調べてみると、出てくるのは掲示板の書き込みばかり。本当のところが分からないまま、なんとなく不安が残っている——そんな方に向けて書きました。

生理中に性行為をするかどうかは、本人とパートナーが決めることです。この記事は「してはいけません」と言うためのものではありません。知っておいたほうがいいことを、まとめて渡すためのものです。

先に結論だけ書いておきます。生理中でも妊娠する可能性はあります。そしてタンポンを入れたままにしないでください。この2つがいちばん大事です。

妊娠する可能性はあります

「生理中は安全」という言い方をよく見かけますが、これは正確ではありません。

なぜ可能性が残るのか

理由 説明
精子は数日生きています 女性の体の中で、最長5日ほど生存するとされています
周期が短い人は排卵が早い 21〜24日周期だと、生理が終わってすぐ排卵することがあります
周期が不規則な人 排卵の時期が読めません。「生理中だから」の前提が崩れます
その出血が生理ではないことがある 不正出血や排卵期の出血を生理と思っていた、というケース
生理が長引いている 後半になるほど、排卵が近づきます
つまり、こういうことです
生理中の性行為で妊娠する確率は、排卵日前後に比べればずっと低い——ここは事実です。
けれどゼロではありません。とくに生理の後半で、周期が短い方は、思っているより可能性が残ります。「生理中だから避妊しなくていい」は成り立ちません。

生理何日目かで変わります

時期 妊娠の可能性
生理1〜2日目 かなり低い。ただしゼロではありません
生理3〜4日目 少しずつ上がります
生理5日目以降・終わりかけ 周期が短い人はここが要注意。排卵が近い可能性があります
生理直後 「安全日」ではありません。ここでの妊娠は実際にあります

いわゆる「安全日」という考え方の限界については安全日はあるのかにまとめています。

避妊せずに性行為をしたあと、心配になったら

時間が限られます。緊急避妊という選択肢は、早いほど選べる幅があります。迷っている時間がそのまま不利になるので、まず調べてくださいアフターピル)。

その後の確認のしかたは妊娠検査薬に書いています。「生理が来たから大丈夫」とも言い切れないことについては生理が来たのに妊娠?をご覧ください。

初めてが生理中になりそうなとき

これは実際によく検索されている問いです。結論から言うと、急ぐ理由がないなら、終わってからのほうが負担は少なくなります。

理由 説明
痛みが分かりにくくなる 生理中はもともとお腹が痛い時期です。体の反応なのか無理をしているのかが判断しづらくなります
出血の理由が分からなくなる 初めてのときは少量の出血があることがありますが、経血と混ざると区別がつきません
感染しやすい時期が重なる 粘膜が傷つきやすい状況が二重になります
気持ちの余裕が持ちにくい 汚さないかを気にしながらだと、体もこわばります
「今日しかない」ということは、ありません
相手の都合や雰囲気で決めなくて大丈夫です。「生理が終わってからにしたい」と言うのは、まったくふつうの申し出です。
そして初めてかどうかに関係なく、避妊は必要です。生理中でも同じです。

体に起こりうること

妊娠以外に、知っておいたほうがいいことがあります。脅すためではなく、防げるものを防ぐためです。

感染しやすくなります

生理中は、体の防御がいくつか下がっています
  • 子宮の入口(子宮頸管)が少し開いています——菌が入りやすい状態です
  • 膣内が酸性に保たれにくくなります——経血で中性寄りに傾き、常在菌の働きが落ちます
  • 子宮内膜がはがれた面がある——粘膜が傷つきやすい状態です

この3つが重なるため、性感染症にかかるリスクは平常時より上がります。

血液を介する感染は、双方向にリスクが上がります

経血には血液が含まれます。血液を介してうつる感染症(B型肝炎・C型肝炎・HIVなど)は、生理中の性行為でリスクが高くなると考えられています。

これは「女性がうつされる」だけの話ではありません。女性側が感染している場合、パートナーにうつるリスクも上がります。コンドームを使う理由は、避妊だけではないということです。

性感染症については性感染症の種類にまとめています。

膣の環境が乱れることがあります

起こりうること あとから出る症状
カンジダ かゆみ・白いカッテージチーズ状のおりもの
細菌性膣症 魚が腐ったようなにおい・灰色のおりもの
膀胱炎 排尿時の痛み・頻尿・残尿感
外陰部の炎症 ヒリヒリ・赤み(かゆみ

