「生理前になるとイライラが止まらず、つい甘い物に手が伸びる」「むくみと体重増加が気になるけど、どんな食事を選べばいいかわからない」「PMSに食事が関係するって聞いたことはあるけど、何を食べればいいの?」——そんな悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。

PMS(月経前症候群)の症状は、ホルモン変動だけでなく日々の食事内容によっても大きく左右されます。鉄やマグネシウム、ビタミンB6などの不足は症状を悪化させ、逆にカフェインや砂糖、塩分の摂りすぎは症状を強めることが研究でわかっています。

この記事では、助産師の視点から「PMSにおすすめの栄養素」「症状別の食事の選び方」「避けたい食べ物」「1週間の献立例」まで具体的にまとめました。明日からのスーパーでの買い物が変わる、実践的な内容です。

PMSと食事の関係|なぜ食生活で症状が変わるのか

カレンダーに生理周期を書き込みながら、ハーブティーとナッツ・ベリーを楽しむ手元。黄体期の食事を意識するイメージ

PMSの症状(イライラ・むくみ・乳房痛・甘い物欲求・疲労感など)は、排卵後から生理開始までの黄体期に強く出ます。この時期は女性ホルモンが大きく変動するため、体は普段以上にエネルギーや栄養素を必要としており、食事内容がそのまま症状の重さに反映されやすくなります。

黄体期に起きる体内の変化と栄養素の需要

黄体期は基礎体温が上昇し、エネルギー消費量が普段よりも1日あたり約100〜300kcal増えるとされています。同時に水分やナトリウムを溜め込みやすく、むくみや体重増加につながります。さらに、神経の興奮を抑える働きのあるマグネシウムやカルシウムの需要が高まり、これらが不足するとイライラや筋肉のこわばりが強く出やすくなります。

つまり黄体期の体は「カロリーは少し増やしたいけれど、ミネラルとビタミンの密度が高い食事」を求めている状態です。お菓子やジャンクフードで余分なカロリーだけを摂ってしまうと、必要な栄養が満たされずに症状が悪化する悪循環に陥ります。

血糖値・セロトニン・ホルモンと食事のつながり

PMS期に「無性に甘いものが食べたくなる」「気分が乱高下する」のは、血糖値とセロトニン(幸せホルモン)の動きが原因です。エストロゲンが減少するとセロトニンの活動も低下し、糖質を摂ることで一時的にセロトニンを増やそうとする反応が起こります。

しかし、白砂糖や精製炭水化物で血糖値を急上昇させると、その反動で急降下する「血糖値スパイク」が発生し、かえってイライラや疲労感を悪化させます。低GI食品(玄米・全粒粉パン・豆類・野菜)で血糖値を穏やかに保つことが、PMSによる気分の波を抑える基本戦略です。

食事改善で期待できる症状軽減

米国産婦人科学会(ACOG)のPMSガイドラインでは、生活習慣の見直しの中でも食事改善が第一選択として推奨されています。具体的には、複合炭水化物(玄米・全粒穀物)を増やし、塩分・カフェイン・アルコールを控えることで、PMSの精神症状・身体症状ともに軽減が報告されています。

すべての症状が食事だけで消えるわけではありませんが、「ピルや薬に頼る前に、まずは2〜3か月食事を整えてみる」のはとても理にかなった選択です。ここからは、具体的にどんな栄養素・食材を意識すればよいのかを見ていきましょう。

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PMSの基礎知識から知りたい方は PMS(月経前症候群)完全ガイド を、PMDDとの違いを知りたい方は PMDDとは|PMSとの違いと診断基準 もあわせてご覧ください。

PMSにおすすめの栄養素5つと具体的食材

PMS対策で意識して摂りたい栄養素は、大きく5つに整理できます。それぞれの働きと、食事に取り入れやすい食材を紹介します。

①マグネシウム|イライラ・頭痛・むくみに

マグネシウムは神経の興奮を鎮め、血管や筋肉の緊張をゆるめる働きを持つミネラルです。複数の研究でPMS女性は健常女性よりマグネシウム濃度が低い傾向があり、補給することで気分の落ち込み・水分貯留(むくみ)・片頭痛の軽減が報告されています。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では成人女性の推奨量は1日270〜290mgとされていますが、令和元年の国民健康・栄養調査では成人女性の平均摂取量は約220mgと不足傾向にあります。

