット(ふくらはぎ・血流改善)

はじめは回数を少なくして、フォームを優先してください。「正しく10回」のほうが「適当に30回」より効果が出ます。慣れてきたらダンベル(500mlペットボトルでも可)を持って強度を上げていきましょう。

有酸素運動の最適な強度と頻度

有酸素運動は「ややきつい」と感じる強度で、週合計150分が目安です。1回30分のウォーキングを週5回、または45分を週3〜4回でクリアできます。

強度の目安は「会話はできるが歌は歌えない」程度。心拍数でいうと、最大心拍数(220-年齢)の60〜70%。50歳の方なら、毎分100〜120拍が目標心拍数になります。

関節・骨を守るために必要なストレッチ

更年期はエストロゲン減少の影響で、関節痛・肩こり・腰痛が起きやすくなります。運動の前後に5分のストレッチを習慣化すると、ケガの予防と疲労回復に大きな差が出ます。

特に重点的にほぐしたいのは、肩甲骨まわり・股関節・足首の3カ所。ヨガの「猫のポーズ」「子どものポーズ」「ダウンドッグ」を朝晩2分ずつ行うだけでも変わります。

続けやすい運動の選び方

運動が続かない最大の原因は「強度が高すぎる」「孤独に頑張りすぎる」の2つ。続けやすい運動には共通点があります。

  • 家から半径500m以内でできる
  • 準備に5分以上かからない
  • 音楽・ポッドキャストを聴きながらできる
  • 1回15〜30分で完結する
  • 仲間や家族と一緒にできる

運動が続かない人のための工夫

「やる気が出ない日」をどう乗り切るかが、長続きの鍵です。完璧を目指さず、次のような小さな工夫を取り入れてみてください。

運動を続けるための小さな工夫
・運動着で寝る(朝起きてすぐ動ける)
・カレンダーに○をつけて可視化する
・「5分だけ」と決めて始める(始めれば続く)
・天気・気分に左右されない室内ルーティンを1つ持つ
・家族・友人と一緒に始める/オンライン仲間を作る

【生活習慣編】痩せ体質をつくる5つの習慣

食事と運動を整えても結果が出ない方は、生活習慣に隠れたブレーキがあるかもしれません。特に更年期世代は、睡眠とストレスの影響が若い頃の2倍以上に大きくなります。

睡眠の質を上げる就寝前ルーティン

更年期の睡眠不足は、太りやすい体質を直接的に作り出します。理想は7時間ですが、まず大切なのは「同じ時刻に寝て、同じ時刻に起きる」リズム作りから。

就寝1〜2時間前のスマホは光と情報の両方で交感神経を刺激します。ホットフラッシュなどで夜中に目が覚める方は、寝室を涼しく保ち、吸湿速乾のパジャマに変えると睡眠の質が上がります。

セルフケアでは追いつかないほど不眠や夜間覚醒が続いていて、日中の活動に支障が出ている場合は、無理を続けず婦人科や更年期外来で相談することをおすすめします。漢方やHRTで睡眠を取り戻せれば、食事・運動の効果が一気に出やすくなります。

ストレスと暴飲暴食を断ち切る方法

ストレスでお菓子に手が伸びるのは意志の弱さではなく、脳の反応です。慢性的なストレス下ではコルチゾールが分泌され、甘いもの・油もの・塩辛いものへの欲求が強まります。

食欲スイッチが入ったときに使える対処法は次の通り。

  • 水・無糖の温かい飲み物を1杯ゆっくり飲む
  • 5分だけ外に出て深呼吸する
  • 歯を磨く・ガムを噛む
  • 無糖ヨーグルト・ゆで卵・ナッツに置き換える
  • 食べたいものを「食べる」と決めて、小皿に1人前だけ盛る

朝の習慣で代謝スイッチを入れる

朝の過ごし方で、その日1日の代謝が決まります。理想は「起床→日光浴→水を1杯→朝食」の流れを20分以内で済ませること。

朝に日光を浴びると、夜にメラトニンが分泌されて眠りやすくなる体内リズムが作られます。曇りや雨の日も窓辺で5分過ごすだけで効果があります。

お酒との付き合い方

更年期のお酒は若い頃よりずっと体に負担をかけます。アルコールは1g7kcalと高カロリーで、肝臓がアルコール処理に追われている間は脂肪燃焼が止まります。

禁酒する必要はありませんが、「平日は飲まない、週末も2杯まで」といったルールを決めると、体重コントロールがぐっと楽になります。糖質ゼロのチューハイより、ハイボールや辛口ワインのほうがカロリー的には有利です。

体重より「体脂肪率・ウエスト」で測る

体重計の数字だけを追うと、筋肉が増えて体重が変わらない時期に挫折しがちです。体脂肪率やウエスト周囲径を月1〜2回測ると、見えなかった変化に気づけます。

ウエストの目安は女性で90cm未満。これを超えるとメタボリックシンドロームの基準に該当します。鏡で見る自分の姿、服のサイズ感も大切な指標です。

サプリ・漢方は使ったほうがいい?