痛みが出やすい時期でもあります

生理中は子宮が収縮していて、骨盤内がうっ血しています。そのためふだんは平気でも、この時期だけ痛いということが起こります性交痛)。

痛みは我慢するものではありません。途中でやめてよいものですし、毎回痛いなら別の原因を調べる価値があります。

子宮内膜症との関係は「分かっていません」

ここは正直に書きます
「生理中の性行為が子宮内膜症の原因になる」という説明を見かけることがあります。これは経血が逆流するという仮説から来ていますが、性行為が原因だと示した確かな証拠はありません。
不安をあおる情報として使われがちな部分なので、「分かっていない」と受け取ってください。

妊娠の可能性がない関係でも、感染対策は必要です

この記事は避妊の話が多くなりましたが、それだけの話ではありません。

妊娠しない組み合わせでも、変わらないこと
  • 子宮の入口が開いていて、菌が入りやすい——これは相手が誰でも同じです
  • 膣内が酸性に保たれにくい——カンジダや細菌性膣症は起こります
  • 血液を介する感染のリスクは上がる
  • 手や指、道具を介した感染もあります——清潔にする・爪を短くする
  • 痛みが出やすい時期であることも同じ
受診のときに、関係のことを言いにくいと感じたら

婦人科では「性行為の経験があるか」を必ず聞かれます。これは検査や器具の選び方に関わるためで、相手が誰かを判断するために聞いているのではありません。

言いにくければ「性行為の経験はあります」だけで十分です。必要な情報が伝われば、それ以上は聞かれません。

「なぜよくない」と言われるのかを分解する

よく検索される問いなので、まとめて整理します。「よくない」と言われる理由は、実は性質の違う3つが混ざっています。

言われる理由 実際のところ
感染のリスクが上がる これは医学的な理由です。子宮口が開き、膣内の環境も変わるため
痛みが出やすい これも実際にあります。骨盤内がうっ血している時期です
妊娠しないと思い込みやすい 避妊をしなくなることが問題であって、行為そのものではありません
不潔だから これは医学ではなく、文化的な受け取り方です
子宮内膜症になる 確かな証拠はありません(前述)
分けて考えてください
医学的に気をつける理由(感染・痛み・避妊)と、「けがれ」「はしたない」といった文化的な受け取り方は別のものです。
前者は対策すれば減らせるもので、後者はあなたが従う義務のないものです。したくないなら、理由は「したくないから」で十分です。

するなら、守ってほしいこと

タンポンは必ず外してください

この記事でいちばん伝えたい安全上の注意です

タンポンや月経カップを入れたまま性行為をしないでください。奥に押し込まれて自分では取り出せなくなることがあります。

入れたまま忘れてしまうと、強いにおい・おりものの変化が起こり、まれに重い感染症につながることがあります。取り出せないときは、はずかしがらずに婦人科を受診してください。ときどきある相談で、医師は驚きません。

使い方の注意はタンポン月経カップにまとめています。

そのほかに気をつけること

やること 理由
コンドームを使う 避妊のためだけでなく、双方の感染を減らすためです
前後に手を洗う 基本ですが、いちばん効きます
タオルやシートを敷く 汚れを気にせずに済むと、体もこわばりません
浴室でする場合も避妊具は必要 「お湯で流れるから大丈夫」ということはありません
痛かったら中止する 我慢して続けると、傷ができることがあります
膣内を洗わない 常在菌まで洗い流すと、かえって感染しやすくなります
「量が多い日は避ける」という選び方もあります
する・しないの二択ではなく、量が落ち着いてからにするという選択もあります。体の負担も、気持ちの負担も減ります。
経血量の目安は経血量に書いています。
夜のベッドサイドテーブルに置かれた水のグラス、たたんだタオル、小さなポーチ

終わったあとに気をつけること

やること 説明
早めに排尿する 尿道に入った菌を流します。膀胱炎の予防になります
外側だけを、ぬるま湯で洗う 石けんは外陰部まで。中は洗わない洗い方
新しいナプキンに替える 蒸れとかぶれを防ぎます(ナプキンかぶれ
締めつけない下着にする 通気をよくしておくと、トラブルが減ります
数日は体調を気にかける かゆみ・におい・痛みが出ないか
あとから出てくる症状に注意してください

