「そろそろやめようかな」と思ってから、実際に踏み切るまでが長い——授乳をやめることについて、多くの方がそう言います。
調べても「いつがいいか」は人によってばらばらだし、「やめると胸が張ってつらい」という話は聞くけれど、実際に何日目に何が起きるのかはよくわからない。子どもが泣いたらどうするのかも、決心がつかない理由のひとつだと思います。
この記事では、やめると決めた日から何日目に何が起きるかを時系列で書きました。胸の張りのピークがいつ来るのか、絞っていいのかいけないのか、何日で楽になるのか。見通しが立てば、始める日を決められます。
そして、やめないという選択も含めて整理しています。授乳をやめる時期に「正解」はありません。
- 38.5度以上の発熱/寒気・関節痛を伴う
- 胸の一部が赤く腫れて、熱をもっている
- 触れないほど痛い
- しこりが数日たっても小さくならない
- 乳頭から膿のようなものが出る
これらは乳腺炎のサインです。断乳の時期はもっとも起こりやすいタイミングのひとつなので、我慢せず母乳外来や産婦人科へ連絡してください。
卒乳と断乳|言葉の違いと、その扱い方
| 卒乳 | 断乳 | |
|---|---|---|
| だれが決めるか | 子どもが自然に飲まなくなる | 大人の側が時期を決める |
| 進み方 | 少しずつ減って、いつの間にか終わる | 日を決めて、そこからやめる |
| 胸の張り | ゆるやかなので、つらくなりにくい | 急に止めるぶん、強く張ります |
| よくあるきっかけ | 食事が増えた・興味が他に移った | 仕事復帰・次の妊娠・薬・体調 |
- 実際には言葉が混ざって使われています。「1歳で卒乳しました」と言う方の多くは、実は日を決めてやめています
- どちらが良い・偉いということはありません。断乳を「あきらめた」ように語られることがありますが、そうではありません
- 大事なのは呼び方ではなく、進め方と胸のケアです。この記事では両方をまとめて扱います
- 途中で気が変わってもいいです。始めてみて「まだ早かった」と戻す方もいます
いつやめるか|時期に正解はありません
よく言われる目安
- 1歳前後——食事から栄養が取れるようになる時期として、ひとつの区切りにされます
- 1歳半〜2歳ごろ——実際にやめる方が多い時期です
- 2歳以降——続けている方も珍しくありません。長く続けることが悪いわけではありません
- 世界保健機関は2歳やそれ以上まで授乳を続けることを推奨しています。「1歳で終わらせなければ」という決まりはありません
やめる理由は、それぞれです
| きっかけ | 考えること |
|---|---|
| 仕事に復帰する | 復帰=断乳ではありません。日中だけ減らす、朝晩だけ続けるという方法があります |
| 次の妊娠を考えている | 授乳中は排卵が戻りにくいことがあります。妊活の進め方は妊活の基本へ。(産後の生理再開) |
| 薬を飲む必要ができた | 授乳中でも使える薬は多くあります。ミニピルなど、授乳中でも選べる方法もあります。やめる前に必ず確認を |
| 夜中に何度も起こされてつらい | まず夜間だけやめる方法があります |
| 体力的に限界 | 十分な理由です。ここで無理を続ける必要はありません(母乳が出ないとき) |
| まわりに言われた | これは理由になりません。決めるのはご自身です |
| 歯が生えて噛まれる | くわえ方の調整で続けられることもあります |
- 授乳中に使える薬は、思われているより多くあります
- 「念のため」でやめるよう言われることがありますが、続けたい気持ちがあるなら伝えてください
- 産婦人科・母乳外来・薬剤師に相談すると、代わりの選択肢が見つかることがあります
- 妊娠・授乳と薬の情報を扱う相談窓口もあります。かかりつけで聞いてみてください
- 一度やめると戻すのは簡単ではありません。だから確認する価値があります
やめない方がいい時期
- 子どもが体調を崩している・崩したばかり——落ち着いてからにしてください
- 引っ越し・入園・下の子の出産など、大きな変化と重なるとき——変化は一度に一つのほうがうまくいきます
- 真夏——水分をとる手段が減ります。飲めるものが確保できるか確認を