マグネシウムが多い食材

  • アーモンド・カシューナッツ・ピーナッツ(一握り=20gで約60mg)
  • 木綿豆腐(1/2丁=150gで約80mg)・納豆(1パックで約50mg)
  • ほうれん草・小松菜・モロヘイヤなどの青菜
  • 玄米・全粒粉パン・オートミール
  • あおさ・わかめ・ひじきなどの海藻
  • ダークチョコレート(カカオ70%以上)

②カルシウム|気分の落ち込み・乳房痛に

米国の大規模研究では、カルシウムを1日1,200mg摂取した女性は、プラセボ群に比べてPMS症状が約48%減少したと報告されています。とくに気分の落ち込み・乳房痛・水分貯留に対する効果が確認されました。

カルシウムの推奨量は成人女性で1日650mgですが、平均摂取量は約450mgと慢性的に不足しています。乳製品が苦手な方は、小魚・大豆製品・青菜から積極的に摂りましょう。

カルシウムが多い食材

  • 牛乳・ヨーグルト・チーズ(コップ1杯200mlで約220mg)
  • 木綿豆腐・厚揚げ・高野豆腐
  • しらす干し・桜えび・煮干し
  • 小松菜・チンゲン菜・水菜などの青菜(ほうれん草はシュウ酸でカルシウム吸収を阻害するため代替)
  • 切り干し大根・ひじき
  • カルシウム強化豆乳・カルシウム強化シリアル
ビタミンDも一緒に
カルシウムの吸収にはビタミンDが必須です。鮭・さんま・きのこ類(とくに干ししいたけ)に多く含まれます。週2〜3回は青魚を取り入れ、1日15〜20分程度の日光浴も意識しましょう。

③ビタミンB6|イライラ・うつ症状に

ビタミンB6はセロトニン・GABA(リラックス系神経伝達物質)・ドーパミンなど気分に関わる神経伝達物質の合成に必要な栄養素です。複数の臨床試験で、ビタミンB6の補給によりPMSの気分症状(イライラ・抑うつ・不安)の改善が示されています。

推奨量は成人女性で1日1.1mg。サプリで大量摂取(1日100mg以上)すると神経障害のリスクがあるため、まずは食品から摂るのが基本です。

ビタミンB6が多い食材

  • 鶏むね肉・鶏ささみ(100gで約0.5mg)
  • 鮭・かつお・まぐろなどの赤身魚
  • バナナ(1本で約0.4mg)
  • さつまいも・じゃがいも
  • 玄米・全粒粉
  • にんにく・パプリカ

④鉄分|疲労感・だるさ・集中力低下に

女性は毎月の月経で鉄を失い続けるため、日本人女性の約65%が鉄不足(潜在性鉄欠乏も含む)と言われています。鉄が不足すると、PMS期の疲労感・だるさ・集中力低下・気分の落ち込みが強く出ます。

推奨量は月経のある成人女性で1日10.5〜11mg。動物性食品の「ヘム鉄」は吸収率が15〜25%、植物性食品の「非ヘム鉄」は2〜5%と差があるため、両方を組み合わせ、ビタミンCを含む野菜・果物と一緒に摂ると吸収率が高まります。

鉄分が多い食材

  • レバー(鶏レバー50gで約4.5mg)・赤身肉(牛もも100gで約2.7mg)
  • かつお・まぐろ(赤身)・あさり
  • 納豆・豆腐・厚揚げ・大豆製品
  • 小松菜・ほうれん草・水菜などの青菜
  • ひじき・きくらげ・切り干し大根
  • プルーン・レーズン

⑤オメガ3脂肪酸|腹痛・炎症の緩和に

EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸は、体内の炎症を抑えプロスタグランジン(生理痛や下腹部の張りの原因物質)の生成を抑える働きがあります。研究ではオメガ3脂肪酸の摂取により、PMSの身体症状(腹痛・乳房痛・頭痛)と精神症状の両方が軽減することが示されています。

1日1〜2g(青魚1〜2食分)を目安に、週3〜4回は青魚を取り入れましょう。

オメガ3が多い食材

  • さば・いわし・さんま・あじ・鮭などの青魚
  • くるみ(一握り=30gで約2g)
  • えごま油・亜麻仁油(加熱せずドレッシングに)
  • チアシード・フラックスシード

