ドラッグストアに「フェムケア」の棚ができ、SNSでもよく見かける言葉になりました。けれど、いざ調べてみると出てくるのは商品の紹介ばかりで、「結局、何をすればいいの?」というところが分からないままという方が多いのではないでしょうか。

実際、この言葉と一緒によく検索されているのが「フェムケアって怪しいの?」という問いです。健康の話のはずなのに、なんとなく売り込まれている感じがする——その違和感は、もっともなものだと思います。

この記事では、まずフェムケアという言葉が何を指しているのかを整理し、そのうえで「怪しい」と感じる理由は何なのか、そしてお金をかけなくてもできることは何かを書いていきます。買うべきものの話は、いちばん最後です。

フェムケアとは何か|フェムテックとの違い

フェムケア=女性の体の悩みを手当てすること

フェムケア(Femcare)は、女性(female)ケア(care)を組み合わせた言葉です。女性の体に起こる悩みを、自分で手当てすること全般を指します。

ここで大事なのは、これが医学用語ではないということです。学会が定義した言葉ではなく、ここ数年で商品カテゴリの名前として広まった呼び方です。だから、使う人によって指す範囲が違います。

フェムケアが指す範囲の例
  • 生理——ナプキン・タンポン・月経カップ・吸水ショーツ
  • デリケートゾーン——洗い方・保湿・ムダ毛のケア
  • 妊娠・産後——骨盤底筋のケア・母乳のケア
  • 更年期——乾燥のケア・ゆらぎへの対処
  • 体調の記録——生理管理アプリ・基礎体温

つまり「女性の体まわりのこと、ほぼ全部」です。範囲が広すぎることが、この言葉の分かりにくさの原因になっています。

フェムテックとの違いは「技術か、手当てか」

並べて語られることの多い2つですが、意味は違います。

フェムケア フェムテック
語の成り立ち female + care(手当て) female + technology(技術)
指すもの ケアの行為そのものと、日用品 技術を使って解決する製品・サービス
デリケートゾーン用ソープ、吸水ショーツ、保湿クリーム 生理管理アプリ、オンライン診療、妊活のデータ管理
お金 かけなくてもできることが多い サービス利用が前提のものが多い

ざっくり言えば、フェムテックは「道具」、フェムケアは「行い」です。境目はあいまいで、吸水ショーツのように両方に数えられるものもあります。厳密に区別する意味はあまりありません。

なぜこの数年で急に広がったのか

理由は3つ重なっています。

  • 話題にしてよいことになった——生理や更年期を職場や家庭で口に出せる空気が、少しずつできてきました
  • 選択肢が増えた——生理用品はナプキン一択ではなくなり、月経カップ吸水ショーツが選べるようになりました
  • 市場として注目された——ここが、後述する「怪しさ」の入口でもあります
言葉が新しいだけで、中身は新しくありません

デリケートゾーンをやさしく洗うことも、生理の記録をつけることも、フェムケアという言葉ができる前から助産師や婦人科が伝えてきたことです。

「フェムケアを始めなければ」と身構える必要はありません。すでにやっていることが、たまたまその名前で呼ばれるようになっただけ、という場合がほとんどです。

「フェムケアは怪しい」と言われる理由

検索すると必ず出てくる問いなので、正面から答えます。結論から言うと、怪しいのはフェムケアという考え方ではなく、その言葉の使われ方です。

理由①|言葉の範囲が広すぎて中身が分からない

前の章で見たとおり、フェムケアは生理用品から更年期のケアまで、まったく別のことを1つの言葉でまとめています。

範囲が広い言葉は、「フェムケアにいい」と言えばほとんど何にでも当てはめられるという性質を持ちます。中身を説明しなくても、それらしく聞こえてしまう。これが1つ目の理由です。

理由②|化粧品なのに、効果があるように読める書き方

デリケートゾーン用のソープやクリームは、ほとんどが「化粧品」または「医薬部外品」です。医薬品ではありません。

分類 できること
医薬品 症状を治すことを目的にできる。効果と副作用が審査されている
医薬部外品 予防や衛生が目的。治すとは言えません
化粧品 清潔にする・うるおいを与える、まで。治すとは言えません

ところが宣伝の文章では、「ムレ・ニオイ・黒ずみが気になる方へ」のように悩みを先に並べてから商品を置く書き方がよく使われます。効果を言っていないのに、読んだ側は「これで解決する」と受け取ってしまう。