「サプリや漢方で痩せるなら、それに頼りたい」という気持ちはとてもよくわかります。ただし、サプリ・漢方は痩せ薬ではなく、ベース(食事・運動・睡眠)を整えるためのサポートと位置づけてください。

エクオール・大豆イソフラボン

エクオールは、大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてできる成分で、エストロゲンに近い働きをします。エクオールを体内で作れる方は日本人女性のおよそ50%。作れない体質の方は、エクオール配合のサプリを活用するのも一案です。

更年期症状の緩和に加えて、代謝のサポートや骨の維持にもプラスに働くと報告されていますが、過剰摂取は避け、製品ごとに記載された量を守ることが大切です。

漢方(防風通聖散・桃核承気湯など)の考え方

漢方は「体質」に合わせて処方されるものです。同じ「痩せたい」でも、体質が異なれば適した処方は変わります。

  • 防風通聖散:お腹まわりの皮下脂肪、便秘がちな方
  • 桃核承気湯:のぼせ・便秘・お腹のはりがある方
  • 大柴胡湯:体力があり、ストレスで食べてしまう方
  • 当帰芍薬散:冷え・むくみ・貧血傾向のある方

市販薬としても買えますが、自己判断ではなく婦人科や漢方外来で体質に合った処方を相談するのが安心です。

関連記事
更年期に使う漢方の選び方は、更年期の漢方|症状別の選び方と注意点で詳しく解説しています。

サプリ・漢方を使うときの注意点

サプリ・漢方を使う前に必ず確認
・服用中の薬がある場合は、必ず医師・薬剤師に相談してから始める
・「飲むだけで痩せる」と謳う商品は基本的に疑う
・「効果が出ない」と感じたら、自己判断で増量せず使用を中止する
・体質に合わない場合は、皮膚症状や胃腸の不調が出ることがある
特に注意が必要な方(自己判断せず必ず主治医に相談)
・乳がんの既往・治療中の方、家族歴のある方(大豆イソフラボン・エクオールはエストロゲン様作用があるため)
・血栓症の既往がある方、血液をサラサラにする薬を服用している方
・HRT(ホルモン補充療法)を行っている方
・甲状腺の薬・抗うつ薬・降圧薬など慢性的に服用中の薬がある方
・妊娠中・授乳中の方

それでも痩せない・体重が増えるときは

「食事・運動・睡眠を整えても、まったく体重が動かない」「むしろ増えていく」──こうしたケースでは、別の原因が隠れていることもあります。

甲状腺機能低下症など、他の病気の可能性

更年期と症状がよく似た病気の代表が甲状腺機能低下症(橋本病)です。代謝が落ちて体重が増えやすく、疲労感・冷え・抜け毛・むくみ・気分の落ち込みなど、更年期症状と区別がつかないことがあります。

40〜60代の女性に多く、女性は男性の5〜10倍発症しやすい病気です。血液検査(TSH・FT4)で簡単に診断できるので、「努力に見合わない体重増加」がある方は、一度内分泌内科または婦人科で確認してみる価値があります。

婦人科・更年期外来で相談すべきタイミング

次のようなサインがあれば、自己管理だけにこだわらず医療機関を頼ってください。

  • 3ヶ月以上、食事と運動を整えても体重・体脂肪が一切減らない
  • 急激な体重増加(1ヶ月で3kg以上)や急激な減少がある
  • ホットフラッシュ・不眠・気分の落ち込みが日常生活に支障をきたしている
  • 月経不順や不正出血が続いている
  • 顔・手足がむくみ、押すと跡が残る

HRT(ホルモン補充療法)と体重の関係

「HRTを始めると太るのでは」と心配される方が多いのですが、これは誤解です。最近の研究では、HRTがむしろ更年期の内臓脂肪蓄積を抑制する可能性が示されています。

更年期症状が重く、ダイエットどころではない方は、まず婦人科で症状を整えること。HRTで症状が落ち着いてからダイエットに取り組むほうが、結果的にうまくいくケースも多くあります。

関連記事
HRTの仕組み・メリット・副作用についてはHRT(ホルモン補充療法)とは?効果・副作用・始め方で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q 閉経後のほうが痩せにくいですか?

