「吸水ショーツ」という名前は知っているけれど、「本当に漏れないの?」「臭いが気になりそう」「洗い方が面倒そう」と感じて、なかなか試せずにいる方も多いのではないでしょうか。

吸水ショーツはここ数年で急速に普及した生理用品のひとつで、ナプキンなしで経血を吸収できる下着です。構造や使い方を正しく知ると「自分に合っているかどうか」の判断がしやすくなります。

この記事では、助産師の立場から吸水ショーツの仕組みから使い方・洗い方・他の生理用品との比較まで、疑問を一つひとつ解消していきます。

吸水ショーツとは?普通のサニタリーショーツとの違い

まず「吸水ショーツ」と「普通のサニタリーショーツ(防漏ショーツ)」の違いを整理しましょう。

一般的なサニタリーショーツは、ナプキンを固定するポケットがついていたり、股部分に防水加工が施されていたりするもので、ナプキンと組み合わせて使うことを前提にしています。

一方、吸水ショーツ(サニタリーショーツ 吸水型)は、ショーツ自体が経血を吸収・保持する機能を持っています。ナプキン不要で使えるのが最大の特徴です。

吸水ショーツの構造(多層構造で経血を閉じ込める仕組み)

吸水ショーツの股部分は通常4〜5層の特殊な素材で構成されています。

  • 表面層(肌面):吸収した水分を素早く引き込み、肌をドライに保つ素材(ポリエステル・ナイロン系の速乾素材など)
  • 吸収層:経血を保持するマイクロファイバーや不織布の層。ここで液体をキャッチして閉じ込める
  • 防水層:吸収した液体が外側へ漏れ出さないよう防水加工された素材
  • 外面層(表地):普通のショーツと同じ外観に見せる綿やナイロンの素材

この多層構造によって、「表面はサラッとしているのに、経血は外に漏れない」という状態を実現しています。

吸水量の目安と種類

吸水ショーツは吸水量によっていくつかのタイプに分かれます。製品によって表記が異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。

  • 軽い日・終わりかけ用:吸水量10〜20ml程度(ナプキン1〜2枚分相当)
  • 普通日用:吸水量20〜35ml程度(ナプキン2〜3枚分相当)
  • 多い日用:吸水量35〜50ml程度(ナプキン3〜4枚分相当)
  • 超多い日用:吸水量50ml以上のタイプ(一部製品のみ)
生理の「量」の目安
1回の生理全体での経血量は平均20〜140ml程度とされています。多い日は1日で30〜50ml出ることもあります。生理の量(多い・少ない)の目安も合わせて参考にしてください。
白い多層繊維素材のクローズアップマクロ写真。複数の薄い層が重なった吸水素材で、吸水ショーツの多層構造(吸収層・防水層)をイメージしたシーン

吸水ショーツのメリット4つ

1. ナプキン代が減ってコスパが上がる

吸水ショーツの初期費用は1枚あたり2,000〜6,000円程度と高めです。しかし、繰り返し使えるため長期的には生理用品コストを大幅に抑えられます

生理用ナプキンの平均月額コストは500〜1,000円程度とされており、1年で6,000〜12,000円になります。吸水ショーツ2〜3枚を揃えてナプキン使用量が半分になれば、1年で元が取れる計算です。

2. 蒸れにくく、かぶれにくい

ナプキンは高分子吸収ポリマーを含む素材で作られており、長時間使用すると蒸れや摩擦でデリケートゾーンがかぶれることがあります(ナプキンによるかぶれ参照)。

吸水ショーツは下着としてフィットするため摩擦が少なく、素材によっては蒸れにくい設計になっています。ナプキンかぶれが気になる方にとって大きなメリットです。

3. ゴミが減ってエコ・サステナブル

使い捨てのナプキン・タンポンは毎月大量のごみになります。吸水ショーツは繰り返し使えるため、プラスチックごみ削減・サステナビリティの観点から注目されています。環境への意識が高い方に選ばれることが多い選択肢のひとつです。

4. ズレ・漏れへの安心感(特に就寝時・運動時)

ナプキンは就寝時に寝返りを打つとズレたり、横漏れのリスクがあります。吸水ショーツは下着として体にフィットしているためズレがなく、就寝時の横漏れが気になる方には特に使いやすいアイテムです。また軽い運動中もナプキンのようにズレる心配がありません。

吸水ショーツのデメリットとよくある不安

本当に漏れないの?量が多い日は?