見分け方はシンプルです
「治る」「改善する」と書いてある化粧品は、書いてはいけないことを書いています。逆に「うるおいを与える」「清潔に保つ」という表現にとどまっているものは、ルールの範囲で正しく書かれています。
控えめな表現のほうが、むしろ信用できる——これは覚えておいて損のない見方です。

理由③|健康の話のはずが、美容の文脈で売られている

いちばん本質的な理由がこれです。

本来のフェムケアは「快適に過ごすため」の話です。ところが実際の売り場では、黒ずみ・においを「恥ずかしいもの」として提示し、「なくすべき欠点」に変えてから商品を出すという順序がしばしば取られます。

これは健康のケアではなく、見た目の商品です。悩んでいなかった人に悩みを作ってしまう点で、順序が逆になっています。

怪しいのはフェムケアではなく「売り方」です

整理すると、こうなります
  • デリケートゾーンをやさしく洗う——怪しくありません。婦人科でも勧められる基本のケアです
  • 乾燥するときに保湿する——怪しくありません
  • 自分の周期を記録する——怪しくありません
  • 「黒ずみを消す」「においを断つ」と言う商品——ここが怪しい部分です
  • 症状を治すと読める化粧品——同じく怪しい部分です

「フェムケアは怪しいか」ではなく「その商品の言い方が怪しくないか」で見てください。言葉ごと避けてしまうと、本当に役に立つケアまで手放すことになります。

では、何を信じればいいのか

「売り方が怪しい」と分かっても、では何を見ればいいのかが分からなければ動けません。情報源の見分け方を書いておきます。

見るところ 考え方
誰が書いているか 商品を売っている会社のページか、そうでないか。売る側の情報が嘘とはかぎりませんが、都合の悪いことは書かれにくくなります
出典が示されているか 学会・省庁・論文の名前が出ているか。「〜と言われています」だけで終わっていないか
限界に触れているか 「効かない人もいる」「研究が少ない」と書いてあるほうが信用できます
受診をすすめているか 症状があるときに「まず病院へ」と書いてあるか。すべて商品で解決させようとしていないか
不安をあおっていないか 「放っておくと大変なことに」で始まる情報とは距離を置く
いちばん確実なのは、公的な情報にあたることです
日本産科婦人科学会・厚生労働省・自治体の女性健康支援センターなどは、商品を売る立場ではないため、必要ないことは必要ないと書いてあります。
そして迷ったら婦人科で聞いてください。「これ、使ったほうがいいですか」という質問は、診察室でしていい質問です。

実は、やらなくていいこと

フェムケアの記事はたいてい「これをやりましょう」で埋まっています。けれど実際の相談で多いのは、やりすぎて調子を崩しているケースです。先に「やらなくていいこと」から書きます。

膣の中は洗わない

これがいちばん大事です。

膣の中には常在菌(もともと住んでいる菌)がいて、酸性の環境を保つことで雑菌が増えないようにしています。石けんで中まで洗うと、この菌ごと流れてしまいます。

洗いすぎると、かえってトラブルが増えます

常在菌が減った状態は、細菌性膣症カンジダが起こりやすい環境です。においが気になって洗う → 菌が減る → においが強くなるという悪循環になることがあります。

洗うのは外側だけ。くわしくはデリケートゾーンの洗い方にまとめています。

黒ずみ・においを「異常」として扱わない

デリケートゾーンの色が濃いのは、ほとんどの場合ふつうのことです。摩擦や女性ホルモンの影響で色素が濃くなりやすい場所であり、体質・年齢・出産経験によって差が出ます。病気ではありません。

においも同じです。無臭が正常なわけではありません。周期によって変わるのが自然な状態です。

気にしなくていいもの/相談したほうがいいもの
  • 気にしなくていい——色が濃い/周期で少しにおいが変わる/おりものの量が日によって違う
  • 相談したほうがいい——魚が腐ったようなにおい/黄緑色のおりもの/かゆみや痛みを伴う/急に変わった

判断の目安はデリケートゾーンのにおい黒ずみおりものの色にあります。

ジェルやサプリで治すものではない

かゆみ・痛み・不正出血・強いにおいは、ケア用品で対応するものではありません。感染症や皮膚の病気が背景にあることがあり、その場合は原因に合った薬でなければ治りません。

市販のケア用品を使いながら様子を見ていると、受診が遅れて悪化することがあります。症状があるときは、まず婦人科です。

淡いベージュの布の上に、素朴な固形石けんと白い綿の下着、ユーカリの枝が並べられたフラットレイ

どこまで洗えばいい?