感染はその日ではなく、数日〜数週間後に症状として出ます。次のものがあれば受診してください。

  • おりものの色・においが変わった
  • かゆみが続く
  • 排尿時に痛む・トイレが近い
  • 下腹部の痛み・発熱
  • 生理が終わったのに出血が続く
明るい窓辺のテーブルに並んだ2つのマグカップと、開いたノートとペン

したくないときの伝え方

ここは、検索されているのに誰もまとめて書いていない部分だと思います。

まず、前提を書いておきます
したくないときに断ることに、理由はいりません。体調が悪いから、気分が乗らないから、なんとなく嫌だから——どれも十分な理由です。
相手が納得するかどうかは、断ってよいかどうかとは別の話です。

言い方の例

伝えたいこと 言い方の例
シンプルに断る 「今日はしたくない」——これで完結しています
体調を理由にする 「お腹が痛くてつらいから、今日はやめておきたい」
医学的な理由を借りる 「生理中は感染しやすいって書いてあったから、終わってからにしたい」
時期をずらす提案にする 「量が落ち着いたらでもいい?」——否定で終わらせない言い方
くり返し求められるとき 「嫌だと言っているのに続けられると、つらい」と、感情を主語にする
これは「断り方が下手だから」の問題ではありません

断っても引き下がらない、機嫌が悪くなる、罪悪感を持たせてくる——それは伝え方の問題ではなく、相手の側の問題です。

同意のない性行為は、相手が誰であっても許されるものではありません。つらい状況が続いているなら、ひとりで抱えずに相談してください。各都道府県の女性健康支援センターや、性暴力被害者のためのワンストップ支援センターがあります。匿名で相談できる窓口もあります。

パートナーに知っておいてほしいこと

この部分は、パートナーと一緒に読めるように書きます。

覚えておいてほしい4つ
  • 生理中でも妊娠する可能性はあります。「今日は大丈夫」は成り立ちません
  • 感染のリスクは、どちらにも上がります。コンドームは相手のためでもあり、自分のためでもあります
  • この時期は痛みが出やすい——痛いと言われたら、それは本当に痛いということです
  • 断られたら、それで終わりです。理由を求めないでください
「汚い」という言葉は使わないでください

生理は体の正常な働きです。その言葉ひとつで、相手が自分の体を恥ずかしいものだと感じるようになります。それは長く残ります。

気になることがあるなら、「タオルを敷こうか」「終わってからにしようか」のように、やり方の相談として伝えてください。

体調のことを共有しておくと楽になります

生理の重さは人によって、月によって違います。「生理中だからつらい」と毎回説明するのは、それ自体が負担です。

周期を共有できるアプリを使う、カレンダーに印をつけておく——方法は何でも構いません。言わなくても伝わる状態を作っておくと、断るときの負担がぐっと減ります。

こんなときは受診を

状況 どうするか
タンポンや月経カップが取り出せない 婦人科へ。よくある相談です
避妊せずに性行為をして、妊娠が心配 時間が限られます。早く相談してください
おりもののにおい・色が変わった 婦人科(おりものの色
排尿時の痛み・頻尿 膀胱炎のことがあります。泌尿器科か婦人科へ
下腹部の強い痛み・発熱 その日のうちに受診してください
毎回、性行為で痛む 婦人科(性交痛
相手が感染症の心配があると言っている 症状がなくても検査を受けてください
受診のときに、正直に伝えて大丈夫です
「生理中に性行為がありました」と言うのは、婦人科ではふつうの情報です。言いにくく感じるかもしれませんが、伝えないと必要な検査が抜けます。
医師や助産師は、判断したり驚いたりしません。診断のために必要な事実として聞いています。

よくある質問

Q 生理中に膣内で射精した場合、妊娠する確率はどのくらいですか?

A.排卵日前後に比べればずっと低いのですが、ゼロではありません。精子は体内で最長5日ほど生きるとされ、周期が21〜24日と短い方は生理が終わってすぐ排卵することがあります。とくに生理の後半は可能性が残ります。心配なら緊急避妊という選択肢があり、早いほど選べる幅があります。迷っている時間がそのまま不利になるので、まず相談してください。

Q 生理中の性行為は、なぜよくないと言われるのですか?