- 自分の体調が悪いとき——胸のケアに手が回りません
- 予定が詰まっている週——最初の3日は自宅にいられる日程を選んでください
始める前の準備
- 日を決める——「そのうち」では始まりません。カレンダーに印をつける
- 最初の3日を自宅で過ごせる日程にする——張りのピークがここに来ます
- 保冷剤とタオル——冷やすのに使います。数個あると回せます
- 締めつけないブラ——きついものは詰まりの原因になります
- パートナーに伝えておく——夜泣きが増える可能性を共有しておく
- 子どもに話しておく——1歳を過ぎていれば、意外と伝わります。カレンダーを見せて「この日でおしまいね」と数日前から
- 母乳外来の連絡先を調べておく——つらくなったときに探し始めると遅れます
- 飲みものを用意する——麦茶や水を、コップやストローで飲む練習を先に
始める前の確認
ここを決めないまま始めると、途中で迷って戻ってしまいます。印をつけながら確認してみてください。
| 確認すること | 決まっていないなら | 済 |
|---|---|---|
| やめる日を決めたか | カレンダーに印をつけてください。「そのうち」では始まりません | |
| 最初の3日は自宅にいられるか | 張りのピークがここに来ます。予定が入っているならずらす | |
| 大きな変化と重なっていないか | 引っ越し・入園・下の子の出産。変化は一度に一つ | |
| 子どもの体調は落ち着いているか | 崩している・崩したばかりなら見送る | |
| 薬が理由なら、確認したか | 授乳中に使える薬は多くあります。やめる前にもう一度 | |
| 保冷剤とタオルがあるか | 数個あると回せます | |
| 締めつけないブラがあるか | きついものは詰まりの原因になります | |
| 飲みものを飲む練習をしたか | 麦茶や水を、コップやストローで | |
| 母乳外来の連絡先を調べたか | つらくなってから探すと遅れます | |
| パートナーに伝えたか | 夜泣きが増える可能性を共有しておく | |
| 子どもに伝えたか | 1歳を過ぎていれば数日前から。当日いきなりは避ける | |
| まわりに言われたことが理由になっていないか | それは理由になりません。急ぐ必要はありません |
上のうち「やめる日」「最初の3日」「大きな変化」の3つが決まっていれば、あとは進めながらで構いません。すべてそろうのを待っていると、いつまでも始められません。
子どもへの伝え方
言葉がわかる年齢なら、事前に伝えておくと違います。当日いきなりだと、子どもにとっては理由のわからない拒否になります。
- 数日前から、毎日一度は伝える——「◯日でおっぱいバイバイだよ」
- カレンダーに印をつけて、一緒に数える
- 最後の授乳を「特別なもの」にする——ゆっくり時間をとる方が多いです
- 絵を描く方法もあります——胸に顔を描いて「おっぱいさんも終わりだって」と見せる。効く子には驚くほど効きます
- ただし、脅すような伝え方はしないでください
- 伝えても泣きます。それは失敗ではありません
何日目に何が起きるか|断乳のタイムライン
ここがこの記事の中心です。「やり方」を調べても、実際に何日つらいのかが書かれていないことが多く、それが踏み切れない理由になります。
| 時期 | 胸に起きること | やること |
|---|---|---|
| 1日目 | 夕方ごろから張ってくる。まだ耐えられる程度 | 基本は飲ませない・搾らない。冷やす |
| 2〜3日目 | ここがピーク。パンパンに張り、熱をもち、痛みで眠れないことも | 冷やす。つらすぎるときだけ、楽になる程度に少し搾る |
| 4〜5日目 | 張りが少しずつ引いてくる。「昨日より楽」と感じ始める | 冷やすのを続ける。まだ飲ませない |
| 1週間ごろ | 張りはかなり落ち着く。しこりが残ることも | 1回しっかり搾る方法があります(下記) |
| 2週間ごろ | ほとんど張らなくなる | 様子を見る |
| 1か月ごろ | もう一度搾ると、少し出ることがあります | 気になるなら母乳外来で相談 |
| 数か月〜1年 | 強く搾ると少量出ることがあります。異常ではありません | 放っておいて構いません |