いちばん多い質問なので、独立して書きます。

場所 洗う?
外陰部(外側の皮膚) 洗います。ここが基本です
大陰唇・小陰唇のひだの間 指の腹でやさしく。白い恥垢がたまりやすい場所です
肛門のまわり 洗います。前から後ろへが原則です
膣の中 洗いません。指を入れて洗う必要はありません
洗い方の基本
  • ぬるま湯だけでも十分です。石けんは1日1回まで
  • ナイロンタオル・スポンジは使わない——手のひらか指の腹で
  • ゴシゴシこすらない。皮膚がとても薄い場所です
  • すすぎ残しを作らない
  • 洗ったあとは水気をやさしく押さえて拭く

専用ソープが必須というわけではありません。選ぶなら弱酸性で低刺激のものという程度の話です(ソープの選び方)。

どこに塗る?塗らなくていい人もいます

保湿クリームについての質問です。結論としては、乾燥やかゆみを感じていない人は、塗らなくて構いません。

塗るなら外陰部の皮膚(外側)だけです。膣の中には塗りません。

こんなとき 保湿の必要性
とくに困っていない 不要です
乾燥してつっぱる・カサつく 役に立ちます
ムダ毛の処理後にヒリつく 役に立ちます(アンダーヘアのケア
閉経前後で乾燥が強い 役に立ちます。ただし程度によっては治療の対象です
強いかゆみ・痛み・出血がある 塗る前に受診してください
閉経後の乾燥は、保湿だけで足りないことがあります

エストロゲンが減ると膣や外陰部の粘膜が薄くなり、乾燥・ヒリつき・性交痛が起こりやすくなります萎縮性膣炎)。

これはケア用品ではなく治療で改善が期待できる領域です。がまんせず婦人科で相談してください。乾燥・保湿ケアにも詳しく書いています。

木のテーブルで小さな手帳にペンで書き込んでいる女性の手元

お金をかけずにできるフェムケア4つ

ここが本題です。フェムケアの中心にあるのは、買うことではなく次の4つです。

① 洗い方を見直す

前の章のとおりです。新しく買うものはありません。「洗いすぎをやめる」だけで、かゆみが落ち着く方はかなりいます。

② 下着と生理用品を、蒸れない選択にする

デリケートゾーンのトラブルの多くは蒸れと摩擦から来ています。

やること ねらい
綿など通気性のよい下着にする 蒸れを減らす
締めつけの強い下着を毎日にしない 摩擦と圧迫を減らす
ナプキンをこまめに替える かぶれの予防ナプキンかぶれ
おりものシートを常用しない つけっぱなしはむしろ蒸れの原因おりものシート
帰宅後は締めつけをゆるめる 血流と通気の回復

③ 自分の周期を記録する

これがいちばん費用対効果の高いフェムケアだと思います。アプリでもカレンダーでも構いません。

  • 生理が来た日——これだけでも十分な情報になります
  • 期間と量の変化(経血量
  • 体調・気分の波(PMS
  • 妊娠を考えているなら基礎体温
記録は、診察室でいちばん役に立ちます
「なんとなく最近つらい」と伝えるのと、「生理の1週間前から3ヶ月続けて落ち込む」と伝えるのとでは、医師が組み立てられる仮説がまったく違います。
受診をためらう理由が「うまく説明できないから」という方にこそ、記録は効きます。