症状別|PMSタイプ別おすすめの食事

木製ボウルに盛られたカラフルなサラダボウル。アボカド・サーモン・玄米・葉物野菜・ナッツがバランスよく盛り付けられたヘルシーミールのイメージ

PMS症状の出方は人によって違います。自分のタイプに合わせて、優先的に摂りたい栄養素と食材を意識すると改善を実感しやすくなります。

イライラ・怒りっぽい人におすすめの食事

神経の興奮を鎮めるマグネシウム・カルシウム・ビタミンB6を意識的に摂りましょう。とくに血糖値の急変動はイライラを悪化させるため、白米→玄米、菓子パン→ナッツ+ヨーグルトに置き換える効果が大きいです。

カフェインは交感神経を刺激してイライラを増幅させるため、コーヒーを1日1〜2杯までに減らし、午後はハーブティー(カモミール・ペパーミント・ルイボス)に切り替えると体感の変化を感じやすいでしょう。

むくみ・体重増加が気になる人におすすめの食事

黄体期はナトリウム(塩分)を体に溜め込みやすいため、塩分を控えてカリウムを増やすのが基本戦略です。カリウムは余分なナトリウムを尿として排出する働きがあります。

具体的には、加工食品・インスタント食品・外食を減らし、バナナ・アボカド・じゃがいも・ほうれん草・きゅうりなどのカリウム豊富な食材を取り入れます。むくみ対策には水分制限ではなく、こまめな水分補給(常温の水・白湯)で代謝を上げる方が効果的です。

甘い物がやめられない人におすすめの食事

PMS期に甘い物が欲しくなるのは「セロトニン不足」のサインです。砂糖で一時的にセロトニンを上げるのではなく、セロトニンの原料となるトリプトファンを含む食材で根本から底上げしましょう。

トリプトファンは大豆製品・乳製品・バナナ・ナッツ・卵・赤身肉などに多く含まれます。どうしても甘い物が欲しいときは、高カカオチョコレート(70%以上)・ドライフルーツ・甘酒・焼き芋などGI値の低い自然な甘さに置き換えると、血糖値スパイクを防げます。

乳房痛・下腹部の張りが強い人におすすめの食事

炎症を抑えるオメガ3脂肪酸(青魚・くるみ・えごま油)を増やし、炎症を促進するオメガ6脂肪酸(サラダ油・揚げ物)を控えるのがポイントです。週3〜4回の青魚と、調理油をオリーブオイル・米油に切り替えるだけでも違いが出ます。

また、ビタミンEには血流改善と痛み軽減の作用があり、アーモンド・かぼちゃ・アボカド・うなぎなどに多く含まれます。乳房痛が毎月強い場合はPMS完全ガイドもあわせてご覧ください。

疲労感・眠気が強い人におすすめの食事

疲労感・眠気の背景には鉄不足・ビタミンB群不足・血糖値の不安定があることが多いです。朝食に鉄+たんぱく質+複合炭水化物(例:納豆ご飯・卵・小松菜の味噌汁)を組み合わせると、午前中の集中力が安定します。

カフェインで疲労感をごまかすと、夜の睡眠の質を下げて翌日の疲労がさらに悪化します。眠気には15〜20分の昼寝が有効です。詳しくは 生理前の眠気・だるさの原因と対処法 を参考にしてください。

PMSを悪化させる|避けたい食べ物・飲み物

「足すこと」と同じくらい、「控えること」も大切です。PMS期に意識して減らしたい食品・飲料を5つにまとめました。

カフェイン(コーヒー・エナジードリンク)

カフェインは交感神経を刺激してイライラ・不安・不眠を悪化させ、さらにマグネシウムの排出を促進してPMS症状を強めます。コーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンク・ココアに含まれます。

完全にやめる必要はありませんが、黄体期(生理10日前〜)はコーヒー1日1〜2杯までに減らし、午後14時以降はカフェインを控えるのが理想です。デカフェ・麦茶・ルイボスティー・ハーブティーへの置き換えがおすすめです。

砂糖・精製炭水化物

白砂糖・菓子パン・白米・スイーツは血糖値を急上昇させ、その反動の急降下で気分の波・疲労感・甘い物欲求を悪化させます。さらに、糖質を分解する際にビタミンB群・マグネシウムを消費するため、必要な栄養素まで失います。