「漏れないか心配」というのが吸水ショーツへの最大の不安でしょう。正直に答えると、吸水量の範囲内であれば漏れませんが、吸水量を超えると漏れます。

生理量が非常に多い日(多い日用ナプキンを1〜2時間で取り替えなければならない程度)は、吸水ショーツ単体での使用では不安が残る場合があります。そのような日はナプキンやタンポンと組み合わせて使うことをおすすめします。

また、吸水量の上限に近づくと表面がしっとりしてくる感覚があるため、それを交換のサインとして判断できます。

臭いや衛生面は大丈夫?

「経血が下着に染み込んで臭わないか」という不安も多く聞かれます。吸水ショーツの多くは防臭・抗菌加工が施されており、適切な使用時間内であれば臭いが気になることは少ないです。

ただし、長時間同じショーツを使い続けると臭いや衛生面のリスクが高まります。目安として8〜10時間を超えた使用は避け、適宜交換することが大切です。外出時は替えの吸水ショーツを持参するか、ナプキンと組み合わせて使う方法が安心です。

洗うのが面倒に感じる

使い捨てのナプキンと違い、吸水ショーツは使った後に洗う必要があります。「面倒では?」と感じる方も多いですが、慣れると日常的な洗濯とほぼ変わりません(洗い方は後述します)。

複数枚を揃えておけば洗いながらローテーションできます。生理期間(平均5〜7日間)をまかなうには、2〜4枚を用意しておくと使い回しやすいです。

初期コストが高い

1枚あたり2,000〜6,000円という価格帯は、ナプキン1袋(300〜500円)と比べると高く感じます。「試してみたけど自分に合わなかった」というリスクも考えると、最初は1〜2枚から試してみるのが賢明です。

吸水ショーツの使い方

1枚だけで使う日・ナプキンと併用する日の目安

吸水ショーツは使い方を生理の量に合わせて変えることで、より快適に使えます。

  • 1枚単独で使う:軽い日・終わりかけ・就寝時(横漏れ対策で多い日用タイプを使用)
  • ナプキンと併用する:多い日・外出が長い日(ショーツが第2の防衛ラインになる)
  • タンポンと組み合わせる:プールや運動で動きが大きい日(タンポンの経血がショーツで受け止められる)

生理の量別(多い日・普通日・少ない日・終わりかけ)の使い分け

生理の状態 推奨の使い方
多い日(経血多め) 多い日用タイプ+ナプキン併用が安心。単独でも多い日対応タイプで対応可能なことも
普通日 普通日用タイプで1枚単独使用も可。外出が長い場合は替えを持参
少ない日・終わりかけ 軽い日用タイプ1枚で十分。おりものシートの代わりにもなる
就寝時 多い日用タイプを使うと横漏れ防止に効果的

就寝時・運動時の活用

就寝時は寝返りによるナプキンのズレが気になる方に特に好評です。股部分の吸収層が広く設計された「ナイト用」タイプを使うと、仰向けでも横向きでも対応できます。

運動時は激しい動きでナプキンがズレやすいため、吸水ショーツはフィット感の高さが活きます。ただし、長時間の運動や水中(プール・海)では使用できません

白いセラミックボウルに水をはり、グレーのショーツを両手でやさしく押し洗いしているシーン。清潔感のある洗面環境と明るい自然光

正しい洗い方と長持ちのコツ

吸水ショーツを長く使うためには、正しい洗い方が大切です。間違った洗い方をすると吸水機能が低下したり、臭いが残りやすくなります。

基本の洗い方(3ステップ)