④ 体の状態を言葉にしておく

地味ですが、これも立派なフェムケアです。「いつから」「どのくらい」「何をすると変わるか」の3つを言えるようにしておくと、相談の質が変わります。

フェムケア用品には、どんな種類があるのか

「買わなくていい」と書いてきましたが、そもそも何が売られているのか分からないままでは、判断のしようがありません。種類と、それぞれが何のためのものかを整理します。

種類 何のためのもの 必要な人
デリケートゾーン用ソープ 外陰部をやさしく洗う。弱酸性のものが多い 体用の石けんがしみる・乾燥する人
保湿クリーム・オイル 外陰部の皮膚のうるおいを保つ 乾燥・つっぱりを感じている人
デリケートゾーン用シート 外出先で拭く 長時間替えられない場面がある人
吸水ショーツ ナプキンの代わり、または併用 ムレ・かぶれが気になる人(吸水ショーツ
月経カップ・タンポン 経血を体の中で受ける 長時間替えられない人・スポーツをする人(月経カップタンポン
膣トレグッズ 骨盤底筋を意識しやすくする補助 器具がなくても鍛えられます膣トレ
潤滑ゼリー 性交時の摩擦を減らす 乾燥や痛みがある人(性交痛
生理管理アプリ 周期の記録 ほぼ全員に役立ちます。無料のもので十分
黒ずみ・美白クリーム 見た目のためのもの 健康上の必要はありません
サプリメント 栄養補助 症状を治すものではありません
この表の読み方
上から順に「困りごとがある人には役に立つもの」で、下の2つは「健康の問題ではないもの」です。
フェムケア用品を全部そろえる必要はまったくありません。いま自分が困っていることに当てはまるものが1つあれば、それだけで十分です。
費用の目安

専用ソープも保湿クリームも、1,000〜3,000円台のものが中心です。値段と効き目は比例しません。

いっぽうで記録・洗い方の見直し・下着の選び方は0円でできます。効果の大きさで言えば、こちらのほうが先です。

商品を選ぶなら、どこを見るか

そのうえで、使いたい方のために選び方を書きます。買う前提の話ではありません。

見るところ 考え方
何と書いてあるか 「治る」「改善する」と書く化粧品は避ける。控えめな表現のほうが信用できます
分類 化粧品/医薬部外品/医薬品のどれか。パッケージに書いてあります
成分の数 肌が弱いなら、少ないほうが無難です。香料は刺激になることがあります
使う場所の表示 外陰部用と明記されているか
値段 高いほど効くという関係はありません
続けられるか 毎日使うものなので、価格と手間が現実的か
いちばん避けたいのは「悩みを作られてから買うこと」です

広告を見て「私も気にしたほうがいいのかな」と思ってから買う——この順番になっているときは、一度立ち止まってみてください。

困っていることが先にあって、それを楽にするために買う。この順序であれば、フェムケア用品は役に立ちます。

年代別|今のあなたに必要なフェムケア

必要なことは年代で変わります。全部やる必要はありません。

時期 中心になること
10代〜20代 自分の周期を知る。生理用品の選択肢を知る。痛みをがまんしない(月経困難症
20代〜30代 おりもの・においの変化に気づけること。子宮頸がん検診を受ける検診
妊娠・産後 骨盤底筋のケア膣トレ)。悪露と傷のケア(悪露
30代〜40代 経血量や周期の変化に気づく。ゆらぎを「気のせい」にしないホルモンバランス
更年期以降 乾燥のケアと、治療という選択肢を知ること更年期の症状
共通しているのは1つだけです
自分の「ふつう」を知っておくこと。それさえあれば、変化が起きたときに気づけます。
高価な商品より、この1点のほうがずっと役に立ちます。

セルフケアで解決しないサイン

フェムケアはセルフケアであって、治療ではありません。次のときは受診してください。

サイン 考えられること
かゆみが1週間以上続く カンジダ・皮膚炎など(かゆみ
魚が腐ったようなにおい 細菌性膣症のことがあります
黄緑色・泡状のおりもの 感染症の可能性(性感染症
生理以外の出血 期間にかかわらず受診を不正出血
性交時の痛み 乾燥・炎症・性交痛
しこり・できものがある しこりの原因を確認のうえ受診
「こんなことで婦人科に行っていいのか」と思わないでください

におい・かゆみ・おりものの変化は、婦人科でもっとも多い相談のひとつです。めずらしい訴えではありません。

言いにくければ「デリケートゾーンの調子が気になります」だけで十分です。あとは医師が順に聞いてくれます。

よくある質問

Q フェムケアは怪しいですか?

A.フェムケアという考え方自体は怪しいものではありません。やさしく洗う、乾燥したら保湿する、周期を記録する——どれも婦人科で以前から伝えられてきた内容です。怪しさを感じるとしたら、その多くは「売り方」の側にあります。黒ずみやにおいを欠点として提示してから商品を出す書き方や、化粧品なのに治ると読める表現がそれです。言葉ごと避けるのではなく、商品の言い方を見て判断してください。

Q フェムケアのやり方は?何から始めればいいですか?