完全に断つ必要はないものの、黄体期は「主食を玄米・全粒粉に置き換える」「お菓子はナッツ・果物・ヨーグルトに置き換える」だけで体感が変わります。

塩分の多い食品

塩分(ナトリウム)の摂りすぎは、黄体期のむくみ・体重増加・乳房の張りを悪化させます。WHOは1日5g未満を推奨していますが、日本人女性の平均摂取量は約9gと倍近く摂っています。

とくに注意したいのは、ラーメン・うどんなどの汁物、加工肉(ハム・ソーセージ)、インスタント食品、スナック菓子です。黄体期だけでも外食・コンビニ食を減らし、家で薄味の和食を増やすと数日でむくみが軽くなります。

アルコール

アルコールは肝臓でエストロゲンの代謝を妨げ、ホルモンバランスを乱す要因になります。また、睡眠の質を下げて疲労感を強め、ビタミンB群・マグネシウムの排出も促進します。

「お酒を飲むとリラックスする」と感じる方も多いですが、PMS期は症状を悪化させる方が大きいため、黄体期はノンアルコール飲料・炭酸水・ハーブティーに切り替えるのがおすすめです。

加工食品・トランス脂肪酸

マーガリン・ショートニング・加工菓子・ファストフードに含まれるトランス脂肪酸は、体内の炎症を促進してPMSの身体症状を悪化させます。WHOは2023年までにトランス脂肪酸の摂取をエネルギー比1%未満にすることを各国に呼びかけています。

調理油はオリーブオイル・米油・ごま油などに切り替え、菓子パンや市販のクッキー・スナック菓子の頻度を減らすことで、症状の改善が期待できます。

「全部やめる」必要はありません
いきなり食生活を完全に変えようとすると挫折しやすくなります。まずは「カフェインを午後やめる」「お菓子をナッツに置き換える」など1つだけ選んで2〜3周期試し、効果を実感したら次の習慣に移るのがおすすめです。

PMSが楽になる食べ方の3つのコツ

「何を食べるか」と同じくらい、「どう食べるか」もPMS対策の鍵です。今日から実践できる3つのコツを紹介します。

1日3食+間食で血糖値を安定させる

食事を抜くと血糖値が大きく下がり、次の食事で血糖値スパイクが起きてPMS症状を悪化させます。朝・昼・夜の3食を規則正しく摂り、4〜5時間以上空くときは間食を入れるのが基本です。

間食はナッツ・チーズ・ヨーグルト・ゆで卵・果物など、たんぱく質と食物繊維を含むものを選びましょう。菓子パン・スナック菓子は血糖値スパイクを起こしやすく、PMS期は避けたい間食です。

黄体期(生理10日前〜)から意識的に栄養を補う

PMS対策の食事は、症状が出てから慌てて始めるのではなく、排卵後の黄体期から先回りで栄養を補うのがコツです。とくに生理10日前〜直前は、マグネシウム・カルシウム・鉄分・オメガ3を意識的に増やしましょう。

「いつから黄体期かわからない」という方は、基礎体温アプリや生理周期管理アプリ(ルナルナ・ペアケアなど)を使うと、自分の周期が見えるようになります。

水分は1日1.5〜2L、こまめに摂る

黄体期はむくみが気になって水分を控える方がいますが、むくみの原因は塩分過多であって水分ではありません。水分が足りないと逆に体が水を溜め込もうとして、むくみが悪化します。

常温の水・白湯・麦茶・ハーブティーを1日1.5〜2Lを目安に、コップ1杯ずつこまめに摂りましょう。冷たい飲み物は血行を悪くしてPMS症状を強めるため、常温〜温かい飲み物がおすすめです。

「具体的に何を食べたらいいのかわからない」という方のために、PMS対策に必要な栄養素を網羅した1週間献立例を紹介します。すべて完璧にやる必要はなく、できる日だけ参考にしてください。