- 本当につらいのは2〜3日目です。ここを越えると、多くの方が「山を越えた」と感じます
- 4日目には「昨日より楽」がはっきりわかります
- 1週間で日常生活に支障がない程度まで落ち着くのが一般的な経過です
- 授乳回数が多かった方ほど、張りは強く出ます。すでに1日1〜2回まで減っていた方は、ほとんど張らずに終わることもあります
- この2〜3日を乗り切れる日程を選んでください。それだけで難易度が変わります
「絞らないとどうなる?」——ここがいちばん誤解されています
断乳のとき、「絞ってはいけない」と聞いたことがある方は多いと思います。これは半分正しくて、半分危険です。
| 考え方 | |
|---|---|
| なぜ「絞らない」と言われるのか | 出せば出すほど、体は「まだ必要だ」と判断してつくり続けます。完全に空にすると、やめるまでが長引きます |
| では我慢し続けていいのか | いいえ。溜めすぎると乳腺炎になります |
| 正解は | 「空にはしない。でも、つらいときは楽になる程度だけ搾る」 |
| 目安 | 張りで眠れない・触れないほど痛いなら搾る。「少し楽になった」と感じたらやめる |
| やってはいけないこと | 毎回きっちり空にする/痛みを何日も我慢し続ける——どちらも失敗のもとです |
つまり、「絞る/絞らない」の二択ではありません。量の問題です。空にすると終わらない、我慢しすぎると乳腺炎になる——この2つの間を通っていきます。
- 1〜3日目——原則搾らない。ただし眠れないほどなら、楽になるまで少しだけ
- 1週間ごろ——ここで一度しっかり搾る方法があります。溜まったものを一度出すと、その後の戻りが早くなります
- その後——張ったら少しだけ。だんだん間隔があいていきます
- しこりが残るときは、その部分を軽く圧迫しながら
- 迷ったら母乳外来へ。「断乳のケアをお願いします」で通じます。助産師が手で搾ってくれるところもあります
- 強く揉まないでください。組織を傷めて、かえって腫れます
張りをやわらげる方法
- 冷やす——保冷剤をタオルで包んで、脇の下側から。直接あてない・長時間あてない
- 締めつけないブラをつける——支えはあったほうが楽ですが、きついものは詰まります
- お風呂は短めに——温めると血流が増えて、張りが強くなります。この時期はシャワーで済ませるほうが楽
- 水分は控えなくて構いません——脱水のほうが問題です。ふつうに飲んでください。産後は鉄も不足しやすい時期です(貧血)
- 脂っこいもの・甘いものを控える——医学的な根拠が確立しているわけではありませんが、控えると楽だと感じる方がいます
- 痛み止めを使ってよいか、産科で確認しておく——我慢だけで乗り切る必要はありません
- 腕を上げる動作を減らす——洗濯物を干すのがつらい時期です。数日は誰かに頼んでください
夜間断乳|まず夜だけやめる
「やめたいけれど、完全にやめる決心はつかない」という方に、現実的な選択肢があります。夜だけやめる方法です。
- 夜中に何度も起こされて、体力的にきつい
- 日中の授乳は続けたい
- 仕事復帰を控えていて、睡眠を確保したい
- 完全にやめるのはまだ迷っている
- 1歳を過ぎていて、食事から栄養が取れている
進め方
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 1〜2日目 | 激しく泣くことが多い。ここがいちばんつらい |
| 3〜4日目 | 泣く時間が短くなってくる |
| 1週間ごろ | 朝までまとめて寝る日が出てくる |
| 2週間ごろ | 定着してくることが多い |
- 「◯時から◯時までは飲まない」と時間を決める——夜9時から朝5時まで、など
- 泣いたら抱っこ・トントン・水を飲ませる——授乳以外の方法で対応します
- パートナーが対応できるなら、そのほうが早く定着します——においでわかるためです
- 胸の張りは、完全な断乳ほどではありませんが、最初の数日は張ります
- 連休など、翌日に響かない日程で始めてください
- うまくいかなければ、いったんやめて構いません。数か月後に再挑戦する方も多くいます