A.理由は性質の違うものが混ざっています。医学的な理由は、子宮の入口が開いていて感染しやすいこと、膣内が酸性に保たれにくいこと、骨盤内がうっ血して痛みが出やすいことの3つです。いっぽう「不潔だから」というのは文化的な受け取り方で、医学の話ではありません。子宮内膜症の原因になるという説には確かな証拠がありません。分けて考えてください。

Q 生理何日目からなら大丈夫ですか?

A.「何日目から安全」という線は引けません。感染や痛みのリスクという意味では、出血が落ち着いてからのほうが負担は少なくなります。ただし妊娠の可能性という意味では逆で、生理の後半から直後にかけてのほうが高くなります。周期が短い方はとくにそうです。どの日であっても、避妊は必要だと考えてください。

Q 生理中の性行為には、どんなリスクがありますか?

A.主なものは3つです。性感染症にかかりやすくなること、膣内の環境が乱れてカンジダ・細菌性膣症・膀胱炎が起こりやすくなること、そして痛みが出やすいことです。あわせて、血液を介してうつる感染症はどちらの側にもリスクが上がります。コンドームを使う理由は避妊だけではありません。

Q タンポンを入れたままでも大丈夫ですか?

A.必ず外してください。奥に押し込まれて自分では取り出せなくなることがあります。入れたまま忘れると強いにおいやおりものの変化が起こり、まれに重い感染症につながることがあります。取り出せないときは、はずかしがらずに婦人科を受診してください。ときどきある相談で、医師は驚きません。月経カップも同じです。

Q お風呂やシャワーの中なら、汚れを気にしなくていいですか?

A.汚れの面では気が楽かもしれませんが、避妊と感染のリスクは変わりません。「お湯で流れるから妊娠しない」ということはありません。またお湯の中では潤いが流れて摩擦が強くなり、痛みや傷につながることがあります。浴室でも避妊具は必要で、痛みを感じたら中止してください。

Q 断りたいのですが、うまく言えません。

A.断ることに理由はいりません。「今日はしたくない」で完結しています。言いにくければ「生理中は感染しやすいらしいから、終わってからにしたい」と医学的な理由を借りても構いませんし、「量が落ち着いたらでもいい?」と時期をずらす提案にする方法もあります。それでも引き下がらない、機嫌が悪くなるという場合は、伝え方の問題ではなく相手の側の問題です。ひとりで抱えず相談してください。

まとめ

する・しないは、あなたとパートナーが決めることです。そのうえで、知っておくと防げることがあります。

この記事のポイントまとめ
  • 生理中でも妊娠する可能性はある。「生理中だから避妊しなくていい」は成り立たない
  • 精子は体内で最長5日ほど生きる。周期が短い人は生理の後半〜直後が要注意
  • タンポン・月経カップは必ず外す。取り出せなくなったら婦人科へ
  • 感染しやすい時期。子宮の入口が開き、膣内が酸性に保たれにくい
  • 血液を介する感染は、どちらの側にもリスクが上がる
  • コンドームを使う理由は避妊だけではない
  • 子宮内膜症の原因になるという説に、確かな証拠はない
  • 終わったら早めに排尿する。膣内は洗わない
  • 症状は数日〜数週間後に出る。おりもの・かゆみ・排尿痛に注意
  • 断ることに理由はいらない。「今日はしたくない」で完結している

いちばん覚えておいてほしいのは、この2つです。生理中でも避妊は必要であること。そして、タンポンは必ず外すこと。この2つを知っているだけで、防げることのほとんどが防げます。

この記事について

femnote 編集部

生理・妊活・フェムケア・更年期など女性の健康に関する情報を、厚生労働省「e-ヘルスネット」や日本産科婦人科学会をはじめとする各学会の診療ガイドラインなど、公的な資料をもとに編集しています。診断や治療の判断については、必ず医療機関にご相談ください。

参考文献

  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編」
  • 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の健康と月経」
  • 厚生労働省「性感染症に関する特定感染症予防指針」
  • 日本産婦人科医会「思春期のこころとからだ」
  • 内閣府「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」
  • Wilcox AJ, et al. "Timing of sexual intercourse in relation to ovulation." N Engl J Med. 1995;333(23):1517-21.