曜日
納豆ご飯(玄米)・小松菜の味噌汁・卵焼き 鶏むね肉とブロッコリーのサラダボウル・玄米おにぎり 鮭の塩焼き・ほうれん草のおひたし・豆腐の味噌汁・玄米
オートミール+バナナ+アーモンド+ヨーグルト さばの塩焼き定食(外食でも可)・小鉢に青菜のおひたし 麻婆豆腐(控えめ味付け)・チンゲン菜炒め・玄米・わかめスープ
全粒粉トースト・スクランブルエッグ・アボカド・牛乳 玄米おにぎり・ゆで卵・ミニトマト・ナッツ・チーズ 鶏もも肉と根菜の煮物・きんぴらごぼう・納豆・玄米
納豆ご飯(玄米)・あさりの味噌汁・ほうれん草のおひたし シーフードパスタ(全粒粉)・グリーンサラダ いわしの梅煮・切り干し大根・水菜のサラダ・玄米
ヨーグルト+ベリー+くるみ・ゆで卵・全粒粉トースト 赤身まぐろの漬け丼(玄米)・わかめサラダ 豚しゃぶサラダ(たっぷり野菜)・冷奴・きのこ汁・玄米
厚揚げと小松菜の煮物・玄米・しじみの味噌汁 サンドイッチ(全粒粉・サーモン・アボカド)・スープ 鶏レバーの甘辛炒め・ほうれん草のごま和え・玄米・豆腐の味噌汁
パンケーキ(オートミール+バナナ)・ベリー・ヨーグルト サーモンとアボカドのサラダボウル・玄米 具だくさん野菜スープ・全粒粉パスタ・チーズ・ナッツ

間食:素焼きアーモンド・くるみ・カカオ70%以上のチョコレート1〜2かけ・ヨーグルト・バナナ・ゆで卵・チーズ・甘酒(少量)など

続けるコツ
・1週間まるごと完璧にやらず、「朝食だけ」「夜だけ」など部分的に取り入れる
・週末にナッツ・玄米おにぎり・ゆで卵を作り置きしておく
・外食・コンビニのときは「野菜の小鉢を1つ追加」「白米→玄米」など簡単な置き換えだけでもOK

食事で改善しない場合の対処法

食事改善はPMS対策の土台ですが、それだけで全ての症状が消えるわけではありません。3か月続けても改善を感じられない、症状が日常生活に大きく支障をきたしている場合は、他の選択肢も検討しましょう。

食事+運動・睡眠・ストレス管理の組み合わせ

PMS対策は食事・運動・睡眠・ストレス管理の4本柱で考えると効果的です。週3回30分程度の有酸素運動(ウォーキング・ヨガ・水泳)、毎日6〜7時間以上の質の高い睡眠、瞑想や深呼吸でのストレス軽減を組み合わせると、食事だけの場合より大きな改善が期待できます。

とくに黄体期は予定を詰め込みすぎず、「普段の70%の負荷で回す」くらいのペース配分が理想です。

婦人科への相談タイミング

以下に該当する場合は、無理せず婦人科に相談してください。

  • 食事・運動・睡眠を3か月整えても改善しない
  • 仕事や学校を休むほどの症状がある
  • 家族や友人との関係に悪影響が出ている
  • 気分の落ち込みが強く、生理が始まっても続く(PMDDの可能性)
  • 「消えたい」「死にたい」という気持ちが少しでもある

とくに最後の項目に該当する場合は、生理周期に関係なく早めの受診をおすすめします。

低用量ピル・漢方薬という選択肢

食事や生活習慣の見直しで効果が不十分な場合、医療機関では低用量ピル・漢方薬・SSRI(PMDDの場合)などの治療選択肢があります。とくに低用量ピルはホルモン変動を抑えることでPMSの根本原因にアプローチでき、症状が大きく軽減することが多い治療法です。

「薬に頼るのは負け」ではありません。自分の体と毎月のQOLを守るための前向きな選択として、選択肢の1つに入れておくとよいでしょう。詳しくは 低用量ピルの効果と仕組み もご覧ください。

PMSと食事に関するよくある質問

Q サプリで栄養素を補ってもいいですか?

A.食事から摂るのが基本ですが、忙しくて栄養バランスを整えられない時期はサプリでの補助も選択肢になります。とくに鉄分・カルシウム・ビタミンB6は不足しがちで、サプリでの補給に向いています。ただし、ビタミンB6は1日100mg以上の長期摂取で神経障害のリスクがあるため、用量は守ってください。複数のサプリを併用する場合は、薬剤師や医師に相談すると安心です。

Q チョコレートはPMSに悪いですか?

A.砂糖たっぷりのミルクチョコレートは血糖値スパイクを起こしてPMSを悪化させますが、カカオ70%以上のダークチョコレートはマグネシウム・抗酸化物質を多く含み、適量(1日2〜3かけ)ならむしろPMS対策になります。「甘い物が欲しい」気持ちを抑え込まず、ダークチョコレートに置き換えるのが現実的な解決策です。

Q 大豆製品(イソフラボン)はPMSにいいですか?