夜間断乳をきっかけに、そのまま完全にやめる方もいます。夜が飛ぶと日中の回数も自然に減っていくためです。段階を踏めるのが、この方法の良いところです。
子どもが泣くとき
胸の張りより、こちらのほうがつらいという方が多くいます。
| 起きること | どうするか |
|---|---|
| 激しく泣く・のけぞる | 1〜3日目に集中します。抱っこして、外に出る・気を逸らす |
| 服をめくろうとする | 前開きの服を避ける。物理的に難しくすると諦めが早いことがあります |
| 夜中に何度も起きる | 水を飲ませる・トントン。パートナーが対応できると早い |
| 寝つかない | 寝かしつけの方法を変える必要があります。絵本・背中トントン・添い寝 |
| 甘えが強くなる | 抱っこの回数を増やしてください。おっぱいの代わりが必要です |
| 食欲が落ちる | 数日で戻ることが多い。水分が取れていれば様子を見る |
- 泣くのは当たり前です。失敗のサインではありません
- 多くの子は3日ほどで落ち着きます。1週間続くこともありますが、そこからさらに長引くのはまれです
- 「かわいそうなことをしている」と感じるのは自然です。でも、やめる決断をしたこと自体は責められることではありません
- スキンシップは減らさないでください。おっぱいがなくなるぶん、抱っこや添い寝を増やす
- うまくいかなければ、やめていいです。「今回は無理だった」で構いません
やめられない・戻ってしまう
途中で再開してしまっても、失敗ではありません。時期が早かっただけのことが多く、数か月あけて再挑戦するとあっさり進むことがあります。
- 「一度あげたら振り出しに戻る」とよく言われますが、完全にゼロに戻るわけではありません
- ただし、中途半端に続けると子どもが混乱します。やめると決めた期間は一貫させたほうが早い
- 周囲に「まだ飲ませているの」と言われても、気にしなくて構いません
- やめられない子の特徴、というものはありません。タイミングと環境の問題です
やめたあと、体に起こること
断乳は胸だけの話ではありません。ホルモンが大きく動くので、体と気持ちの両方に変化が出ます。
| 起こること | 説明 |
|---|---|
| 生理が再開する | プロラクチンが下がり、排卵が戻ります。1〜3か月ほどで来ることが多い(産後の生理再開) |
| 気分が落ち込む | ホルモンの急な変化が関わるとされます。数週間で落ち着くことが多い |
| 抜け毛が増える | 栄養と睡眠の状態が重なります(産後の抜け毛) |
| 体重が増えやすくなる | 授乳で消費していた分がなくなります。食事量が同じだと増えます(食事の整え方) |
| 胸の形が変わる | しぼんだように感じる方が多い時期。数か月かけて落ち着いていきます |
| 眠りが変わる | 夜中に起きなくてよくなる一方、寝つきが悪くなる方も(眠れないとき) |
断乳後の気分の落ち込み
- この時期に気分が沈む方は少なくありません。解放感と喪失感が同時に来ます
- ホルモンの急な変化が関わるとされます。気持ちの弱さではありません
- 多くは数週間で落ち着きます
- ただし2週間以上続く、眠れない、自分を責め続けるという場合は相談してください(産後うつ)
- 「もう授乳できない」ことへの寂しさは、正当な感情です。最後の授乳を写真に残す方もいます
胸の変化について
「しぼんでしまった」と感じる方が非常に多い時期です。授乳中は乳腺が発達して大きくなっていたぶん、止まると急に小さく感じます。
- 断乳直後がいちばん小さく感じます。数か月かけて少しずつ戻っていきます
- 完全に妊娠前と同じにはならないことが多いのも事実です
- 合うサイズのブラに変えてください。授乳ブラのままだと支えが足りません。生理周期による胸の張りも戻ってきます(生理前の胸の張り)
- 「元に戻す」とうたう商品やケアの効果は、確立しているわけではありません
- しこりが残る・片方だけ形が違う・血が混じった分泌があるときは受診を(胸のしこり)
やめたあとも、乳がん検診は必要です
授乳が終わったら、検診の対象に戻ります。授乳中は乳腺が発達していて検査がしにくいため、産後しばらく受けていない方が多くいます。