A.閉経後は確かにエストロゲンの分泌がほぼ止まるため、内臓脂肪が増えやすくなります。ただし、筋トレと食事改善で十分にコントロール可能です。閉経前のうちから準備しておくと、移行がスムーズになります。

Q 糖質制限はやってもいいですか?

A.極端な糖質カットは更年期世代にはおすすめできません。エネルギー不足で疲労感・気分の落ち込み・抜け毛が悪化することがあります。主食を半分にする「ゆる糖質オフ」程度にとどめ、白米→玄米・パン→全粒粉などの質の置き換えを優先してください。

Q 1ヶ月で何kgまでなら安全に減らせますか?

A.更年期世代では、1ヶ月あたり0.5〜1kgが目安です。これ以上のペースで減らすと、筋肉量の減少・ホルモンバランスの乱れ・髪や肌へのダメージが大きくなります。ゆっくり減るほうがリバウンドもしにくく、最終的な結果は良くなります。

Q 更年期サプリは飲むべきですか?

A.食事を基本としつつ、不足しがちな栄養素(タンパク質・カルシウム・ビタミンD・エクオール)の補助としてサプリを使うのは合理的です。ただし「飲むだけで痩せる」と謳うものは要注意。基本は食事から、足りない部分をサプリで補うという順序を守ってください。

Q 運動が苦手でも痩せられますか?

A.運動なしでも食事改善だけで体重を落とすことはできますが、筋肉量が減るリスクが高まります。最低限、自重スクワット10回×3セットを週3回など、低負荷の筋トレだけは取り入れましょう。家事の合間に「気づいたらかかと上げ」「歯磨き中にスクワット」など、生活の中に運動を組み込むのもおすすめです。

Q ファスティング(断食)は更年期にもやっていい?

A.長時間の本格的なファスティングは、更年期女性にはおすすめできません。ホルモンバランスをさらに乱す可能性があります。やるとしても「14時間プチ断食(夜20時〜翌朝10時は食べない)」程度にとどめ、必ず水分とタンパク質はしっかり摂ってください。持病がある方は医師に相談してから始めましょう。

情報が多すぎて迷う方へ|明日から始める3つのアクション

ここまで読んで「情報が多すぎて、何から手をつければいいか分からない」と感じた方も多いと思います。最初の1週間は、次の3つだけ意識してみてください。これだけで体は少しずつ変わり始めます。

明日から始める3つのアクション
  • ① 朝食にタンパク質を1品プラスする(卵・納豆・無糖ヨーグルトのどれかでOK)
  • ② 自重スクワット10回×3セットを週3回(テレビを見ながら・歯磨き中など、ながらで)
  • ③ 就寝1時間前のスマホをやめる(充電器を寝室の外に置くだけでOK)
この3つを2週間続けるだけで、体の軽さに違いを感じる方が多いです。慣れてきたら少しずつ食事の質や運動の強度を引き上げていきましょう。

まとめ|更年期ダイエットは「自分の体との新しい付き合い方」

更年期世代のダイエットは、「痩せる」というより「整える」と表現したほうが実態に合っています。20代のときの体は戻ってきませんが、その代わりに、自分の体を細やかに観察し、必要なケアを必要な量だけ与える知恵が手に入る時期でもあります。

急がず、比べず、3〜6ヶ月の長いスパンで、食事と運動と睡眠を少しずつ整えていきましょう。1年後、体重よりも「体が軽い」「気分がいい」と感じられることのほうが、ずっと大きな価値になります。

この記事のポイントまとめ
  • 更年期はエストロゲン減少・筋肉量減少・代謝低下の3つで痩せにくくなる
  • 1ヶ月0.5〜1kgのペースで、3〜6ヶ月かけてゆっくり落とすのが正解
  • 食事は「減らす」より「タンパク質と食物繊維を増やす」が基本
  • 運動は有酸素より筋トレ優先。週3回・各15分の自重トレから
  • 睡眠とストレス管理を最優先にすると、食事・運動の効果が倍増する
  • サプリ・漢方はベースを整える補助。痩せ薬ではない
  • 3ヶ月努力しても変化がない場合は、甲状腺の検査・婦人科受診を検討する

この記事を書いた人

白石まい(助産師・フェムテックエキスパート)

産婦人科病院で13年間、助産師として延べ2,000件以上の分娩に立ち会う。生理・妊活・更年期など、女性のライフステージに寄り添った健康相談を得意とする。現在はフリーランス助産師として活動しながら、フェムテックエキスパートとして「女性が自分の体をもっと好きになれる社会」を目指してfemnoteで情報を発信中。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会「更年期障害」診療ガイドライン
  • 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック 更年期医療編 2019年度版」金原出版
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
  • 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」
  • 日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」
  • 厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」