A.買うことから始める必要はありません。おすすめは「生理が来た日を記録する」ことです。これだけで自分の周期が見え、変化に気づけるようになります。次に洗い方の見直し(洗いすぎをやめる・膣の中は洗わない)、そして下着と生理用品を蒸れにくいものにすること。この3つで、よくあるトラブルのかなりの部分はカバーできます。

Q フェムケア用品はどこに塗るのですか?

A.塗るのは外陰部の皮膚、つまり外側だけです。膣の中には入れません。そもそも、乾燥やかゆみを感じていない方は塗る必要がありません。ムダ毛の処理後にヒリつくとき、閉経前後で乾燥するときなど、困っている場面があるときに使うものと考えてください。

Q デリケートゾーン専用ソープは必要ですか?

A.必須ではありません。ぬるま湯だけでも清潔は保てます。ただ、体用の石けんは洗浄力が強いものが多く、しみたり乾燥したりする方はいます。その場合は弱酸性で低刺激のものに替えると楽になることがあります。「使わないと不衛生」ということではなく、肌に合うかどうかで選んでください。

Q フェムケアとフェムテックは何が違うのですか?

A.フェムケアは「手当て」、フェムテックは「技術」です。洗い方や保湿といった行いと日用品がフェムケア、生理管理アプリやオンライン診療のように技術で解決する製品・サービスがフェムテックにあたります。ただし境目はあいまいで、吸水ショーツのように両方に数えられるものもあります。厳密に区別する必要はありません。

Q 黒ずみは消したほうがいいですか?

A.健康上の問題ではありません。デリケートゾーンは摩擦や女性ホルモンの影響で色素が濃くなりやすい場所で、体質・年齢・出産経験による差がふつうに出ます。病気のサインではないので、消さなければならないものではありません。気になる場合も、まず摩擦を減らす(締めつけの強い下着を毎日にしない)ところから考えてみてください。

Q フェムケアは何歳から始めるものですか?

A.始める年齢は決まっていません。生理が始まったら、まず自分の周期を知ることから。20代以降は子宮頸がん検診、産後は骨盤底筋のケア、更年期前後は乾燥のケアと治療という選択肢を知ること——というように、必要なことが年代で変わっていきます。全部をいっぺんにやる必要はありません。

まとめ

フェムケアという言葉は新しいものですが、中身はずっと前から言われてきたことです。買うことではなく、自分の体を知って、無理のない範囲で整えることがその中心にあります。

この記事のポイントまとめ
  • フェムケアは医学用語ではなく、ここ数年で広まった呼び方。指す範囲がとても広い
  • フェムテックは「技術」、フェムケアは「手当て」。厳密に区別する必要はない
  • 「怪しい」と感じるとしたら、その原因はフェムケアではなく売り方にある——悩みを作ってから商品を出す順序と、化粧品なのに治ると読める表現
  • 膣の中は洗わない。常在菌が減ると、かえってトラブルが増える
  • 黒ずみもにおいの変化も、多くはふつうのこと。異常として扱わない
  • 塗るのは外側だけ。困っていない人は塗らなくてよい
  • お金をかけずにできる4つ——洗い方を見直す/蒸れない下着と生理用品/周期を記録する/体の状態を言葉にする
  • いちばん費用対効果が高いのは「生理が来た日を記録すること」
  • 商品を選ぶなら、控えめな表現のもののほうが信用できる
  • かゆみが1週間以上/魚が腐ったようなにおい/生理以外の出血は、セルフケアではなく受診

フェムケアは、やることを増やす話ではありません。むしろ「やらなくていいこと」を知るほうが、体は楽になります。今日から始められるのは、生理が来た日をひとつ記録することです。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編 2023」
  • 厚生労働省「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」
  • 厚生労働省「化粧品の広告表現について(医薬品等適正広告基準)」
  • 消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)の概要」
  • 経済産業省「フェムテック推進に関する取組」
  • Chen Y, et al. "The Female Vaginal Microbiome in Health and Bacterial Vaginosis." Front Cell Infect Microbiol. 2021;11:631972.
  • 日本皮膚科学会「接触皮膚炎診療ガイドライン 2020」