旅行、結婚式、大事な試験、スポーツの試合——大切なイベントと生理が重なりそうで、「できれば生理をずらしたい」と思ったことはありませんか?そんな悩みに答えてくれるのが「生理日移動」です。
生理日を安全にコントロールする方法はピルのみです。市販薬や特定の食べ物・運動で生理日を変えることはできません。この記事では、生理日を遅らせる・早める方法をそれぞれ具体的に解説します。婦人科への行き方や費用まで含めて、知りたいことをすべてまとめました。
生理日をずらす方法は「ピル」だけ
市販薬・民間療法では生理日は変えられない
インターネット上には「〇〇を食べると生理が早まる」「激しい運動で生理がずれる」といった情報が出回っています。しかし、これらに医学的根拠はありません。生理日は体内のホルモンバランスによって決まるため、食事・運動・入浴などの生活習慣で意図的にコントロールすることは困難とされています。
生理日を確実にずらしたいなら、婦人科でピル(中用量ピルまたは低用量ピル)を処方してもらうのが唯一の方法です。
生理日移動に使われるピルは主に2種類あります。
- 中用量ピル(プリモルト・ノアルテンなど):生理日移動専用として処方されることが多い
- 低用量ピル(マーベロン・トリキュラーなど):避妊や月経困難症の治療として継続服用中の方が生理日移動にも活用できる
生理を「遅らせたい」場合のピルの飲み方
服用開始のタイミング——生理予定日の何日前から?
生理を遅らせたい場合、生理予定日の5〜7日前からピルを服用し始めるのが一般的とされています。生理予定日の4日前以降に飲み始めると十分な効果が得られない可能性があるため、5日前を締め切りとして逆算してください。
例えば、結婚式・旅行の初日が生理予定日の3日後なら、生理予定日の5〜7日前(イベントの8〜10日前)から服用を始め、イベントが終わるまで毎日継続します。イベント終了後にやめると2〜3日後に生理が来るため、帰宅後のスケジュールも逆算しておきましょう。
| 服用タイミング | 内容 |
|---|---|
| 服用開始日 | 生理予定日の5〜7日前(遅くとも5日前まで) |
| 服用継続期間 | 生理をずらしたい期間中、毎日同じ時間に服用 |
| 服用をやめるタイミング | イベント終了後に服用をやめると2〜3日後に生理が来る |
服用中の注意点
毎日できるだけ同じ時間に飲むことが重要です。飲み忘れた場合や、服用後2時間以内に嘔吐した場合は効果が十分に得られない可能性があります。不安な場合は処方した医療機関に相談してください。
生理を「早めたい」場合のピルの飲み方
次の生理を前倒しする方法
「旅行前に生理を早めに終わらせたい」という場合は、今の生理が始まった日からピルを服用し始め、次の生理を前倒しさせる方法が取られることがあります。
具体的には、今の生理が来た初日から低用量ピルを服用し始め、イベントの数日前(通常は7〜10日服用したあと)に飲み終えると、その後2〜3日で生理が来るとされています。ただし、生理を早める方法は体への影響が大きく、また効果の予測が遅らせる場合より難しいため、必ず医師に相談のうえ処方してもらってください。
中用量ピル vs 低用量ピル——どちらが向いている?
中用量ピルの特徴
中用量ピルは低用量ピルよりホルモン量がやや多く、生理日移動を目的として処方されることが多いピルです。ピルを服用したことがない方でも使用できます。
- 代表的な薬剤:プリモルト錠、ノアルテン錠
- 費用:自費診療で3,000〜5,000円程度(診察料込み)が目安
- 副作用:吐き気・頭痛・不正出血など。低用量ピルより強く出やすい場合がある
- 保険適用:生理日移動目的では保険適用外(自費)
低用量ピルを継続服用中の方の場合
避妊や月経困難症の治療目的で低用量ピルを継続服用している方は、服用スケジュールを調整することで生理日をコントロールできる場合があります。具体的な方法は服用している低用量ピルの種類によって異なるため、かかりつけの婦人科医に相談してください。
| 中用量ピル | 低用量ピル | |
|---|---|---|
| 主な用途 | 生理日移動専用として処方 | 避妊・月経困難症治療(継続服用者が応用) |
| ピル未経験者 | 処方可能 | 通常は継続服用者向け |
| 費用(目安) | 3,000〜5,000円(自費) | 継続処方の一環で対応(保険適用の場合あり) |
| 副作用の出やすさ | やや出やすい | 比較的少ない(個人差あり) |
費用・保険適用・婦人科受診の流れ
費用はいくらかかる?