  1. 使用後すぐに水でゆすぐ
    使い終わったらすぐに水(ぬるま湯でも可)でやさしく押し洗いし、経血を落とします。お湯(40℃以上)は経血のたんぱく質が固まって落ちにくくなるため避けてください。この一手間が後の洗いやすさを大きく変えます。
  2. 洗剤をつけて手洗い
    おしゃれ着用の中性洗剤をつけて、股部分を中心に優しく押し洗いします。ゴシゴシこすると素材が傷むため注意。重曹を少量加えると臭い落としに効果的です。
  3. 洗濯ネットに入れて洗濯機へ
    手洗い後は洗濯ネットに入れて洗濯機の「手洗い」「ドライ」コースで洗います。ネット使用で素材への摩擦を軽減できます。
吸水ショーツのNG洗い方
  • 乾燥機:高熱で防水層・吸収層が劣化します
  • 漂白剤(塩素系):素材を傷め、防水・防臭機能が低下します
  • 柔軟剤:吸水性が著しく低下するため使用しないこと
  • お湯でのゆすぎ(40℃以上):経血のたんぱく質が固まって落ちにくくなります

乾燥・保管のポイント

洗った後は形を整えて日陰の風通しの良い場所で陰干しします。直射日光での乾燥は素材の劣化を早めます。乾燥機はNGです。完全に乾いてから収納してください(湿ったまま放置するとカビ・臭いの原因になります)。

何回くらい使える?寿命の目安

適切なケアを続けた場合、吸水ショーツの寿命は約2〜3年(100〜150回の使用)を目安にしている製品が多いです。

以下のサインが出たら買い替えを検討してください。

  • 吸水力が明らかに落ちてきた(表面に液体が残る)
  • 防水機能が低下して外側に染みが出るようになった
  • 臭いが洗っても取れなくなった
  • ゴムが伸びてフィット感がなくなった

向いている人・向いていない人

吸水ショーツはすべての人に万能ではありません。自分のライフスタイルや生理の状況と合わせて判断するのが大切です。

吸水ショーツが向いている人:

  • ナプキンによるかぶれ・蒸れが気になる人
  • 就寝時の横漏れが悩みの人
  • 生理の量が少〜中程度の人
  • 環境負荷を減らしたい・サステナブルな生活に関心がある人
  • 生理用品のコストを長期的に抑えたい人
  • アウトドア・旅行中に荷物を減らしたい人

吸水ショーツが向いていない(または工夫が必要な)人:

  • 生理量が非常に多く、多い日用ナプキンを短時間で取り替える人(ナプキン・タンポンとの併用を推奨)
  • 外出が長く、替えを持ち歩けない人(ナプキン予備との組み合わせを推奨)
  • 水中スポーツが多い人(水泳・サーフィン等はタンポン月経カップが適切)

月経カップ・タンポン・おりものシートとの比較

吸水ショーツをほかの生理用品と比較してみましょう。

生理用品 特徴・向いているシーン 注意点
吸水ショーツ 就寝時・軽〜中程度の日・ナプキン代替。ズレない・かぶれにくい 吸水量の上限あり・洗う手間がある
タンポン 水中・スポーツ・体内に留め置くのでズレなし。多い日にも対応 膣内に挿入するため初心者はコツが必要。TSS(毒素性ショック症候群)の注意
月経カップ 水中・長時間使用OK。コスパ最高(10年使えるものも)。吸水量が多い 挿入に慣れが必要・外出先での取り換えが難しい
おりものシート 軽い日・終わりかけ・おりもの対策に。使い捨てで手軽 経血量が多い日は吸収しきれない・かぶれリスクあり
ナプキン 最も一般的。種類が豊富で量・シーンを選ばない ズレ・蒸れ・かぶれのリスク・使い捨てゴミが出る
生理用品は組み合わせてOK
「吸水ショーツだけ」「タンポンだけ」と決める必要はありません。多い日はナプキンと吸水ショーツを組み合わせ、少ない日は吸水ショーツだけ、というように量や日によって使い分けるのがもっとも快適です。

よくある質問

Q 吸水ショーツはナプキンなしで1日中使えますか?