断乳から数か月たったら、一度受けておいてください。しこりを自分で見つけたときの判断も、そのほうがつきやすくなります。
通説の検証
「断乳のときは絶対に絞ってはいけない」は本当か
判定:溜めすぎるほうが危険です。
確かに空になるまで搾ると、体は「まだ必要だ」と判断してつくり続けます。だから空にはしません。
ですが痛みを何日も我慢し続けると、乳腺炎になります。正しくは「空にはしない。でも、つらいときは楽になる程度だけ搾る」です。二択ではなく、量の問題です。
「1歳になったらやめるべき」は本当か
判定:そんな決まりはありません。
世界保健機関は2歳やそれ以上まで授乳を続けることを推奨しています。1歳はひとつの目安として語られるだけで、期限ではありません。
2歳を過ぎて続けている方は珍しくありません。まわりの言葉を理由にする必要はありません。
「薬を飲むから断乳するしかない」は本当か
判定:確認する価値があります。
授乳中に使える薬は、思われているより多くあります。「念のため」でやめるよう言われることがありますが、続けたい気持ちがあるなら伝えてください。
産婦人科・母乳外来・薬剤師に相談すると、代わりの選択肢が見つかることがあります。一度やめると戻すのは簡単ではないので、確認してからでも遅くありません。
「断乳すると胸は元に戻らない」は本当か
判定:直後がいちばん小さく感じますが、数か月かけて変わります。
授乳中は乳腺が発達しているぶん、止まると急にしぼんだように感じます。ここから数か月かけて落ち着いていきます。
ただし完全に妊娠前と同じにはならないことが多いのも事実です。「元に戻す」とうたう商品やケアの効果は、確立しているわけではありません。まずは合うサイズのブラに変えてください。
- 絶対に絞ってはいけない:溜めすぎは乳腺炎に。空にはしないが、つらいときは少しだけ
- 1歳でやめるべき:そんな決まりはありません。2歳以降も推奨されています
- 薬を飲むならやめるしかない:使える薬は多くあります。確認してから
- 胸は元に戻らない:直後がいちばん小さく感じるだけ。数か月かけて変わります
よくある質問
Q 断乳は何日で終わりますか?
A.胸の張りは2〜3日目がピークで、1週間ほどで日常生活に支障がない程度まで落ち着きます。子どもが泣くのも多くは3日ほどで落ち着きます。ただし完全に張らなくなるまでは2週間ほど、搾ると少し出る状態は数か月続くことがあります。「つらい期間」で言えば、実質2〜3日です。
Q 絞らないとどうなりますか?
A.溜めすぎると乳腺炎になります。「絞ってはいけない」と言われるのは、空にすると体が「まだ必要だ」と判断してつくり続けるからで、まったく搾るなという意味ではありません。正しくは「空にはしない。でも、張りで眠れない・触れないほど痛いときは、楽になる程度だけ搾る」です。1週間ごろに一度しっかり搾ると、その後の戻りが早くなります。
Q 絞り切るのは何日目がいいですか?
A.1週間ごろが目安とされることが多いです。それより早い時期にしっかり搾ると、体が「まだ必要だ」と判断して分泌が続きやすくなります。1〜3日目は原則搾らず、つらいときだけ楽になる程度に。1週間ごろに一度しっかり出し、そのあとは張ったら少しだけ、と間隔をあけていきます。迷ったら母乳外来で「断乳のケアをお願いします」と伝えてください。
Q 卒乳と断乳、どちらがいいのでしょうか
A.どちらが良い・偉いということはありません。子どもが自然に飲まなくなるのを待てる状況なら胸の負担は軽くて済みますが、仕事復帰や体調など、日を決める必要がある事情はいくらでもあります。断乳を「あきらめた」ように語られることがありますが、そうではありません。大事なのは呼び方ではなく、進め方と胸のケアです。
Q 子どもが泣き止みません。かわいそうで続けられない
A.泣くのは当たり前で、失敗のサインではありません。多くの子は3日ほどで落ち着きます。おっぱいがなくなるぶん、抱っこや添い寝を増やしてください。スキンシップまで減らさないことが大事です。それでもつらければ、いったんやめて構いません。「今回は時期が早かった」というだけで、数か月あけて再挑戦するとあっさり進むことがあります。
Q 仕事に復帰します。断乳しないといけませんか?