A.大豆イソフラボンはエストロゲンに似た構造を持ち、ホルモンバランスを穏やかに整える働きが期待されます。納豆・豆腐・豆乳・厚揚げを1日1〜2品取り入れるのは、たんぱく質・カルシウム・マグネシウムの補給という意味でもおすすめです。ただし、サプリでの大量摂取(イソフラボン1日70mg以上)は推奨されていないため、食品から自然に摂る範囲にとどめてください。

Q 朝食を抜くとPMSが悪化しますか?

A.はい、朝食を抜くと血糖値が大きく下がり、昼食での血糖値スパイクが大きくなってPMS症状(イライラ・集中力低下・疲労感)を悪化させやすくなります。とくに黄体期は朝食をしっかり摂り、たんぱく質(卵・納豆・ヨーグルト)と複合炭水化物(玄米・全粒粉パン・オートミール)を組み合わせるのが理想です。時間がないときはバナナ+ヨーグルト+ナッツだけでもOKです。

Q 食事を変えてどのくらいで効果を感じますか?

A.個人差はありますが、2〜3周期(2〜3か月)続けると変化を実感する方が多いです。「カフェインを控える」「塩分を減らす」などの即効性のある改善は1〜2週間で体感できますが、ミネラル不足の解消や腸内環境の改善は数か月単位での変化になります。1か月でやめずに、まずは3周期続けてみてください。

Q PMSのときは食欲が暴走します。我慢すべきですか?

A.無理に我慢する必要はありません。黄体期は基礎代謝が上がり、体が普段より100〜300kcal多くエネルギーを必要としているため、食欲が増すのは自然な反応です。大事なのは「我慢する」ことではなく「選ぶものを変える」こと。スナック菓子→ナッツ・甘い物→ダークチョコ・ジュース→無糖の炭酸水+果物、と置き換えるだけで、罪悪感なくPMS対策ができます。

まとめ|食事はPMS対策の土台

PMSの症状は、ホルモン変動だけでなく日々の食事内容に大きく左右されます。マグネシウム・カルシウム・ビタミンB6・鉄分・オメガ3脂肪酸の5つを意識的に摂り、カフェイン・砂糖・塩分・アルコール・加工食品を控えるだけで、多くの方が症状の軽減を感じています。

「全部完璧にやろう」ではなく、今日から1つだけ変えるのがコツです。コーヒーを1杯減らす、白米を玄米に置き換える、お菓子をナッツにする——どれか1つを2〜3周期続けてみてください。きっと体の変化に気づくはずです。

この記事のポイントまとめ
  • PMSは食事内容で症状の重さが大きく変わる
  • 摂りたい栄養素5つ:マグネシウム・カルシウム・ビタミンB6・鉄分・オメガ3
  • 症状別に意識する食材を変えると改善を実感しやすい
  • 避けたい食品:カフェイン・砂糖・塩分・アルコール・加工食品
  • 1日3食+間食で血糖値を安定させるのが基本
  • 黄体期から先回りで栄養を補う・水分は1日1.5〜2L
  • 3か月続けても改善しない場合は婦人科で相談を
  • 食事は「制限」ではなく「置き換え」で続けるのがコツ

食事は毎日のことだからこそ、小さな選択の積み重ねが大きな変化を生みます。自分を責めずに、できる範囲で続けることが、毎月のPMSを楽にする一番の近道です。

この記事を書いた人

白石まい(助産師・フェムテックエキスパート)

産婦人科病院で13年間、助産師として延べ2,000件以上の分娩に立ち会う。生理・妊活・更年期など、女性のライフステージに寄り添った健康相談を得意とする。現在はフリーランス助産師として活動しながら、フェムテックエキスパートとして「女性が自分の体をもっと好きになれる社会」を目指してfemnoteで情報を発信中。

参考文献

  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
  • 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「月経前症候群(PMS)」
  • American College of Obstetricians and Gynecologists「Premenstrual Syndrome (PMS) FAQ」
  • Thys-Jacobs S, et al. "Calcium carbonate and the premenstrual syndrome." Am J Obstet Gynecol. 1998
  • Wyatt KM, et al. "Efficacy of vitamin B-6 in the treatment of premenstrual syndrome: systematic review." BMJ. 1999
  • 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編」
  • 日本女性心身医学会「女性心身医学ガイドブック」