A.生理量が少〜中程度の日であれば、吸水量の高いタイプを選べばナプキンなしで数時間使えます。ただし8〜10時間以上の使用や量が多い日は衛生面・漏れリスクの観点から替えの用意か、ナプキンとの併用をおすすめします。外出が長い日は替えを持参するか、ナプキンをバックアップとして携帯しておくと安心です。

Q 吸水ショーツは何枚そろえればいいですか?

A.生理期間(平均5〜7日)をまかなうには2〜4枚が目安です。洗って乾かす時間(半日〜1日)を考えると、3〜4枚あれば余裕を持ってローテーションできます。最初は1〜2枚から試して、自分の使い方に合うと確認してから枚数を増やすのがおすすめです。

Q 吸水ショーツって気持ち悪くないですか?

A.「経血が下着に染み込んでいる」という感覚が不快に感じる方もいます。ただし吸水ショーツの表面層は速乾素材で、吸収した液体を引き込んでドライな状態を保つ設計になっています。実際に使ってみると「思ったより気にならない」という声が多いです。まずは量が少ない日(生理の終わりかけ)か就寝時に試してみると、違和感なく慣れやすいです。

Q おりものシートの代わりに吸水ショーツは使えますか?

A.はい、使えます。吸水量の少ないタイプ(軽い日用)であれば、おりものの吸収にも十分対応できます。おりものシートによるかぶれが気になる方は、吸水ショーツを代替として使う方法も選択肢のひとつです。ただし吸水ショーツは洗う必要があり、毎日取り替えることが衛生面では重要です。

まとめ

この記事のポイントまとめ
  • 吸水ショーツは多層構造の特殊素材で経血を吸収・保持し、ナプキン不要で使える下着型生理用品
  • メリットは「かぶれにくい・ズレない・コスパ長期的に良い・エコ」の4つ
  • デメリットは「吸水量の上限がある・洗う手間・初期コストが高い」。量が多い日はナプキンやタンポンとの併用が安心
  • 洗い方は「水ですすぐ→中性洗剤で手洗い→洗濯機(ネット)」の3ステップ。乾燥機・漂白剤・柔軟剤はNG
  • 寿命の目安は適切なケアで2〜3年(約100〜150回使用)
  • 就寝時・軽い日・ナプキンかぶれが気になる人に特に向いている
  • 月経カップ・タンポン・おりものシートと目的別に使い分けると生理期間全体が快適になる

吸水ショーツは「試してみたら意外と快適だった」という声が非常に多い生理用品です。最初の1枚は「量が少ない日」や「就寝時のバックアップ」として気軽に試してみてください。自分のライフスタイルに合った使い方が見つかると、毎月の生理期間がぐっと楽になります。

この記事を書いた人

白石まい(助産師・フェムテックエキスパート)

産婦人科病院で13年間、助産師として延べ2,000件以上の分娩に立ち会う。生理・妊活・更年期など、女性のライフステージに寄り添った健康相談を得意とする。現在はフリーランス助産師として活動しながら、フェムテックエキスパートとして「女性が自分の体をもっと好きになれる社会」を目指してfemnoteで情報を発信中。

参考文献

  • 厚生労働省「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」生理用品に関する情報
  • 日本産科婦人科学会「月経に関する基礎知識」(2024年版)
  • 消費者庁「生理用品の適切な使用と安全性に関するガイドライン」
  • 国民生活センター「繰り返し使える生理用品(吸水ショーツ・月経カップ)のテスト結果」2022年