A.復帰=断乳ではありません。日中の授乳を減らして、朝と夜だけ続ける方は多くいます。体は授乳のリズムに合わせて調整されていくので、日中に張らなくなっていきます。まず夜間断乳だけ、あるいは日中だけ、と段階を踏む方法もあります。復帰前に完全にやめる必要はありません。
Q 断乳したら生理はいつ戻りますか?
A.1〜3か月ほどで再開する方が多いとされます。母乳をつくるプロラクチンには排卵を抑える働きがあり、授乳をやめるとそれが下がるためです。3か月以上たっても来ない場合は受診してください。なお生理が来る前に排卵は起こりますので、避妊が必要ならそのときから対応してください(産後の生理再開)。
Q やめたあと、なぜか気分が落ち込みます
A.この時期に気分が沈む方は少なくありません。解放感と喪失感が同時に来ますし、ホルモンの急な変化が関わるとされます。気持ちの弱さではありません。多くは数週間で落ち着きます。ただし2週間以上続く、眠れない、自分を責め続けるという場合は相談してください(産後うつ)。
Q 断乳から何か月もたつのに、搾ると少し出ます
A.数か月から1年ほど、強く搾ると少量出ることがあります。珍しいことではありません。放っておいて構いませんし、気になるからと頻繁に搾らないでください。刺激が続くと分泌も続きます。ただし搾っていないのに勝手ににじむ、血が混じる、片側だけから出るという場合は受診してください(胸のしこり)。
Q 夜間断乳だけでもいいですか?
A.いいです。むしろ現実的な選択肢です。夜中に何度も起こされるのがつらいけれど、完全にやめる決心はつかない——という方に向いています。1〜2日目は激しく泣くことが多いですが、1週間ごろに朝までまとめて寝る日が出てきます。胸の張りは完全な断乳ほどではありません。夜が飛ぶと日中の回数も自然に減るので、そのまま完全にやめる方もいます。
まとめ
授乳をやめるとき、いちばん決心がつかない理由は「何がどれくらい続くのかわからない」ことだと思います。
だからこの記事では日数を書きました。胸の張りは2〜3日目がピーク、1週間で落ち着く。子どもが泣くのも多くは3日ほど。この見通しが立てば、始める日を決められます。
そして、やめる時期に正解はありません。1歳でも、2歳でも、その先でも構いません。まわりの言葉ではなく、ご自身とお子さんの状況で決めてください。始めてみて「まだ早かった」と戻すことも、失敗ではありません。
- 卒乳と断乳に優劣はありません。大事なのは進め方と胸のケア
- やめる時期に決まりはない。2歳以降まで続けることも推奨されています
- 最初の3日を自宅で過ごせる日程を選ぶ。それだけで難易度が変わります
- 張りのピークは2〜3日目。1週間で落ち着く
- 「空にはしない。でもつらいときは楽になる程度だけ搾る」——二択ではなく量の問題
- 1週間ごろに一度しっかり搾ると、その後の戻りが早くなります
- 冷やす・締めつけない・お風呂は短めに。水分は控えなくていい
- 発熱・赤み・強い痛み・消えないしこりは乳腺炎。すぐ受診を
- 子どもが泣くのは当たり前。多くは3日ほど。スキンシップは減らさない
- 迷うなら夜間断乳から。段階を踏めます
- 薬を理由にやめる前に、もう一度確認を。使える薬は多くあります
- やめたあとに気分が沈むのは珍しくない。2週間以上続くなら相談を
産後すぐの経過は悪露、胸のトラブルは乳腺炎、やめたあとの生理は産後の生理再開、抜け毛は産後の抜け毛にまとめています。次の妊娠を考える方は避妊方法の選び方もあわせて読んでください。
参考文献
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン-産科編」
- 日本産科婦人科学会「産科婦人科用語集・用語解説集」
- 日本助産師会「助産業務ガイドライン」
- 世界保健機関(WHO)「Infant and young child feeding」
- 世界保健機関(WHO)「Breastfeeding recommendations」
- 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
- 日本乳癌学会「乳癌診療ガイドライン」
- こども家庭庁「産後の健康支援に関する情報」
- 日本女性医学学会「女性医学ガイドブック」