生理日移動目的のピル処方は保険適用外(自費診療)となります。費用の目安は以下の通りです。
- 初診料・診察料:1,000〜3,000円程度
- 中用量ピル薬代:1,500〜2,500円程度
- 合計目安:3,000〜6,000円程度
金額は医療機関によって異なります。事前に電話で確認しておくと安心です。
婦人科受診〜処方までの流れ
初めて生理日移動のためにピルを処方してもらう場合の一般的な流れを説明します。
- 婦人科を予約する:「生理日移動のためのピルを処方してほしい」と伝えて予約する。多くのクリニックは電話・WEBどちらでも可
- 受診・問診:持病・服用中の薬・アレルギーなどを問診票に記入。血圧測定を行うクリニックも多い
- 医師の診察:生理周期・ずらしたい日程・目的を伝える。生理予定日の5〜7日前に来院できているか確認される
- 処方・服用説明:ピルが処方され、服用開始日・方法・注意事項の説明を受ける
- 自宅で服用開始:指定された日から毎日同じ時間に服用する
オンライン診療は使える?
生理日移動のためのピル処方に対応しているオンラインクリニックもあります。自宅から受診でき、薬が郵送されるため時間・場所を問わずに利用できます。ただし、処方から薬が届くまで数日かかる場合があるため、イベントの2週間以上前に申し込むことをおすすめします。
副作用と注意事項
よくある副作用——いつまで続く?
生理日移動のためのピルを服用中に見られる主な副作用は以下の通りです。
- 吐き気・胃のむかつき:服用後1〜2日程度。食後に服用するか、就寝前に飲むと軽減されることがある
- 頭痛・だるさ:2〜3日程度で落ち着くことが多い
- 不正出血・茶褐色のおりもの:服用中に少量の出血が起きることがある。多くは自然に落ち着く
- 胸の張り:服用中のみ。やめると自然に消失することが多い
副作用が強い・長く続く場合は自己判断せず、処方した医療機関に問い合わせてください。
使えない場合(禁忌)
以下に当てはまる方は、ピルを使用できない・または慎重な使用が必要とされています。受診時に必ず医師に伝えてください。
- 血栓症の既往歴がある方
- 重度の高血圧・心疾患・肝疾患のある方
- 35歳以上で1日15本以上喫煙している方
- 片頭痛(前兆あり)のある方
- 妊娠中・授乳中の方
よくある質問
Q ピルで遅らせた後、次の生理への影響はありますか?
A.ピルをやめた後の生理(消退出血)が終われば、多くの場合は通常の生理周期に戻るとされています。ただし、次の生理が少し遅れたり、周期が乱れたりすることもあります。通常は1〜2周期で元のリズムに戻ることがほとんどです。
Q 服用を始めるのが遅れてしまった場合はどうすればいいですか?
A.生理予定日の5日前を切ってから服用を始めた場合、十分な効果が得られない可能性があります。生理予定日の3日前以内での服用開始は、効果が期待できないとされているため、その場合は諦めて次回の生理に備えるか、婦人科に相談して別の対応策を聞いてみましょう。
Q 毎月のように生理日をずらし続けることはできますか?
A.毎月の生理日移動は、ホルモンバランスへの影響が蓄積する可能性があります。特別なイベントのための一時的な使用が前提とされており、継続的に生理のコントロールを望む場合は、低用量ピルの継続服用を婦人科で相談することをおすすめします。
Q 生理日移動のピルに避妊効果はありますか?
A.中用量ピルは生理日移動を目的としたホルモン剤であり、避妊薬として承認されているものではありません。服用中であっても、避妊を希望する場合はコンドームを使用してください。
Q ピルをやめてからどのくらいで生理が来ますか?
A.ピルをやめてから2〜3日後に生理(消退出血)が始まることが多いとされています。旅行・イベント終了後にやめるタイミングを調整することで、帰宅後のタイミングに合わせやすくなります。具体的な日程は受診時に医師に確認しましょう。
まとめ
- 生理日を確実にずらす方法はピルのみ。市販薬・民間療法に医学的根拠はない
- 遅らせたい場合は生理予定日の5〜7日前から服用開始。タイミングが遅れると効果が得られない可能性がある
- 早める方法は効果の予測が難しく、体への影響も大きい。可能なら「遅らせる」選択が確実
- 中用量ピルは未経験者でも処方可能・費用は3,000〜6,000円程度(自費)
- イベントの2週間前には婦人科を受診し、余裕を持って処方してもらうことが大切
- ピルをやめてから2〜5日後に生理が来るため、帰宅後のスケジュールも逆算して計画する
大切なイベントに生理が重なることは、誰にでも起こりえます。「どうせ無理」と諦める前に、婦人科に相談してみてください。予約から処方まで1回の受診で完結することがほとんどで、思っているよりずっと簡単です。生理日移動ピルの継続服用を検討している方は低用量ピルについても参考にしてください。また、避妊方法の選択肢全般については避妊の種類と選び方をあわせてご覧ください。
参考文献
- 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬,低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤ガイドライン(案)」2020年
- 日本産科婦人科学会「女性の健康とホルモン療法ガイドライン」2017年
- 東京女子医科大学病院 産婦人科「月経に関するQ&A」
- あすか製薬「プリモルト錠 添付文書」
- 持田製薬「ノアルテン錠 添付文書」